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 20数年前、軍事政権下にある南米の某国で、日本から医療ボランティアとして派遣されていた斉藤美香(仮名)という女性が、秘密警察に拉致され、5日間にわたって監禁される事件が起きた。
 拉致された1日目は、地下の倉庫のような部屋に連れ込まれ、何人もの男にレイプされたあげく、電気拷問を受けた。労務者風の現地人を指揮していたのは、アメリカからきた軍事顧問だった。
 2日目は首都の秘密警察情報部に移された。そこは別名“地獄の館”と呼ばれる拷問センターにもなっており、ここでは好色で残忍な女性主任によって執拗な凌辱を受け、前日にも増す激しい電気拷問を受けた。
 この女性主任は、日本人である若い同性者に対して異常な執着をもち、3日目はさらにしつようで、陰湿な凌辱の数々が、耐えがたい恥辱をともなって拷問以上に美香を苦しめることになった。
 そして、いよいよ4日目――。




拷問4日目−その1
鬼畜巡察


 美香の拷問4日目は、政府関係者による抜き打ち視察で、拷問センター主任マリア・ガッゼンディはじめ、3人のサディストたちをおおいに慌てさせた。
「では、拷問はいったん中止ですね?」
 イザベラ・ムニョスに訊かれ、マリアは否定した。
「今日のは人権部門ではなく、治安部門担当の役人と軍関係者だからだいじょうぶ」
 そう言いながらも表情を輝かせる。というのも、マリアがかねて栄転を懇請している陸軍大臣付き武官が、視察メンバーのひとりだったからだ。
「それならだいじょうぶですね。大臣は反体制派対策の最強硬派で、人権派のへっぽこ役人どもさえ一目置くくらいだから」
「そしてその部下ときた日には血が大好き。わたしたちとおなじようにね。だから今夜はミカを生け贄にして、趣向を凝らしたパーティーを用意することに決めたわ」

 朝10時、粗末な囚人服一枚きりの姿で、美香は、マリアの執務室に引き立てられた。
「裸におなり」
 有無をいわせぬ調子で命じられ、のろのろと服を脱ぎながらも、「もう、拷問はやめてください」と涙ながらに懇願した。それには答えず、マリアは全裸の美香をしげしげとながめわたした。
 身体中のあちこちに、うっすらと赤黒い電流斑が刻み込まれている。前日の執拗な電気責めの名残だが、下半身に目を落とすと、内股に特に目立つ痕跡がある。そっちは一昨日の残虐な電気拷問の後遺傷だ。
「おねがい。もう、拷問はやめて……拷問するくらいなら、いっそ殺してっ!」
 激しく叫んだが、ウィルソン大佐もマリアもイザベルも、冷ややかに見くだしているだけだった。
「ちょっとやりすぎたかしら」
 激しく責めた自責の念で言っているわけはない。視察がわかっていれば、きれいな身体のまま差し出し、生け贄としての付加価値はより高くなったのにと残念がっているのだ。
「それほど醜くは見えませんがね」
「まあいいわ。この身体で不満というなら、“究極の料理法”をつかう手だってあるのだから……」と、マリアはなにごとか思い浮かべたが、その顔がぱっと明るくなった。
「そうだわ、そうしましょう」
 このとき、美香の運命は決定づけられた。
 マリアがイザベルに耳打ちした。
「明日一日、“特別処置室”を空けとくよう手配しといて。誰にも使わせないようにと」
「わかりました」
 うなずくイザベル。そのあと、3人の目が、いっせいに美香を見る。その視線のなかで美香は凍りついたようになった。

 午後1時ごろ――。
「視察団到着」の知らせを受けたマリアらは、いつになくものものしい雰囲気に包まれた。その動揺は、目隠しされ、執務室の奥にある仮眠所のベッドに投げ出されたまま、地獄の到来を待つ身の美香にも察せられた。
 やがて足音がちかづく。
 無意識に聞き耳をたてた。5人か、それ以上の人数だった。それがだんだんに近づき、ドアが開けられる音がした。身近に迫る靴音が反響音をともなって渦巻いた。
 それが、ぴたりと止まった。
 マリアが小声で説明し、しゃがれ声の主がやはり小声で訊き返す。「テロリストの協力者です」「日本人というのはほんとうか」「はい、それで外交問題に発展しないか心配もしているのですが」といった会話がつづき、その間、マリアの口からは「閣下」という言い方までこぼれた。
 閣下とは、どんな身分を指すのか。まさか大統領閣下ではあるまい。とにかく、午前中の「栄転をねだる」といういつもの軽い調子ではなく、バカ丁寧な口調になっている。
「キリング」という言葉が“閣下”から出た。英語を使ったのは、アメリカ人軍事顧問に向けてのことだろうが、“最終的処置”への責任は、貴国にも負ってもらうという意味だろうか。こうして運命の時は刻々迫っている。
「わかりました、それなら……」と、マリアの言葉のあとで目隠しをはずされそうになり、美香は「いやあーっ」というより、「ぎゃあーっ」という叫びに近い声を上げ、
「殺さないでっ! 死にたくないっ!」
 気が狂ったように首を振って懇願した。
 その瞬間、周囲が呆然としたくらいだ。
「さっきは、拷問するなら殺してくれとまで言いましたが……」とマリア。
「それなら目隠しは取らずにおいてやろう。いったい、いつまで死にたくないままでいられるか、試させてやろうではないか」
 こうして目隠しは取られることはなく、したがって美香が“閣下”が誰であるか、いまのところ、その素顔を知ることはなかった。
 拷問4日目、5日目と詳細なドキュメントがこのあとつづくが、4日目の記録は美香の側に立って再現してみよう。

 マリアの助手のイザベラか、それとも“客”の誰かかにより、それしか身につけてない囚人服がめくられ、たちまち脱がされた。そして肩や腰をつつかれ、あちこち向けさせられた。
「かわいい身体だが、歳は?」
「18だそうです」
 マリアが答えた。
 恐怖と羞恥で、身体中が震えていた。そして、
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
 激しい喘ぎを洩らしていた。
 いきなり押し倒され、足が掴まれた。片方ずつ開かれ、両手も掴まれ、手首で結び合わされ、頭の上に持って行かれた。2人によるのか、3人、それとも手足の先を一人ずつに掴まれているのかわからない。
「ああ、い……」
 なにか喋ろうとしたとき、その口をごつごつした手で乱暴にふさがれた。そして、ものすごい力で、顎ごといっしょに顔が押し上げられた。息ができないほどだった。
 乳房をつかむ者もいる。そいつは鷲づかみして、乳首がちぎれるのではと思うくらい、大きくひねり上げた。
「ううっうーっ」と苦痛に呻いたとき、こんどはヴァギナをなぶられた。ラビアをはじき、膣孔をこじあけ、1本、2本と強引に指を入れてくる。ぴちゃぴちゃ、ぬちゃぬちゃ、いやらしく責めてきた。
(犯される!)
 一瞬、そう思った。だが、そうはならなかった。

 どれだけ経ったのか。
 チッ、チッ、チッ、チッ……時計を刻む音だけバカに大きく聞こえた。それ以外、物音らしい物音はしないなか、乳房をなでまわされたり、膣をいじくりまわされていた。そして別の手はヒップの谷間をさぐり、アヌスを指でほじろうとしたりする。おぞましい行為が、延々とつづけられている。
 なぜ、それ以上のことが起きないのか。いや、汚らしい手でいじりまわされるのさえ虫酸の走る思いだが、拷問もされず、あきらかにレイプと思える行為もないのが気になってしかたない。
 不意にドアの開く音がした。ドアの開く音と同時に、男たちの手が美香からいっせいに離れた。
 つかつかと靴音を響かせ、その者が身近に迫った。そして、相手は顔を近づけてきた。
(香水の香り?)
 ドアが開いたときから上品な香りがただよっていたが、まさかマリアとイザベルのほかに、もう一人の女が加わることになるとは思わなかった。
「いかがでしたか?」
 男が敬語で訊く。
「お好みの者がおりましたでしょうか?」
 別の男も敬語で訊いている。女は、かなりな地位の者らしい。それとも、同行の上役の妻か情婦といった立場であろうか。
「12歳の子、ホームレスの娘といったわね。たっぷりと風呂をつかわせ、磨きをかけておいて。今晩の愉しみにするから」
「かしこまりました」
 イザベルがそう返事して、でていく。
「その前に……ほう、この子ね」
 男たちの手の代わりに、こんどは女の繊細な愛撫にさらされることになった。
「ずいぶん、濡らされたものね」

 あばれようとしたが、かなわなかった。太股を閉じようと力んだとたん、足を押さえる手によって締め上げられ、足首に指が食い込むほどだった。
 くちゃ、くちゅっと、ゴムが擦り合う音がして、きゅっ、きゅっとゴムを引き締める音も。(手術用の手袋をはめたのね)と直感した。
 いきなり、ひんやりと固い異物が性器に挿入された。その先が、どんどんなかを開く。痛みが局部をつらぬいた。
「なかも、いい色だわ」
「あそこ、を、あとで……」
 マリアが聞こえるか聞こえないかくらいの声でなにかささやいている。
「そう。それは楽しみだわ」
 医具が抜かれた。
 そのあと、ぬちゃぬちゃと溶液を塗り込める音がした。
「前は殿方のために取っておくわ」
「では、うつぶせにしますか?」
「いえ、このまま。反転させたら、苦しむ顔が見えないから」
「では……」
 男の声のあと、背中のあいだに足かなにか差し入れられ、さらに腰を抱えられて浮かされた。
(また、あれか……)
 絶望感に打ちひしがれる。
 肛門にひんやりとした溶液がふりかけられる。そして、ぬめぬめとした感覚とともに、指が1本、2本と入ってきて、アヌス穴をかき回したり、揉みほぐしたりした。痛かった。しかし、悲鳴は耐えた。
「すでに、切れてるわね」
 いっとき指を止めて見ているふうだったが、またぐちゃぐちゃと指をせわしなくうごめかす。
「それにしても、目隠しが邪魔だわねえー」

「ぐふぅっ!」
 必死に耐えたが、あまりの痛さに耐えきれず洩らした声が、そんなになった。
「いいのよ、大声で叫んで」
 猫なで声で言いつつ、拳にした手にぐいぐい力を込め、ひねりを利かせて入れてくる。裂かれる痛み。いや、すでに連日の拷問と凌辱でアヌスは裂けているのだ。
 ぐわっと、無理矢理開かれていく痛みに、思わず涙がこぼれた。だが、極端な痛みは一瞬で遠のき、その代わり異物が体内を通過するにぶい痛みに変わった。それも一瞬で、また激しい痛み。
「うううっうーーっ!」
「ふふふふふ……さあ、じっとしているのよ」
 肛門の奥の奥に、とがった杭を押し込まれるような、きりきりとしたものすごい痛み。「ううーん」と呻いて、また涙がこぼれた。四肢の自由を奪われながらも、必死にあばれた。
 と、そのとき、痛みがすっと突き抜け、またどんどん入ってくる異物感。こんどは一気に入ってくる。腸を拳がどんどん通過しているのである。
「うぎゃああっ」
 すごい叫びを上げたが、こんどのは痛みというより、恐怖心からでた叫びだった。想像を絶する経験に、腸を破られるのではとの危機意識にかられたからだ。だが、もうこれ以上は入らないというところで、拳の侵入は止まった。
「さあ、抜くわよー」
「あうーっ」……………
「さあ、また入れるわよー」
「いや、いやいやあーっ!」……

 30分から、もしかして1時間もつづいたのではという激しいアナルフィストのあと、男たちはいったん手を離した。しかし、自由になったのはほんの一瞬で、つぎにはうつぶせにされ、そのあと腰を取って起こされ、膝をついて尻を突き出すかっこうにされた。
 性器がこじあけられた。
「いや、いやあーっ!」
 はげしく叫んだとき、熱い、固いものが、性器を押して入ってきた。どんどん突き入り、子宮を小突きあげた。何度も何度も、引いては突き、突いては引くピストン運動で犯された。
「いやぁぁ……」
 突っ伏したかっこうで犯され、弱々しく叫んだ。もう、さからう気力も体力も残ってはいなかった。早くこの時が過ぎてくれればいいと、それだけ願った。だが、なかなか解放の時は訪れなかった。
「つぎは俺だ」
 1人すむと、また別の男に変わり、代わる代わるレイプされた。
「お前、またやるのか」
 2順目となったのか。それとも、精力絶倫男が、周りを押しのけ2度目のチャレンジを強行したのか。そいつはアヌスを犯した。
「う、ううぐぅ……」
 痛みをこらえ、必死に耐えているとき、顔になにか、かかった。
 男の精液だった。順番を待ちきれない男は自分で処理し、その男の射出物を顔面に受けさせられたのだ。むせた。そして「げっ」と吐き出したとき、したたか頬をはり倒された。
「テロリストのメス豚がっ!」
「俺たちに可愛いがられて、ありがたく思えっ!」
 そんな悪態をついたかと思ったら、
「そうだ。俺たちの道具でなんて、ぜいたくだ」
「よし、もう一度押さえろ」
 誰かがさしずし、ふたたび手足を押さえ込まれた。こんどは両足を高くかかげられ、内診台にさらされたかっこうをとらされた。そして、ローションがふりかけられ、性器に塗りこめられた。
 美香は目隠しのなかの目を大きく見開いた。恐怖の予感。その直後、すざまじい激痛が局部を襲った。性器をひきちぎられる地獄の痛み。男のたくましい拳が押し入ってきた瞬間だ。
「うぎゃあああーっ!」
 のけぞり、のたうちまわった。


拷問4日目−その2
最期の晩さん


 夜にはいって休憩がとられた。
“客”たちは、いったんはマリアの部屋からいなくなった。食事を取る者のほか、囚人のなかから好みの者を物色する者もいた。彼らは美香を責めたあと、ここに一泊することになるが、その夜とぎ、またはさらに夜を徹して拷問、凌辱にかける生け贄にするためだ。
 そのなかで、美香を怒濤のアヌスフィストの餌食にしたあの女だけは、この先メンバーからはずれて、12歳のいたいけな少女囚をいたぶることに、今日の残りの時間を当てたいと言いだした。いまごろはこのセンターのどこかの密室で、あの女の凶手によって哀れなちいさな生け贄が泣き叫んでいることだろう。
 目隠しを取られ、囚人服をはおった美香の前に、びっくりするような食事が運ばれた。高級ワインに、血のしたたるようなビフテキまでついている。拉致されてこのかた、点滴注射だけで保たされた身に、これが初めての人間の食事だった。
 殺されるのだと直感した。“究極の料理法”とやらにかけられるのであろう。それを思うと、せっかくのごちそうも喉を通らなかった。おなじメニューを横でたいらげながら、マリアとイザベルはただひややかに眺めているだけだった。
「さ、すんだら、別の部屋に替わって」
 マリアのそのことばで、イザベルがそっと引き立てる。いままでは乱暴なあつかいだったが、今日はなんとやさしいあつかいだろう。
 廊下の奥に、その密室はあった。途中、地下に通ずる階段があったが、そこが生体解剖室につながる入り口だとは、このときには知るよしもなかった。
 薄暗い処刑室のような密室に、白いシーツを敷いたベッドが1台置かれてあった。そばには電気装置を乗せた台があり、そこから延びたコードが、床に無造作にちらばっていた。台の上には、拷問用の電気棒のほか、ラジオペンチやアイスピック、錆びついてところどころ刃の欠けたナイフやはさみといったものまで乗せてあった。
「ベッドに横になって」
 いわれるまま、ベッドに上がって横になった。なんでもいわれるままだ。舌を噛み切る勇気もない自分が呪わしく思われた。
 初めて神に祈った。
(殺して。ひとおもいに死ねるよう、誰かにわたしを殺させて! そのためだったらなんだってするわ。教えて!)
 裸に剥かれた電線の先が、ひとつひとつテープで貼りつけられた。脚の付け根、内股、膝の上と下、ふくらはぎ、そして足の甲と、親指にも巻きつけられた。
 下半身に限定したのは、すぐ死なさないためとわかった。
「イザベル、虫ピンがあったわね」
「はい」
 言われたイザベルが、ちいさな容器を持って出なおした。
「これをどうするんですか?」
「もう一方の電線の先を、針に結ぶのよ。そうね、10本もあればいいかしら」
「わかりました」
 イザベルは素直にうなずき、針一本一本に枝分かれした電線の先を巻きつけ、ペンチで締めつけて固定していった。
「もうすぐ、いい声で泣かせてやるよ」
 そう言って、マリアは美香の性器を剥き上げ、赤黒く腫れあがったラビアをじっといつまでも見つめていた。
(殺して、誰かわたしを……!)
 美香は心で念じつづけた。



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─美香・とびら─