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ナンバージャック 3-3

 巨大な重装甲バスの中に、俺と同じ姿をした男が座っている。
 KK project S-type No.11。俺と同じ型番をもつアンドロイド。

 ジョーカーはいらだたしげに左手で頭をかいた。

「お前に、何がわかる?
 目覚めたときに、大切な人が誰一人としていなかったんだぞ?
 冷静でいられるわけがないだろう?」

 アンドロイドに感情なんて存在しない。

 唇を吊り上げる。

 壊したい。

 目の前の俺と同じ姿をしたアンドロイドを破壊したい。
 頭を握りつぶし、銃弾で身体を粉砕してやりたい。

「どうして僕は作られた? どうしてみんな死んでいた?
 僕はずっと考えたよ。そして気付いたんだ。
 僕はこの世界を制服するために生まれてきたんだってね」

 狂っている。

 狂った奴は嫌いじゃない。面白そうな事をいう。

 支配欲に駆られた人間。
 金を欲しがる人間。

 今まで色んな奴を見てきた。

 そして、いま目の前にいるのは、
 世界を征服しようとするアンドロイド。

 俺には目の前のアンドロイドが、哀れなピエロに見えた。

 目覚めた時には既に家族や恋人を失っていた。
 人間であった頃の記憶を有し、人間ではない自分に絶望する。

 たどり着いた結論が世界制服だというのが、子供じみていて笑える。

「素晴らしい発想だ。
 愚かな人間を排除して、アンドロイドだけの世界を創る」

 話に乗るのも悪くはないだろう。
 人間が死ぬ姿を見るのは嫌いじゃない。

「交渉成立だね。仲間が増えて嬉しいよ」

 ジョーカーが微笑んだ。

「まずは、俺の喉の爆弾を外す方法を考えてくれよ」
「容易い御用さ兄弟」
「裏切る気かジャック?」

 片隅でしゃがみ込んでいたレイチェルが
 困惑の表情を浮かべている。

「何いってんだよ。俺たちは最初から、仲間じゃねーだろ?」

 複雑に歪んでいくレイチェルの表情。

 俺は唇を釣りあげる。

「ちくしょう……なんなんだよ……ちくしょう……」

 レイチェルが頭をかきむしたった。
 長い黒髪が乱れる。

 お前を殺せる日が来たぜレイチェル・グルンワルド。
 喉の爆弾が外れれば殺せる。

 お前も、そして、目障りなジョーカーも……

to be continue

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