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ある少女の記録


担当刑事の日記:

 今日、けやき台美大女子学生失踪事件の捜査本部が立ち上げられた。
 失踪したけやき台美術学園1年の上原ゆかりさんは、けっして裕福な家庭の子女ではない。今の格差社会にあっては下に位置する家庭の娘で、家からの仕送りでは足りず、自身、広告会社のアルバイトで学費に充てているほどだ。
 身代金目的の誘拐ではない。
 その確証がいやな情況と結末を予感させた。
 最近、女子大生や女子高生、まれには中学3年生といった少女たちが失踪し、杳として行方が知れぬまま、そのうち何人かは失踪した場所から離れたところで発見されたものの、いずれも無傷ではなかった。
 レイプの痕跡はないものの、“レイプ以上”ともいえる身体と心の傷を負って発見されたからだ。レイプ以上の被害――その内容については書くのもはばかれる事柄だ。
 ここに4枚の写真がある。
 上原ゆかりの10歳から最近の18歳までの写真を捜査資料の一環として預かっている。
 バレリーナをめざしていたというだけあって、プロポーションは優れて美しく、しかも痩せ形体型をしている。胸は決して小さくはない。失踪した少女に共通の体型だった。
 犯人は痩せ形年少女子を好んでいる。しかも、残虐にして非道である。このような男は断じて許せない。自分の立場を忘れていえば捕まえて八つ裂きにしたいほどだ。
 わたしは今日ここに誓う。
 日本中を犬のように嗅ぎまわり、地面を這いつくばってでも真相に迫り、この手で犯人を追いつめてこれ以上の犠牲者を増やさぬことを。
 神よ、我に力を与えたまえ。


用務主任・神崎五郎の自供:

 いやあー、この写真とは違うようだが、緊張と怖さで顔が異様にひきつってたのかも知れないなー。名前は上原ゆかりと奴がいったんだから、間違いねえだろうさ。
 いい女だったぜ。
 いい女というのは、まさか18とかいう若さとは分からなかったもんな。もっと大人びた感じだったからさ。それに……
 いろいろ見させてもらったよ。
 好き放題のことをやってたなー。SMっていうのかい? いや、鞭でしばいたり、蝋燭たらたらといったオーソドックスなことはやらねえ。なにか変な装置を持ってきて、医療器具みたいなのを当ててさ……
 変態だよ、変態!
 俺なら一発やってスッキリするところを、ねちねちと責めやがってさ。
 しかし、不思議だよなー。ゆかりがさあ、あ、拉致した女ね。濡れてきやがるんだよ。マゾってわけじゃないんだよ。縛った時だってなんだってあんなにイヤがってキチガイみたいに騒いだんだから。
 うーむ。あれはなんだったのか。


アジトから見つかったテープと写真:

 犯人。凛としたバリトンの声で、
「起立! 静止!
 じっとしておれ。じっとしておれよ……」
 悠然とした乾いた足音の後、おののく声が微かに。
「あ、あ……」
「じっとしておれよ」
「……………!」
 無音の中に生唾を呑む音がする。




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 せつなそうな喘ぎ声。
「ああ、やめて……やめてください」
「じっとしてろというのに。ほら、こんなに固くては入っていかないじゃないか。処女ではないのだろ。彼氏はどんな男だ。持ち物は大きいのか、ふつうか、それとも小さくても固くて逞しいのかな」
「わたし、彼氏なんか……」
「だったらレズか」
「!」
 絶句したようすがありありと分かる。
「おい」
 と、にわかに乱暴口調になる。
「押さえろ」
 命令されて、「はいはい」と用務主任の声で足音がせわしなく動き回る。
 それからガチャガチャとカバンを開ける音、器具が触れ合う音がする。金属がぶつかり合う音もして、ウィーンと電子音が聞こえる。
「いやっ! 怖い!」
 それには無視して、部下へ言い渡した。
「足を開け……もっとだ。もっと大きく開け。いいぞ。それでよく見える」
 「あわあわあわ」と恐れおののくようすがその声の調子から察せられた。
「いい色だぞ。まるで幼女のようなオマンコの色だ。いいか。ここだぞ」
「ギャアアアーッ!」
「ほほほ……そんなに感じたか」
「ひえええーっ、ひいいーっ!」
「痩せてる女は感じやすいというが、まさにそのとおりだなあ。さあ、こんどはここだぞ」
「ギヒイイイーッ!」
 ガタガタガタとベッドを揺らす音が騒々しく響いた。



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