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ナンバージャック 1-7

 不自然なところは山ほどあった。
 60年ぶりのリリィとの再会。
 普段のあの女ならもう少し長話をしていたはずだ。
 それにニッキー・グルンワルドの名前を出したとき、
 リリィはほんのわずかの時間だが反応が遅れていた。
 そして急いで去っていった。あの女は何かを隠していた。

 胸の中を不快感がおおい尽くす。

「怒ってんの?」

 レイチェルが不安そうに見上げてくる。
 俺は悟られないようにそっぽを向いて応えた。

「別に」
「怒ってる」
「違う、少し嫌な予感がしてな」
「詳しく聞かせろよその話」
「残念だが、そんな暇はないようだ!」

 銃声と同時に俺はレイチェルを守るように抱きしめ公園の茂みに逃げ込んだ。

『衝撃確認・右上腕部、左足首、右わき腹、各部軽度の衝撃』

 脳内に赤い文字と警告音が鳴り響く。

「何、スケベ、変なところ触るな!?」
「黙って隠れてろよ」

 拳銃に弾を詰め、銃声があがった方角を意識しながら茂みから出る。
 黒服の男が一人、立っていた。
 俺はそいつに銃口を向けてこういった。

「テメーのボスの名前を言え」
「……」

 男は何も語らず、素早い動作でマシンガンを奏でた。
 1/1000秒で映像を捕らえる俺のカメラ(目)には、
 向かってくる銃弾が全て止って見えていた。
 無理のない動作で弾を避け、避けきれないものは手で払いのける。
 人間の倍の速度で動ける俺にとって、
 こんな攻撃をかわすのは朝飯前だった。

 素早く男との間合いを詰めて腹に蹴りをお見舞いする。
 男の体がくの字に折れて、しりもちをついた。

 男の額に銃口を向けた。

「もう一度聞く、テメーのボス……」

 男の目が赤く輝いたかと思うと、世界が白く輝いた。
 吹き飛ばされる浮遊感。

 自爆……しやがった……のか?
 目の輝く人間なんていない。
 だとすればあれは人型のロボットだったのだろう。

『各部ダメージ、出力低下、左カメラ異常、
 左カメラ異常、左カメラ異常……』

[強制終了 > 左カメラ -> ノーマル]
[切替 > 左カメラ -> 赤外線]
[起動 > 左カメラ -> 赤外線]

 0.6秒で左目のカメラが赤外線カメラと切り替わった。
 俺の目は三種類の内臓カメラを切り替えることができる。
 種類はノーマル、赤外線、暗視スコープの3種類だ。

 ノーマルは黒、赤外線は赤、暗視は緑。
 目の色が変わる仕組みになっている。

 立ち上がって辺りを見渡す。
 左赤外線カメラが起動を始める。
 サーモグラフィーで表示される緑や赤の世界がなんとも心地悪い。
 右カメラに意識を集中して辺りをみまわす。
 半径3mほど爆発は広がったらしい。倒れた木や、粉々になったベンチ。
 俺の服もボロボロになっていた。
 結構高い服だったのに……

 敵の姿は見られない。どうやらさっきの男一人で襲ってきたようだ。

「レイチェル、無事か?」
「う、うん」

 事態が飲み込めていないのか、レイチェルは放心状態だった。

「どうやら、お前の親父に近づいてきたらしいぜ」

to be continue

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