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ナンバージャック 1-8

 薄暗い路地裏に逃げ込んだ俺たち。

「もう、なんなんだよ!」

 レイチェルが白い歯をむき出して壁を蹴りつけた。
 もともと非力な女なので大した音はしなかった。
 打ち所が悪かったらしく足首を両手で掴んで
 ケンケンしながら痛みに苦しみ悶えている。

 世間ではこういう奴を馬鹿という。

「リリィが裏切った。それは確かだな」
「兄弟じゃねーのかよ!」
「昔の友は今日の敵ってやつだろ、深く考えるだけ無駄だ」

 ポンポンとレイチェルの頭を撫でてやる。

 レイチェルはうつむいて小声で殺すと延々つぶやいている。
 小馬鹿にされたことがよほど気に食わなかったのだろう。

 黒服のロボットが自爆したあと、治安部隊らしき人間達になぜか追われた。
 俺の推理によると、リリィはどうやら俺たちを始末したいらしい。

 なぜか?

 その鍵を握るのはレイチェルの父親、
 つまりニッキー・グルンワルドなのだろう。

「俺たちにとってのパンドラの箱ってやつか……」

 口元を緩める。面白くなってきやがったぜ。
 謎は俺が解いてやる。

「いたぞ!」

 路地の東側から声がして、治安部隊の数名が現れた。
 市街戦用の迷彩服を着て、マシンガンを手に持っている。

「見つけたら黙って撃てばいーのに……間抜け野郎が!」
『ターゲットロック完了・命中率88.9%』

 素早く拳銃を取り出し引き金を引く。
 飛び出した弾丸が兵士の頭を吹き飛ばした。

 M6弾・通称マンイーター。
 マンストッピングパワーを重視したこの弾は
 貫通力はないが人体に当たれば確実に相手を戦闘不能にする。

「うわぁ!」

 悲鳴をあげたのはまわりにいた仲間たちだろう。

「あと3人」

 次に仕込んだ弾はたしかノーマル弾か……まぁいーか。
 残弾数はあと5発、すべてノーマル弾。
 人間殺すくらいなら弾にこだわる必要もねーか。
 それにノーマル弾は安いしな。

 引き金を4回引いた。
 2人の男の目に一発ずつ命中。即死だろう。
 残り一人は右太ももと右腕。衝撃でマシンガンを手から離した。

 俺はそいつに銃口を向けたまま近づいていき、たずねた。

「誰に命令された?」
「う、い、いやだぁ……はぁはぁ……」

 俺は男の腹に思いっきり足を入れた。
 男は後ろに吹っ飛び、しりもちをつく。
 さっき撃った右足から血があふれ出している。
 早めに止血しなければ、そう長くは持たないだろう。
 そこに追い討ちをかけるように右足でその太ももを踏みつける。
 子気味悪い声が漏れる。人間が苦痛に悶える姿ってのは見ていて楽しい。
 ぐりぐりと足を押し付ける。
 男は体をくねらせ苦しみもがく、
 顔はみるみる青ざめていき、意識も朦朧としてきたようだ。

「へへへ、早く言えよ」
「ひぃぇえ……」

 銃口を男の額に押し当てる。

「おい、いたぞ!」
「チッ!」

 追っ手がきたようだ。
 俺は死体が落としたマシンガンを左手で取り、追っ手2人を撃ち殺した。
 飛び散る血と肉片。逃げ惑う住人。
 マシンガンを持った相手に立ち向かう住民なんて誰一人いない。

 援軍が来るまでにあと2分はかかるだろう。
 2分もあれば必要な情報は手に入る。
 再び男に向き直る。

「早く、言えよ」

 返事がない。男の肩を足で小突いてみた。

「気絶してやがる……」

 これだから人間ってやつは……

to be continue

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