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| 「その子を放しなさーいっ!」 ジーパンにジャンパー姿で川村邸に単身乗り込んできた早紀は、みどりを診察室に追い詰め、ノド元に護身棒の先を突きつけて迫った。 だが、みどりは意外にひるまなかった。 「わたしにかまわず、つづけなさいっ」 「なんですって!?」 捨て鉢にかまえられ、早紀のほうが焦った。 「お嬢さん、いま助けるっ」と、廊下に飛び出したヤクザ2人が勢い込んだが、 「動かないでっ!」 廊下に一歩、診察室に一歩と両方にまたがった態勢で一喝したあと、みどりを抱きすくめて羽交いじめにした。 「早く命令してっ。美鈴ちゃんを放して!」 「こんな真似をしてタダで済むと思うの?」 さすがはみどり、なかなかの貫禄で護身棒を突きつけられながらも凄んだ。 「美鈴はわたしの土地に不法侵入し、友人女性とのプレイを盗み見たうえ、それを犯罪行為とののしった。その仕置きはキッチリつけないと」 「そうよ。こいつにはヤキを入れてやらねば」 梨沙もうそぶいて同調したとき―― 「早紀ちゃん、いいの。この人たちの気のすむようにさせて」 美鈴がその場を収拾すべく覚悟を決めた。 「なにを言うの!?」 「その代わり……」と、全裸で開脚寝台に縛られた身を精一杯起こすと、「早紀ちゃんには手を出さないでっ。いいわねっ」 目を吊り上げて約束を迫った。 「わかったわよ」と、みどりはうなずいた。 「美鈴ちゃん!」 呆然と見守る早紀をしり目に、梨沙が手術用の手袋を新しいのに替えた。 「左手よ。でなきゃあ、その子には……」 みどりが梨沙にアドバイスを送る。 「な、なんのこと!?」 「“刺激的愛撫”で感じさせてあげようと思ってね。なんたって好奇心旺盛な子だから……」 あざ笑いながら早紀を見る。 「近づかないでっ!!」 緊張の目を廊下に向けて、早紀が叫んだ。 「あなたたちは下がってて!」 みどりが壁のほうを振り返った。 「今回は女だけのパーティーとして楽しむしかなさそうよ。殿方は、また別のデザートのつづきを楽しんでちょうだい」 壁の向こう側の男たちをとりなした。 「いいんですかい、お嬢さん」 「いいわよ」 そうしてヤクザ2人は退散した。 美鈴への凌辱が再開されることになった。それもこんどは早紀の見ているまえで。 梨沙が開脚寝台のまえに膝をついて頭と背を低くした。そうすることで大股開きにされた局部が、なんの邪魔もなく早紀から丸見えになる。美鈴にとって、これ以上の恥辱はない。 梨沙の両手が下から伸びて、狭い範囲に、薄墨をはいたように淡く密生する陰毛のなかにのぞく性器に触れた。 「見なよ、このチビのオマンコ」 そう言って長時間の凌辱、拷問でただれたように赤くなったラビアをめくり、赤剥けて突起したクリトリスをつまんでいたぶりはじめた。 「く……」 美鈴は声を殺してのけぞった。 膣をとらえた両手の指は、はた目にはなにもしてないように見える。だが、敏感な部分に触れ、絶妙な動きと強さで刺激をあたえているから、美鈴のそこはびりびりと感じていた。 「く、うっく……」 感じながらも懸命に耐えた。 みどりは梨沙の指技を熟知していた。 「あの子にかかったら、どんな感度のにぶい女だって3、4分でよがり声をあげるわ」 そのことばを裏づけるように、美鈴は早くも反応していた。背中を浮かし、貧弱な胸の下にあばらを際だたせ、右に左に身体をくねらせて身悶えた。 「うっ……」 「もう感じてきやがった」 微妙な力加減で責めなぶり、自分が犯している部分を見上げてつぶやいた。 指で剥かれた部分が、しっとり潤みを帯びはじめた。 足乗せ部分に縛りつけられ、左右に割られた脚が筋を浮かせてひきつれた。爪先がぴーんと突っ張ったと思ったら、つぎに反応したときはしっかり指を握り締めている。 「うっ、あ……」 苦悶のしわを刻む額にも汗が光った。そうして反応しながらも、必死に声をこらえている。そして、そのときには早紀もいっしょに犯されているように、唇を震わせていた。 「くふぅっ!」 美鈴が、また大きくのけぞった。 「さあ、よがり声をあげてみろ」 梨沙の指が、すこし派手に動いた。ぱっくり開かれた淫裂が指の動きにつれて小刻みに震え、赤く腫れあがったクリットがさらに勃起したようにも見えた。 「あん……あ」 少女の悶え顔に、恍惚の兆しが見えた。 「3時間もの電気責めやなにかですっかり感覚をなくしたと思ったのに、淫乱なガキだぜ」 梨沙のことばが早紀の怒りに油をそそいだ。 「なんて酷いことっ!」 肩を震わせながら歯ぎしりするのを、みどりは小気味よさそうに横で見ていた。 「ううっ、くくうっ……」 美鈴の爪先が、ぴくぴくっと痙攣した。 「さあ、声をあげろ」 梨沙が指を入れにかかった。中指1本をぐりぐりと押し入れたと思ったら、すぐに人差し指、くすり指を添えて3本にした。 「あ、痛いっ……」 美鈴の悲鳴に早紀がびくっと反応した。 が、指をくわえたピンクの淫裂からは、ぽたぽたと愛液がしたたり、ラビアを伝う14歳少女の愛蜜は、膣をなぶる梨沙の指にも手にもおよんでいた。 たっぷりと中をかき回し、引き回し、ぐりぐりとえぐっていた3本指がズッポリと抜かれたとき、美鈴のその部分は閉じることなくパックリと口を開いていた。 「こいつのオマンコ、物欲しそうにしてやがる。早紀、おまえが仕込んだんじゃないのか?」 梨沙のからかい口に、美鈴が泣きそうな顔をして烈しく首を振ったので、ポニーテールの髪もバサバサと右に左に揺れた。 「そろそろはじめて」 みどりの催促で梨沙が右手に持ったローション容器をかたむけ、左手にまんべんなく垂らした。垂らしたあとは指をこすりあわせ、左手全体をぬるぬるに光らせた。 「滑りを良くしたからって、チビのオマンコには、かなりきついよ」 そう言ってケタケタ笑い、思うさま面白がるやいなや、こぶしにした左手が前戯もなく、いきなり赤剥けした性器に押しつけられた。 「うああっ!」 美鈴の股間を激痛が襲った。開脚寝台に張りつけになった上半身が、くねくねとあばら骨を浮き立たせてのたうちまわった。 まさかのフィスト責めに、早紀が血相変えた。 「なんてことをっ。やめさせてっ!」 「これが、仕置きなのよ。これを完遂するまでは帰せないわね」 みどりが涼しい顔で返した。 「いいの、早紀ちゃん。わたしなら……」 平静を装おうとしつつも、苦痛に顔をしかめた。ぶるぶると頬を震わせ、それでも気丈に歯を食いしばって声を殺した。 「さっきは右手でも入りかけたというのに、早紀に見られていることで固くなったか。痛いか。そのほうがかえって面白いけど……」 美鈴の苦悶を歯牙にもかけず押しまくった。 「痛いだろ? え? 痛いよなー」 その梨沙に、美鈴はにらみ返した。 「痛くなんかあるもんかっ!」 「それなら、こうだぞ」と立ち上がった梨沙は、上体をかたむけ、股間に押しつけているこぶしに自分の体重を加えた。 「ぎゃあっ!」 気が遠くなるような激痛。それとともに「メリメリッ」という音がしたかと錯覚したくらい、美鈴は激痛と恐怖のあまり目を見開いた。 「やめてっ、やめさせてっ!」 早紀が護身棒を振るって烈しく迫った。 「だったらおまえが身代わりをつとめるか?」 嗜虐心に取り憑かれた、どろんとした目で見返され、早紀が返答に詰まった。 「うう、うーっ!」 美鈴が苦痛のなかから叫んだ。 「早紀ちゃんに、ゆ、指一本触れるなっ!」 額といわず、頬といわず、汗でべっとり前髪を張りつかせていた。さらに性器は梨沙のこぶしを埋め込まされてパンパンになり、いまにも張り裂けるかと思うほどだった。 すんでのところで、早紀が助言を送った。 「美鈴ちゃん、力を抜くの。お腹の力を抜いて、ゆっくり深呼吸してごらんなさい」 「え?」 最初なにを言っているのかと思ったが、「大好きな早紀ちゃんのアドバイスだから」と、美鈴は心を石にして無心になるよう努め、 「はっ、ふうー、はっ、ふうー……」と、言われたとおりの深呼吸もした。 すると、梨沙のこぶしを跳ねのけていたヴァギナの緊張がゆるみ、痛みも薄らいでいった。 「さ、早紀ちゃんっ!」 「がんばって。力を抜いたままよ、けっして力んではダメッ」 美鈴がうなずき、ひたすらそのように念じたとき、割れ目がゆっくりゆっくり口を開けていく。梨沙のこぶしを呑み込んでいく。 「ウソッ。いや、いやあっ!」 こぶしのいちばん太いところが通過する瞬間、キリキリキリッという拡張痛に見舞われたが、その痛みも潮のように引いた。 手首だけになった淫らな秘唇を見て、梨沙がニタリと笑ったが、つぎには間髪入れずピストン運動を開始した。 「うっ、うああーっ!」 美鈴は首を振ってのたうちまわった。 こぶしを呑み込み、せっかく4、5センチ直径になったと思った性器が、つぎには、こぶしがすっぽ抜ける寸前まで引き抜かれて、また7、8センチ直径まで拡張される。それが、めまぐるしくくり返されるのだ。 「いやああーっ」 顔をひきつらせて苦悶する美鈴。その性器はピストンファックで、すぼまったり、広がったりをくり返される。 「やめて、やめてよぉ……」 みどりに突きつける護身棒を握る早紀の両手はぶるぶる震えていた。 そして美鈴はその早紀に見つめられ、身悶え、のたうち回っている。烈しく犯される性器。それは淫猥で、拡張されるときには悲鳴もくわわるから、これほど陰惨で残酷な光景はなかった。 「ひっ、ひいーっ!」 梨沙のこぶしの動きが速くなった。はじめ、ゆっくり1秒1回小突きだったのが、1秒に2回に増えた。 1分たち、2分たった。 「あっ、あーっ! うっ、つうーっ!!」 くり返される強烈こぶしファックで、いつか美鈴の股間はしびれたように感覚をなくしていた。薄目を開けて弱々しいのけぞりをくり返す上半身とは裏腹に、局部への責めはさらに強さと速さを増した。 1秒2回小突きのフィストファックは、1秒3回小突きくらいに速まっており、烈しく小突かれるたび、パクパク開口させられる膣から淫水がしたたり、時にははじけて飛んだ。 「もうやめてっ。見てられないわ」 さすがに耐えられず、目をそむける早紀に、 「だったらおまえが身代わりをつとめるのね」と、ふたたび妖しい視線を向けてきた。 美鈴が失神したのか、がっくり首を垂れた。 それが合図のように梨沙の腕がゆっくりと引き抜かれた。ぐっしょり濡れた手の甲が見え、関節が見え、5本指すべてが伸ばされた手刀がすべて抜かれた直後、半開きの割れ目から白濁した愛液がしたたり落ちた。 |
| 廊下に足音がして、サツキという子のほか、例の3人組を入れた4人が姿を見せた。 「なんだ、やられたんだって?」 3人は顔を見合わせ頭を掻いたり、面目なさそうな表情だったりしたが、サツキだけは開脚寝台でぐったりしている美鈴に同情的な表情を見せた。 「さあ、こいつを降ろして」 4人を指図し、美鈴はサツキら2人に開脚寝台から降ろされると、梨沙が他の2人に運ばせた診察用寝台へと移されることになった。 「そのうえに腹ばいに寝かせるのよ。こんどはオカマを掘らしてもらうから」 ぐっしょり濡れたドクターハンドをはずしながら言ったので、早紀が食ってかかった。 「約束がちがうわっ」 みどりは歯牙にもかけず、せせら笑った。 「処女膜を犯せなかった恨みは、もう一つ残ってる“後門の処女”で晴らしてもらうわ」 勝手な理屈で凌辱続行の口実をつけた。 「卑怯なっ。もう許せないっ!」 怒りにかられ、みどりの首に手をかけた。 「あなたにやれる? できっこないわよねえ」 みどりが見抜いたとおり、早紀はその首に指をかけることさえできなかった。 「さあ、いいから美鈴のアヌスを、そこにあるちょっと太めのディルドを使って犯しなさい」 「やめてえええっ!!」 早紀が凄い形相になって叫んだ。口元がゆがんで見えたが、それは自嘲の笑みだった。 「負けたわ」 ぼそりとつぶやき、護身棒を小さくたたんでGパンのポケットにしまい込んだ。 「好きにして。ただし、美鈴ちゃんは帰してあげてね。あとはわたしが残って、何時間でもオモチャにするがいいわ。それがお望みでしょ」 早紀の意外に蓮っぱなセリフに、みどりも梨沙も顔を見合わせた。 「だめっ。早紀ちゃん、それはだめ!」 美鈴が止めるのを聞かず、早紀は自嘲顔のままつぶやき返した。 「だってわたしなんか……とにかく美鈴ちゃんをこれ以上ひどい目に遭わすことできない」 「わたしのせいでこうなったのに……」 「いいのよ」と、早くもジャンパーを脱いで、ジーパンのファスナーにも手をかけた。 みどりが、ジーンズルックのうえから見透かすイヤらしい目を向けた。 「まずは股間の2つボクロを確認しなければね。美鈴は3時間の拷問にも屈せず、『ない』と言い張った例のホクロの真偽を……」 (そうだったの?)と、みどりのことばに早紀が美鈴への思いをあらたにしたとき、突如として美鈴が大声をあげた。 「ダメーっ! 早紀ちゃんに手は出させない!」 うつぶせのまま起きようとして、梨沙の配下3人に押さえ込まれた。ねじ伏せられながら、顔だけは上げて目を吊り上げた。 「そんなことしたら。そんなこと……」 美鈴の異常な執念の表情に、まず早紀がハッとした。みどりもなにかを察した。 だが、梨沙は意に介しない。 「早紀に手を出したらどうだって?」 「この場で舌を噛みきって死ぬっ!!」 美鈴の異様な決意に、みんな唖然とした。 「舌を噛む」などと言ったのは、多分に父と見た時代劇の影響だろう。だが、そのときほんとうに美鈴は死ぬ気だった。大好きな早紀ちゃんが辱められるのはたまらない、命を賭けても阻止しなければという覚悟のもとに。 キャハハハ……と、梨沙がバカ笑いした。 「やって見ろよ。やれるもんなら」 サツキ以外の配下もニタニタ笑っている。 美鈴が上歯と下歯のあいだに舌をはさみ、極端に思い詰めた表情になった。そうして舌を噛みしめ、顔を真っ赤にした。 「美鈴ちゃん、それまでよっ!」 ひと声叫んで、早紀がみどりに襲いかかった。ふたたび掌中にとらえ、両手を首に回して、こんどこそはと必殺の締めにかかった。 「もう、許さないっ。先生なんか……いや、先生じゃないわっ。この人でなしの悪魔っ!」 そう面罵したあと、梨沙のほうにも叫んだ。 「さあ、美鈴ちゃんを放しなさいっ。さもなくばこの女を殺す! この女が死ねば約束を破ったおまえが殺したも同然なんだからねっ!」 八方破れの迫力と口上に、梨沙もたじたじとなってなにも言えなくなった。 「4人とも部屋から出て行けっ!!」 早紀の剣幕と怒鳴り声に気圧され、梨沙は配下を率いて部屋から退散した。 みどりの首を締めて壁に押さえ込んだまま、早紀が茫然としている美鈴をうながした。 「美鈴ちゃん退散するわよ。早く服を着てっ」 「はいっ」 早紀のことばに反応して跳ね起きると、椅子にたたんで置いてある下着や衣服を取って、大急ぎで身づくろいをすませた。 そのあとみどりをどこまで人質にし、どのように川村邸を出たか、美鈴も早紀もまるで憶えてなかった。ただ一目散にバス停まで駈け、客を乗せて出たばかりのバスを追いかけ、追いつき、やっとの思いで乗車したのだった。 お客は数えるほどしかおらず、2人は人目をはばかり最後尾の席に落ち着いた。 「あー、怖かった」 ほっと胸をなでおろす美鈴の顔を早紀は両手に取って、まじまじと自分の顔と向かい合わせた。 「舌、だいじょうぶ?」 「いざとなると、なかなか死ねないもんだね」 「バカだよ。美鈴ちゃんのバカバカっ」 そう言って胸に顔をうずめ、両手でボコボコ叩いてきたりもした。早紀の髪油がほのかに匂い、そのとき美鈴も胸を熱くした。 早紀が涙の顔をあげた。 「拓也君から聞き、イッちゃんに確かめ、あとさき考えず飛び込んだけど、失敗失敗。みどりがあんなに怖ろしい女とは知らなかったわ」 泣きじゃくりながら反省したあと、 「ねえ、だいじょうぶだった? アソコ……」 と、これは思いきり声を潜めて訊いた。 「うん。もうなんともないよ」 「忘れ物なんかもしてないわよね」 「あっ!」 美鈴はとっさに腰に手をやり、「あったあった」と安心して腰のポーチをはずすと、ファスナーポケットに指をかけた。バリっという音に早紀はハッとしたが、実はマジックテープを仕込んだ二重の隠しポケットがあったのだ。 「見つかって取り上げられたらどうしようかと思った」 そう言って見せたのは、命のつぎに大切と決めたあのアザミの押し花のカードだった。それを見た早紀が、また涙を溢れさせた。 「早紀ちゃんこそ、例のメッシュ帽……」 そう訊いたら、これはあっさり否定された。 「もう、あれは被らないことにした」 「あー、ヤギ先生に獅子じゃない虎だと言われたからだ。“騎虎の勢い”の虎使い――」 そう言うと美鈴は、護身棒での戦いぶりも思い出して感心したりもしたが、それどころでないことに気づき熱っぽく自重をうながした。 「早紀ちゃんこそ、もうやめようよ。あとは警察にまかせて。それが一番なんだから」 だが、せっかくの美鈴の忠告に早紀はしたがうわけにいかなかった。 「警察は信じられない。特に地元警察はダメ。神谷という悪徳刑事が牛耳っているから」 きつい調子で断定した。そして、真剣な眼差しのまま見つめて言った。 「美鈴ちゃん、これだけは信じて。わたしがお金をもらって寝たのはただの一人だけ。田宮先生とはまじめな恋愛だったのよ」 「もちろん信じてるわよ。それに早紀ちゃんのそんなこと、わたし全然気にしてない。どんなときだって早紀ちゃん悪いわけないもん」 「ありがとう」 うなずいて微笑み、早紀はいつもの早紀にもどった。 「とにかく美鈴ちゃんは家まで無事送り届けるわ。イッちゃんとは示し合わせてあるから、ご両親にはうまくごまかしてくれてるはずよ」 「うん。わかった」 なにはともあれ美鈴は早紀といて、それこそ大船に乗った心地だった。 |
| それからひと月後の11月も半ばを過ぎたころ、川村みどりがK中養護教諭を辞職した。なんのまえぶれもない一方的なもので、ひきつぎもないどころか校長に電話で伝え、あとはぱったりと学校へこなくなったのだ。 それ以前からもPTA内から、「生徒をえこひいきしている」「お天気屋で感情の起伏がはげしい」と陰口がささやかれていたが、それが「“少女の敵”疑惑」にまで発展したのでは、いかな町の福祉に貢献した父、川村大介の威光をもってしてもぬぐいきれなかった。 そればかりか大介自身、産婦人科院長だったことから、職業柄父親までがいかがわしい行為をしていたのではないかとまで噂され、余波は市や大学の医学会にも飛び火し、ちょっとした波乱になるところだった。 「みどり問題」は美鈴にとって対岸の火事どころか、今まさに“そこにある危機”だった。 ある日のホームルームの時間中、担任教師、福原清人の話をクラスで聞いているところへ、教室の戸が開いて教頭があらわれた。 教頭に耳打ちされた福原が自分のほうにやってくるのを、美鈴はドキドキしながら迎えた。 「ちょっと、職員室へ行ってくれ」 小声で言われたものの、そのときには全員が美鈴に注目しており、心配そうに見つめる早紀の視線に送られて教室をでることになった。 「ちょっと待て。俺も行くよ」 福原があとを追って職員室まで同行した。 このところ〈めぼしい〉女子生徒がひとりずつ呼ばれ、生活指導の教師から事情聴取を受けていた。この場合の「めぼしい」とは、いかにも性的に人目を引き、なおかつ保健室にひんぱんに出入りしていた〈女生徒〉のことだ。 (とうとうわたしの番にまわってきた!) 美鈴は観念し、いつも進路指導など個人面談で使われる別室に案内されたが、その一方、隣接する職員室では、福原が教頭に食ってかかり、ちょっとした騒ぎに発展するところだった。 「あれでは他の生徒の目にさらし、落合になにかあったと言ってるみたいじゃないですか。事情を訊くにも生徒の心情をかんがえ、もっと気をつかってくれなきゃ困るっ」 「火のないところに煙は立たんよ」 教頭は福原の抗議など歯牙にもかけぬ。 「まじめな生徒にはいい意味での見せしめになるから、けっこうなことじゃないの」 そんなことまで言うお調子者もあらわれた。そして、「星川早紀なども怪しい」とまでつづけた。 「なにをバカなっ。あの子はこれまで川村先生を告発してきた立場ですよ」 「ちがうんじゃないの? それがなんらかの経緯で仲たがいし、それで反対派をきどることになったとか。なにせ、前科が前科だから、あの子の正義派気取りは信じられないですよ」 「!」 福原が切れた。持っていた学籍簿で机をたたき、2人をにらみつけると、すごい勢いで自分の教室へと、とって返した。 そんなことも知らず、美鈴はとなりで女の生活指導員と1対1で向き合っていた。 「もう、なんのことかわかるでしょうけど、あなたも保健室に呼ばれたことあったわね」 地区体育大会の予行演習の日、グランドの皆から離れて保健室に呼ばれ、そこでみどりから受けた体験を思い出し、腰から下をもじもじさせていた。 それでなくとも電気責めの後遺症か、あれから1か月の余が経つというのに、性器にビリビリという刺激感覚がよみがえり、股間がしとしとすることだってあるのだ。 美鈴は、あくまでシラを切りとおした。 「そう。なにもされなかったのね。じゃ、これ見てくれる?」 女性教員は机の下のダンボール箱に手を伸ばすと、重そうに取りだして見せた。かかえて持たねばならないほど大きなそれは小学生の背丈ほどある熊の縫いぐるみで、そのうえにぽんと真っ赤な髪のカツラまで乗せたのを見て、美鈴は「あっ!」と声にだしておどろいた。 みどりに保健室で辱められたとき、横のベッドで先にきて寝ている誰かと思わされたのは、じつは人でもなんでもなかったのだ。 「知ってるのね?」 「いえ、そんなの見たこともありません。ほんとにわたしは川村先生とは無関係です!」 あくまでも頑強に否定しとおしたのだった。 その夜、美鈴は夢を見た。 警察に呼ばれて事情聴取を受けているのだった。制服の婦警が尋問し、美鈴は首を振って否定する。昼間の生活指導主任の事情聴取とまったくおなじだった。 「しかたないわね。では検査しましょ」 女刑事は立って、美鈴にそばのベッドに上がるよう促したが、その前に脱衣を命じた。 「下着も取ってハダカになるの」 「えっ?」 「早くしなさいっ」 そのとき怒った婦警の顔が、みどりに見えた。 美鈴はしかたなく服を脱いだ。紺一色で、ふだんから「ダサイ」とバカにしているK中制服を脱ぎ、シュミーズを脱ぎ、ブラをはずし、パンティを下ろして全裸になるまで、みどりそっくりの制服婦警はじっと見つめていた。 「そこで寝て待ってなさい」 ベッドに上がって横になっていると、後ろ向きになった婦警が部屋のすみで、なにか準備している風だった。カチャカチャ音をさせて、しきりと手を動かして操作している。すこし動いて別の道具を取ろうとしたとき、身体の陰に四角いものが見えた。 「あれは……!」 四角くて黒くて、つまみがいくつも付いて、コードが何本もでていて、数字と目盛りを刻んだ扇形のメーターもいくつかついている……思い出すのも怖ろしい電気責め装置だった。 うしろを振り返った婦警が、まっすぐ美鈴に目を向けてニタリと笑ったが、真っ赤な口は耳まで裂けているようにも見えた。 「美鈴ちゃん、さあ、なにもかもしゃべる気になったぁー?」 悪魔の顔がみるみる迫ってきたとき、美鈴は汗びっしょりになって目が覚めた。 そんなイヤな夢を、もう何度となく見ていた。夢にでてくる女はどれもみどりに似て、ただ、かっこうは医者だったり軍人だったり、こんどのように婦警だったりするが、服を脱がされ、電気責め装置を見せられるまではおなじで、ただ、いつも寸前で目覚めるから拷問される状況までにはいたらなかった。 そのような不安定な精神状態のまま、美鈴は気持ちのやり場に困っていた。親はもちろんのこと、親友の小山内京子にだって話せる内容ではなかった。 この問題でいちばんの相談相手は早紀しかいないが、中3の2学期といえば受験をひかえた時期。それを学業だけでなく、みどり一派への追究にも早紀は相変わらず忙しそうだった。 「早紀ちゃん、ってばぁ」 授業時間の合間や登下校の途中をつかまえ、2人だけのデートを申し込んでも「ゴメン、いま忙しいから」と、すげなく断られる。それは美鈴にとって、とてもさびしいことだった。 美鈴に月1回の外来検診の日がめぐってきた。 吉田医院で順番を待つあいだも、ぼんやり考えごとをしていたが、看護婦に呼ばれ、診察室でヤギ先生こと院長の吉田と向かい合った美鈴は、問診のあとでこう述べられた。 「どうだね。変わりないようなら、もう月1回の診察も必要ないと思うが」 「えっ!? じゃあ、川村先生が辞められたことで……」 美鈴は思わずそうつぶやいてしまったが、 「なにを言ってるんだね。そんなこととは関係ないよ。君はもう、どこも悪くないんだ」 吉田はあくまで穏やかな顔で笑って言った。 春にグランドで倒れ、検査で腎臓に軽い異常が認められたことから、吉田医院で月1回の定期検診を受けてきた。それも川村みどりの紹介だったので、吉田に診察中止を言い渡されたことまで関連づけたのだった。 「先生と川村先生はどんなご関係なんですか?」 ノドから出かかった質問を呑み込み、吉田医院のあるビルをでると通りの向こうのバーガーショップにはいった。 「こっちこっち」 広い店内の奥から京子が手を高く挙げた。 「もう来なくていいんだ? 良かったね」 診察結果を聞いた京子までが喜んでくれた。 「でも、川村先生、どうしたんだろ」 「あんなの先生じゃないよ。悪魔だっ」 怖い顔で反応した京子に、美鈴は「おや?」と思った。早紀とおなじ口ぶりだったからだ。それで早紀の近況を訊いたが、京子とて早紀のことはなにも知らないと答えた。 性的な悩みを打ち明けるわけにもいかず、話題はこの時期、自然と受験のことに触れ、将来のことにまでおよんだ。 「京子ちゃんはどこ受けるの?」 そう訊いたら、表情を輝かせて夢を語った。 「わたし、声優になろうと思ってるの」 「ええっ!?」 意外な返答に美鈴が大きな目をさらに大きく見開いておどろきを隠せなかった。 「役者になりたいとも思ったけど、すずちゃんや早紀ちゃんみたく可愛くも、きれいでもないからね。 あ、声優が皆ブスというわけじゃないよ」 自分の発言が誤解を招かないよう、わざわざフォローを忘れないところが京子らしかった。 「そんなことないよ。京子ちゃん可愛いいよ」 美鈴もフォローしたが、それにしても引っ込み思案かと思っていた京子が芝居のプロを目指すという進路表明にはおどろいた。 「すずちゃんはどこ受けるの?」 京子が逆に訊いてきたが、投げやりに「どこでもいいよ」と答えた美鈴に、したり顔で意地悪にこんなことを言う。 「ははぁん、そうか。早紀ちゃんが行くところなら、どこでもいいか。そういうことか」 それがイヤらしそうに響いて美鈴は強く否定したが、そのわりには早紀恋しさの感情は隠せず、二言三言会話するうち、 「あー、早紀ちゃんに会いたいなあー」 遠くを見つめて、ぼそりとつぶやいた。 と、京子が急に怖い顔になったのに気づいた。 「どうしたの?」 「うん。たぶん気のせいだと思うけど、さっきからどこかから見張られてるような気がして」 あたりを見まわしたが、店内は美鈴らのような子もふくめて若い子ばかりで、京子が心配するような中年のスケベ顔は一人もいなかった。 「京子ちゃん、心配性だなー」 美鈴は笑った。 数日後、早紀とデートの約束が取れ、おなじバーガーショップで落ち合うことになった。 「2人だけになれる場所、見つけたよ」 電話でいわれたときは天にも昇る気がした。 「どこどこ」と勢い込んで訊くが、それは会ったときにとはぐらかされた。ただ住所がその店とも早紀の家とも美鈴の家とも均等の距離で、吉田医院での診察で偶然、京子ともいっしょしたという縁起を含んで選んだことだ。 日にちを約束して電話を切るまぎわ、早紀がしみじみとなって、こんなことを言った。 「美鈴ちゃん、ほんとうの恋をしなさいね、素敵な彼氏を見つけて。そうしたら、みどりのような悪い女にひっかかることもないんだから」 「え?」 訊き返す美鈴に、「とにかく会ったときに」そう言って電話は切れた。 変だなあと思いつつ、それとは別の気になることでそばにいる母を呼んで尋ねた。。 「お母さん、このあいだっから電話おかしいね。ずいぶん変な雑音がはいるよ」と。 実はみどり一派の兇悪のキバが、いよいよこのころ美鈴の間近にも迫っていたのである。 美鈴が待ちに待った早紀とのデートは、11月最後の土曜日。その日はあいにく朝から雨だった。だが、天気が悪くて気が滅入ったこと以外、美鈴に予感めいたものはなにもなかった。 約束の時間、早紀はあらわれず、2時間待っても3時間待っても美鈴が待つバーガーショップに姿を見せることはなかった。 帰ってN町にある早紀宅に電話しても母親は不在を告げるだけ。デートの約束は2人だけの秘密なのでそれ以上なにも訊けず、不安な面もちで迎えた夜、一時あがった雨がまた降り出し、ときおり雷鳴さえ轟く大嵐となった。 「早紀ちゃん、どうしたんだろ……」 勉強部屋兼自室の2階窓から大荒れの空を見上げつつ、美鈴の胸は初めて不吉な予感に締めつけられた。 その日を境に早紀は失踪し、1日たっても2日たっても家にもどこにも連絡はなく、杳として行方をくらましたのである。 |
| 「きっと川村先生にちがいないっ!」 早紀の失踪で美鈴が直感したのも、それだった。だが証拠もないうえに、かんじんの警察がグルだという早紀の主張を聞いていたのではどうすることもできなかった。 家が大変なのはわかるが、ここはやはり拓也に相談するしかない。そう思って電話した。ところが拓也は早紀が失踪した日からずっと居留守をつかっていた。 「出なくていいのか? せっかく美鈴ちゃんがかけてきたのに」 父から言われるまでもないが出るわけにはいかなかった。 「おまえ、逃げまわってるみたいだぞ」 ドキリとすることを言って、また出じたくをととのえた。 「世話になったところへの挨拶回りだ。 それにしても、こんどばかりは本当に助かったよ。かならず紹介しろよ、そのきとくな友だちのお父さんとやらを」 そう言って、いそいそと出かけた。 「あーっ」と、そのあと拓也は壁に頭を打ちつけて思い悩んだ。 (家を救えるなら、美鈴ちゃんの心を奪った早紀ちゃんがすこしくらいヤケドしたって……) そう思って引き受けた背信行為が、取り返しのつかない結果を招いたのではないだろうか。 3日前の土曜、早紀宅を訪問したとき一時雨も止んでいた。彼女が在宅なのは〈その筋の者〉が確かめてある。ただ、そんな裏の複雑な事情までは知らない。拓也にすれば取引の一環として、軽い気持ちで〈用を勤めた〉だけだった。 「これから、美鈴ちゃんと会うんだけど」 早紀は案の定困った顔をしたが、 「その美鈴ちゃんから頼まれたんだ。予定が変わった。会うまえに、どうしても見せたいものがあるから、ある場所まで来て欲しいと」 取引相手の指示どおりのことを行って早紀を騙したのである。 早紀はその日めかしこんでいた。ふだんは男子のようなかっこうで制服以外スカートをはいたことのない早紀が、めずらしく脚を見せていた。拓也にはそれも気にいらず、まだこの時点ではなんら罪の意識を感じてなかった。 バスに乗って指示されたバス停が近づくにつれ、早紀の顔が緊張で青ざめた。 「拓也君もいっしょでしょ? それと、たしかに落ち合う場所は外なのよね」 「うん。美鈴ちゃんも来ていることだし」 ふだんどおりの明るさを装って応えた。 バス停近くの花屋まえというのが、「早紀を連れて来い」と指示された場所であり、この近くに川村邸があることは拓也も早紀も知っていた。ただ、昼間の屋外だから、めったなことはないと踏んだのが早紀の油断だった。 町の雰囲気が妙に変だった。 花屋もタバコ屋も店は開いていたが、なぜか人の影がまったくない。戸を開けていながら戸を立てている、そんな雰囲気だった。 「拓也君、あなた……」 早紀が、はじめて拓也を疑惑の目で見た。 「美鈴ちゃん、どうしたのかな」 所在なげにあたりをうろついたりもしたが、 「だましたのねっ!」 早紀の激怒した顔にたじろぎ数メートル走って逃げたとき、物陰から屈強なヤクザ風の男たちが4人、5人と出て早紀を囲んだ。 悲鳴があがった。 目を見開いて驚愕する早紀を2、3人が両側から、がんじがらめに取り押さえた。 「誰かーっ! 警察を呼んでっ! 誰かっ、助けてくださーいっ!!」 ほとんど絶叫に近い声で救いを求めたにもかかわらず、タバコ屋にも花屋にも、どの家の軒先にも窓にも人の影がさすことはなかった。 「早紀ちゃんっ」 最後に振り返ったとき、早紀は男の手のなかでぐったりとしていた。めくれたスカートのすそから伸びて、だらんと折れ曲がった脚の白さが拓也の目にまぶしく映った。 間もなく路地の陰からでてきた7人乗りミニバンが、失神した早紀を乗せ暴漢を乗せ、いずこへともなく走り去って行った。 その夜のこと――。 がらんとした地下倉庫の一室。ときおり遠くで雷鳴とも、ジェット機の爆音ともとれる音がしていた。 早紀は半裸でコンクリートの床に敷いたマットの上に寝かされていた。まだ麻酔は醒めていないようだった。 床にはバーナー式ガスストーブが、金網越しに燃えさかる炎を赤々と見せていた。セーターとブラジャー、パンティが無雑作に放られてある。そして手のとどくところには医具などもならべられてあった。 早紀は横を向いた顔のそばに両手を上げさせられ、脚をわずかに開いていた。スカートはめくれ、ブラウスの胸もはだけ、形のいい微乳やデルタを描く股間も無防備状態だ。 どれほど弄ばれたことだろう。 すでにドクターハンドのみどりの手は、ぐっしょりと濡れきっており、濡れた指がたっぷりと乳首の感触を愉しんだあと、めくれたスカートの裾から伸びる下半身へと向かった。そしてまっすぐの脚を折って観音開きにし、股間を丸見え状態にした。 性器にからみついた陰毛も、べっとりと張りついている。ぬるぬるの指が、濡れそぼって光るラビアを乱暴に剥きあげた。 わずかなびらんと、わずかな黒ずみを見せる肉襞はパックリと開かされ、秘孔の奥にのぞく複雑なシワを刻んでうねる赤い膣壁は、じとじとと濡れて淫猥なかがやきを見せている。 人差し指と中指を挿入させてえぐり回したとき、それまですーすー寝息をたてていた早紀が、「うん、うー」と呻いて首を動かしかけた。 ゆっくりとひねり、力をこめてえぐって指が引き抜かれた。たっぷりと中をかき回した2本指は、根本まで早紀の愛蜜でぐっしょりと濡れそぼっていた。 手を伸ばし、懐中電灯といっしょに鈍色(にびいろ)に輝く、よく使い古されたような大型内視鏡を取る。いわゆるアヒル口だが、ずいぶんと大型に見えるそれを、いきなり割れ目にあてがって深々と挿入した。 「うーっ」 首が大きく振れて、こんどははっきりとした呻き声が洩れた。 懐中電灯で局部を照らしておいて膣鏡の取っ手に力をくわえた。アヒル口の先が四方向に分かれた。二方向に拡がるものとちがって、これはかなりな拡張率で、ぽっかり空洞になった膣奥に、イカの吸い口のような子宮孔の子宮が、もうこれ以上ないほど良く見わたせた。 「あぁ、うーん」 ゆっくり前を向いた早紀が、意識の薄れたまま苦悶の表情をして、弱々しく反応した。 みどりは、まだなにかするつもりだ。 全開状態でネジをしぼって固定し、中で開いて抜けようのない膣鏡をそのままにしておき、片手で懐中電灯をかまえ、もう片方の手に鉗子を取った。形はハサミに似たその先をばっくり開いた膣奥に差しいれ、子宮孔に突き立て、力を込めて押し込んだ。 「ううっ、ううーっ!」 むごたらしい所業のあまり意識を取りもどしかけた早紀が、首だけでなく上半身も弱々しくくねらせて暴れた。だが、みどりは歯牙にもかけない。鉗子の先で突きまわし、捻りまわし、2、3分もなぶりつづけただろうか。ゆっくりと医具の先を子宮からも膣からも抜き出した。 「ふぅー」と、ため息をついたような声を洩らしてぐったりする早紀をしり目に、子宮を責めなぶったばかりのハサミ状の医具の先を明かりに照らしてじっと見入った。 そろそろ頃合いと見て神谷が近づいた。足音に気づいてみどりが振り返った。 「お目当てのホクロはあったかね」 わざとずらした訊きかたをしたのに、 「ホクロどころか、この子は寝ている状態でも濡れまくったわよ」 悪びれもせず言ってのけ、白く粘った体液でぬるぬるになった鉗子の先をうっとりとながめ、頬ずりさえしかねない表情をした。 鉗子を床に置いた。 みどりは早紀の腰の下に手を入れ、スカートを脱がせ、ブラウスも残りのボタン全部をはずし、片袖ずつ腕を抜いて脱がしていった。 斜めにひねられた身体をちゃんと元に向けなおすと、早紀は両手を左右に広げて、ちょうど十字架に架けられたかっこうの全裸になった。足先をつまみあげて、こう言った。 「どう、全部の指が均等に長いでしょ? 引き締まった身体といい、この子典型的なバレリーナ体型よ」 安らかな寝息を立てて乳房を息づかせている胸と、愛液に張りつく陰毛の股間を交互に見くらべ、瞳をぎらぎら輝かせてつぶやいた。 「このまま手術台に縛りつけ、切り刻みたい」 「おいおい、そんな物騒なこと言うなよ。 さ、もういいだろ。あとはこちらでいただくよ。連中が首を長くして待ってるだろうから」 みどりに呼びに行くよう頼むと早紀の背中の下に手を回して起こしにかかった。みどりがなにか言いかけたが、目顔でとりなした。 「ツボを押して気付けをするのさ。柔道をやる身には朝飯前の芸当だよ」 そう言って前と後ろではさんだ神谷の手が背中を押したとき、「うっ」と唸った上体がわずかにのけぞり、早紀の顔に生気がさした。茫乎として薄目を開け、ゆっくりと吾に返った。 「きゃああああーっ!」 地下倉庫に早紀の叫び声が反響した。 まだ、薄ぼんやりとしていた意識の闇を強烈に覚醒したもの、それは隆々たる脈打ちを見せて目の前に突きつけられた猛根だった。レイプの順番を待ちきれない男が、ズボンを下ろして早くも自慢の一物を出しているのだ。 周りにはほかにも屈強な男が4人、飢えたオオカミの眼で、神谷に捕らえられたままの早紀を見おろしていた。 「やだあーっ!」 狂ったようにわめいて烈しく暴れようとしたので、神谷が応援を求めた。 「押さえろ」 男たちが早紀を押さえた。 「まず、右腕」 神谷は裸の早紀のうえに屈むと、ほっそりとしなやかな手を掴まえ、肩や肘といったところを妙な形でひねっていった。と、ボキッ、ボキボキッ――異様な音をたてて、同時に早紀が、けたたましい悲鳴を発して白目を剥いた。 「こんどは左だ」 反対側にまわって同様にひねった。 「ぎゃああっ!」 また、悲鳴。 「もう手を放していいぞ」 と、まず神谷が早紀から離れ、男たちも手を引き、マットのうえに棒のようにのびている早紀だけ取り残された。 「さあ、早紀、その身体で逃げてみろ。この部屋をでて1階まで逃げられたら解放してやる」 「う、うう……」 そのときになって早紀は両腕の関節をはずされたことを覚った。ただ、脚は無事だ。そのことに気づくと、手の利かないことで少しバランスをくずしたものの、脚だけで立ち上がった。 ドアは半開きになっている。それへと突き進んだ。すっ裸で走る早紀の肩から下が、支えをなくした木偶(でく)人形のようにブラブラ揺れた。 「おー、いい格好だ。行け行け」 神谷の嘲りにどっと笑いが起こり、その笑い声といっしょに男たちが追いかけた。 ドアの向こうは暗がりの通路で行く手は上り階段が通ずるのみ。そこを裸足で駆け上がる。だが上まで登りきるとシャッターが阻んだ。 「?」 ふと、足下に明かりが射しているのに気づく。シャッターは完全に閉じられてはおらず、開ければ開けられるということだ。 身体を思いきり低くした。「うーん」と声にも出して身体を回転させ、その反動でブラブラの手の先をシャッターに打ちつけ、手の先を端に引っかけて握った。そしてまた背を伸ばして身体で引っぱりあげようとしたところ、 「あ、あーっ!」 激痛に襲われ、なすすべもなくぐったりくずれ込んだ。そして宙を見上げてまた叫び、ガンガンガンッ……虚しく頭を打ちつける早紀の目からは、絶望の涙があふれ落ちた。 男たちが早紀に駆け寄った。2人がかりで足をつかまえ、引きたおし、そのままずるずると階段を引きずって連れ帰り、マットのうえに引きもどした。 「さあ、小生意気な小娘を、たっぷりと小突いてやれ。誰が最初だ? 足だけはしっかり押さえろよ。油断すると金玉を蹴られるぞ」 神谷のそのことばを合図に、男たちがわっとばかり早紀に群がった。 脚が開かれ、股間がむしられた。 「ひいーっ!」 性器が剥かれ、乱暴に押し入る指が、クリトリスをひねりあげ、膣孔をこじり開けた。手が開口器になって割れ目を押しひろげ、そこに猛り狂ったペニスが一気に突き入れられた。 「ぎゃあああっ!」 悲鳴を発しながら、白い裸身の上半身が大きくくねった。木偶と化した2本の腕をぶら下げたまま、腰から上が烈しくのたうちまわり、のけぞりまくった。 「さあ、よがれっ。声をあげろっ」 「いやあーっ!」 女体を沈めたマットをぎしぎしいわせる、リズミカルな音の連続、ピストン運動のくり返し。ほとんどセックスマシーンと化した男の欲望の猛根に小突かれ、犯され、悲痛な悲鳴をあげつづけた。 早紀へのレイプはつづけられていた。 マットがこすれて揺れる音。小突かれ、犯され、攻め立てられる早紀のすすり泣くような呻き声。それにまじって、レイプとは別の物音がして、みどりも神谷もそのほうを見た。 じつはこの時、残虐な凌辱が延々繰り広げられている地下倉庫には、部屋の隅に積み重ねた荷物の陰に、もう一人別の囚われ人がいたのである。それを知ってて2人はそのほうに目を向けたのだが、別段気にする風もなく、またレイプのほうに気持ちを集中した。 「さあ、早紀ぃ。泣いてみろ」 「早紀ちゃん。おねんねはまだよ」 「この淫売のクソ尼の早紀めがぁーっ」 男たちは代わるがわる、ありったけのからかい、嘲りを浴びせた。その間、間断なく猛根によるレイプ地獄は延長されていた。 一人が登りつめ、達すると間髪いれずつぎの男に引き継がれ、早紀の蜜壺は猛り狂った肉棒でぱんぱんにふさがれ、全開状態のまま無残に蹂躙されまくった。 「ほら、俺さまのチンポも食らえっ」 「お、お、ガマンできねっ!」 そう言って乳房やわきの下にペニスを押しつけ、それで達した男のザーメンが、したたか早紀の顔に浴びせかけられた。 「うげっ、きゃああーっ!」 そのたびにむせたり、嘔吐したりして、ピストン運動に反応する悲鳴とは別の悲鳴、叫びをあげて身をよじって悶える。 膝を折って左右に開かれた細脚は早紀の苦悶にあわせ、ふくらはぎ、腿といったところに硬直のすじをぴくぴくと浮き立たせた。みどりが「バレリーナ体型」と呼んでうっとりした、長く伸びた指先がぶるぶると震えつつコンクリートの床を踏みしめた。 「う、おおっ!」 獣の咆哮とともに男が果てた。 早紀は体内深く欲望のほとばしりを浴び、白目を剥いた。ぐったりして汗みどろの裸身から男が離れた。一物が抜かれたその部分は、汗と体液にまじって、おびただしい男の白濁した噴出液によってぐしゃぐしゃだった。 満足そうな男たちの顔を見くらべ、レイプが一巡したことを確かめた神谷が、いよいよ自分の番だとばかりベルトをはずしてズボンを下ろした。 「おっ、すげえっ」 「まるでコーラ瓶だぜ」 男たちが神谷の獲物を見て感嘆の声をあげた。 ぐったりしていた早紀もそれに気づき、みるみる血相変えて驚愕の表情になった。 「いやあーっ!!」 目を見開いてめちゃくちゃに首を振った。 神谷が手のひらをひるがえし、うつぶせにするようにとの指示に受け取ったヤクザ男2人が、早紀の身体を反転させた。そしてマットに膝をつかせて、ヒップを上向けさせて性器も股間も丸見えのかっこうにした。 「いやっ、いやいやっ」 「……………」 神谷は無言のまま、一物を握って早紀の腰の前に膝をついた。 一時、ザーメンまみれの割れ目にいきり立ったペニスを触れさせ、そのまま突くと見せてそうせず、まんべんなくこすり合わせて滑りを良くしたぬるぬる状態にした。そして、尻をつかんで押し上げ、アヌス穴をひねり出した。 それまでずっと黙っていたみどりが、呆れた顔で不満を述べた。 「おやおや。そんなもので先にやられた日には、たまんないわね。梨沙とインガを呼んで、女だけの愉しみにするつもりだったのに」 神谷が無言のまま一物をアヌス穴にあてがい、固くて熱い感触でうしろを犯されると知った早紀が、とたんに烈しく身をよじった。男たちがその早紀を押さえつけた。 「そこに下着やなにかあるでしょ。丸めて口に詰めて。舌でも噛まれたらことだから」 みどりに言いつけられて、男の一人が床に脱ぎすててあるブラジャーを丸めて口に詰めた。首を振ってもがいているところへ、神谷は腰を沈めにかかった。 「うぐぐぅっ!」 尻を突き出し、関節をはずされた腕をブラブラさせたまま烈しく身をよじり、背中をくねらせる早紀。神谷の猛根が無理矢理挿入を開始する。引き裂かれる激痛に、丸めた下着でふさがれた口からくぐもった悲鳴を洩らしている。 「ほとんど拷問だわ」 みどりがタバコをふかしながらほくそ笑んだ。 神谷の腰が大きく沈んだとき、 「うぎゃああっ!!」 すざまじい絶叫が響きわたって、大きくのけぞった早紀の顔が目を見開いてぶるぶると震えた。 横から見る早紀のアヌスが、6、7センチ直径にまで広がったように見えたとき、神谷が腰を烈しくピストン運動させた。 「ぎゃっ、ぎゃあああーっ……!!」 地下倉庫に悲痛な絶叫が長く尾を引いて響きわたった。 |
| 早紀の失踪から3日後、地元K警察に急報がもたらされた。 「捜索願がでていた行方不明女性が海浜公園近くで発見?……うん、うんうん……7人乗りミニバンが運んできて、道路に投げ出したまま車は立ち去った。それで、生きてるのかっ!?」 電話を受けた署員は色めき立った。早紀と勘違いしたからだが、実はもっと以前に東京から休暇で里帰りしていたAV女優が行方不明になり、3日前に専属プロから捜索願がだされていたのだ。車で運ばれ、道路に投げ出されのは、そのAV女優とわかった。 女性は意外に元気で、女刑事による質問にもはきはきと答えた。 男たちはヤクザ風だが、顔は見てないという。 「夜、海浜公園を歩いていて、突然車に行く手をさえぎられ、クロロホルムをかがされて意識を失いました。気がついたら縛られていて、物置ようの部屋の冷たい床に転がされてました」 複数の足音がして、女性はとっさに床に顔を伏せた。そして『目かくしをしてっ』と頼んだという。下卑た口調から犯されるのは必至で、ならばせめて殺されないよう、そのため男たちの顔を見ないでおこうとの判断だった。 女優は目かくしされ、麻薬のようなものを注射されて5回犯されたあと、〈当て身〉で再び昏倒させられた。このときの「当て身」という点に女刑事は着目した。犯人の一人は柔道かなにか、武術に通じている者ではないかと。 AV女優がふたたび目覚めたとき、なぜか目かくしは目からズレて、積み荷の陰から早紀レイプの現場が見えた。怖かったが、おなじレイプ被害者への関心が優先して見ていたという。 「遠くで雷の音といっしょに、ジェット機が飛んでいるような音も。そんななかでした」 少女の絶叫。驚愕する顔。左右に膝を曲げて伸び、男たちの手におさえられ、ぶるぶる震えながら硬直の筋を浮き立たせる腿やふくらはぎ、そして床を踏みしめる爪先……女優の脳裏に忌まわしい現場がありありとよみがえった。 その身体が反転させられ、尻を高く突き出させられたと見えたとき、さらに烈しい絶叫とともに、内股を伝って、ぽたぽたと床にしたたり落ちる鮮血――。 「それはもう酷い成り行きで……」 すき間から見えたのは早紀の身体だけで、犯している男の顔や風体は、その位置からは見えなかった。ただ、低い位置で犯されている女性の表情、苦しみようはハッキリ見えたから、捜索願といっしょに出された写真に目をとおし、女優は早紀その人と確認したのだった。 「そういえば肩から下がだらんとしてて、あの子、両手が不自由だったのかなあ……」 新たに思い出して、つぶやいた。 美鈴も呼ばれた。 「本来なら男の刑事さんが担当なんだけど、あなた女の子だし、まだ中学生だし、女性のわたしが質問します。刑事だなんて思わず、となりのお姉さんくらいの気持ちで気楽に答えてね」 美人の女性刑事に気さくにふるまわれ、ふだんならニコニコとお愛想のひとつも返すべきところ、そうはいかない。早紀の無事が確認されるまでは、それこそ好きなジュースも、音楽CDの鑑賞も断つくらいの気持ちだった。 「早紀ちゃん、どこも不自由じゃありませんよ。 え? 手、どうかされたんですか!?」 さすがにレイプされたとは言えず、手のことも適当にボカして語った。美鈴は美鈴で早紀とみどり先生について話すことは山ほどあったが、恥ずかしいことだし「神谷」という刑事を意識して、自然と口は重くなった。 そうして2人のやりとりは平行線をたどり、すこしも発展性が見られなかったが、それでも当日のことで美鈴と、その周囲が誤解、曲解したままだった事実がひとつ明らかになった。 「梶君がわたしのことで早紀ちゃんを迎えにきたって? そんなこと全然知りませんでしたよ。だって、早紀ちゃんのお母さんにだって、なにも聞いてませんし……」 母親は母親で娘への呼びだしは、美鈴と拓也を入れた3人同士の連絡の一環で、まさか失踪の直接原因にクラスメートで、しかも美鈴が親しくしている拓也が関係しているなど、露ほども思わなかったのである。 美鈴は、いまにも飛んで帰りたい気持ちを懸命に抑えた。そして、逆に女刑事に訊いた。 「ここには神谷さんという刑事もいるんですよね? もし、いるなら会わせてくれませんか?」 うんと険しい顔つきになって訊いた。 神谷なら、きっとなにか知ってるはず。とぼけるなら対決してやる。「もう、どうなってもいい」と、半分やけっぱちな気持ちだった。 「神谷刑事は、今日ここには……」 女刑事は気のせいか、どぎまぎして見えた。だが、拓也のことでいっぱいの美鈴はあえて追及せず、聴取が終わるとすぐ飛んで帰った。 拓也は留守だった。というより、すでに彼は家を出て、この町にさえいなかった。 女刑事は神谷に聴取の結果を報告した。 「暴漢のうち何人かは、レイプの間中たしかに〈早紀〉と呼んだり、股間の特徴である〈ホクロ〉のことも面白おかしくしゃべったと……」 そう勢い込んで、早紀捜索に全力を挙げるよう上司への進言を提案した。だが神谷は、女と見てか新米と見てか、あまり真剣には取り合わなかった。女刑事はひるまずつづけた。 「彼女が監禁されたのはジェット機が頻繁に飛来する場所、となると自衛隊関連施設の近くと考えてもいいわけで、K市から車で30分くらいのところに航空自衛隊C基地があり……」 女刑事の熱弁にも、神谷はまるで取りあおうともしなかった。 「麻薬打たれて半分ラリってたんだ。第一、当夜は大嵐で雷も鳴ってたんだぜ。おおかた雷の音をジェットの音と聞きまちがえたんだろ」 「いえ、彼女はしっかりしてました。それに雷と航空機、両方の音が聞こえたとハッキリ主張してるんです。男たちに何度も犯されながら、あれだけ毅然と答えられるなんて……」 女刑事は感嘆したが、神谷は一笑に付した。 「AV女優だっていうじゃないか。なら、しっかりしてるだろうよ。金のため、裸だろうが本番だろうがやる女だ。男にレイプされるくらい屁でもないだろう。そんな淫売女の言うことを真に受けるとろくなことはないぞ」 女刑事はムッとしたが、反発して言い返す代わりに、美鈴が神谷の名前を知っていたことを伝えて、それとなく反応をうかがったのだが、 「ああ。あの子の親友の早紀という娘を別件で事情調書したからな。あることないこと美鈴という子の耳に入れ、それを鵜呑みにしての反発だろう。だが、当の早紀自体とんだタマでな。民主教育だか放任主義だか知らんが、近ごろはあんなガキばかり育ってイヤになるっ」 吐き捨てるように言って顔をそむけたが、その際、神谷は一瞬の流し目で女刑事のスカートの裾から伸びるストッキングの脚をしっかりと脳裏に焼きつけた。 (なかなかの女だ。こいつもなんとかモノにできる日がくるものかどうか……) ほくそ笑んで、3日前好き放題いたぶった15歳と11か月の少女の肉の感触を思い出していた。 あの日の真夜中――。 「うぎゃあああーっ!!」 地下倉庫では、早紀の絶叫が耳をつんざくすさまじさで響きわたっていた。 マットもはずされ、骨組みだけのベッドに全裸で縛りつけられ、早紀は性器に電流を流され、全身をけいれんさせて激痛にのたうち回った。 ヤクザどもを去らせたあとの密室には、遅れて着いた梨沙、謎の白人女イングリッド・パーカー、それにみどりをくわえた兇悪女三羽ガラスが雁首をそろえ、早紀の拷問に熱中していたのだった。 イングリッドの手でスイッチが切られた。 それまで痙攣とのけぞりをくり返していた汗みどろの白い裸身が、がっくりと力を失って死んだようになった。 ふたたびスイッチが入れられた。 「ひ、ぎゃああああーっ!!」 目を剥いて卒倒する早紀。 けいれんする全身が硬直し、細く伸びた四肢の二の腕、腿、ふくらはぎといったところの筋を際だたせて、めいめい勝手な方向にねじれたり、ひしゃげたりしていた。 10秒、20秒…… 神谷を入れた他の3人は身じろぎもせず突っ立って、絶叫をあげてのたうちまわる早紀の苦悶を見物する側にまわっていた。 三たび、スイッチが切られ、四たびスイッチが入れられ、そのたびに早紀の身体は死んだようになったり、悲鳴をあげて飛び上がったり、けいれんしたりをくり返した。 「ぎゃっ、ぎゃううっ、あああーっ!!」 のけぞり、のたうちまわり、ベッドが音を立てて烈しく揺れた。 1分……2分。こんどはなかなかスイッチが切られなかった。血を吐くような絶叫は電気が流れている間中、全身けいれんをくり返しながら絶えることはなかった。 3分……4分……スイッチを操作するのはひたすらイングリッドだった。腕時計の秒針を見つめながら時を数えていた。 「ぎゃあああああああーっ!!」 顔をいっぱいにゆがめて泣き叫ぶ早紀を、イングリッドはうっとりしてながめた。 強烈な電気責めが5分以上もつづき、その間に早紀の悲鳴は心なしか弱まっているようにも感じられた。苦悶にのたうつ身体の暴れ方も小さくなったように思えた。 10分たって、ようやくスイッチが切られたとき、イングリッドに代わって梨沙が早紀のまえにかがんだ。股間の電極をすべて取りのぞくと、手で激しくなぶっていたが、 「もう、セックスもできない体になったと思ったが、まだまだ女としての使い道はあるようね。だったら、もうしばらく楽しませてもらうとしようか」 そういってケタケタと笑った。 滑車の回る音がからからからと響き、大股開きにされた両脚が、爪先を天井に向けてゆっくりと吊られていった。 ざんばら髪がコンクリートの床すれすれに浮いたところで滑車が止められた。 何人もの男に犯され、そのうえ電気ショックで性感覚をズタズタに引き裂かれ、幽鬼のような形相になった早紀は、もはやきのうまでの早紀ではなかった。 梨沙とインガが後ろと前からはさんだ。 陰毛を逆立てたなかからのぞく、肉の割れ目のヴァギナと、固くすぼまった菊門のアヌスにローションをたっぷりとまぶし、まんべんなくぬるぬるにした。 「ぬうっ! うう、あーっ!」 なかなかはいっていかず、早紀が暴れた。 梨沙は右手の肘を左手で支え、体重をかけて一気に押しまくっていた。インガもこぶしの先をとがらせると、気合いを入れて突いた。 「ぎゃあああーっ!」 顔をひきつらせ、首を振って泣き叫ぶ。ロープで吊られた足首からうえが内向きになり、足の甲や爪先を硬直させてぶるぶる震えている。 ヴァギナとアヌスに、ふたつのこぶしがそれぞれ局部を全開させながら、体内に埋められていく。手首だけになった二穴のうち、後門から血がしたたった。神谷の巨根で貫かれた部分が、フィストファックにより、さらに傷口を大きく開いたためだ。 「肘まで貫通させてやる。そうならないうちは解放してあげないからね」 梨沙が面白がって、早紀の苦悶に輪をかけるべく烈しくピストン運動を開始した。それにならってイングリッドの腕もヴァギナをファックし、烈しく出し入れをくり返す。 「殺してっ。ひと思いに殺してーっ!」 早紀の悲痛な叫びが、夜中じゅう朝方まで陰惨として凄絶に響きわたった。 美鈴が「はっ」と目覚めた。 悪夢にうなされたようだが覚えていない。早紀が失踪してからというもの心配で夜も眠れず、代わりに教室や自室の勉強机に向かって、ついうとうととしてしまう。 階段をあがって母の泰子が呼びにきた。 「梶君から電話よ」 「えっ!?」 待ちに待った拓也からの電話と知り、たちまち目がさえた。母のまえをすり抜け、どたどたと足音を騒々しくさせて階段を降り、父信介の叱責を受けたが耳にはいらなかった。 「梶君、帰ってきたのっ!?」 開口一番訊いたが、いつもの拓也らしからぬ、おろおろそわそわ落ち着きのない声が返るばかりだった。 「美鈴ちゃん、ゴメンっ。早紀ちゃんにも取り返しのつかないことをした」 「いったいどうしたのよ。なにがなんだかわからないじゃないのよ。いまどこにいるのっ!?」 美鈴がヒステリックに叫んで訊いたとき、受話器をとおして電車の通過音が聞こえた。 「俺、もうダメだよ。早紀ちゃんにも美鈴ちゃんにも申し訳なくて会わす顔がなくなった。ゴメンね。とにかくいまはなにも言えないから、落ち着いたらあらためて会うことにして……」 拓也の声がさらに落ち着きを失い、それに混じってホームアナウンスの声が聞こえた。 「……2番線ホームに……行き……」 かんじんの部分が雑音で途絶えた。そして、「じゃあね」と最後に拓也の声がして電話は切れた。 「梶君、梶君っ! どうしたの!!」 美鈴は切れた電話に向かって何度も叫びつづけた。 こうして拓也も美鈴のまえからいなくなったのである。 急転直下――。信じられない事態になった。美鈴の周囲がガラガラと音を立てて崩れている、まさにそういった成り行きだった。 |
| 失踪から6日後の12月3日、さらに事態がうごいた。N浦に通ずる道を、早紀らしき人物が歩いていたという目撃情報が寄せられたのだ。N浦といえば、F高生、島崎若菜が飛び降り自殺したN岬の断崖とは目と鼻の距離だ。 小山内京子から知らせを聞き、美鈴は胸騒ぎにおびえきった。 「まちがいないの?」 「例のメッシャキャップをかぶって見られているのよ、早紀ちゃんらしき人影が」 「だってあれはもうかぶってないって……」 美鈴はそう聞いていたし、事実吉田医院で3人会ってからあのキャップをかぶった早紀の姿を見ていなかった。 明けて翌日12月4日、漁協の青年団の協力で、東ノ浜から船をだしての捜索活動が開始されることになり、いてもたってもいられぬ美鈴は土曜ということもあって、朝から浜にでて捜索の一部始終を見守ることにした。 ちょうど一週間まえ、雷鳴混じりの嵐に見舞われた地元K市は、一週間後のこの日もアラレ混じりの雨が降る荒天だった。美鈴は雨をよけて、町会が設置した対策本部のテントの下で待機していた。 「おーい、なにか見つかったかー」 「まだ、なにもー」 遠くで聞く青年団の人の声が妙に間延びして聞こえ、懸命な捜索であるのはわかっていながら、待つ身の気持ちはいらついてしかたなかった。それを知ってか気づかってか、地元商工会議所の男性が美鈴に話しかけた。 「どこかで生きているんじゃないかな。あの子が自分から命を絶つなんてかんがえられない」 「え? おじさん、早紀ちゃんのこと知ってるんですか?」 「ああ、いろいろ調べ歩いていて、ウチの事務所にもよく顔をだしていたから」 早紀の調査範囲はそうとう広範に綿密におこなわれていたようだ。それを良く思わない連中が早紀をどうかしたのだろう。このときには美鈴も早紀の受難の中身を知っており、だからこそみどりへの怒りを燃え立たせていた。 また遠くで声がした。 「おーい。ちょっときてくれー」 「なんだー。なにか見つかったのかー」 美鈴が、俄然緊張して胸をドキドキさせた。 浜に到着した小船から青年団員が一人、テントへと知らせを伝えにきた。 「早紀さんの持ち物らしき帽子とセーターが、崖の途中の灌木にひっかかってて見つかった」 「ウソっ」 美鈴は足がすくんだ。 「岬から飛び込むと、ちょうどあのあたりに遺品が引っかかることになるけど、まさか……」 ワラにもすがり、神仏にも祈る気持ちの美鈴を打ちのめす悲報が間もなくもたらされることになった。 京子が駈けてくる。だんだん近づき、京子の表情がはっきりしだすと、美鈴はあらたな胸騒ぎにとらわれた。 「どうしたの?」 「すずちゃんの家に寄ったの。そしたら、すずちゃんのお母さんが、ポストに早紀ちゃんからの手紙がはいってたって」 そう言ってポシェットから大事そうに一通の封書を取り出し、美鈴に手渡した。 封筒からは便箋が一枚でてきて、それを開いた美鈴の目が点になった。「ウソっ!」と叫んで、便箋を持つ手がふるえた。 「ねえ、なんなの? なにが書いてあるの?」 横でじれる京子の声も耳に入らず、便箋の文字を追う美鈴の視界がだんだんぼやけて、潤んで見えにくくなっていった。 美鈴ちゃん、今日も元気にしてますか? あなたのことは、ずっと心配でした。 いつも、どんなにヤキモキさせられたか。 甘えてふざけて、エッチまでしたよね。 そんな思い出づくり、楽しかった。 そしてこれからも美鈴ちゃんとは一緒です。 どんなに遠く離れても早紀は一緒です。 だからあなたは心強く生きて。 そして、過去などは忘れて下さい。 いつかのアザミの様に逞しく生きるのです。 決して後ろ指差される生き方はしないでね。 もう、黄泉の国へと旅立たねば。 サヨナラを告げる時がきました。 あなたの新しい年が幸せに輝きますように。 素敵な天使が訪れますようにと祈ってます。 遥かオリオン星座の彼方より……。 たとえ、この身が灰になっても。 美鈴ちゃんへ 早紀 それは美鈴に宛てた遺書なのか。だとすると、大好きな早紀は、もうこの世にはいないのか。 「早紀ちゃん……」 轟々と吹きすさぶ風とみぞれと海鳴りの音も耳に入らず、美鈴はただ茫然とたたずむばかりだった。 |