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ナンバージャック 2-4

 吹き飛んだ頭。血しぶきが俺の体まで飛んできた。
 どうやら喉元にチップ(爆弾)を詰め込まれていたらしい。

 せっかく買った俺の服が台無しだ……

 女の体がぐったりと地面に倒れた。
 砂漠の砂が血を瞬く間に吸っていく。

 盗聴されていたのだろうか。

「機密が漏れる前に処分したわけか」

 どうせ盗聴器もチップと同じ場所に埋め込んでいたのだろう。
 俺に殺されるか組織に殺されるか……
 どの道この女に生き残る道はなかったってわけだ。

「ジャック!?」

 車から降りて駆けつけてきたレイチェルが、
 血まみれの俺を見て血相を変えた。





 砂漠を進む軽トラックが揺れる。

「何も、殺すことはなかったのに……」

 レイチェルはずっとその言葉を繰り返していた。
 俺からの言葉を求めるように、約5分の間隔を開けて繰り返す。

「俺だって、攻撃されなきゃ殺しゃしねぇよ……」

 トラックの窓に腕を乗せ、頬杖をつく。

 俺はニッキーの名前は出さないでおいた。
 こいつは親父の名前を聞いただけでまわりが見えなくなるからな。
 あの黒服の女が真実を話したかどうか、まだ判断しかねる。
 今はまだ、情報が少なすぎる。

 ギムール共和国に行けば、きっと何か情報が得られるだろう。
 それが彼女にとってよい知らせになるかどうかは別として。

「ジャックは死ぬのが怖くないの? 痛みや不安を感じたりしないの?」

 ちらと俺を見て、レイチェルがか細い声でたずねてくる。
 久々に聞いた女言葉が気持ち悪かった。

「……鉄の塊は、感情なんてねぇんだよ、バカ」
「嘘つき……」

 小さな声だった。空耳かと思ったから、何も言わずにおいた。

「それはそうと、方角、間違えてるぜ」
「!?」

 レイチェルが急ブレーキを踏んだ。衝撃で一瞬フリーズした。
 カメラ(目)に映る映像が細切れに動いているように見える。
 明らかに処理が落ちている証拠だ。
 もう少し衝撃に強い体だったら、俺が運転するんだが……

「早く言えよ馬鹿野郎!」

 レイチェルが高音域で怒鳴り散らし、俺の顔につばを飛ばした。

 方角を間違えたお前が悪いだろうに……困ったガキだぜまったく。

「早く、進めよ。日が暮れちまうぜ」
「どっちに進めばいんだよ!」

 人に道を尋ねる態度について、博士に語ってやってもらいたいぜ。

 俺はゆっくりと進むべき方角を指差してやった。
 会話もなく軽トラックはエンジン音を響かせて進んでいった。

to be continue

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