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ママの部屋


「うっ、くくっ……」
 電気棒による“拷問”プレイで疲れ切った綾乃は、震えの止まらない体で半べそをかいていた。綾乃の体液でぐっしょり濡れた電気棒の先を見ていると、恭子ママが無造作にティッシュをつかんで渡した。
「凄い濡れようね。綾乃ちゃん、もう、すっかり電気の虜だわね」
「まだまだ。本格的なのはこれからよ」
 わたしはティッシュを受け取ると、電気棒の先の汚れをしっかりと拭き取った。綾乃の過剰な反応のしるしをぬぐった跡は、べっとりとした愛液に混じってずるっと血がにじんでいた。
「切れたのかしら?」
「生理なんです」
 綾乃が弱々しく答えた。
「あら、そうなの?」
「すみません、こんなときに」
「いいのよぉ」
 恭子ママは、むしろ目を輝かせ、なにか、それ以上のものを期待して、瞳を潤ませている。流血マニアのママにとって、血はなによりの興奮要素なのだ。
「綾乃ちゃん、立って歩ける? シャワーを浴びて別の部屋に移ってもらうんだけど」
 縄をほどいてやると、まだ半ば惚けたようにして、ゆっくりとベッドから降りた。手首の縄目が痛々しい。当然、華奢な上体にくらべて、がっしりと見える下肢の足首にもくっきりと縄目が目立つが、それに目を落としたとき、生白い内股に血の混じった愛液が一筋流れているのにも気づいた。
 恭子ママも、それを見のがしていない。
「じゃ、わたしはむこうで待っているから、ママ、お願いよ」
 たっぷり意味を込めた目配せをしながら、綾乃を恭子ママにあずけると、わたしはせまい廊下をへだてただけの別間に行った。そこに綾乃を乗せるベッドが用意してある。
 いわゆる内診台、出産台とはちがう。足乗せ部分は椅子に当たる部分と同じ高さで、左右に開いて長く伸びているし、腰から上を乗せる部分も両手を伸ばしてもあまりあるから、椅子というよりリクライニングがついたベッドという感じだ。
 そしてこのベッドは、わたしが懇意にしているSM拷問マニアの男性の家から、わざわざ運ばせたものなのだ。
 着ているものを白衣に替えた。これから拷問官──いや、ひょっとしたら生体解剖にむかう悪魔の女医かも知れない心境になって、あわれな生け贄をしばし待つ身となる。
(とにかく、用意だけは済ませねば……)
 すばやく身支度をととのえると、移動トレイの上に白布を敷いて、その上に責め道具を並べていった。
 なんといっても電気責め道具として、2台の変圧器にコード類、さまざまな形のジャックや電極つまみは必須のアイテムだし、ここではさらに凄い体内責めのため、腸内深く届くロングバトンまで用意した。もちろん、バトンには針金を巻き付けてある。
 そのほか医療用器具としての拡張内視鏡、大小の鉗子類があるのも体内電気責めのためだ。それと、ハサミもいる。さらには内視鏡やなにかで膣壁や腸壁を傷めないよう、ローションも必須アイテムだ。
 時計を見たら10分近く経過していた。
「そろそろはじまっている頃ね」
 そう見当をつけて、わくわくしながらママがベッドルームと兼用にしている「秘密ののぞき部屋」に場所を移した。
 ベッドわきにテレビとビデオがあり、空チャンネルに合わせてスイッチを入れた。
「ああん……ううん……う……あっ……」
 モーター音にまじって、綾乃のなまめかしい声がバスルームに反響し、盗撮カメラがつながった20インチのブラウン管には、2人のあられもない痴態があますところなく映し出されている。反射的に録画ボタンを押していた。
 綾乃は全裸で開脚台に縛りつけられ、足をいっぱいに拡げさせられ、しつような電動歯ブラシ責めに反応し、くなくなと全身を悶えさせている。
 カメラはやや俯瞰の位置から、つぎにはズームになり、アップになりしながら、綾乃の苦悶の顔を、生理血をしたたらせながら振動の責め具の先をくわえるヴァギナを淫らに写し撮っている。
「ああっ、ううっ……」
 ときおり、白いノドを見せてのけぞる。苦痛が眉間のシワにありありとうかがえる。見ると、恭子ママの左手がヒップとベッドのすき間にもぐり込み、女性にしては太すぎるくすり指が深々とアヌスに突き入れられ、手といっしょに小刻みにうごめいているのだ。
「あ、あっあーっ……」
 綾乃は切ないような、よがるような、複雑な嬌声を発しつつ体をくねらせ、ノドをそらせ、生白い全身に汗を吹き出しながら身悶えをつづけていた。
 出し入れされる電動歯ブラシの動きが、なお激しくなった。生理血のまじった愛液がひとしお勢いを増してしたたり、バスルームのタイルにピンクの広がりを濃くした。
「ああ、いっ……いいっ……」
 綾乃の反応の高ぶりにともない、アヌスを責める動きもリズミカルになる。そして、ママは興奮のあまり人差し指まで挿入しようとしている。
「あーあ、あ、いーっ!……」
 綾乃が髪を振り乱している。眉間のシワはなお深く刻まれているが、こんどのは苦痛のそれではなかった。
 ママの人差し指がぶっすりと綾乃のアヌスに埋められた。
「う、うーん、ああっ、ああ、いいーっ」
 綾乃はもはや忘我の境地であった。電動歯ブラシ責めの快感に酔い痴れ、アヌスの痛みすら心地よい痺れに転化したようだ。直腸からも愛液がにじみ出ているのか、後ろを責める指の動きがなお増した。
「ああっ、ああーっ!」
 綾乃の絶頂が近い。だがそのときママが上体を沈めため、綾乃の肝心の部分はママの顔に隠れて見えなくなった。
「ああ……ああっ……」
 綾乃が怯えたような表情になった。
 ママの顔は綾乃の股間をじっと観察しているようだ。
「ううっ、う、うあーっ!」
 綾乃の悶え顔が最高潮に達しようとしていた。
「いいっ、ああいーっ、いっ、いっ!」
 汗と涙のまじった顔が、これまで見たこともないほどくしゃくしゃになった。
「ああっ、あううーっ!」
 頭の上で結ばれた手の先が、いっぱいに握りしめられている。Mの字に開かれた下肢がいっぱいに硬直している。そして、くなくなと悶えまくっている。
「ああ、いやぁーっ、いやっ、いやああっ!」
 そして、ヴァギナは……。ああっ、見えない。かんじんのその部分はママの頭で隠れているのだ。
「ママっ、顔どかしてよっ!」
 タバコに火をつけて苦笑した。
「あっ、ああっ、いくっ……」
 感極まった喘ぎを耳にして、また、モニターに見入った。が、かんじんの部分は見えるはずもない。
 カメラがまた引いた。綾乃の全身に、筋がはっきりと浮き立った。快感の貫きは、手足の先にひきつれさえ生じさせている。
「いい、いやっ、いやあああーっ!」
 死ぬかと思う叫びのせつな、ちょうどカメラがアップでとらえた綾乃の顔がはげしくひきつり、まるで処女の怯えのように唇をぶるぶると震えさせた。
「ううっ!!」
 息が止まるかと思うほどの激しい呻き声がして、綾乃はあばら骨をくっきりと浮き立たせて、大きくのけぞった。下半身が痙攣した。爪先がぴぃーんと反り返った。そのとき──。
 なにを思ったかママの顔がぐっと横にそれて、綾乃の局部がカメラの中心にとらえられた。ぱっくりと半開きのラビアからは、ヨーグルトのような液がぽたぽたぽたぽたしたたり落ちていた。
 ひくっ、ひくっと、綾乃の最後の痙攣が、死にゆく人ででもあるかのように不気味に、妖しげにつづいていた。
 ママがカメラに顔を向けて、ピースサインを送っている。
「ママったら!」
 わたしは思わず吹き出してしまった。そのとき、画面が暗転した。
 タバコの吸い残りを灰皿に棄てて、2人の帰りを待つことにした。また、シャワーで汗を流してくるとすれば、5分や10分は必要だろうと、いま録画した綾乃の狂態の、いちばん凄いところを見直すことにした。
「ううっ!!」
 ひきつる綾乃の全身に、恥も外聞もなく興奮した。絶頂のしたたりを溢れさせる場面では、思わず自分の股間に手を当てていたほどだ。
「尿道責めでもあんな顔にできるかしら……」
 慎重に、慎重にと自分に言い聞かせながら、電気責めに狂う綾乃への想像をたくましくした。
 変圧器を操作しながら、電極をショートさせたりしているところへ、手術着姿になった綾乃がママに伴われて入ってきた。
「痩せたのが好みじゃなかったの?」
「この子はべつだよ」
「まあ、勝手なこと」
 綾乃は、ベッドを見て目を丸くしている。頬がまだはっきりと紅潮している。
「じゃあ、そこへ上がって」
 綾乃は横座りになってベッドに上がり、横になると同時に、左右に突き出た台に足を伸ばした。
 恭子ママが背後に回って、両手をバンザイさせると、その手首を取ってベッドの端からでている鉄枷に縛りつけた。その間、足のほうはわたしが受け持ち、おなじように足首をしっかりと固定した。
 手術着の綾乃がXの字に磔された。
(こんどは、こっちが楽しませてもらう番よ)
 わたしはハサミを構えて綾乃に近づいた。
 綾乃の顔がさっと恐怖に硬直する。
 ジャキッと乾いた音をたて、足と足のあいだに張った薄布がハサミで断ち切られ、そのまま真一文字に臍のあたりまで切り裂いていった。
 はあ、はあ、はあと、その間、綾乃の苦しい喘ぎが、われとわが耳元にとどくほどはっきりと響いた。
(この子は真性のマゾだ!)
 そう直感した。あんなに興奮したあとだというのに、これから性器をなぶられ、痛めつけられるという恐怖感のなかに、それを何倍も上回る期待感に興奮して激しく喘いでいるのだ。
(だったら、思いっきり苛んでやる)
 前を一文字に断ち切られた手術着の、後ろ半分をゆっくり尻のあたりまでたくしあげた。そして次には断ち切られた前の部分に手をかけ、一気にめくりあげた。
「あっ!」という綾乃の悲鳴──。
 縦に長く密生した陰毛に飾られ、やや黒ずんで見える淫靡なラビアまで、いまやマナ板のコイだ。左右に割り開かれ、ベルトで固定された生白く、骨太な下肢。その爪先から腹部にかけて、恥ずかしい部分をふくめた綾乃の下半身が、いっぱいにさらされているのだ。
「あぁ…………」
 綾乃が嗚咽のような声を漏らした。
(……!!)
 わたしの嗜虐心がこれほど燃えたことはなかった。このなまめかしい姿態をずたずたに切り刻み、ヴァギナといわず、アヌスといわず、めちゃめちゃに掻きまわし、えぐり奪りたい衝動にかられた。




綾乃絶叫!


 綾乃の上体へと近づいた。
「さあ、こんどはわたしが虐める番よ」
「……………」
 はあ、はあ、と、喘ぐたびに貧弱な胸が大きく息づきを見せる。
「さて、もう一度、電気拷問にかけることにするわ。わたしはこれがいちばん好きだから……」
「お願い。尿道と後ろだけはやめて」
「後ろって、どこのこと?」
「お尻の……」
「お尻の、なんなの? アヌスなんてのは答えとしては認めないわよ。『お尻の』といいかけたからには、その先につづくことばをはっきり言いなさい」
「お尻の、穴、です……」
「わかったわ。そのほかならいいのね」
 わたしはハサミの先を綾乃の襟元にしのばせ、今度は胸の中心を真一文字に切り下げた。そして、勢いよく前を開き、がっしりとした下半身にくらべて華奢な上半身──痩せぎみな肩口から扁平な乳房までをあらわにした。
「いやっ。やっぱり電気は……電気だけは……やめてください」
 綾乃の哀訴を無視して、わたしはコードの突端の金属クリップを両方の乳首に噛ませた。「うっ」という小さな悲鳴とともに顔をわずか歪ませたが、バネは弱くしてある。乳首を傷つけるほどではないし、クリップ自体それほどの苦痛がともなうわけではないはずだ。
 わたしはもう一対のコードを持って、下半身のほうに移動した。
 着衣をまくられ、いっぱいにさらされたヴァギナに手をかけ、わずかに黒ずんだラビアを剥きあげるとプラスとマイナスの電極をそれぞれはさみつけた。
「いやあっ、やめてぇーっ」
「クリトリスは避けてあげてるのよ。感謝しなさい」
 わたしは、いったんは綾乃のそばを離れると、2つのトランスと椅子を持ってまたもどり、大きく開かれた綾乃の脚のあいだに椅子を置いて座った。トランスであるボルタックは床に置く。
「綾乃ちゃん、行くわよ」
「いやっ、いやぁぁー……赦して……ゆるしてください」
 わたしはまず乳首につながったトランスを、20ボルトにセットした。こんどのボルタックにはスイッチがついており、オン・オフ切り換えにより電気ショック的効果がくわえられるのだ。
 スイッチをONにした。
 綾乃が目を見開き、「ぎゃあああっ」と激しく叫んで暴れた。ベッドがぎしぎし揺れ、綾乃の髪もばさばさと乱れ狂っている。
 スイッチをオフにして、電流を止めた。
 綾乃の体が、がっくりと静止した。
「ひどいわ。ひどいっ。乳首がちぎれるほど痛いじゃないのっ。これじゃほんとうの拷問だわっ! そんなのないわよぉ」
 綾乃が激しく抗議した。目が本気でつり上がっている。
 わたしはにっこり笑った。そして、またいきなりスイッチを入れる。
「ぎゃあああっ!!」
 綾乃の体が跳ね上がるように揺れた。
 1秒、2秒、3秒まではつづけなかった。それでも、
「ああっ、ぎゃああっ」
 激しい悲鳴は痛々しいばかりだった。
「いや、いやだ、こんなのっ!」
 スイッチ、オン。
「あーっ、いやだぁーっ、くっ、くくくっ! うーっ、痛いっ……痛いいーっ!」
 綾乃の目から、本気で涙が流れた。
「おや。オッパイに流されるのがそんなに気に入らないのかい。じゃあ、こんどのはどう?」
 もう一方のボルタックも20ボルトにセットした。
「やめてっ、やめてよぉーっ。壊れちゃうよお……」
「なにが壊れるって言うのっ?」
「性器です」
「そんな愛想のない言い方じゃダメっ。日本人なら、スケベな男連中がふだん使う言い方でおっしゃいなさいな。教えてあげるわ。いちばん上が『オ』で、2番目が『マ』。さあ、わかったでしょ?」
「オ・マ・ン・コ、です。オマンコですーっ」
 綾乃はめちゃめちゃに開き直った気分になったか、なおも、「オマンコが壊れてしまいますから、どうかそこもやめてくださいっ。ほんとよぉー。感じることができなくなったらどうするのよぉー」
 身も世もあらずという顔になった。
 もちろん、綾乃の抗議など無視。20ボルトの電流を容赦なく浴びせた。
「あっ、あうううっ、ぎゃあああーっ!」
 通電によって激しい悲鳴が起こり、綾乃の下半身が硬直しながら、ぶるぶると痙攣を繰り返した。1秒、2秒、3秒、スイッチを切ると、悲鳴と痙攣はぴたりと止まった。
「はあ、はあ、はあ……」
 大きな喘ぎが間断なくつづいている。
 スイッチ、オン。
「あうっ、ううーっ、ぎゃあううーっ! ぎゃああっ、あーっ!」
 切ったり入れたりをせわしなく繰り返した。そして、乳首にもときどき電流をくれてやる。綾乃は狂ったように髪を振り乱し、泣き叫んでいる。
 5分、10分、電気ショックは情け容赦もなくつづく。
「ああっ、ぎゃああっ、ぎゃああっ!」
「さあ、こんどはもっと凄いよ」
 わたしは電圧を30ボルトに上げ、一方のラビアからクリップをはずすと、3秒とおかないうちにおなじラビアをめくりあげ、はずしたクリップの先でラビアのあいだからのぞいたクリトリスを突ついたのである。
「うぎゃああーっ!!」
 敏感なクリトリスに30ボルトは、あまりに残酷すぎる。もちろん、突いたのは一瞬だ。だから30ボルトといっても、20ボルトを3秒つづけて流されるときより苦痛は弱いのだが、もっとも敏感な急所を責められるという恐怖感が苦痛を倍加するのだ。
「ぎゃっ、ぎゃああっ、ぎゃあああーっ!!」
 綾乃は暴れ、叫び、全身を激しく硬直させてのたうちまわる。
 その間にも、わたしは綾乃のヴァギナが少しずつ濡れているのを見逃さなかった。膣から、そして尿道からも愛液がにじみ出て、電気でいたぶられ、責められつづける淫肉はぬるぬるといやらしい輝きを発しはじめている。
「いやっ、いやぁーっ……」
 綾乃の暴れかたが、さっきよりも弱々しくなった。愛液の出方もおびただしさを増しているようだ。尻の下からはみでた手術着の裾口は、ヴァギナから流れる愛液によるシミが広がりを見せていた。
 10分……15分……。シミは少しずつ拡がっていく。
「ママに代わってもいいわよ」
 そういってうながすと、嬉しそうにそばにきた。
「生体解剖的拷問をしてみない?」
「クスコでオマンコを拡張して、子宮にも電気を流すのね」
 綾乃が目を見開いて叫んだ。
「だめっ、そんなのやめてっ!」
「だいじょうぶだから。わたしたちはプロなのよ。めったなことはないから、安心して料理されなさい」
 ママは、そう言ってわたしに笑いかけた。
 わたしは、綾乃の腰の下に手をまわすと、尻を浮かせてアヌス穴が見えるようにした。ママがそこをのぞき込み、手術用の手袋をした手にローションをたっぷりふりかけ、その手の先でアヌス穴をほじくりはじめる。
「ううっ、こんなのいやぁーっ」
 おぞましさと苦痛に、綾乃はまた顔をくしゃくしゃにした。
「あうーっ、つうっ!」
 不意に叫んでのけぞった。ずぼっという音を立てて、ママの指が3本まで綾乃の菊門に突き立っている。調子に乗ってママはぐりぐりと奧まで入れ、激しく尻壷をかき回し、こね回している。
 びっ、びぃーっと、不意にガスが漏れた。ぴゅっと、体液までしたたっている。淫らで無残な光景だった。
「いやだぁーっ!」
 綾乃は、ぼろぼろ涙を流している。
「あうーっ!」
 悲鳴と水音が同時にして、針金を巻いたロングバトンがゆっくりと綾乃の体内に埋め込まれた。途中、直腸壁にひっかかり、「痛いーっ、裂けるっ」という悲鳴もあがったが、そのときだけは慎重に手を止め、角度を変えながら奧まで無事挿入し終えたのだ。
 バトンからでている針金の端に、ママが電極の鰐口をしっかり噛ませるのを見届け、わたしは綾乃の腰から手を離した。
 こんどは、綾乃の股間に両手を添えて、指でヴァギナを開けにかかった。ママがクスコをローションでぬるぬるにしてから、アヒル口の先をゆっくり割れ目に入れていった。
「ううっ、いやっ」
 クスコが入っていき、綾乃の割れ目はみるみる形を変えていく。いちばん奧まで入れて、こんどはアヒル口を開きにかかった。握りを締めながら器用にネジも回し、冷たい医具の先は綾乃のヴァギナをどんどん開いていく。
「いやっ、怖いっ」
 綾乃の戦慄は頂点に達しつつあった。
 ぱっくりと口を開けたヴァギナの奧に、もっこりとした肉輪が見える。ペンライトで照らし、ママは鉗子を手に取ると、その先を子宮まで届かせた。
「いっ、痛いっ!」
 ママが鉗子の先で子宮をつまんだのだった。そして、その鉗子に電極を結んだ。こうして、腸壁と子宮が電線で結ばれた。
 こんどばかりは慎重さを要する。まかりまちがえば、取り返しのつかない大怪我をさせることにもなりかねない。わたしは、素手で綾乃の太腿を掴み、自分にも電流が流れるようにした。
 さすがのママも手がでず、その先はわたしに任せた。
「綾乃ちゃん、ふつうの女の子だったら一生かかっても経験できない凄い体験を、これからじっくり味わわせてあげるわ」
「いや。いやいやいやっ。いやあぁーっ!!」
 綾乃の口から血を吐くような叫びが発せられた。
(一度だけよ。2度とはしないわ)
 わたしはボルタックの電圧を0にしてから、静かにスイッチを入れた。綾乃にはけどられていない。それから深呼吸を一度して、ダイヤルをゆっくりと回していった。
「あっ、ひっ!」
 15ボルトを過ぎたとき、笛のような悲鳴が起きた。それから、「うーっ、うっ、うっ」とうめき声が徐々に徐々に強くなり、それにつれてXの字に縛りつけられた綾乃の全身が、背中を支点に弓なりに大きくしなっていく。
「だ、駄目っ。と、止めてっ」
 ぶるぶるぶるっと、小さな痙攣が下腹部から腰にかけて現われた。あばら骨がすこしずつ浮き立っていく。
「いやっ、いやっ、いやだあーっ!」
 綾乃が激しく首を振った。
 ぶるぶるぶるっ、がたがたがたっ……下半身の痙攣と、ベッドの軋みが、だんだん激しさを増していく。当然、わたしの手を通して、電流による衝撃はわたし自身にも伝わっている。しかし慣れたものだから、こんなのはなんでもない。それより、綾乃の子宮と腸壁を襲っているショックはこんなものではないはずだ。
「うわわっ、ああ……ぎゃああっ……」
 綾乃の目がいっぱいに開かれた。
 綾乃の全身が激しい揺れを繰り返し、ベッドがぎしぎし、めりめりと恐ろしいばかりの軋み音を立てた。
「ぎゃあああああーーー……………っ」
 電圧は50ボルトにさしかかろうとしていた。そのときには、わたし自身怖くなっていた。もう限界だと思った、これ以上は危険だ。子宮へのダメージと、腸壁への傷を恐れて、ゆっくりと電圧を下げていった。
 綾乃の悲鳴がだんだん小さくなり、全身の反り返りももとに戻っていった。そして、電圧計は0で止まった。
「はあ、はあ、はあ……」
 綾乃は脂汗をかいて激しく喘いだ。
「凄いね、あんたは」
 ママが怖い顔をして言った。
「あんたこそはSMの女王だよ。あんたにくらべれば、わたしたちのプレイなんてのは子供だましのままごととしか思えないよ」
「そんなことないわよ」
 正直、そのときいちばんホッとしていたのはわたしだった。めくるめく綾乃拷辱の興奮、醍醐味。わたしは10何年ぶりかで“ホンモノの拷問”の興奮にめぐり会えることができた。
(綾乃ちゃん、凄いのはあなたよ)
 わたしは心底、綾乃が可愛いくなった。ママをまねて綾乃の股間に顔をうずめ、何時間でも奉仕してやりたくなった。拷問ではなく、一心に悦ばせてあげたい。何度でも行かせてあげたい。でも、もう終わりだ。
(この子は、もう二度とわたしの前には現われないだろう)
 急に寂しさがこみ上げた。
 ここまで激しく責めない相手には何度でもプレイをせがまれる。だが、わたしは2度とはその気になれない。しかし、本気で責めて、虐め抜いたときこそ、ほんとうの愛が生まれるというのに、もうそのときは相手の気持ちがわたしから離れてしまう。
 サドとマゾ。いや、本気のサドと、本気まで行けないマゾとの交わることのない宿命。わたしに正真正銘、真性のマゾとの関係が芽生えるのはいつのことか。もちろんそのときは、綾乃のように可愛いい女性でなければ困るのだが……。
「綾乃ちゃん、よく頑張ったわね」
「やっと赦してもらえるんですか」
「ううん」
 わたしはニッコリして首を振った。
「だって、かんじんの責めがまだ残っているじゃない」
「いやっ、そんなのいやぁーっ!」
 綾乃のなかから、それまでの責め具が抜かれた。クスコもバトンも、綾乃の苦しみように反してぐっしょりと愛液を吸っていた。抜いたらそれがしたたるほどに。
 手首と足首のいましめにくわえて、あらたに太腿と腰を締めつけるベルトがくわわった。尿道を責めるには、少しでも暴れさせるわけにはいかないからだ。
 そうしておいて、ママが綾乃のラビアをめくって、尿道孔とクリトリスを剥きださせた。が、クリトリスはこんども責めない。クリップはラビアの一端に噛ませた。
「綾乃ちゃん、やめられなくなるわよ」
「うそっ。ひどいっ。悪魔っ。人でなしっ!」
 綾乃は精一杯なじった。
 たしかに疑わしいことではある。本格的な電気責めに耐えられ、やみつきになる女性など半分いるかいないかだ。特に尿道責めは、ある一定の苦しみを耐え抜かねば、その向こうにある快楽にまでは行き着けない。たいていはその前で挫折する。つまり、電気責めに身も心もゆだねてしまわないかぎり、苦痛のまま終わってしまうのである。
 この子は、どうだろう。
 電極の先が、尿道孔に触れられた。
「痛いーっ! いやああーっ!」
 綾乃の叫びが長く長く尾を引いた。悲痛に、絶望的に、暗い余韻を残す陰惨な響きとなって──。




さち子お目見え


 綾乃との、めくるめくプレイに興じた夏がいつのまにか過ぎ、やがて秋──。
(この子は、やはり真性のMだ!)
 ひきつり、悶える肢体と表情に、そう直感したわたしは、小踊りしたい気持ちを抑えるのにやっとだった。しかし、すぐにまたその気持ちは萎えた。なぜなら、もうすぐこの歓喜の時は終わり、綾乃はどこの誰ともわからぬ、(恭子ママにいわせれば)「脂肪ぶとりの有閑マダム」の性奴隷になり、わたしとは縁のない体になるからだった。
 そしてそのとおりになり、4カ月あまりが過ぎたのだ。
 いま、わたしの前には別の体がある。
 色白なのは綾乃といっしょだが、綾乃よりは10センチほど身長が低く、したがって150センチそこそこの小柄なぽっちゃり体型だ。
「うっ、くぅーっ!」
 大の字に開かれた四肢の先が宙を掻きむしるようにして、絶頂の声をあげた。太めのバイブをくわえたピンクの割れ目から、乳白色のGスポット分泌液が、どくどくと勢いよくあふれてシーツを濡らす。
「ふぅーっ」と大きな溜息が漏れた。
 左右に大きく開かれた手足がぐったりとし、汗ばんだ体がそのまま動かなくなった。ただ一部分、綾乃によく似た貧弱な胸が、けだるい喘ぎとともに息づいている。
 湿った音を立てて、電動具が抜かれた。ぐっしょりと濡れたバイブをティッシュに拭き取り、バッグにしまった。バッグを閉じるとき、小型の変造トランスとコードが目に飛び込み、いつもの誘惑を抑えきれなくなった。
「もう一度、いいわね」
 さち子は別のプレイと思い込んだか、
「はい……おねえさん」
 上気した顔に微笑みを浮かべて、精一杯わたしに愛想を尽くした。
「ね、こんどは電気、いいわね」
 すると、たちまち困惑した表情になった。
「それだけは堪忍」
 わたしが相当に落胆していると、懸命に弁解した。
「それだけはゴメンナサイ。だってわたし、電気は大の苦手で、コンセントだって、よぉ触れんのやもの」そう言って、もう一度「ごめんなさい」と、泣きそうな顔であやまった。
「しかたないわね」
 だったらこの子には、もうこれ以上望むことはない。疲れているようだし、今夜はこのまま寝かせてやろう。そうあきらめて、手足の縄を解きにかかった。
「ありがとうございました」
 さち子は自由になると、全裸のままベッドに正座して、三つ指ついてバカていねいにお辞儀した。
「良かった?」
「ええ、とっても」
「そう」
 わたしは物足りない思いのまま、それでも精一杯やさしい顔で返した。
「このまま休んでいいですか?」
「いいわよ。疲れたのね。わたしはシャワーを浴びてくるから、先に寝ていて」
「はい」
 素直に返事して横になり、毛布をかぶった。そして1分とたたぬうちに、寝息をたてた。
 床にはビニールシートが広げられ、プレイの跡がしのばれる。点々と白い跡をつけているのは蝋燭責めの後のロウのしずくであり、付着して固まったのに混じって、体から落ちたものも無数にある。
「疲れたのはフィスト責めね」
 わたしはビニールシートの上から、丸めて捨ててあるドクターハンドの片側を拾って広げた。ゼリーと愛液でぐっしょりしたなかに、血も混じっている。
 蝋燭責めプレイのあと、シャワーを浴びての2ラウンド目がフィスト責めだった。
 さち子はわたしの嗜好を良くわかってくれており、少しでも気に入ろうと懸命だった。だが電気責めだけはどうしてもイヤらしく、そのため経験の浅いフィストプレイに、無理にチャレンジしたようだ。
 そのことを察して、わたしは念入りに、たっぷり前戯をほどこし、3本、4本と時間をかけて挿入におよんだ。その間、さち子は声を殺して苦痛に耐えていたから、やはりフィストは未経験だったといま確信する。けっきょく2時間ちかく手こずって、挿入をあきらめた。
 その際、無理してヴァギナを傷つけた結果が手袋の血の跡である。
(なんとか、この子に電気を覚え込ませたい!)
 綾乃を失った今、小柄でキュートな関西娘がたいせつな存在に思えた。
 さち子から離れて、プレイに借りたホテルのラウンジに立った。超高層の窓から見る暗い夜空に、テールランプの小さな点がゆっくりと移動している。民間のセスナかなにかが飛んでいるのだろうが、そうとう上を飛んでいるらしく爆音はほとんど聞こえない。
(綾乃ちゃん、どうしているの?)
 別れるときに見せた純な笑顔が浮かんだ。
 なぜか涙がこみあげた。こんなことは初めてだった。


第1部その1 第1部その2 第1部その3 第1部その4
第1部その5 第1部その6 第1部最終回
第1部のためのプロローグ1 第1部のためのプロローグ2