老人介護についての個人的HP:雑記帖(8)新潟日報連載コラムC
「環境整備ということ」とつけた標題が、「ベッド」と変えられていました。これは変えてほしくなかったな〜。本当にベッドのこと書くなら、ぜひギャッヂアップや幅のことも触れないわけにはいきませんね。
黒崎町にお住まいで60歳になる堀内さん、今から11年前に脳出血を発症され右片麻痺となってしまいました。当初は立ちあがることもできたようですが、10年以上の在宅生活を続けるうちに、最近はベッドから車椅子に移るのにもかならずご主人さまにしがみつくようにしてされていました。ところが、ご主人さまも長年の鉄工所経営で特に最近は膝や肘が痛み、堀内さんの介助をするのもなかなか大変になってきたようです。堀内さんがお菓子をいっぱい食べて、体重がとても増えてしまったことも関係しているようです。それでも長年に渡るご主人さまの努力もあり、決して「寝たきり状態」ではありません。
そこで、しばらく訪問看護婦さんによる起立動作の練習などを続けてもらった上で、私の方で行なった環境整備が写真のようなものです。ベッドには、ベッドから垂直に伸びる形で手すりをつけました。これは「布団や身体がベッドから落ちないようにする」ためのものではなくて、ベッドに腰かけた姿勢から立ちあがる時につかまるためのものです。それからご主人さまにお願いして、ベッドの脚の下に2.5cmほどの板を敷きこんでいただき、ベッド面を上げてもらいました。それだけで、ずいぶんと立ち上がりやすくなるようでした。(写真右上)その2つの工夫でご覧の通り、ベッドと車椅子の間を自力で移動できるようになりました。
障害のある方が自力で動きやすいように、あるいはが介護しやすいように環境を整えることを、一般に「環境整備」と呼んでいます。ところが、障害者・高齢者のための、となると、バリアフリー住宅の建築改造など大がかりなイメージを持たれてしまう方が多いかもしれません。しかし実際には堀内さんのように、ポイントをおさえた何気ない環境整備で、介護状況を大きく変えることもできます。もっとも、色々と施行錯誤しないといけないこともあるかもしれません。もしかしたら介護にあたるご家族さまには、その余裕がないかもしれません。そんな時は、職業者・援助者がご家族ご本人の負担にならないように気をつけながらも、考えなくてはいけないこともあるでしょう。堀内さんも私が始めてお会いしてから半年近くかけて、ようやくここまで頑張られるようになったのです。
でも、本当に堀内さんがご主人さまに頼らずに頑張れるかどうか?まだ分かりません。ようやく「できる」ようになっただけで、「する」かどうかはこれから、です。ご近所の皆さん、「カアちゃん、頑張ってるか〜?」と声をかけてあげてくださいね。実はそんなふうに、この紹介も堀内さんへの「援助の一環」なんです。

ベッドに取りつけた移動用の手すりとベッドをかさ上げした様子
新潟日報平成12年12月10日