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――わたしと“美鈴”とキャラたちと―― |

| ●メールに誘われ 「美鈴」の第一回目をアップしたのは去年の2月下旬のことですから、あれからもう1年半以上もたっているのですねえ。 ――わたしをモデルに、小説を書いてください。 そのなかで、うんとうんと虐めてください。 これは第一章プロローグの一文ですが、事実もこのとおりでハンドルネームすずちゃんという方からのメールが、「美鈴」立ち上げのそもそもの動機であり、原動力でもありました。 ここからあとはすべてフィクションです。まず、このことをしかと明記しておきます。 小説にいわくホテルで会ったことなどないから、当然プレイなどできるはずもないし、わたしは美鈴のモデル、つまりすずちゃんの写真すらも見ていません。美鈴はあくまで架空の人物です。 ただ、メールのやりとりでいろいろなヒントを得ましたし、アイデアもいただきました。少女篇最終回を書き上げたとき、「すずちゃんなくして『美鈴』の執筆、完成はありえませんでした」というのは、そういう経緯からです。 メールではさまざまな意見交換をしました。そこで子どものときの話もでて、おたがいなつかしい気持ちになるうちには、自然と少女篇のイメージも沸いてきたのです。 そこで、こういう提案をしました。 ――中学生時代から話を発展させるって手はありますよ。 レズSMの世界だったら、保健の先生なんかをSに見たてて、自宅に呼ばれて行ったらSM診察されたってのもいいでしょ。先生にしてみれば、かなりヤバイことだけど、SMの虜にして逃げられないようにするとか(マル)。 ――保健の先生ですね! なんかすごくリアルっぽいですし、昔に戻れる感じがワクワクします。今の中学の子っていいですよね! 制服もブランド物でかわいいですし……わたしの時なんか紺のセーラー服でした。 そこで、お願いですが、14歳と20代を半分ずつがいいです(すずちゃん)。 その結果として、あんなに長くなってしまいました。 ただ、しかし、「美鈴」執筆の伏線はわたし自身の経験にもあったのですね。 昔々ジュニア小説書いて新人賞に応募したことあるんです。それが第一次選考通って、700人くらいの名前(あくまで小さい活字で名前だけ!)のなかにまじってたことあります。でも、そこまででおしまい。 内容なんか忘れましたが、ラスト近くのクライマックスだけはよく憶えています。 少女剣士が木刀持ってヤクザのアジトかどこかに乗り込み――たしか「青春チャンバラ伝」みたいなタイトルでしたが大乱闘演じる。そして、いいところで鎖分銅かなんかからまって危うし! 絶体絶命のピンチ…… おかしいでしょ? だって、これって「美鈴」のなかの早紀そっくりだもん。 そう、あのときはジュニア小説であってSMロリ小説じゃない。だから裸にもできない、責め場も設定できないというわけで、妄想のまま終わった「その後」がいつか書きたいと、潜在願望があったということでしょうね。 ということは変な話で、先に相手役の早紀のイメージが確固としてできていたということになり、そのせいもあってか、はじめのうち美鈴は主人公でありながらずいぶん影が薄かったように思います。 なにはともあれ、こうして「美鈴」は動きだしました。 ●ネット・ロケハン 小説書きのタイプとして、やみくもに空想だけで突っ走るタイプ、あらかじめ取材してプロットも組み立ててからスタートするタイプいろいろですが、わたしは断然後者――。 それに「美鈴」は“性拷問ドキュメント”とうたう以上、時代の温度差といったものも伝えねばなりませんからね。そのためにも、舞台となる年代を設定しなければなりませんでした。 主人公が20代、その子ども時代なら約10年前として1993年、舞台はわたしが佐渡(「サド・マゾのマルが佐渡?」なんていう冗談はこの際ナシね!)ということもあり、海が見えて気候も似ている北陸・金沢と仮定しました。 さ、ここからはインターネット活用術! 日々の立生(たつき)の仕事をかんがえたら、取材やなにかで飛んでくことは無理ですからね。 その年1993年は―― 日本は細川連立内閣成立、アメリカはビル・クリントンが42代大統領に就任、大きな事故や災害は北海道・奥尻などで地震による津波と火事で死者・不明239人……。どうやら舞台となる地で目立つことはなく、独自のストーリーを組み立ててなんの支障もありません。 マピオンで地図を引き出し、さらにこまかく地元のホームページに行って土地の産業・風土を調べあげ、毎日の気温・降水を気象庁の電子閲覧室で検索、季節の花々は金沢近郊の四季の花サイトからゲット、美鈴の学校も組み立ててモデル校から年間行事表も取り寄せました。 なにもそこまでとお思いになるでしょうが、わたしの場合、背景素材は多ければ多いほど作品への思い入れが強くなり、それだけ乗って書けるという傾向があるのです。そして、こういうやり方をしていて、ふと思い出した作家と作品があります。 “社会派巨匠”と冠すべきミステリーの大家でもあります松本清張さんは、新聞社の活版組み仕事しながら『或る「小倉日記」伝』を書いて芥川賞を取りました。そして、本格的長編推理小説『点と線』でベストセラー作家となりました。 この『点と線』は、いまやTVドラマの定番ともいえる列車ミステリーにおける時間差トリック物の傑作でもありますが、ベッド・ディテクティヴ物としても大傑作であるといえます。 というのも地図と列車時刻表を友として、日本全国を空想で旅する病弱の妻が登場するのですが、その緻密な作業を応用して自宅ベッドで完全犯罪を組み立てる――その部分の情景は鬼気迫る迫力でした。 ただ、もしいまのようにインターネットが普及してたら、清張さんの立生の仕事を兼ねた創作ももっと効率よく、犯罪もまたちがった姿になっていたでしょうね。 パソコン画面ながめて構想練ったり舞台設定したりと、わたしはこれをネット・ロケハンと称し、おおいに活用してきました。 美鈴が学校に行くときには、デスクトップにはネットからダウンロードした地元小学校の正面写真が表示され、エッチやSM場面ではイメージの元となる刺激的画像も貼っておきます。 TVドラマからヒントを得ることもあり、バックに流れる山口百恵の「秋桜」からインスパイアされて、美鈴が拓也と初体験するお堂の周り一面にコスモス畠を配置しました。 また、谷村新司の「群青」の歌詞からは、蜜の章のラストシーン、焼け跡の雪のなかから季節忘れのバラ一輪――そんな場面設定もかんがえましたが、これはボツとしました。 美鈴映画化フォルダの“映画化”はふざけすぎですが、そのなかには「もし『美鈴』を画像化するなら、どんな顔をどの役に当てはめるか」とばかり、イメージの女優・男優・アイドルの画像が詰まってるんです。 全部が決まっているわけではありませんが、これもある種コラージュといえるでしょうね。美鈴や早紀に、ある顔やスタイルが固定化され、それが動きだしてSMしたり、アクションしたり、そしてそのバックには歌までが流れている――こんな愉しい作業はまたとありません。わたしは「美鈴」で創作のあらたなる喜びと可能性をも知ったのです。 ●愛すべきキャラたち わたしからみなさんへは、ここまで。 ここでは「美鈴」に登場するキャラの何人かから自己紹介してもらいます。 ではどうぞ。誰からかな? ――はーい。小山内京子です。 少女篇冒頭からでてきたものの、チョイ役ですぐ消えると思ってましたがこんなに息長く、それも重要な役になうことになって……(汗)。 早紀ちゃんのように美人でもないし、スタイルも良くないし、みなさんを楽しませる要素はすくないでしょうが、すずちゃんを助けてこれからもがんばります。ヨロシクね。 あ、そうそう。近く、ちょっといい場面あるそうですよ。なんだか、わたしのほうがすずちゃんより先にゴールインしちゃうことになって――あ、言っちゃいけなかった? ――高嶋裕美です。 わたしは国分佐智子のイメージだそうです。「ラーメン刑事」シリーズのゲストででた女刑事が気に入って、マルさん「これだ!」って思ったそうです。ちなみに、高嶋という名前も関連があって、あのスッゴイ悪の側の川村みどりは高島礼子のイメージなんだそうです。 はじまったばかりの第二章では、プロローグをカッコ良く飾らせてもらいました。なんだか照れくさいです。銃声一発、あのあとどうなったのか、みなさん当ててください(笑い)。 ――10年経ってもまだ警部の宇津木一行です。 一行という名前からピンとくる人もいるでしょうが、最初は古谷一行だったらしいですよ。でも、もっと渋いということで(苦笑)。 第一章では敵がとてつもない特殊な立場だったこともあり、全然役に立たなくて申し訳なかったです。あんなものかとも思うんですが、世の中けっこう闇の部分があるもので、あながちオーバーといえないのかなとも――。 また高嶋君とタッグを組んで、今回はなんとか追いつめたいものですね。 ――すずこと落合美鈴です。 なんかつぎからつぎへと凄いことになって、もう身体はガタガタですよ(クター)。マルさんは鬼です、悪魔です(笑い)。 それから京子ちゃんはああいってますが、ほんとは本人可愛いい子なんですよ。どういうわけか大・々・々親友になるなんて……縁って不思議ですよね、みなさん。 「美鈴」はこれから、また新たな広がりを見せて展開していきますので、どうか最後まで見守っててくださいね。次回はいよいよ早紀ちゃんのダイイングメッセージが解き明かされます。 |