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ナンバージャック
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ナンバージャック 3-9 ジョーカーの右腕が俺の腹を突き破る。 システムが異常ををきたしノイズ混じりの 異音が体内からマイクに響く。 カメラからの映像が揺らぐ。 『お兄ちゃん、こっちにおいで』 死んだピートの弟が手招きしている。 6歳にも満たない幼い影が微笑みかける。 「アンドロイドは……ぐっ……」 吹き返すオイルで言葉を発する事もできない。 ジョーカーの腕が俺の腹を内部から抉る。 徐々に上部へ、胸のエンジンに近づいてくる。 左腕を伸ばしジョーカーの腕を掴んで押し込んで俺の体を貫通させる。 ジョーカーの体に腕を回し、足を絡めて倒れこむ。 「本当はこんなダサい方法は取りたくなかったんだぜ」 服どころかボディパーツまでボロボロだ。 俺の体を跳ね除けようとジョーカーがもがく。 「逃げようとすると思ってたんだろ?」 それがお前の読みの最後だろう。 「やめろ、お前、死ぬ気か!?」 かろうじて機能しているマイクがノイズを交じえながら引きつった声を拾う。 「このくだらない物語をそろそろ終わらせようぜ、なあ、ジョーカー」 「やめろ……落ち付け……」 「ここにはもう、博士もルシルも誰もいやしないんだぜ。 居場所なんて、どこにも無い。お前だってそうだったんだろう?」 「やめろ……僕はお前とは違う。僕はみんなを蘇らせて……」 ジョーカーが腹を貫通した腕を引き抜こうともがく。 そのたびにカメラからの映像が歪みノイズが走る。 「偽者の楽園なんて必要ない。死んだ人間は生き返らない」 「死にたけりゃ君一人で死ねばいいだろう!?」 喉に仕掛けられた爆弾の有効範囲は半径3m。 レイチェルはここから4.5m離れた場所にいる。 まあ、恐らく生き残れるだろう。 「レイチェル……お前との旅もどうやらここまでだな。 ちゃんとハンカチくらい使えるようになれよ」 「おい、ジャック……お前、何考えてんだ!」 ノイズにまみれたレイチェルのいつもの甲高い声。 この声からも開放される。 なかなか悪い終わり方じゃないだろう? なあ、博士。 気付くのが遅すぎたぜ、頭の中のピートの記憶を消す方法。 俺自信を終わらせるという解。 俺はずっとピートの記憶を消したかった。 だが、ピートの記憶の断片で構成された俺の思考回路は ピートの思考回路なくしては成立できない。 全ての記憶を削除したその先にはるのは思考の崩壊。 結局のところ、俺は……目覚めた時から終わりを求めていたようだ。 ヒロインを守って壊れるアンドロイドの物語か。 今時、そんな話じゃ子供も喜ばないぜ。 自嘲の笑みを浮かべる。 「どうしてだろうな。あれだけ殺してやりたかったってのに、 レイチェル……幸せになれよ」 カメラから受信されるノイズ混じりのぼやけた映像に、 人間だった頃の自分の影を重ねる。 to be continue |
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