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ナンバージャック 1-4

 リーリの街をモーテル(安宿)の窓から眺めている。
 人口10万人程度の小さな街。
 街の終わりが5階の窓からでも確認できてしまう。
 小さな工場がたくさんあり、煙突から黒鉛があがっている。
 ロボットや機械を作るのに必要な細かいパーツを作るのが得意な街だった。
 工場が多いだけに街の空気は最悪で、
 俺のエンジンシステムが埃まみれにならないかが心配だ。

 この街のどこかで空気清浄機のパーツが作られているのかもしれない。
 それを作るために空気を汚す煙が立つのかと思うと、
 人間とはつくづく皮肉な生き物だと思える。

 水を手に入れてから街に着くまで、想定範囲ではあったが、過酷な旅だった。
 モンスターに襲われ盗賊に襲われタイヤがパンクするアクシデントを乗り越え、
 ここまでたどり着いたのは朝の7時過ぎだった。
 砂漠の旅は大変なのだ。

「ぐーぐー、ウイスキィロックで」

 安ベッドでレイチェルがタンクトップ姿で腹を出して寝ている。
 俺はそっとシーツをかけてやった。
 睡眠を必要としない俺は寝ているレイチェルの護衛としてこの部屋にいる。
 と、いうのは表向きで、実は金がもったいないので一緒の部屋に泊まっているのだ。
 アンドロイドの俺に生殖機能は無く、
 そういった欲求もないのでレイチェルも安心してぐっすり夢の中だ。
 睡眠を必要としない俺だが、
 燃料がもったいないので夜はスタンバイ状態にすることが多い。
 金が無いときは燃料節約のため、電源を切るときもある。

 レイチェルは父親を捜している。どこにいるのかもわからない父親を。
 名前はニッキー・グルンワルド。
 今年で47歳。レイチェルが9歳の時に行方不明になったのだという。
 水を売るのは旅をする資金稼ぎに過ぎないのだ。
 親父が見つかればレイチェルは俺に取り付けた爆弾を取り外してくれるという。
 その爆弾はレイチェルの心臓に取り付けたセンサーと同調していて、
 レイチェルが心停止すると俺に仕掛けられた爆弾が爆発するらしい。
 そこまでして俺を引き止めるのなら、
 主人に忠実なロボットを買えばいいと思うのだが……
 俺の持っている水売りと戦闘の知識を欲しているのだろう。
 素直にそういえば力を貸さなくもないのに……
 わざわざ俺に爆弾を取り付けて支配しようとするあたり、疑い深い性格なのだろう。
 出会った頃からレイチェルは他人は誰も信じないようなそんな感じだった。
 どの道、博士を失った俺に生きる意味はないのだし、
 子供のわがままに少しだけ付き合ってやるのも悪くはない。
 もちろんいただく物(金)はちゃんといただくが……

「スルメうめぇ、ぐーぐー」
「親父かお前は……」

 先が思いやられるな……

to be continue

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