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ナンバージャック 2-5

 たどり着いたのはヤギの名産地。ギムール共和国。
 緑豊かな町並みだった。

 レンガの家が立ち並ぶ一角に車を止めた。

「……」

 レイチェルは喉が渇いているらしく、一言も声を発さない。
 こいつは喉が渇くといつも不機嫌な表情をする。
 いや、不機嫌なのはいつものことか……

 道中水は売りつくした。飲む水も底を尽きている。

「食えよ」

 腰に下げたバッグに入っていたフルーツ缶をレイチェルに放り投げる。
 慌てて両手を出し、缶を受け取るレイチェル。

 金持ちに売りつけてやるつもりだったが、この際しかたないか。
 こいつに死なれると、俺の首も吹き飛ぶからな……

 工業技術があまり発展していないこのあたりでは、
 フルーツ缶は貴重品として長方されているのだ。

「ありがと……」

 小さな声だった。警戒するように俺を見ている。

「早く食えよ、喉渇いてるんだろ。あんまり無理するなよ」
「うん……」

 賞味期限が1月ほど過ぎていることは黙っておいた。





 街人に聞き込みをして情報を得た。
 どうも街外れに巨大なバスが止まっているらしい。

「それと、最近怪しい黒服の男がうろついているんだ。
 俺たち、夜になるとあいつらが悪いことするんじゃないかって
 怖くて怖くて……」

 おびえた声で少年は言った。

「ありがとよ」

 少年に小銭をやると、にっこりと微笑み、
 「ありがとう」と言って走っていった。
 現金なヤツだ。

「ジャック。バスのところまで行くぞ!」
「まぁ、落ち着けよ。そんなに慌て……」

 レイチェルが走って行く。

「おい、早まるな……」

 何かとても嫌な予感がした。
 俺は気づかないうちに、レイチェルの後を追いかけていた。

to be continue

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