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ナンバージャック 2-6

 太陽は西に沈む手前の位置。空が赤く染められている。

 バスは町外れに止っていた。二階建ての重装甲バスだった。
 ボディに傷はなく、塗装されたてといった感じだ。
 砂漠色のボディに、黒い窓。

 暴れるレイチェルの腕を掴み、岩陰に隠れてバスの様子を覗く。
 髪の毛を引っ張って殴り倒したい衝動を抑える。

「放せ、クソ野郎!」

 俺はレイチェルの口を押さえた。

「大声は出すな。気づかれるだろ」

 レイチェルは俺の腕の中で暴れたが、
 しばらくすると諦めたのか、静かになった。

「水が無い状態であまり無理はするな」

 レイチェルが俺を恨めしげに睨んでいた。
 俺にはそんな事はどうでもよく、バスの観察を続けた。



 太陽が地平線に沈む。闇が辺りを支配する。
 左目だけを赤外線カメラに切り替えた。
 モノクロームの映像が映し出される。

 レイチェルの状態があまり良くない。
 喉が渇いているようだ。
 今日は撤退するべきだ。

『潤滑油減少・要補給』

 警告アラートがオイル補給を促す。
 俺は胸ポケットからボトルを取り出し、口に運ぶ。
 ボトルは軽く中には少量のオイルしか入っていなかった。
 最後の一滴まで飲み干す。
 まずいオイルだったが、それでも身体の動きを滑らかにしてくれた。
 次にオイルが切れたら、身体の動きは著しく鈍くなるだろう。
 水とオイル、それにレイチェルの食料。
 これらを補給しなければならない。

「レイチェル、一度街に戻るぞ」
「うん……」

 名残惜しそうにレイチェル。
 彼女の身体は恐ろしく冷たくなっていた。
 砂漠の夜は冷える。長居はしないほうがいい。

 そのとき、バスのドアが開き、3人分の人影が降りてきた。
 手に懐中電灯を持っているので、
 レイチェルも彼らの存在に気づいたようだ。

 俺は、彼らに気づかれないように小さな声で呟いた。

「これから、街に行こうっていうのか?」

 離れ離れにならないようにレイチェルの細い手をぎゅっと握って、
 気づかれないよう俺は奴らの後を追った。

to be continue

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