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ナンバージャック 3-1

「黙れ、黙れ、黙れ!」

 レイチェルが両手で耳を覆って、しゃがみこんだ。

「ふふふ……」

 黒髪のジャック・ジョーカーが不気味に笑う。

「殺すのは止めた。お前は技術者だ。
 開発者として雇ってあげる。もっとも奴隷としてだけど」

 隙を見て左手で、ジョーカーのボディを殴ろうとしたが、
 さらりとかわされ、カウンターで顔を殴られた。

『頭部・衝撃・衝……衝%e……』

 CPUにダメージを受けたらしく、処理がスムーズに動いていない。
 視界が細切れに動いている。処理落ちしている。
 何とかバランスを取って、倒れる事は阻止した。

「抵抗したって無駄さ。僕と君ではスペックが違うんだから」

 ジョーカーが嘲るように笑う。

「あまり、調子に乗らない事だね。君の思考回路は僕と同じなんだし、
 スペックが高い僕と君が戦って、どちらが勝つかなんてわかる事だよね?」
「目的は、、何だ?」
「ゆっくり話そうじゃないか。時間はたくさんあるんだから」

 この状況で戦うのは得策ではない。
 まず、右腕が破壊されているし、
 オイルも切れているという状況がその原因の一つ。

 そして、レイチェルの死が俺の死に繋がるというのがもう一つの原因。

 ここは、大人しくジョーカーの言う事を聞くのが、もっとも冷静な対処といえる。

「ああ、そうだな。お前の言う通りだ」
「座れよ。大きなバスだろ。ベッドやテーブル、
 それにソファまで置ける部屋を用意できるんだ。
 移動要塞といっても過言ではないね」

 ゆっくりとソファに腰掛けながら、ジョーカーがそういった。
 俺は、対面のソファに座り、ちらとレイチェルを確認する。
 レイチェルはしゃがみこみ、両手で耳を塞いで震えていた。

 ぶつぶつと何か囁いている。

「違う、違う。死んでない……まだ、生きてる……」

to be continue

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