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03 冷たい熱

 早朝の大広場には昼間の賑やかさはなく、閑散としていて人気が無い。
 ひび割れた石畳を蹴り、大きな時計が埋め込まれた
 半透明のプラスティック製の床の上を進む。
 しばらく歩くと、目的地に辿り着いた。

 俺とレイチェルは水売りだけでは生活が不安定である事に気付き、
 早朝から仕事を求めて大広場の巨大掲示板へとやって来たのだった。
 掲示板は建物の壁に埋め込まれている。推定 縦1.325m 横3.89m。
 指名手配犯の確保や人員募集の依頼書が、画鋲やピンで貼り付けられている。

 水売りと同時進行で他の仕事もすれば効率良く金が手に入るはずだ。

 目覚めてからシャツ以外を着替えていない。
 100年も経つと服はボロボロになる。早く新品を買いたい。
 そのためには金が必要だった。それも多ければ多いほど良い。

 カメラに映る指名手配犯の顔を記憶していく。
 凶暴な顔をした者や、一見普通に見える男、それに綺麗な女の顔もあった。

「早く金を手に入れねぇと、借金を返せねぇからな。頑張って稼ぐぞ!」

 レイチェルが腕組みして指名手配犯の顔写真を睨みつけている。

 閑散とした大広場にエンジン音が響き、徐々に近づいてくる。
 振り向くと、警察が使用する白いオートバイがこちらに向かって来ていた。
 前面に透明の防弾硝子らしきシールドが付いている。
 全体的に丸くふんわりしたディテールだ。形からして400ccだろうか。

 バイクは徐々に減速していく。
 俺達の手前でゆっくりと止り、小柄な男がバイクから降りてきた。
 フルフェイスの白いヘルメットのせいで顔を見る事はできない。

「朝から仕事熱心だね。お金に困っているのかい?」

 低い声と高い声の混じった、感情のこもらない単調な声だった。
 マイクから得た音声情報から記憶領域を検索しする。
 CPUの演算結果から目の前の男をマイル・マーカーであると推測する。

「まあ、そんなところだ」
「お前誰だ? ジャックの知り合いか?」
「ああ、失礼」

 マイルがヘルメットを脱いだ。予想通り金髪黒目の顔が現れた。

「あ、お前は、えーと……」

 レイチェルが気まずそうに言葉を濁した。
 眉間に皺をよせ、左斜め上を見て必死に名前を思い出そうとしている。

「マイル・マーカーだよ。レイチェル」
「あ、そうだ。マイルだ」

 レイチェルの目がキラキラと輝いた。

「捜してたんだよ。こいつと護衛用アンドロイドを交換してくれよ」

 レイチェルが俺を指差した。

「ああ、その話か、上司に掛け合ったのだけど、NGが出てね。
 そもそも旧式のアンドロイドは維持にコストがかかるんだ。
 それに、彼より強い兵器は沢山あるし、最近は人体強化が主流になっているから、
 アンドロイドは需要がないんだって。残念だったね」
「そんな……」

 レイチェルが落胆の表情を浮かべている。
 数瞬前までは確かに見えていた希望の光を失ってか、瞳の輝きが無くなった。

「悪く思わないで欲しいな。私は彼に興味があるんだ。
 今のところ大人しくしているけど、いつ暴走するかわからないからね。
 もし何かあったら、殺さなきゃならない」

 無表情のまま睨むわけでもなく俺のカメラを見つめてくる。
 声音や表情から感情や人間特有のニュアンスを読み取る事ができず、CPUが熱を上げる。

「アンドロイドは殺せねぇよ。ただ壊れるだけだ」

 マイルは無言で頷いた。それから、掲示板の張り紙を張り替える作業を開始した。
 慣れているのだろうか、手際よく進めていく。

「あ、1000万£! 狙ってたのに!」

 レイチェルが大きく口を開けた。
 マイルは掲示板から視線を動かさずに言葉だけで返事をする。

「昨日捕まったんだ。頭以外は残ってなかったけどね」

 レイチェルが顔をしかめた。

 張替え作業もしばらくすると終わった。

 不要になったデータを破棄し、再度、指名手配犯や求人情報を記憶しておく。

「特に問題なのが彼だよ。ビリー・クラウザー31歳。軍から機密情報を持ち逃げしたんだ。
 条件は生け捕りという事だけ。手足や胴を切断しても生きてさえいればOKだよ」

 淡々とした言葉だったが、手足の切断という言葉を聞いたとたんに、
 レイチェルが顔をしかめた。

 モノクロ印刷され、掲示板に貼られたビリー・クラウザーの情報を再度見る。
 短い黒髪にベース型の輪郭。鼻と目が大きくて口は小さい。
 特徴的な顔だった。体格は縦にも横にも大きく、首も太い。

「見つけたら警察に電話してくれ、ああそれと……」

 マイルが一瞬躊躇ったように口を閉じた。

「なんだよ?」
「少し相談があるんだ。妹の誕生日が近くて、何かプレゼントを買おうと思っていてね。
 あいにく20歳の女性がどんなものを貰えば喜ぶかがわからなくて」

 プレゼントと聞いて思い浮かぶのはアレしかない。

「絶対ブランド品だぜ」
「バカ、気持ちがこもってたら何だっていーんだよ!」

 レイチェルの甲高い声がマイクに響いた。

「お金じゃなくて気持ちなんだ。絶対、気持ちが大事!」

 肩を怒らせたレイチェルの口から唾が飛び散る。
 肉眼では捉えられない小さな粒子までも、
 高性能なカメラは映し出すため認識する事が出来る。

「ガキに貰った安物のキーホルダーよりも、
 100万£のダイヤモンドのほうが嬉しいに決まってんだろ」

 レイチェルを鼻で笑ってやった。

「黙れ!」

 レイチェルの顔が真っ赤になり、右の拳が俺に飛んでくる。
 さっと身体を引いて攻撃をかわす。

「ありがとう、参考にしておくよ」

 そう言い残してマイルはバイクに跨り去っていった。
 エンジン音が遠くに消えて行き、公園に静けさが戻る。

 俺は腰に手を当てて呟いた。

「味気ねぇ野郎だな」
「まったくだ」

 珍しくレイチェルと気があったので、
 今日は雨が降るのではないだろうかと心配になった。





 見渡す限りの砂漠。砂漠の地平線。青い空。
 この辺りは砂砂漠のため地表は砂に覆われている。
 ところどころ草が生えてはいるが年間雨量が少ないため、農業を行う事は困難である。
 街で食用とされる野菜や果物はビニールハウスで栽培される物が100%を占めている。
 人工的に味や触感、栄養分を付加したフェイク(偽食材)が工場で作られるため、
 天然の野菜や果物というのは高級品とされている。

 軽トラックが砂漠を進む。レイチェルの運転はお世辞にも上手とは言えず、
 大きく車が揺れるたびに、処理落ちでカメラからの映像が細切れになった。

 指名手配犯を捜すのと水獣を捜すのでは水獣を探すほうが確立が高い。
 市街地での指名手配犯との戦闘と、それによる被害などを考えれば、
 水狩りのほうが遥かに効率がいい。

 指名手配犯は街で見かけた際にでも捕まえればいいのだし、
 わざわざこちらから捜しに行く理由はない。

 レイチェルは不服そうだったが。論理的にねじ伏せてやった。

「ったく、マイルの野郎、嘘付きやがって。交換できねぇなら最初から何も言うなよな」

 ブツブツと呟きながら、眉間に皺を寄せてハンドルを握るレイチェル。
 運転に不慣れなためか肩に力が入っている。
 ブレーキングが下手なので、減速する度に軽トラックは大きく揺れた。

 助手席の座り心地は悪く、堅い上に汚い。
 挙句の果ては一部破損している。中古品はこれだから困る。
 フロアシフトのため、助手席と運転席の間からオートマチック車特有の
 セレクトレバーが伸びているのでその分だけ座席が狭くなっており窮屈だ。

「あっ!」

 レイチェルの声と同時に急ブレーキの衝撃。
 一瞬処理が落ちてから、映像と音声が元に戻る。

 首をレイチェルに向けて静かに問う。

「どうした?」
「水溜りだ!」
「気でも狂ったか? 砂漠に水溜りなんて……」

 言いながレイチェルの視線を追うと、確かに砂漠にぽつんと水溜りが出来ていた。
 推定 直径132.67cm。楕円に近い形をした水溜りだった。

 レイチェルが右手で、セレクトレバーを「P」に合わせ、
 勢い良くサイドブレーキを引く。
 車のドアを開き飛び出そうとしたので、左手で腕を掴んで引き止めた。

「痛ぇだろ! 何すんだバカ! 放せ! 放せ!」

 レイチェルが怒声を上げながら手を払いのけようと暴れる。

「落ち着け、砂漠に水溜りがあるなんておかしいだろう。
 あるとしたらそれは罠か……」
「うっさい!」
「うるさいのはお前……」

 頭を掴んでシートに押し付けて黙らせてやろうと思った矢先、
 目の前の水溜りに一羽の鷹が舞い降りてきたので、俺は動きを止めた。
 レイチェルも同じく静かに鷹を見つめている。
 鷹はきょろきょろと辺りを見回し、しばらくこちらを見つめてから、
 水を飲もうとくちばしを動かした。

 その瞬間、そいつは動き出した。

 直径にして10cmほどの獰猛な牙が上下に2本ずつ伸びている。
 ただし、そのうちの一本は欠けていて半分の長さしかない。
 水と同じ色をした胴が蛇の体のように細長く伸び、鷹に巻きつき、後首に牙を刺す。
 瞬く間に鷹の体はミイラのように乾燥していった。

「融解型蛭だ。水溜りに化けて獲物が近づいたところを狙って水分を奪う。
 直径が1.5mを超えると分裂し、10cm以下になると死滅すると言われている」

 融解型蛭は獲物から水分を根こそぎ吸い取ると、牙を体内に隠し元の水溜りへと化けた。
 血を吸ったせいか、水は濁った泥水のような色へと変化していた。
 それも、数時間もしないうちにまた元の水の色へと戻るのだろう。

「何だよ、あいつ……」

 レイチェルが目の前の敵を睨みつけ、舌打ちする。

 基本的に受身のモンスターなので近づきさえしなければ問題ないのだが、
 彼らが保有する水の量には少なからず魅力を感じる。

「タンク持ってねぇよな。
 遠隔射撃でホースを飛ばして先端の針から水分を吸収する装置……」
「んなもんあるか!」

 レイチェルが叫んで、車のハンドルを殴りつける。
 クラクションの音が砂漠に鳴り響いた。

「どうする。50リットルはあるんじゃねぇか。上手く持って帰れれば大儲けだが、
 手持ちの道具じゃ上手く水だけ確保するのは100%不可能だ」
「なんとかして捕まえろ!」
「無理だっつってんだろ」

 無茶を言うレイチェルを睨み返す。
 レイチェルは運転席に座りなおし、ハンドルを両手で握る。
 前かがみになり目の前のモンスターを睨みつける。

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」

 呪文のようにそれだけを繰り返していた。
 その単語が目の前のモンスターに向けられたものなのか、
 それとも俺に向けられたものなのかは確認しないでおく事にする。

 融解型蛭を上手くしとめるには頭部を破壊するしかない。
 ただし、頭部は獲物が接近するまで姿を現さない。
 俺の反応速度が勝つか融解型蛭の反応速度が勝つか、
 コンマ何秒の駆け引きをしてまで水を手に入れるべきなのだろうか?

 次の行動を計算している間に、第三者が介入してきた。

 巨大なエンジン音。砂漠を走る黄色い車。
 あれはオフロードを走るために設計されたハマーだ。
 砂漠走行用に設計された俺達の乗る軽トラックのタイヤよりも
 更に大きなタイヤが取り付けられている。
 車高が高く馬力があり、機動性、耐久性にも優れている。
 唯一の欠点といえば車体が大きいために小回りが利かないといったところだろうか。

 ハマーは融解型蛭の手前で停車する。
 車の中から口元に赤いバンダナを巻き、ゴーグルを装着した人影が飛び出してきた。
 手にはライフルの形をした道具を構えている。
 先端に人差し指サイズの針が付いているところを見るとタンクの射出機のようだ。

 引き金を引くと、針は勢い良くを融解型蛭に突き刺さった。
 ライフル型の装置を器用に操作すると、融解型蛭が見る間に萎んでいく。
 給水が始まったのだろう。
 ほんの10秒足らずで融解型蛭は水分を全て奪われ半透明の皮だけが残った。
 車の中に設置された貯水装置には融解型蛭の
 水分がたっぷりと蓄えられているに違いない。

「任務完了!」

 身長170cm程度の人影は、ライフル型装置のハンドルを回して地に落ちた管の回収を始めた。
 タンクは水分を吸収するまではカッコイイが、
 この後処理が地味なのであまり好きな道具ではない。

 車からもう一人降りてきた。肩より長いストレートの金髪にガスマスク。
 推定 172cm。
 服はラメのピンストライプの入った黒い長袖カッターシャツ。
 黒のロングブーツに綺麗目のデニムをインしている。
 腰に巻いた白いベルトの大きなバックルがキラリと輝いた。
 胸の辺りのふくらみから人影が女であると推測する。

「早く片付てね」

 声も女特有のものだ。低めの落ち着いた声音だった。

「はい!」

 怯えるような返事を返し、男は手の動きを早めた。

「次の獲物を探しにいこうぜ」

 レイチェルをチラと見ると、視線はガスマスクの女にくぎづけになっていた。

「女の人だ!」

 レイチェルの目が輝いたかと思うと、車から飛び降り、
 女へと駆け寄っていく。

 何かあるといけないので俺も車から飛び降り、
 ゆっくりと彼女らの元へと足を進める。
 砂漠の大地に足跡が増えていく。

 レイチェルの声が聞こえる。

「水狩りしてるのか?」
「君も同業者?」

 ガスマスクは脱がないまま、女は右手で金髪をかき上げる。

「うん。女の人で水狩りなんて初めて見たから、嬉しくて……」

 レイチェルが服の裾を両手でつまんで顔を赤らめた。

「そっか。横取りしちゃって悪かったね」

 女はガスマスクを取り、ペコリと頭を下げた。
 金髪から覗く顔は白くきめ細かい。まるで氷の彫刻のような透明度を感じさせる。
 まつ毛が長い黒い瞳。丹精な作りの顔立ち。シャープな顎のライン。
 職業がモデルでもおかしくないくらいの容姿をしていた。

「私はレスカ。よろしくね」

 レスカはそういってレイチェルにすっと右手を差し出した。
 黒いシャツから伸びた手には黒い革手袋が装備されている。

「レイチェル・グルンワルドだ。よろしく」

 レイチェルは顔を真っ赤にして鼻息荒くそういった。

 握手を済ませ、レスカはタンクの後処理に悪戦苦闘し、
 管に絡まっている男を指差した。

「はぁ……あっちにいるのが相棒のモニー……」

 レスカは額に右手の甲を当て、深いため息をついた。
 視線を俺の方に向けて、レスカが口を開く。

「あっちの人は?」

 レスカが少し離れた場所に立っている俺に視線を移した。
 レイチェルがチラとこちらを見て、レスカに視線を戻す。

「ジャック、私の手下だ」

 喉に爆弾がなければ射殺していたかもしれない。
 俺はレイチェルの手下になった覚えはないし、なる気もない。

「始めまして。私はレスカ。よろしくね」

 レスカがウィンクして手を振った。
 俺はそれを無視した。
 レスカはぷうと頬を膨らませた。
 俺はそれも無視した。

 しばらくするとレスカはモニーを助けにいった。
 絡まった管を手際よく解いていく。

「もう、ちゃんとしないとダメでしょ」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「奥さんと娘さんに美味しいご飯食べてもらわないといけないんだから、
 しっかり働いてね」
「ごめんなさい。本当に私は何をやってもうまくできな男で申し訳ない」

 男はペコペコと謝り続けていた。

 まったく、情けない男だな。
 口からオイルの不純物をペッと吐き出す。

「レイチェルちゃん、良かったらさっきの水、半分持って行ってよ。
 横取りしちゃったみたいで悪いからさ。モニーもいいでしょ?」
「はい。レスカさんがそう仰るならそれが正しい判断だと思います」

 レスカの顔色をうかがいながら、モニーは揉み手してそういった。

「いや、でも、悪いからいいって、そこまでしてくれなくても……」

 レイチェルが慌てて断りを入れたので、
 俺はレイチェルに近づき、口に手を押し当てた。

「そうか。助かるぜ。金に困っていてね」

 苦労せずに手に入る水ほどありがたいものはない。
 これで服やアクセサリーが買える。ベッドも家具も買える
 貧乏生活ともさよならだ。

 腕の中で暴れるレイチェルに小声で囁く。

「せっかくの好意だ。断るのは失礼だろう?」
「でも、悪いだろ」

 頑固な奴だな。俺はレスカ達から死角になる位置を探り、
 レイチェルのボディにパンチを入れる。

 レイチェルは小さく呻き、体から力が抜けていった。
 身体を抱える腕にぐったりとした重み。

「おい、大丈夫か? いくら疲れが溜まってるからって、
 こんなところで寝ちまうなんて……」

 と適当な言葉を吐いて軽トラックへとレイチェルを運んだ。

 後の方からレスカの心配そうな声がしたので、「大丈夫だ」といっておいた。

 助手席の足元に置いてあった非常用給水袋を手に取る。
 たった2枚しかない。運転席に寝かせたレイチェルを睨む。

 もう少し買っておけよ……

 半透明の素材が光を反射して輝いた。
 一袋で4リットル入るから8リットルの水を運べる。
 まとまった金が入ったら貯水タンクを軽トラックに積んでおくべきだな。
 非常用給水袋は長期保存には優れていないうえに、衝撃にもあまり強くない。

 俺はレスカに袋を渡し、水を分けてもらった。
 両手にずっしりとした水の重みを感じる。
 レスカの後にモニーが立っているが、
 ゴーグルと口に巻いたバンダナのせいで表情は読み取れない。

「困った事があったら連絡してね。掲示板にカキコしてくれたらいいよ。
 ジャックさん、レイチェルちゃんを守ってあげてね」

 レスカが微笑んだので、俺は何も言わず微笑み返した。

「それじゃ、また」

 レスカが手を振りながらハマーの助手席へと戻っていった。
 モニーは何も言わず、運転席に戻っていった。

 エンジン音が砂漠に鳴り響き、ハマーは砂漠の砂をかいて走り去っていった。

 8リットルの水が手に入った。これで、貧乏生活とさよならできる。
 俺は急いで軽トラックに戻り、助手席の足元に水袋を置く。
 足場の狭くなった助手席に無理やり身体を押し込んで、
 運転席で眠っているレイチェルの頬をペンペンと左手の甲で軽く叩いて起こす。

「起きろ、帰るぜ」
「ん……?」

 ぼんやりと目を開けて、レイチェルが辺りをゆっくりと見回した。
 意識が戻るまでしばらくかかった。

「あれ、レスカさんは?」
「いいって言うのに水をくれて帰っていったぜ。おせっかいな奴だ」
「水? ああ、水……。あれ、なんで私はこんなところで寝てんだ?」
「憶えてねぇのかよ。疲れが溜まってたせいか寝ちまったんだよ」

 適当な嘘。アンドロイドである俺は嘘を付く際の人間特有の仕草や胡散臭さが無い。
 全て自然体で行動できるため、違和感を感じさせる事はないだろう。

「え、じゃあ、レスカさんはもう行っちゃったのか?
 なんで起こしてくれなかったんだよ!」

 レイチェルが俺に唾を飛ばしてきた。

「レスカがゆっくり寝かしてやれっていってたんだ仕方ねぇだろ」
「……」

 レイチェルが不満げに両腕を組んで仏頂面をさらしている。

「早く帰って水を売っぱらっちまおうぜ」
「……うん」

 納得いかないような声を出すレイチェルを尻目に、
 俺は帰路のルートを懇切丁寧に説明した。





 街の貯水場で水を売った。まとまった金が手に入った。
 水が濁っていたので値引きされたが、それでも服を買うには十分な金だった。
 金の3割が俺の取り分なので、7割をレイチェルに渡した。

 街のショッピングモールをブラブラと歩く。
 隣を歩くレイチェルに視線を移して問う。

「なんで付いてくるんだよ?」
「お前が逃げないように一緒に来てやってんだよ。
 本当は水タンクを買ったり、車屋さんによったりとか
 行きたいところが沢山あるけど、わざわざ付いて来てやってんだよ」

 レイチェルが眉間に皺を寄せ睨んでくる。

 頼んでねぇ。

 何も言わず、買い物を続ける事にした。

 日曜日の午後という事もあってか、人が多い。
 子連れの家族や、オシャレなカップル、小汚い浮浪者など、様々だ。

 今日は風が弱く、砂塵も舞っていないが、
 それでも砂塵に弱い体質の者はマスクや
 バンダナやストールを顔に巻いて対策を取っていた。

 隣を歩くレイチェルが時折、ショーウィンドウに並べられた
 ヒールやドレスに視線を移していた。

「買ってやろうか?」
「いらない。似合わねぇもん。
 それにスカートって足がすーすーして気持ち悪いだろ」

 そういいながら、目はドレスを見つめている。
 本人がいらないといっているので買わないでおいた。

 ぶらぶらとしばらく歩いて買い物も一通り終わった。

 カーキ色の細めシルエットのカーゴパンツ、生地がデニムでユーズド加工されている。
 長さやサイズがピッタリだった事もあり、面白かったので買った。
 ベルトが3本巻かれた黒いロングブーツも買って、ブーツインスタイルにする。
 もとから着ていた白地のカッターシャツをズボンの中に押し込んだ。
 ベルトも買った。黒のパイソン柄の帯に、
 黒地に金の細かい装飾が施されている重量感のあるバックルが映える。

 今まで着ていた服は100年前の物で古くなっていたので、着替えた時に処分してもらった。

「何も買わねぇのか?」
「だって、金がもったいねぇだろ」

 何を当たり前の事を聞いているんだとばかりのレイチェルの表情。

「金なんてあるうちに使わねぇと、無くなったら使えねぇんだぜ」
「使うからなくなるんだよバカ!」
「あれ〜、レイチェルちゃん!」

 声の主へと視線を移す。金髪の女、レスカだ。
 仕事もひと段落ついたようで、ガスマスクは装着していなかった。

 人ごみの向こうで飛び跳ねながら手を振っている。
 相棒のモニーの姿は無かった。

「水、ありがとう」

 レスカの傍まで移動して、レイチェルがペコリと頭を下げた。

「いいよ、気にしなくて。それよりデート、もしかして邪魔しちゃった?」
「ち、違う!」

 レイチェルが肩を怒らせた。

「モニーはどうした?」
「愛妻家だからもう家に帰っちゃったんじゃない?」

 興味なさそうな声でレスカがいった。
 恐らくはただの仕事上のパートナーなのだろう。
 私生活にはあまり介入しない。それが大人のルールだ。

「レイチェルちゃん、向こうに可愛い服を売ってるお店があったの、一緒に見に行こう」
「え、でも……」

 レスカに手をひっぱられるレイチェルが振り向き、俺をチラと見る。

「行って来いよ。買い物が終わったら部屋に戻ってる」
「ね、ジャックさんもああ言ってくれてるし」
「絶対だぞ。裏切ったら、裏切ったら、ええと……許さないからな!」

 咄嗟に出た言葉とはいえ「許さない」という言葉は子供じみていて間抜けだった。

 裏切る? 出会ったときから俺達は一度だって信頼しあった事なんてなかっただろう?

 片方の唇を吊り上げている間に、レイチェルはレスカに連れ去られていった。

 レイチェルの甲高い声から開放された俺は、引き続きショッピングを楽しむ事にした。





 ショッピングモールの一角にある雑貨屋。フローリングの壁と床。
 理解しがたい複雑なデザインの絵が壁に掛けられている。
 店には女店員しかおらず、客もまばらだ。
 それほど広い店ではないが、珍しい小物などが置かれていたので見ていて退屈はしなかった。

 フードを目深に被り片方の目が隠れたドクロのシルバーリングを手に取る。
 下顎の無いドクロで、左目にルビーが埋め込まれている。
 左手の中指にはめる。サイズは丁度よかった。購入決定。

 最近の流行やメーカーの特徴などを店員から聞き出す。
 店員は得意分野について詳しい話が出来るとあってか、楽しげに語っていた。
 長い黒髪を頭の上で結って、黒縁のメガネをかけた女店員。

「女性用のハンカチも見たいな」
「彼女へのプレゼントですか?」

 メガネの奥の黒い瞳がキラリと輝いた。
 声は落ち着きがありハキハキとしている。
 私は何でもお見通しです、といったような自信さえ感じさせる声と仕草だった。

「まぁそんなところだ」

 本当は鼻水や濡れた手を服で拭いてしまうレイチェル対策なのだが、
 説明するのが面倒なので適当に話を合わせておいた。

 店員が「ハンカチは絶対肌触りです素材が大事です」といってきたので、
 「デザイン重視だ」と釘を刺した。
 店員は少し残念そうに、それでも仕事なのでオススメのデザインを紹介してくれた。
 白地に花柄というシンプルなハンカチを選んだ。

 頼んでもいないのに、ラッピングまでしてくれて、
 ちゃっかり追加料金まで取られた。

「今度は彼女も連れてきてくださいね」

 白い歯を出して笑顔を作る店員。

「ああまた来るさ」と適当な言葉を残して店を出る。

 店の入り口、ショップの名前や一押し商品の名前と値段が書かれた看板の隣で、
 鎖でつながれた白い毛の犬――品種はグレート・ピレニーズ――
 が退屈そうにあくびをしていた。

「かわいいでしょう。キーマンっていうんですよ」

 メガネをかけた7歳くらいの少女だった。
 黒髪を頭の上で結っている。店員に似ていた。
 屈託の無い笑みを浮かべている。

 こういうときの対処法は知っている。無視だ。ガキは嫌いだ。

「べーだ!」

 少女は舌を出して、店内に消えていった。

 さて、金も使い果たしたし、部屋に戻るか。

 ショッピングモールを来た時と反対方向に進んだ。
 あと1時間もすれば日は沈むだろう。
 休日のショッピングモールは相変わらず人が多かった。

 そのとき、突然、銃声が鳴った。
 そのあとに聞こえてくるのは悲鳴やざわめき。
 騒ぎ声の中からレイチェルの声を聞き取った。

「レイチェル?」

 再び銃声が鳴る。今度は3発だ。

 逃げ惑う人ごみを掻き分け、声の元へと駆け寄る。
 次第に人気の少ないストリートへと移動していった。
 このあたりはメインストリートの裏側で人通りは少ない。

 カメラで全体を見回すと、軽自動車の陰に隠れるレイチェルを発見した。
 ボサボサだった髪をすいて軽くしている。
 大人しめの化粧が髪形とあっていた。マスカラでまつ毛を綺麗に見せている。
 手に紙袋を3つ持っているところを見ると、化粧品や衣服を買ったらしい。
 どうせレスカに進められるままに買わされたのだろう。

 緊張しているのか、レイチェルの身体は小刻みに震えていた。

 レイチェルは俺の存在に気付くと、立ち上がって大きく口を開いた。

「大変だ! 大変なんだ! レスカさんが!」
「要点から言え」
「えーと、あれだ、指名手配犯がいて、戦ってる! 助けないと!」
「頑張って助けてやれよ」
「テメーが助けんだよ!」

 レイチェルが眉間に皺をよせ、白い歯をむき出しにして俺の脚を蹴った。

 俺の脚は人間のように柔らかそうな概観とは裏腹に、中身は金属でできている。
 レイチェルは自分の足を痛そうにしゃがんで撫でた。

「俺が?」
「指名手配犯倒したら金もらえるんだぞ」
「悪くねぇな」

 E02をホルスターから抜き、回転弾倉に弾が入っている事を確認する。

「ちくしょー!」

 すっかり人気の無くなった街に、銃声が鳴り響いた。
 銃声の主は男だった。ハーリィ・ボーマン42歳。連続殺人犯だ。
 逆三角の輪郭と尖った鼻が印象的で、身体は中背の痩せ型。
 向かい側の歩道で銃を構えている。

「大人しくしてよね! 死んじゃえ!」

 ここから少しはなれた位置、黒いセダンを盾にしていたレスカが、男へ発砲する。
 男は白のワゴン車の後に隠れ、身を守る。

 割れたワゴン車の窓ガラスの向こうに男の身体が見えた。

<<ターゲットロック完了・命中率82.2%>>

 障害物があるため、命中率が低かったが構わず引き金を引いた。

 男がワゴン車から横飛びに飛び出しながら、発砲してきた。
 タイミングが悪かった。
 移動されたせいで俺の撃った弾は無駄になってしまった。

 男の撃った弾の起動を計算するとレイチェルの頭に直撃する事になる。
 俺は素早くレイチェルの腕を掴んで引き寄せた。

 弾が飲食店の黄色い看板に直撃し、甲高い金属音の悲鳴をあげた。

「バカ! 離せ! 気持ち悪い!」

 レイチェルから手を離す。うるさい声は無視する。

 E02の回転弾倉にノーマル弾を詰め、弾倉を元に戻す。

 男の姿が無い。どうやら再びワゴン車に隠れたようだ。

 俺はラッピングされたハンカチの入った紙袋をレイチェルに押し付けた。

「やる」
「なんだコレ?」

 レイチェルが疑問符を浮かべている。
 その問いは無視して、俺はレスカの方へ首を動かす。

「レスカ、俺は左から攻める。間違って俺を打つなよ」
「OK」

 レスカが左手の親指を立てた。

 レスカのいた方角から銃声が2度鳴り、ワゴン車から甲高い金属音が鳴り、火花が飛び散る。

 ワゴン車の裏に回り込めれば確実にしとめる事ができる。
 低姿勢で走りながら、車道を横断し、威嚇射撃にワゴン車目掛けて引き金を引く。

 そのとき、放物線を描きこちらに飛んでくる物体をカメラが認識した。
 筒状をした缶で先端に突起物……

 手榴弾だ。

 方向転換して逃げる。レイチェルやレスカは首尾よく物陰に隠れたようだ。

[停止->マイク]

 爆音でマイクを破壊されないよう機能を停止する。

 爆風が背中を押し、吹き飛ばされる。
 衝撃で処理落してカメラからの映像が細切れになっていた。
 地面を転げ回ってはいるが、ダメージは対した事はない。
 問題なのは新品の服が汚れてしまったという事だ。

 身体への衝撃が消えた。勢いが止ったようだ。

[再開->マイク]

 マイクを開通させる。

 ゆっくりと立ち上がり自分の服を確認する。
 ところどころ破け、汚れてしまったシャツとズボン。
 ブーツのベルトが千切れ、擦り傷も酷い。

「殺す」

 汚れた服に対して愛情を感じられない。
 服が汚れたり傷まないよう、銃だけでスマートに戦う意味も感じられない。

 全力で走って敵へと接近する。靴や服が傷むのであまりやらなかったが人の倍速で走れる。
 ワゴン車手前で跳躍し、ボンネットに左手を付いて身体をねじりながら反対側に着地する。

 指名手配犯が咄嗟に後を振り向いてきたがもう遅い。
 その顔めがけて右足で蹴りを入れる。男の口から折れた歯と血が飛び出しす。

 男は吹っ飛んで地を転がり、消火栓に勢い良く背中をぶつけ悲鳴を上げる。
 跳躍して男の口にブーツの踵を叩き込む。

 男は声に鳴らないうめき声をもらすばかりだった。
 良くみれば目から涙が溢れている。

 泣きたいのは服をボロボロにされた俺のほうだ。
 もっとも鉄の塊に涙なんてものは存在しないが。

 銃を握り締めた右手に踵を叩き込み、指ごと破壊する。
 襟首を掴んで立ち上がらせ、頭から壁に投げつける。

「雑魚の癖にあがいてんじゃねぇよ!」

 心臓に2発、腹に1発銃弾を打ち込む。
 張り紙からの情報では殺しても問題ない男だ。
 男の身体が衝撃で3度跳ねてぐったりと手から力が抜けた。

 目玉だけ残していれば誰であるかを識別できる。
 少しやりすぎた感じもするが、報酬は問題なくもらえるだろう。

 しばらくすると騒ぎをかぎつけてか、
 警察の乗る車――ホワイト――がやってきた。

 中からマイル・マーカーと部下らしき特に特徴の無い男が降りてきた。
 マイルはレスカに駆け寄って感情の無い渇いた声で問うた。

「レスカ、また君がやったのか?」
「そうよ。仕掛けたのは私。ジャックさんは助けてくれただけ。
 一発で仕留めるつもりだったのよ」

 マイルの右手がレスカの頬をぶった。

「街の中だぞ。流れ弾が人に当たったらどうする気だったんだ。
 それに、車や街がボロボロじゃないか」

 レスカはマイルをキッと睨み返す。

「あんたみたいな、あんたみたいな冷酷な奴に言われたくない!
 それに、あいつらは生かしておいたら人を殺すから、
 絶対に逃がしちゃいけないのよ。死んで当然なのよ!
 壊したものはちゃんと弁償するわ。ほら!」

 レスカは札束をマイルに押し付け、目に涙を浮かべて走り去っていった。

「お前の言うとおり、街での戦闘はまわりへの被害を考えれば避けるべきだ。
 その程度の事は判断できると思っていたが、面白い奴だぜ。イカれてやがる。
 理想の賞金稼ぎじゃねぇか」

 マイルに近づきながら話しかける。
 賞金稼ぎというのは血の気が多ければ多いほどいい。
 頭のネジが2、3本はずれたような、人生の破綻した生き様が賞金稼ぎには似合う。

「本当に、情けない妹だよ。メインストリートだったら死傷者がでていたかもしれない」
「えー!」

 近くまで近寄ってきていたレイチェルが目を丸くして、手荷物を地面に落とした。

「妹って、血の繋がってない妹だよな? だって全然似てねぇもん!」

 レイチェルがキャーキャー騒いでいる。

「血は繋がってるよ。髪も目の色も一緒じゃないか。
 子供の頃はよく姉妹に間違えられたよ。私は女の子のような顔をしてたから」

 マイルは無表情のままに肩をすくめた。

「だって、レスカさんはお兄さんが大好きだって言ってたぞ。
 優しくて、頼りがいのある人だったって。
 死んだと思ってたのに……」
「死んだようなものだよ。
 10年前に連続殺人犯に家族を殺されて、そのときにほら私も……」

 マイルが左手で前髪をかき上げ、右手人差し指で額の弾痕を指差した。
 左目の上、髪の毛の付け根辺りに縦に並んで2つの弾痕がある。

「そのときに、脳の30%が破壊されてしまって、機械で補っていてね。
 人間らしい感情なんてもうほとんど残っていないんだ。
 ただ、昔の思い出だけが鮮明に残っているだけの化け物さ」

 悲しみや辛さといった感情の色を伴わない声だった。
 マイルの卓越した運動能力や、感情を伴わない話し方は脳を弄っていたからなのだろう。

「きっとレスカは殺人犯という存在自体を憎んでいて許せないんだよ。
 それに、大切なお兄さんを奪った機械の私を恨んでいる」
「そんな……」

 レイチェルが何か気の利いた事を言おうとして、
 結局何も思い浮かばなかったらしく口をモゴモゴさせた。

「結局、今年も誕生日プレゼントは受け取ってくれそうにないね」
「そうだな。絶対に無理だな」

 マイルの意見に賛同すると、レイチェルが俺の脚を蹴ってきた。
 硬度の問題でレイチェルの足が負け、地面にしゃがんで足を撫でている。

 バカにつける薬が欲しい。

「そうだ。レイチェル、君はレスカと仲がいいみたいだからお願いできないかな。
 このプレゼントを妹に渡して欲しいんだ。
 私が渡してもきっとまた受け取ってもらえないと思うから」

 細長い箱にピンクのラッピングと黄色いリボン。

「何が入ってんだよ?」

 レイチェルの黒目がキラキラと輝いた。

「何をあげて喜ぶかなんて私にはもうわからないから、
 事故に遭う前にあげたプレゼントの中で彼女が一番喜んでくれた
 十字架のネックレスを選んだんだ。
 結局、毎年同じものを買って、受け取ってもらえないのにね」
「絶対に、絶対に渡すからな。気持ちがこもってればきっと伝わるから」

 レイチェルの目が輝けば輝くほどに、
 レスカに拒絶されるプレゼントを想定できて笑いが止らなかった。

「レスカが受け取ってくれなかったら、君にあげるよ。
 嫌なら捨ててくれればいいよ。誕生日は明後日、火曜日だよ。
 それじゃ、私は仕事があるから作業に戻るよ」

 マイルは報酬の2万£を俺に渡し、
 忙しそうに街の片付けをしている部下へと駆け寄っていった。

「レスカさんの誕生日に絶対渡す!」
「どこに居るか知ってんのかよ?」
「一緒に買い物してたときに住所を聞いたから大丈夫だ」 

 右手で握りこぶしを作るレイチェル。
 プレゼントを拒絶される姿を想像すると、笑いが止らなかった。

「俺達の目的を忘れるなよ。明日も水狩りに行く。金は沢山あったほうがいい」
「当たり前だ! 借金はまだまだあるんだからな!
 よし! 今日は早く帰って寝るぞ!」
「いや、その前に、汚れた服を買い替えねぇとな」

 汚れた服や踵が血まみれのブーツなんて履いてられねぇぜ。

END

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