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ナンバージャック 1-1 アンドロイドっていったって無敵じゃない。 いや、むしろ欠陥だらけだろう。 特にスイッチを入れてから立ち上がる(動き出す)までに時間がかかる。 そう、今のこんな……こんな……こんな…… こんな感じで。 思考さえまともにできない。 こんなときは何も考えず静かにしているに限る。 『視覚センサ作動』 脳内にその文字が浮かぶと、視界が開けけけ……開けた。 裸電球が部屋を薄暗く照らしている。 目の前に黒髪の女……レイチェルだ。 細い鼻に大きな猫目、艶のある唇、透き通るように白い肌。 歳は確か19歳だったか……左手の薬指にホクロのある女。 何かを必死に語りかけているようだが、 まだ音センサ(マイク)が起動していないので聞き取ることができない。 『出力30%回復・各部異常なし』 レイチェルが必死に俺の肩を揺さぶり語りかけてくる。 ナチュラルウェーブの黒髪が俺の体にまとわりつく。 俺は強引に腕を払いのけ、 今にも崩壊しそうな安物のベッドから降りてレイチェルを睨みつけた。 体に触られるのは好きじゃないんでね。 『出力60%回復・音センサ作動』 「このポンコツ野郎!」 いつもの甲高い鼻声。 相変わらず気の強い女だ。 「ちゃんと目覚まししろっていっただろこのバカ!」 ……言ってねぇだろお前。 「遠出するってのに、ほら、ボーっとしてないでとっとと準備しろよ!」 朝からテンションの高い女だ。 こっちは立ち上げたばかりで頭が回らないってのに…… 『出力80%回復・スピーカー起動』 「一日くらい休んだって罰は当たらないだろうに……」 ため息に混ぜて台詞を吐き出す。 「生活ができねぇんだよ、テメーの修理代のせいで!」 「じゃあそろそろ俺を自由にしてくれよ」 「それはダメだ、お前がいないと仕事ができない」 スピーカーを調節してロボットのような単調な声を出す。 「矛盾、矛盾、矛盾……」 俺のスピーカーは高性能なので様々な声を出すことができるのだ。 ちなみに普段はしゃがれた低い声にしている。 「笑えないギャグはいいから、とっとと行くよ!」 レイチェルがしらけた顔をしてそういった。 やれやれ、今日も面倒な一日になりそうだ。 to be continue |
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