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ナンバージャック 3-10 『ねえ、私がもし死んだら、私の事は忘れて幸せになってね』 記憶の中のルシルが笑う。 『僕ね、とっても幸せだったんだ』 不治の病で幼くして亡くなったピートの弟が微笑みかける。 記憶の中にだけ存在する100年も前に死んだ人間。 ピート・キャンベルが愛した人物。 こっちにおいでと手招きしている。 アンドロイドは天国になんていけやしねえよ…… 「喉の爆弾は半径3mを吹き飛ばす。 レイチェル、死にたくなけりゃ伏せてろ!」 「やめろ! やめろ! 死ぬなんて、正気じゃない!」 ジョーカーが手足を動かし必死に抵抗する。 ジョーカーに足を絡め身動きが取れないようにして、 俺は左腕を喉に向けて動かそうとしたそのとき、 レイチェルの甲高い声が聞こえてきた。 「バカ! 本当は喉に爆弾なんて仕掛けてねーんだよ! あれは嘘だ、ただの電気ショックだぞ! わざわざ苦労して直したアンドロイドを爆発させるバカなんていねーよ!」 ノイズにまみれたレイチェルの声。 言葉の意味を理解できずにCPUが思考を停止した。 「……」 その嘘は予想外だ。 組み立てた論理という名のパズルをばらしてまた組み立てる。 「ったく……」 この状況でジョーカーを倒す方法。 口から漏れるオイルを漏電したジョーカーに吐き出した。 バチバチと火花が増し、ジョーカーがおどけまわる。 燃え上がる炎。 ぼやけた視界。 いう事を聞かなくなった身体。 ジョーカーを押さえ続ける左手。 「レイチェル……逃げろ……」 悪夢のような毎日だったが、 それほど悪くもなかったよ。 「なあ、博士?」 俺がこうなる事さえも、 あんたは予測していたのかい? カメラが強制終了される。 マイクが強制終了される。 思考が止まる…… to be continue |
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