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おいしい話


 渋谷の道玄坂を上がったところに、マンションの一室をそのままSMクラブにしたところがある。
 オーナーは恭子ママ、もう50を超えた年といっているが、まだ40前にしか見えない。大柄で、南米人みたいな彫りの深い顔立ちをしていて、声もボーイッシュだから、一見ニューハーフかとも思った。わたしも男っぽい顔立ちだから、ふたり並んだら、姉妹に見えるかも。
 梅雨に入って少したった6月のある日。
 ママは電話でわたしを呼び出した。声がはずんでいた。そういうときは、気に入った子が見つかったときで、わたしに自慢を込めて紹介がてら、いっしょにプレイをしようというのだ。
 もちろん、ことわるわけがない。
 恭子ママも趣味がわたしとおんなじで、したがってクラブは会員制みたいにしていて、やたらな客は来れないようにしている。プレイが特殊で、そのうえ相当なハード好みの会員で固めてある。
 医療プレイが主流で、調教用の出産台をはじめとして、医療用の小道具もすべてそろっている。局部を拡張するクスコなどは、より苦痛をあたえるために手術用の大型拡張器を好んで使うくらいだ。
「男どものアヌスをだんだん大きな器具に換えて調教していき、最後には拳で小突きまくるのよ」といって、その過程を微に入り細に入り、ほんとうに楽しそうに話す。
 その恭子ママが、公私混同して困ると店の女の子がこぼしていたのが、ほかならぬ自分の店の広告だった。

 ──高給!
   どんなハードなプレイもこなせる
        やせ形の女の子募集

 これは客のためではない。
 恭子ママは、小柄でやせた女の子が好きで、自分でプレイするためそういう広告でM志願の子を釣るのだ。そして十分な「面接」をおこない、自分の好みに合致するとわかると、「試験」と称してみずからM指南をほどこす。
 指責めからはじまり、張り型責め、ムチ打ち、ろうそく責め、相手の反応によってはヴァギナはおろか、アヌスのフィストファックも辞さない。休みのほぼ1日を使っておこなわれるから、責められる女の子は汗だく、指南が終わったときにはふらふらで、腰がぬけたようになるとぼやいていた。
 また、そんなことにつき合わされるのかと思った。といって、さっきもいったがことわるわけもないし、むしろわたしは恭子ママのこだわりには教わるところがある。
「痩せてる女の子は萌えやすいし、第一、マゾの体質が多いのよ」
「ほんとですかぁ?」
「デブは脂肪が邪魔して、それだけ感度がにぶいけど、痩せは皮膚の下がすぐ神経だから、敏感でないわけがないじゃない」
 真顔でムキに言い張るその真偽はともかく、すくなくとも最初の「萌えやすい」ことはまちがいないようだ。ママは痛いことをする前はたっぷり前戯の愛撫をおこたらないが、そのかげんは同性ゆえに女の快感のつぼを心得ており、ママのテクニックには、ほとんどすべての子が激しく反応する。
 もちろん、ママのテクニックの凄さもあろうが、見ていてこっちが興奮するくらい女の子の反応は凄い。だから、痩せてる女性が感じやすいというのは、事実かも知れないと納得させられるのだ。
「また、痩せた子が見つかったの?」
「今日は、あなたの好みでプレイしたいのよ」
 受話器を持ちながら、「おや?」と、わたしの食指が激しく反応した。ぴんとくるものがあって、頭のなかである女の子の顔が、体型がはっきりとよみがえった。ママの店で、ちらと見かけたのは1週間ほど前だった。
「あの子、いいわね」
 そう言ったら、
「だったら、訊いといたげる」
 交渉してくれたのだ。
 たしか名前は斎木綾乃といったっけ。綾乃というのは、日本人としては古風な名だとママが言っていた。
 名前が古風なら、体型も古風といえるのかも知れない。
 最近は日本人も白人に近く、足が極端に長いプロポーションの子が増えたが、綾乃の場合どちらかといえばずんぐり系、昔からいう日本人体型にちかいものだった。
 でも、それがわたしには新鮮に映った。
 顔立ちは鼻筋の通った美人系にはいり、ママの店で見たときはそれが憂い顔だった。なにか思い詰めている風で、しかも、それでいて気丈そうな感じもした。こういう子を責めたら、悲鳴も上げずじっと耐えるタイプなのかも知れないなどと考えたら、はやくも体がうずうずしていたのをハッキリ憶い出した。
「そうなのよ。あの子を責めてみない? けっこうハードに責めてもいいみたいだから、ね、あなたの好きな例のも試せるわよ」
 わたしの体は、早くも嗜虐の欲望にめらめらと燃えていた。




拷問への招待


 綾乃が全裸になってわたしの前に立った。きりっとした顔で、まっすぐ見ている。
 160センチジャストの色白な全身だ。
 乳房は80センチあるかないか。手も肩も細く、貧弱に見える上半身の割に、下半身は腰から下がっしりしており、骨太でたくましく見える。
 陰毛は薄く、めくれたラビアのまわりからはじまって、縦に細長く伸び、それもすぐ淡くなって終わっている。両サイドの陰毛がぜんぜんないのだ。
「1週間後に“輿入れ”するのよ」
「輿入れ?」
「太った脂肪だらけの有閑ババア。表向きは住み込みのメイドだけど、夜はレズとSMのお相手よ」
 吐き棄てるように言った。なんの弱みか金ずくか、その金持ち女の慰み者の専用奴隷として身を投げ出すというのか。
「わたしのハードプレイでめちゃめちゃにされれば、どんなイヤな相手にでもあきらめをつけて“輿入れ”できるってわけ?」
「そこまでは言わないわよ」
「まあ、多くは訊かないわ」
 調教、というより、この場合拷問と言いたい。それくらいサディスティックな気分に高揚している。わたしの妄想のなかでは、綾乃は早くも電気責めにのたうちまわり、前と後ろに拳を突き立てられ汗みどろになっていた。
 廊下の左右に秘密めいた部屋がいくつもあるが、綾乃を拷問する場は5メートル四方ほどの小部屋だった。
 恭子ママが壁のスイッチに手をかけ、部屋の明かりをつけた。
 中央に粗末なベッドがあり、ベッドわきに白布をかけた椅子が物置がわりにならべてあり、台になった上にはさまざまな責め道具がならべられてある。大小の張り型、クスコなどにまじって、電気責めの変圧器とコード類が散らばっていた。それを見た綾乃がぎょっとした顔になった。電気責めのことは知らなかったようだ。
 恭子ママが指さした。
「あれがなんだかわかる?」
「だいたいは……」
 はじめて綾乃の声を聞いた。ハスキーな、やや高い声だった。この口が、どんな泣き声を発するのか想像がついた。
「怖い?」
「ええ、すこし……」
「後悔してる?」
「いえ!」
 気丈に応えて、ぐっと口を結んだ。しかし、その肩も、顔も震えている。きりりと結んだ口も、わずかながら震えているようだ。わたしは、おや? と思った。もしや、これがSM初体験ではないかと。
「ママは、この子を調教していないの?」
「ノンノン」
 ママは大げさに手を振って目を丸くした。初めて会った日から今日まで、ママの手管によっていいようにいたぶられ、悶え、泣き、濡れまくっていたであろうというわたしの想像は見事にはぐらかされた。
「じゃ、拷問……いや、SMプレイもこれが初めて?」
 ママはこっくりした。
 あわてて言いなおしたが、「拷問」といったとき、綾乃の頬がぴくっと反応したのを見のがさなかった。
「わたしでいいのね?」
「はい」
「わたしのは、SMプレイといっても、拷問に近いプレイになるかもよ」
 脅かすようなことを言ったが、まんざら大げさでもないのだ。
「え……はい」
 睫毛が震えている。
「拷問は、つらいわよ。それに、わたしのは、徹底的に性器を狙ったものだから、少しのしんぼうだなどと思わないことね。もちろん、バージンじゃないわよね」
「はい!」
 ひときわ覚悟を決めたような声の響きだった。
「では、はじめるわ。ベッドに横になりなさい」
 綾乃は観念して、小型のベッドに横座りし、それから後ろ手をついてすりあがると、そのまま仰向けに寝た。
 ベッドを小型にしたのは、仰向けに大の字に縛ったとき、手足の先がベッドの支柱に近いからだ。わたしとママはそれぞれベッドの両端にまわって、綾乃の手首と足首にロープを巻きつけ、手足を広げさせてしっかりとベッドの支柱にしばりつけた。
「どうぞ。わたしは見ているわ」
 恭子ママが差し出した椅子を、綾乃の横に置いて座った。はあ、はあと、綾乃ははやくも緊張で息をはずませている。
 わたしは円柱形の変圧器の中心に手をかけ、ダイヤルをゆっくり10ボルトのところまで回した。そうして、そばの台からドライバーを2本手に取った。それぞれの金属部分の根本にプラスとマイナスのワニ口をはさみつけた。
「かわいいオッパイね」
 寝ると幼女のように扁平になった乳房の片方をつまみ、緊張しきって小さくなっている乳首をひねり出した。そしてわずかに黒味がかったピンクの突端に、片手で箸をあつかうようにして持った2本のドライバーの先ではさんだ。
「ああっ、うう、うーっ!」
 たちまち綾乃の顔に苦悶の筋が浮かび、上体が逃げるように揺れてベッドもきしんだ。それを放さず、わたしはなおも電気の流れているドライバーの先で乳首を突いた。
「ううっ、くうっ!」
 綾乃が、必死にこらえている。苦悶にゆがむ顔を見つめながら、わたしは早くも興奮していた。そばに立って見ているだけだった恭子ママが、手術用の手袋をした手で、綾乃の上体をおさえつけにかかった。
「どう? 電気による拷問はどんな感じ?」
「いいっ、痛っ、痛いです……!」
 ドライバーの先で乳首をはさんだまま、空いた手で変圧器のダイヤルを5ボルトほど高めた。
「ううーっ!」
 強いうめき声とともに、髪を大きく揺らしてのけぞった。うめき声をあげつつ、頬をぶるぶる震わし、必死に苦痛に耐えていた。
「きれいよ、苦しみに耐えるその顔。わたしはやたら悲鳴をあげる子はきらいだけど、あなたのような気丈な子は大好きよ。そうやって耐え続けたら、拷問のあとにはたっぷりと別の快感を味わわせてあげるからね」
 そんなことを言いながら、いったん高めた電圧をまたもとの10ボルトにもどして別の方の乳首を責めたり、交互に乳首責めを繰り返した。
 5分、10分……綾乃の反応が時間がたつにつれて、苦痛から別のものに変わっていったようだ。
「ああ、あーあ……」
 それからまた5分、10分たった。
 小さな点に過ぎなかった乳首が、いまは小豆大ほどになって勃起し、固くなっている。乳輪にもこまかな粒々が生じている。
 30分近く責めつづけ、乳首からドライバーを放した。
「よく耐えたわね」
 ワニ口をはずして、ドライバーだけ元の台にもどした。綾乃は荒い息を吐いている。
 わたしは、開かれた脚の中心に目を据えた。こんどは好きな部分を責めよう。まだ、拷問をやめるつもりはない。
「ごめんなさい、ご褒美はもうすこしよ」
 綾乃の目が緊張した。しかし、前のような恐怖の顔はしていない。緊張のなかに、期待感がまじっているものと思える。こんどの荒い息は興奮の感情がまじっているはずだ。
 ヴァギナに手をかけ、ラビアをめくりあげた。複雑なシワを刻む赤い淫肉は、中といわず外といわずぐっしょりと濡れていた。
「例のもの、できてる?」
「ああ」
 と、恭子ママが思い出したように綾乃の前を離れ、ビニール袋に包まれた品を持ってきた。
「ケンちゃんが上手につくってくれたわ」
 わたしがママに目配せすると、ママは綾乃にアイマスクをかけさせた。そうしておいて袋から出したのは、やや太めのシリコン製張り型だった。ペニスを模した淫らな凹凸のある張り型だが、ふつうのものとちがうのは、螺旋状に針金が巻かれ、それが平行して伸びた先の取っ手の部分に、ワニ口を結ぶプラグが2つ出ていることだ。
 そう、手製の電気棒だ。針金の先端は局部を傷つけないようシリコンの中にうまく埋め込んである。そのうえで、先端は二極にあたる針金が距離を置いて平行に螺旋状に手元にむかって伸びるわけだが、その隔たりは3センチくらいある。
「つまり、電気を流しながら挿入しても、先っぽが膣に入らないかぎり、電撃は伝わらないわけね」
「そう。電気棒が入りきらないうちから電撃痛を感じたら、ヴァギナは苦痛のあまり固く閉じてしまうからね。これなら、バイブレーターかなにかが入ると思って安心したとたん、電気拷問だったって感じるけど、もうそのときにはヴァギナに入ったあとだからね」
 これの製作を頼んだとき、恭子ママにそう説明したのだ。
「口を開けて」
 恭子ママが綾乃の口を開けさせ、ボールギャグを噛ませた。
「う、う……」
 綾乃がさるぐつわされながら、いままでにないうろたえ方をした。
 わたしは、電圧を30ボルトにセットした。すこし可哀想だとも思ったが、綾乃をこれから好きにできるという「脂肪太りの有閑ババア」に嫉妬し、八つ当たりじみた感情が綾乃に対して湧きでたのだ。
(うふっ、ゴメンね)
 愛液がいまにも溢れ出すくらいに濡れそぼった蜜壺に、残虐な責め具の先端が触れた。ゆっくりと先が入った。その瞬間、綾乃の顔がまたびくっと反り返ったが、まだ電気は通じておらず、綾乃の動きはピタリと止まった。ビデオの静止画を見ているような一瞬だった。
 わたしは、電気棒を持つ手に力をくわえ、一気に奧まで突き入れた。
「あううーっ、むうーっ!!」
 甲高い、激しい悲鳴とともに、綾乃の全身が一瞬飛びずさったように見えた。そして、悲痛な悲鳴が長く尾を引いて、汗くささのまじった密室に響きわたった。ベッドがぎしぎしと音をたててきしみ、苦しみ悶える生白い女体のそこここに、硬直の筋がくっきりと浮き立っている。




淫辱


「あつぅーっ、あ、あ、あ、ああうーっ!」
 電気棒の先でヴァギナをえぐったとき、綾乃のあまりの苦しみように、わたしはハッとなった。まちがって、最高電圧が流れたのかと思ったほどだ。愛用の変圧器、ボルタックの端子に電線の先をむすぶ際、素人細工がわざわいしてショートさせ、降圧が利かなくなったことがあるからだ。
「きゃあああっ、ぎゃあっ!」
 ボールを噛まされ、さるぐつわされた口から甲高い悲鳴をあげつつ、スリムな全身をくねらせてのたうちまわる綾乃を見つつ、「あ、そうか」と思ってあわてて電圧を下げた。30ボルトから20ボルトに降圧することによって、綾乃の苦しみようも潮が引くようにおさまり、悲鳴も小さくなった。
「ごめんなさいね。あなた、電気は初めてだったもんね。これじゃきつすぎて大変だわね」
 変圧器の故障でないことがわかってホッとして言うと、そばで恭子ママが「うっく」と笑った。ママのねっとりと湿った瞳は、電気棒を深々とくわえた綾乃のヴァギナを見つめたままだ。わずかに黒ずんだクレバスと、愛液に濡れて黒光りする電気棒のあいだから、異様な刺激に反応してあらたな愛液があふれてはシーツを湿らせていく。
「あううっ、うふぅーっ……!」
 ノドを反らせて悶える相手の反応に満足しながら、わたしは電気棒の先で子宮を小突きあげ、小突いた後は一気に手前に引き、また次には深々と奧まで小突くというふうに、ピストン運動を繰り返して綾乃をレイプしつづけた。小突くたび、ヴァギナはずぼずぼと淫らな水音をたて、「あっ」「くうっ」「うむっん」「ひっ」などと、綾乃はさまざまにタイプを変えて反応した。
「どう? 電気の味は気に入った?」
「あ……ううっ……」
 綾乃が、顎をふがふがさせて、わずかに首を揺すった。
「そうね、これじゃしゃべれないもんね」
 もう驚かせることもないと決めて、恭子ママに目配せし、ママに綾乃のさるぐつわをはずしてもらった。
「はあっ。ふうーっ……」
 一息、二息大きくため息をついたが、電気棒に小突かれ、
「ああっ、う、うーっ……」
 激しく反応しながら声を上げつづけた。それを見つめつつ、恭子ママが、握っているこぶしに思わず力を込めた。
 わたしは、おかしかった。痩せた女性が好みのママでさえ、綾乃の反応ぶりに興奮しているからだ。恭子ママがこぶしを握るときは、自分から手をくだして虐めたい気持ちが起こったときだ。彼女の頭のなかでは、あのおおきな手を綾乃のヴァギナに突っ込み、犯している場面がありありと浮かんでいることだろう。その心を見透かし、
「だめよ、ママ。こんな純な子にママのグローブのようなこぶしでフィストファックなんかしたら、たちまち切れて血だらけになっちゃうから。それこそ、アヌスの穴とヴァギナの穴が一つになってしまうわ」
「ちっ。イヤなこと言う人だね」
 いまいましそうにして、またこぶしに力を込めた。
 このままレイプするだけでは芸がなく、わたしは趣向を変えることにした。
「綾乃ちゃん。さあ、これからはわたしからの質問に答えてもらうわよ。どんなことにでも答えられるかな?」
「は、はい……」
 綾乃は電気刺激に反応して腹部を波打たせながら、恐る恐るといった表情をして小さな声でうなずいた。
「まだ、年を聞いてなかったわね。年齢はいくつになるの? 正直に答えなさい」
「4月で22歳になります」
「すると、今は6月だから22歳と2か月くらいということ?」
「は、はい」
「ウソおっしゃいっ!」
 わたしは声を荒げて一喝し、変圧器のダイヤルをゆっくりと20ボルトから30ボルトくらいにまで上げていった。綾乃の口から「うーーっ」という強いうめき声が発せられ、大の字に開かれた全身がぴーんとなおも大きく延びきって、腿やふくらはぎといった筋肉質の部分の筋がくっきりと浮き立った。
「ああっ、いやっ、やめてーっ!」
 大きく悲鳴を上げた綾乃の腹部が、ぴくぴくぴくっと痙攣を繰り返した。ヴァギナのなかには凄い電撃が駈けめぐっていることだろう。30ボルトからなおも上げていったとき、腹部の痙攣のあとに腰全体がぶるぶるぶるっと震えるのが見られた。
「ぎゃうううーーっ! やめてぇーっ!」
 綾乃の全身が筋立って見え、必至に握りしめたこぶしの関節が白くなるほど力み上がっていた。
「さあ、ほんとうの年を言うのね」
「ぎゃああっ、ウソではありません。わ、わたしの年は、二……二十二歳ですっ! ほんとうですっ!」
 わたしは電圧をまた一気に30ボルトのあたりまで下げた。すると力み上がっていた綾乃の体が縮こまるようにだらりとなり、悲鳴も絶えて、あとは「はあっ」「はあっ」と、安堵のため息をつき、それでもなお、眉間にしわを浮かべつつ、30ボルトに固定された電気責めを甘受するしかなかった。
「年齢は信じるとして、こんどは恥ずかしいことに答えてもらうからね」
「はあ……はあ……」
 綾乃は観念しつつ、喘ぎをやめなかった。腹部の小さな痙攣もおさまることはなかった。苦しい電気責めはなおもつづいているのだ。
「オナニーはどうやってするの?」
「……………」
 綾乃の目が、すこし怯えたように見えた。
「さあ、早く答えてっ」
 わたしは、きつい口調でせき立てた。
「指を使ってします」
「指だけで行くってこと?」
「はい」
「………」
 わたしはこんどは恫喝はせず、なにも言わないまま電圧を上げていった。35……40……綾乃の体が力みあがり、悲鳴がまた大きくなっていく。残酷な気がしたが、40からなおも上げていく。
「うぎゃあああっ! ぎゃああっ!」
 綾乃は全身でのたうちまわり、ベッドがぎしぎしと音をたてて揺れた。あまりの軋みように壊れるかと思ったほどだが、それにつれて綾乃の手首に食い込むロープのむごさも目をそむけたくなるほどだった。そばで見ている恭子ママの目がはらはらと落ち着かなかった。いまごろ、綾乃をわたしに紹介したのを後悔しているかも知れない。
 そろそろ限界だ。わたしは、質問にとどめを刺すことにした。
「なにか、道具を使うでしょ? それを正直に言うのよっ! 早くっ!」
 うむを言わせぬ口調でせき立てた。悲鳴をあげつつのたうちまわる綾乃の顔に、激しい狼狽の色が浮かんだ。「なぜ」「どうして」という声が顔にでている。しかし、それを判断するゆとりが、いまの綾乃にはなかった。綾乃のヴァギナの奧には、信じられないほどの電撃が暴れ狂っているのだ。このまま拷問をつづけられたら、綾乃の子宮もヴァギナも壊れかねない。
「は……歯ブラシを使って……歯ブラシ……」
 うわごとのように口走るそのことばを確かめ、わたしはボルタックのスイッチを切った。綾乃の悲鳴が、悶絶が、電気のスイッチを切るのと同時にウソのように静かになった。いま、ベッドの上に投げ出されているのは、ロープで自由を奪われ、全身汗で光らせている拷問あとの若い女体にすぎなかった。
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
 綾乃の喘ぎに、別の喘ぎがくわわった。見れば恭子ママがあまりの興奮に、綾乃といっしょになって喘いでいるのだ。
「こんな凄いプレイは初めて見たよ」
 そして、そのママの顔にも「なぜ」「どうして」という疑問が色濃かったが、だが、それについてはなにも確かめようとはしなかった。
 綾乃が心底驚いた顔を見せたのは、そのあとだった。
「よく耐えたわね。約束どおり、ごほうびをあげるわ」
 そう言って、わたしは持参したバッグから布に包まれたものを取り出し、おもむろに布を取って綾乃の目の前にさらした。
「……!!」
 綾乃の目が皿になり、思わず大声でもあげかねない驚きをあらわした。そのときわたしの手のなかにあった「責め具」は、電動歯ブラシだった。それでこれから、徹底的にヴァギナを責めようというのだ。
「あなたは、これが好きだったんでしょ? 今夜は自分でなぐさめることはないのよ。わたしが徹底的にかわいがってあげるわ」
 綾乃は、いや、横の恭子ママでさえ、大きな驚きを隠せないでいる。ふたりの反応を見て、わたしは大得意だった。綾乃は、すでにわたしが見初めたときから、この手のなかにあったのだ。なにが好きで、どんな毎日を送り、どんな人物とつきあっているかもわたしは知っている。綾乃が仕掛けてこなくとも、そのときはこちらで罠をかけるつもりで虎視たんたん手ぐすね引いて待っていた。そうやって、これまで一度たりとも獲物をのがしたことはなかったのだ。
「さあ、ママ。こんどは出産台を借りるわ。微に入り細に入り、綾乃の女の部分を根こそぎ犯しまくってやりたいからね。そして、そのあとは電気による尿道とクリトリスへの拷問へとつづくのよ」
 そう言って縄を解かれ、呆然とした面持ちの綾乃は、わたしと恭子ママに抱き抱えられるようにしてつぎの拷問室へと向かわせられた。


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第1部その5 第1部その6 第1部最終回
第1部のためのプロローグ1 第1部のためのプロローグ2