
| ●第1章・淫ら地獄 南米パタゴニア共和国で女医としての経験を積んだ美奈子は、離れ小島の女性政治犯収容所に医務官として赴任することになった。 そこはマルガリテ・ピアソンが所長をつとめる強制収容施設で、美奈子が着いたその日にも、うら若き美しき新入り女囚たちを、“品定め”と称する淫らで陰湿な身体検査が待っていた。 「服を脱いで。全裸になるのよっ」 アマンダという、見るからに好きものの若いサディスト看守に警棒で脅され、いやもおうもなく一糸まとわぬ姿にされたあと、台に乗せられ、指を入れられてなぶられるのだ。 「ああ、う、うー」 「もう、感じてきたのかえ?」 ぐっしょりと濡れた指を抜かれ、それで終わりかと思うとそうではない。 「こんどはうしろだ。うつぶせになれ」 「いやっ、いやーあ……」 言うことをきかない者へは、警棒によるレイプが罰として科せられる。 それ用につくられたとしか思えない、先がこんもりとふくらんだ棒器具が強引に突っ込まれ、めちゃくちゃにかき回され、血を流しながらも、兵士たちに押さえ込まれ、なすがままにされている哀れな少女。だが、その場の美奈子にできることといえば、血止めの応急処置くらいしかなかった。 「つぎは、お前っ」 最後のほうで差された10代なかばくらいの少女は、緊張と恐怖ですくみあがり、罰とばかり鞭で打ちすえられた。すると、そばにいた女が必死でその身をかばった。 「この子をひどい目に遭わさないで。わたしの妹なんですっ」 マルガリテの目が妖しく潤んだ。口元に不気味な笑いが浮かんだ。それを見て、なにかたくらんだなと美奈子は直感した。 「妹だって? いいわよ。助けてあげるわ。その代わり……」 案の定、姉の耳元でぼそぼそつぶやくマルガリテ。交渉は成り立ったようだ。姉は安堵の表情を浮かべつつも、やがて唇を噛みしめ、がくがくと肩を震わせていた。 その夜のことである。「かわいいわよ、それにいい身体……」 「うう、あ、ああ……」 昼間の姉のほうを寝所に呼び寄せ、全裸にしたあと下半身を広げさせると、マルガリテは指をつかって長時間の凌辱におよんだ。 指に飽きると、さまざまに形を変えた器具が挿入され、荒々しくかき回される。 「うっ、ううっ……」 苦痛から逃れたくても、妹の無事を願えばそれもできない。 「まだよ、まだまだ。さあ、もっと足をおおきく開きなさい」 辱めに飽きると、こんどは一気に拷問プレイへとエスカレートする。 「ああっ、熱いっ。熱いーっ!」 両手、両足を広げさせたうえから、ロウソクの焼けしずくがぽたぽたと落とされた。 肩、腕、胸元と垂らされ、つぎに乳房に垂らされ、乳首に垂らされるにいたって悲鳴は頂点をきわめる。その間、姉は妹を思い浮かべながら必死に熱さに耐えているのだ。 「ふふふふ……動いてはだめよ。じっと耐えなければ妹がどうなるか。わかってるわね」 ロウソクのしずくが貼り付いたまわりは紅潮し、それがヤケドの跡に変わっても、身動きひとつ許されないのだ。そうして、耐えがたい熱さと熱傷は腹、脇腹、腰を通って、やがてかんじんの部分に迫っていく。 「ぎゃあああーっ!」 しずくが性器を直撃したとき、耳をつんざく叫びとともに女の全身が硬直してびりびりと痙攣した。力んだ手足がベッドにめりこんだようになって、汗が全身から噴き出した。 「ふっふっふっ……さあー、もうすぐ終わるからねー」と、マルガリテはロウソクの炎をさらに局部へと近づけた。 「ぎゃああっ、ギャアアアアーッ!」 じりじりじり、ぶすぶすぶすと肉を焦がす悪臭が部屋いっぱいにたちこめ、女は目をおおきく見開いて狂ったように叫びつづけた。 治療を命じられた美奈子は、全身ケロイド状のロウソク責めの跡に、思わず目をそむけかけたほどだった。だが、同情はなんの役にもたたず、かといって助けるすべもない。 「妹は、妹は無事ですよね?」 姉はこんなになっても、まだ妹の身を案じてそのことだけで頭がいっぱいだった。 「だいじょうぶよ。妹さんなら政治運動とは無関係ということで釈放されることになったから」 「ああ、良かった。約束は守られたのね」 心から安堵する女の表情を見ながら、美奈子は複雑な思いにかられた。 自分があんな目に遭いながらも、一心に妹を案じる姿に打たれたことがひとつと、あとはそういっておけと言ったマルガリテのことばについてだった。 (ああは言ったけど、ほんとに信用できるのだろうか) 見とどけられない身がはがゆかった。 翌朝早く、美奈子は彼女が案じた妹が港の桟橋から船に乗せられて行くのを見送った。 「たっぷり油をしぼってやりたかったのに」 美奈子に同行したマルガリテひいきの若い看守長、アマンダが残念そうにつぶやいた。 「未成年者への拘束と過酷な尋問は禁じられてるはずよ」 「この国では15歳過ぎたら、りっぱなテロリスト予備軍。年齢差など関係ないわ。それともあなたは、テロリストの肩を持つ気?」 「いえ、べつにそんな……」 反体制派に同情的だと思われるのは、赴任早々のいまがいちばん避けなければならないことだった。 「本部には秘密警察の連中も詰めてんのよ。その秘警にはテロ抑止法の適用年齢を高校生まで引き下げるべきとの声が多く、そういう連中にいまの法律を守る気などないわよ。そんな好色漢の目に止まったら、あの子なんか……」 アマンダはそうつぶやきながら、あやしく潤ませた目を美奈子に向けてきた。 ●第2章・恐怖政治 周囲のだれにも心の許せない収容所内において、美奈子のいちばん心を落ち着かせることができるのは職場である診療室だったが、それもこのごろではキリキリと心を痛めさせる場所となってきた。 今日の患者も重傷だった。 いま美奈子の目の前には、20代後半の美貌の女囚が鎮静剤で眠らされているが、裸の全身のあちこちに痛々しい傷がある。 身体の内外に強度の創傷がみとめられ、脊椎下部にも打撲と思われる傷がある。第五腰椎も損傷している。そればかりか座骨神経の炎症のために、手足にも影響がでている。 左右の乳房にはヤケドの痕があるが、おそらくこれは紙タバコかパイプでつけられた傷であろう。特に乳首の灼け跡が深刻で、出産するのであれば乳分泌を可能にするため、手術をして孔を開ける必要があるだろう。 また、ペニスとさまざまな器具による烈しいレイプを際限なくくり返された結果、膣粘膜組織がかなりの損傷を受けてもいた。こういう状況で膣を開いてなかを確認するのには、かなりの苦痛が生じる。薬で昏睡させたのは、その苦痛とともに、女として耐えがたい羞恥を取りのぞくためでもあった。 心臓の鼓動もきわめて不規則だ。これは何度も電気ショックを繰り返されたためだ。この電気ショックは性器にもくわえられており、強度のケロイド状の電流斑は膣の入り口付近だけでなく、子宮口や子宮内部にまでおよんでいた。 さらにさらに腎臓と脾臓にも打撲がみとめられ、両肺にラッセル音が聞こえるが、美奈子はこれを水責めによる肺炎と断定した。 ここまで重症なことはなくとも、同様の患者が最近では日に2人や3人ではきかないのだ。 性器をはじめとする身体の敏感な部分に対する電気拷問は、アメリカを後ろ盾のクーデターで、ときの社会主義政権を倒したゴンザレス政権による反対勢力弾圧手段のオハコで、それを行なう際の場所も政府の秘密施設にかぎったことではなく、自宅で家族の面前行なうことさえほぼ習慣化していた。 美奈子が直接拷問を見聞きした医療関係者から得たことばとして、こんな証言があった。 「どんな女性でも性器に電流を流されると子宮の細胞を破壊され、あとで子どもを産むことができなくなります。ある監獄では、電気で拷問されたため、多くの若い女性がそのような病気になりました。また電気で拷問するもう一つの結果は、女性たちに痙攣症を起こさせることです。その症状が起こると彼女たちは手と足を痙攣させ、よだれを流して気が狂ったように倒れるまで叫び続けるのです。さっきあげた監獄では、治安省の職員や秘密警察が交流電流を使うので結果はもっとひどくなります」 電気拷問はナチスドイツでもゲシュタポが多用し、それはアルジェリア戦争でのフランス軍も受け継いできたが、ここパタゴニア共和国では多くの中南米の軍事独裁国家がそうであるように、アメリカのCIAが反体制派弾圧のため技術指導しているのである。 そういう恐ろしい話は、美奈子の元の職場の病院でもいくらでも聞かされた。 陸軍総司令官兼大統領となったゴンザレスが目指したのは、「パタゴニアにおける社会主義者の根絶」であった。その目的遂行のため拘引者リストが国内すべての軍隊に配布され、戒厳令下、終日外出禁止令で家に閉じこめられたまま、何万人もの人々が逮捕されたのである。 軍部はあたかも外国を占領した軍隊のようにふるまい、クーデター後ひとつき内のあいだ、首都の街々には骨を砕かれ、生爪をはがされた死体がころがっていた。 美奈子のいた病院のそばを流れる川にも、腕をしばられたままの首なし死体がいくつも浮かんで流れていた。それらは、パタゴニア海軍によって殺され、海に投げ込まれたもので、死体が人肉のかたまりとなって漁網にかかり、漁師の操業を停止されることさえあった。 拷問の噂は絶え間なく聞かされた。 信頼できる報告によると、睾丸をつぶされ、目を焼かれ、尿を飲まされ、人糞を食べさせられた者もいた。妊婦の膣に毒虫を押し込み、その後は流産するまでライフルの台座で打ちすえられたりもした。手足の切断もおこなわれた。 「だまってられないわ!」 親しい男友だちに口吻をもらしたとき、行動を決意させるきっかけとなる事実が聞かされた。 「監獄島で医師を必要としているそうだ。ウワサによると、そうとうひどいことが行なわれているようだ」 「わたしでも勤まるなら、ぜひ行って確かめたい!」 「政府で働く者は、全部が全部冷血漢ばかりではないからね。こちら側のスパイもたくさん潜り込んでいる。そのコネをつかって入り込めないことはないが……」 「だったらおねがい! きっと動かぬ証拠を見つけてみせるわ」 勢い込んでそう言ったとき、同僚ははじめて危険のニオイを感じとった。美奈子が功を焦って取り返しのつかない運命に陥るのではないかと恐れたのだ。 「ミナコ。だいじょうぶか? “地獄”と呼ばれるその島には、マルガリテ・ピアソンという女所長がいて、これまでにもおおぜいの女たちを性暴力の餌食にしてきたということだが……」 しかし、美奈子はひるまなかった。 「一人でも多くの女性を助けたいわっ」 その決意で来たのだった。 ●第3章・餌 食 首都にある治安本部の密室に、きのう囚人島から船に乗せられたあの少女が、マルガリテや白衣の職員に取り巻かれていた。アマンダは秘密警察のちょっかいを心配したが、なんのことはない。すべてマルガリテのもくろみで、あの姉との約束など出まかせで、知人でやはりサディストのグロリア・ロドリゲスという女としめしあわせてのことだった。 少女はベッド脇に置かれたワゴンの上の道具類を見て、怖ぞ気をふるった。 太さ10センチはあろうかと思われる張り型、筒の一方がネジ式になり、ネジを回すことにより、どこまでも拡がる局部破壊具、そして棒の部分に無数の鉄ビスが飛び出している突き棒など、どれをとっても性器に決定的なダメージを与えること間違いなかった。 少女は目がくらみ、心臓が早鐘を打った。悪い夢であって欲しいと願わずにはいられなかった。 「お願い。ひどいことはしないで……」 声をふるわせて哀願した。 マルガリテは冷笑するばかりだった。そして命令を下した。 「ベッドのうえに上がりなさい」 「拷問はしないで……」 涙声になった。 「安心おし。まだ拷問はしないよ」 「まず、時間をかけてたっぷりと可愛いがってあげるわよ」 グロリアが笑いながら言った。 覚悟を決めるしかなかった。なにからはじめられるかわからないが、すぐに目的を遂げられるようなひどい拷問は最初からは行わないようだった。 ベッドに上がると、白衣の職員たちによってスカートとパンティを脱がされ、Tシャツはそのままで下だけ裸にされた。 「どちらから?」 マルガリテがグロリアに言った。 「わたしから」 「そうですね。わたしのは男並みだから」 少女は、なにを言っているのかと思った。 だが、怪訝に思うそばから、グロリアが右手に手術用の手袋をはめた。ぴったりと装着すると、その手を握って拳を作った。 まさか、と思った。 職員のひとりが少女をベッドに寝かせて肩を押さえつけ、別のふたりが両脚を左右に大きく開いた。 グロリアが左右に開かれた腿と腿の間に立った。そして股間を覗き込んだ。 「処女じゃないわよね、もちろん」 「……………」 「でも、ペニスより太いものは入れたことはないでしょ」 「な、なにを!?」 グロリアは、少女の腿からふくらはぎにかけて、いやらしくさすっていった。 「それにしても細いわね。腰も華奢だし……」 横のマルガリテもうなずいた。 「体が華奢ということは、あそこも小さいということかしら」 「……………」 グロリアはにやっと笑うと、手袋をした手できつく握り拳を作った。そこへ、別の職員が大口のポリ容器の蓋を開けて差し出した。それへ手袋の手を突っ込んだ。再び抜き出したとき、手首から先いっぱいがゼリー状の液でぬるぬるになっていた。 少女は目を見開いて叫んだ。 「いやあーっ!」 激しく首を振って叫んだ。 しかし、グロリアは容赦なく少女の性器に指を入れにかかった。 まず、人差し指と中指を深々と挿入し、その先を大きく開いて性器を押し広げた。 「いやぁっ、痛いーっ」 グロリアは少女の苦痛などかまわず、いっぱいに開いた2本の指をゆっくりと回転させた。そのたびに口を開けた性器がさまざまに形を変え、無惨に蹂躙された。 少女の秘唇を蹂躙する指が、親指を加えて3本に増えた。性器がさらに大きく口を開けさせられた。 「痛いーっ、痛いぃーっ」 グロリアはぐりぐりと形を変えて責めたてた。空いている手の指が、クリトリスをひねりにかかった。 「うっ、うう、いやあーっ」 つまんで、押して、剥き上げた。そしてその責めにさらなる力を加えて何度も繰り返した。苦痛のなかにも性感は激しく反応し、充血した陰核と尿道の隙間からじくじくと愛液が滲み出し、つつーっと糸を引いてしたたった。 「ううっ、いやだあーっ」 少女は涙を散らして悶えた。 激しく悶えるたび、乳房の下に肋が浮き立ち、腹部がひくひくと波だった。左右に開かれた脚のふくらはぎにも筋が浮き立ち、全身が苦悶に硬直し、激しくひくついているのが見てとれた。 「凄いわ」 「うーん、興奮する」 マルガリテもグロリアも爛々と目を輝かせ、愛液をしたたらせて蹂躙される赤貝の地獄絵を凝視して胸を熱くした。 「マルガリテ、あの化け物張り型を入れてみて」 グロリアに催促され、マルガリテが一番太いところで直径10センチはあろうかという張り型を両手に抱え込んで近づいた。 「さあ、この広げた部分に入れ込んで……」 グロリアが3本の指をいっぱいに開いて膣の隙間を作った。そこへ、超特大張り型の先が押し当てられ、押し当てられると同時にグロリアが指を一気に抜き出した。代わりに張り型の先がぐうっと力まかせに押し込まれた。 「うぎゃああーっ!!」 あまりの激痛に、少女はとんでもない悲鳴を発した。それは痛さだけではなく、死にひとしい恐怖にかられて発した悲鳴でもあった。 「さ、裂けるっ……」 少女は目を大きく見開いて哀願した。 「いやっ、お願いっ、引き裂くのはやめて」 マルガリテはかまわず張り型を押し込み、少女の性器がそれにつれて直径7センチくらいに拡がった。 「ああっ、痛いいーっ!!」 めちゃくちゃな苦痛に喚いた。激痛が性器の中心を貫いていた。ぎりぎりと押し広げ、ぱんぱんに張りつめた張り型を喰わえさせられた性器は、陰毛をまとった直径7センチの真円でしかなかった。それが直径8センチの真円にまで広がろうとしているかのようだ。 「ぎゃああああーっ!!」 少女はのけぞり、悶絶し、激しく髪を振り乱し、首を振った。 「うぎゃあああーっ!!」 耳をつんざく絶叫が響き渡った。 「凄いっ」 「所長、体重ごと押しまくって突き入れてっ……」 興奮して煽った。間もなく少女の性器から、おびただしい鮮血が飛び散るのは目に見えていた。 そしてこの妹と、あの姉が生きてふたたびめぐりあうことはなかった。。 ●第4章・処 刑 夜。 寝ていると、どこからともなくすすり泣くような、叫ぶような声が遠くかすかに聞こえくる。懲罰房とは棟を別に離れてもいるからそんなはずないのだが、風向きのせいだろうか、それとも拷問死した幾多の女たちの怨霊がそうさせるのだろうか。 美奈子は自責の念にかられていた。 そんな美奈子に、マルガリテの好色の目は常に向けられていた。 「わたしと遊ばない? 男なんかでは得られぬ極上の思いを味わわせてあげるわよ」 「あいにくその趣味はないのよ」 誘惑のたびにはねつけてきた。 しかしある日のこと、アマンダのほうが大胆にも上司をさしおき、積極的な誘いをかけてきた。 「あなた、ほんとはなにか目的があってここへきたんでしょ。なんなら知りたいこと教えてあげてもいいのよ」 そんなことばを鵜呑みにするほど甘くはない。 「所長の信頼を裏切る気?」 「あんな女に本気でついていると思うの?」 そのことばで、ひょっとしたら味方に引き入れることができるかも。そうも考え、とりあえずは答えを保留にしておいた。 翌る日、事件は起きた。 何人かの囚人が脱走したのだ。収容所の裏手は荒海に直下する断崖絶壁、逃げるのは前しかないが、いくつもある監視塔から見張られ、周囲は見晴らしの良い平地。そのうえ桟橋に伸びる一本道には数十メートルおきに監視所が設けられていた。 「そんななかをどうして……」 「ほんとに逃げられたとでも思ってるの?」 マルガリテの不気味な笑い顔に、美奈子は「あっ」と衝撃を受けた。 罠だった。スキをつくっていったんは逃げさせておき、結局のところは全員捕え、ねちねちといたぶる算段だった。 案の定逃げた数人はすべてその日のうちに捕らえられ、兵士に引き立てられて収容所に逆もどってきた。 美奈子にとっても、悪夢のような夜が訪れた。 「ぎゃああーっ!」 「いやっ、許してっ!」 「痛いーっ! 熱いーっ!」 「殺して……ひと思いに殺してっ!」 その夜ひと晩中、所内のスピーカーを通じて拷問所の断末魔は逐一全収容者と、全職員の耳に届くことになった。巧妙なヤラセ脱走劇の目的は、収容者に対する見せしめと、じつは美奈子を挑発する罠の一環でもあったのだ。 翌朝、美奈子はさらに恐ろしい断末魔の叫びを聞くことになる。 「この者たちは不とどきにも、この収容所からの逃走を図った」 前夜の惨たらしい責め折檻でぼろぼろになった脱走者を穴の前に立たせ、全収容者を広場にならべさせておいてマルガリテが処刑の宣言をするところだった。 広場には工事用の牽引車が2台、互いに反対を向いて、エンジンをかけられたまま停められてある。 「カリーナ、おまえまでが……あんなに毎晩かわいがってやったのに」 「死んだほうがましよっ」 血にまみれたボロをまとった若い女のひとりは、ぶるぶる震えながらも気丈に言い放った。 「楽に死ねると思うの?」 そういって、カリーナと呼ばれた女は衣服をはがされ全裸にされ、後ろ手に縛られて地面に転がされた。そして両方の足に、2台の牽引車から伸びるロープが結ばれた。 「わたしから逃げようとした者がどうなるか、その最期をゆっくり見せてやるわよっ。はじめっ!」 牽引車のエンジンがいっぱいに吹かされ、ゆっくりと両方向に進みはじめると、地面に投げ出された女の足も広げられてゆく。 「いやっ、やめてっ。死にたくないっ」 気丈にしていたカリーナが、だんだん近づく死に対して恐怖の形相に変わっていく。足が開かれていくごとに、恥ずかしい部分もむきだしになっていった。 ぎりぎりっ、ぎしぎしっ……不気味な音をさせながら、左右に開かれた足がほぼ一直線に引き伸ばされていく。 そのとき、美奈子は休暇を取って自室にこもっていた。むごたらしい処刑に立ち会うなどまっぴらだったからだが、その処刑場の悲鳴はそこにも届いていた。「いやあー」と遠くで叫ばれる声に、耳をふさぎたい思いだった。 それでも勇を奮って窓の向こうに目を向けた。腕をうしろで組まされた上半身が苦悶にのたうちまわるようすが、はっきりとではないが見て取れた。牽引車に引かれた足は一つの線になって、そこだけ静止したように見えている。 と―― 「ぐぎゃああああーーーっ!!」 恐ろしい絶叫がひびき、その瞬間、一本に見えていた身体の下半分が勢いよく二つに分かれ、奇妙にひしゃげた身体がぶるっと震えた直後、がっくりと力を失い、そのあとちょっとだけ牽引車にひきずられ、そこで停まった。 ちぎれた身体の中心から赤いものが噴き出し、穴に向かって放たれる光景を、美奈子は呆然と見つめていた。 「つぎっ!」 2人目の女が引き据えられている。ぼろぼろの衣服がむしり取られ、また後ろ手に縛られ、蹴倒されるのがそこからでもわかる。こんどの女は狂ったように叫び、それはことばにもなにもならなかった。 離れた牽引車が元の位置までバックし、2番目の犠牲者の足に縄がかけられるところだった。 (行かなければ。いま止めなければ……)と思いつつ、 (いや、それよりしっぽをつかまれず、動かぬ残虐の証拠を見つけ、世界に公表することこそ大事。そうしなければこんな行為はここだけで終わらない) 心を鬼にすると、「ごめんね、ごめん!」と、ひたすら謝りつづけていた。 「いやああーっ! 助けてーっ!」 その叫び声に、しだいに大きくなっていく牽引車のエンジン音が重なった。そしてゆっくり動きだしたとき、 「お母さんっ、助けてっ!」 美奈子は、はっと吾に返った。 「だめっ、やっぱり!」 そう叫ぶやいなや外に向かって飛び出した。一目散に駆け出し、悲鳴のする方に走った。 「やめろっ! やめなさーいっ!」 だが、数歩遅かった。処刑場にたどり着いたとき、ぼきぼきぼきっ、びしゃっと、関節がくだける音、肉がはじけて血潮が噴き出す音が耳に飛びこみ、直前まで耳をつんざくばかりに叫んでいた女は、白目を剥いてがっくりと力を失った。 牽引車の片方が停まったわずかこっちには、ひゅうっ、ひゅうっと、断続的に勢いを見せながら鮮血を噴き出す片足のない胴体が、穴の途中にひっかかっていた。 「用もないのに、なぜしゃしゃり出てきたっ!」マルガリテが烈火のごとく怒った。 それを無視し、かっと目を開いてのぞき込んだ穴には、ぶちぶちと、まだ、かすかにだが脈打ちを見せる赤紫色の臓物がはみ出た2体の骸(むくろ)が、奇妙に重なり合って血だまりのなかにあった。 「こんな処刑、許さないわよっ!」 「許すも許さんもないっ。このバカ者がっ!」 興奮したマルガリテの手が腰のホルスターのホックをはずし、拳銃を抜きかかった。 と、そのとき、ざわめきが起こった。美奈子もマルガリテも思わずあたりを見まわすが、広場を埋めた500人からの囚人服の群れの誰もが目をらんらんと輝かせ、怒りに身体を震わせていた。 「うっ!」とうめき、マルガリテがいつになく血相を変えた。10人ばかりの警護の兵士はすべて自動小銃をかまえ、いつでも撃てる態勢にあるものの、険悪な空気に気圧され、怯えを隠せないでいる。 「集団で捨て身で押してきたらどうなると思う?」 「暴動?」 「でも、監視塔からの銃撃で殲滅(せんめつ)されるでしょう、最期にはね。ただし、その前に、ここの警備兵が撃ち洩らした生き残りがわたしたちに食らいつき、のど笛を噛みちぎってでも息の根を止めるでしょうね」 「うん、ぬぬぬぬぬっ」とうなって、マルガリテが、たじたじとなった。拳銃にかけた手もぶるぶると震えている。そして、 「処刑中止っ!」 大音声で命令を発すると、あとは足早に立ち去った。 処刑を中止された腹いせだろう。それからあと、マルガリテの執務室もある管理棟前の樹からは、前夜の拷問で死んだ2人の死骸が、全身傷だらけの無惨な姿のまま、逆さに吊るされ、さらし者にされた。 「早く、早くなんとかしなければ……」 美奈子は、はやる気持ちを抑えきれなかった。 ●第5章・取 引 数日後、突破口は開かれたかに見えた。 前日の脱走者は6人。2人は拷問死、2人は処刑され、生き残りのうちの1人、メリッサという少女が医務室での治療中、うわごとのように洩らしたことば――。 「あいつらに復讐したい。あいつらを地獄に落とせるなら死んだってかまわない……」 美奈子を信じてか、捨て鉢な気持ちでいったことばか、最初しかとは受け取れなかった。ところが、そのメリッサが美奈子の手を握り締め、思いつめた表情で訴えるのだった。 「わたしを外に連れだして。こんどの処刑のこと、ううん、それだけじゃない。わたしたちがいままで、マルガリテにどんなことされてきたか、あらいざらい証言するから」 「わかったわ。でも、時期を待って。それまではがまんするのよ」 メリッサなら信じても良さそうだ。 「ただ、証拠があればもっといいんだけど」 そういったらメリッサが憤然とした。 「証拠なら、このわたしの身体が!」 診察を買ってでられ、美奈子はメリッサの膣に内視鏡を入れて愕然とした。子宮がくり抜かれているのだ。 「手術でそんなにして、こぶしがどこまで入るか試しておもしろがるのよ。それが見せ物になり、外で変態パーティーを開けば、大金を払ってくる客はゴマンといるからよ」 改造手術はこんどの脱走者全員にほどこされ、拷問で死んだ子の1人の性器は、いろんなものを通して遊ぶため、穴だらけになっていたという。 脱走のきっかけも、メンバーの1人が近く四肢切断手術を受けることになり、そんなになるなら死んだほうがマシと、思いきって命がけの行動にでたとのことだった。 「中国では“人豚”といって、刑罰の一種でもあるんでしょ。ただ、セックスだけの道具にするため、逃げられないよう手足を切断する。そのあと、フェラチオ専用に歯も全部抜かれるはずだったの」 「ひどい! 酷すぎるっ!」 美奈子はハラワタが煮えくりかえる思いだった。 (急がねば!) とっさに首都に潜伏する仲間とのつなぎを思いついたが、処刑への「待った」でマルガリテに睨まれることになったいま、方法はこれしかないと一縷の望みをアマンダに賭けた。 その夜、美奈子はアマンダとベッドをともにした。 「恥ずかしいわ。明るくしないで」 「いいわよ」 間接照明のぼんやりした明かりのなかで、それでも美奈子の生白い肌はアマンダにはまぶしく見えた。 「あ、ふぅー……」 ガウンの胸元をおおきくはだけさせられ、乳房をもてあそばれた。アマンダの巧みな愛撫は、美奈子の乳首をたちまち勃起させ、びりびりと感じさせた。 衣服が脱がされ、裸にされた。手が下降して、両足を取っておおきく開かせる。 意外に毛深い繁みのなかから、花びらの端を重ね合わせたような赤い肉襞が、細かい繊毛に淵取られ、ちいさなうねりを見せて伸びていた。 「細身の女は感度がいいと言うわ」 美奈子の唇が、処女のようにぶるぶると震えた。 アマンダは、右手の人差し指と中指に二股のゴムサックを嵌めた。サックは表面にイボイボの付いた、刺激性の強い性具であった。 いきなりサックの指が性器に押し込まれた。 「うーっ!」 美奈子は、苦痛に低く岬いてのけぞった。 左右に開かれた足先が、内側を向いて硬直した。 アマンダは指をぐりぐりと深みに押し入れ、膣を強く抉って刺激した。 「うっ、くぅーっ」 美奈子は目を見開き、歯を食いしばって声を漏らすまいとした。 「いいのよ、無理しないで。それより声を聞かせて」 アマンダは、なおも荒々しく膣を掻き回した。 「く、くーっ!」 その顔がみるみる苦悶にゆがんだ。背中を右に、左にそらせた。ぴーんと張った上体がくなくなとくねる。 アマンダはイボサックの指先を、少し折り曲げた形で強く回転させ、より強い刺激を与えて出し入れした。鋭い刺激が美奈子の膣を責めつくしていた。 「うーっ……」 美奈子はくぐもった呻き声を上げて何度ものけぞった。 2分たち、3分たち、不意に、それまでぐりぐりっと膣に押しつけ、無理に出し入れしていた指がぬるっと滑りをよくした。 美奈子のなかでも、苦痛がやわらぎ、快感に変わっていった。 膣がたちまち潤い始めた。 愛液はアマンダの指を食わえた陰裂からも滲み出し、淡い明りのなかにもきらきらと照り輝いた。サックの指はいよいよ動きに激しさを増した。 「ああっ……」 美奈子の口から、初めて声が漏れた。 シーツの中心が湿り出した。 サックの指のピストン運動がよりせわしなくなり、膣のなかでぴちゃぴちゃと淫らな音を立て始めた。 4分、5分……。 「ああっ、あ、ああっ……」 身をよじり、悶え狂った。 シーツの染みがより広い範囲に及んだ。 「あっ、あああーっ!」 美奈子の手足にぐーっと力が入った。左右に開かれた内腿に、筋が浮き出た。 膣を責める2本の指が強く締め付けられた。膣が快感に鋭く反応し、うねっているのだ。 「名器だわ」 アマンダが感嘆の声を漏らし、力まかせに指を突き動かした。 6分、7分……。 「うっ、うっ、うっ、ううーっ!」 美奈子は、なおも上体をくねらせた。そのたびに、ひきしまった腹部が大きく波打ち、波打つ腹部とふくよかな乳房のあいだのあばらが、薄く浮き出た。 アマンダの指は、激しい膣のうねりを感じ、ぐいぐい締め付けられた。 そして美奈子は、快感の高まりを感じていた。全身がしっとりと汗ばみ、輝いた。白い肌のそこここに、紅潮の兆しも見えた。快感の高揚が、身悶える全身からも見てとれた。 10分がたった。 「ううん、あ、ああっ……」 美奈子は、切ない声を発していやいやをした。 「うーっ!」 頭の上に伸ばされた両手が、ぐーっと握られた。左右に開かれたMの字の爪先かぴーんと突っ張った。内腿がぴくぴくっと痙撃した。 アマンダは、突き動かすサックの指先に、美奈子の奥より湧き出る熱いものを感じた。美奈子はのけぞったまま薄目を開け、あごを小刻みにひくつかせていた。 アマンダはゆっくりと指を引き抜いた。あんぐりと口を開けた赤い性器から、どろっと白い液が流れた。 美奈子はぐったりと首を垂れた。はあ、はあ、と、苦しそうに喘いでいる。 「これでいいのね。約束は守ってよ」 一息ついて念を押したが、いったんベッドを立ったアマンダが、両手になにかぶら下げてもどった。 「せっかちね。まだ愉しむのよ」 そういってアマンダが腰に巻きかけたのは、太めのディルドを生やしたペニスバンドだった。彼女にとって、朝までがプレイタイムだった。 「あううっ」 四つんばいにさせた中心のアヌスに、太めのディルドが深々と突き立てられた。腰をつかんで逃げられなくしておいて、アマンダがはげしく突いた。くり返し突いた。ばしばしと打ち当てるようにはげしく突いた。 「うぐううっ、ううむっ!」 美奈子の体内深く、異物がピストン連動して駈け回る。小突きながら、ひねりながら、えぐりながら…… ●第6章・淫虐マルガリテ 美奈子に運命のときが訪れた。 その日、所用で首都にでかけたアマンダの帰りをいまかいまかと待ちうけていた美奈子は、所長が呼んでるという看守の知らせで心臓が早鐘を打った。 執務室に通された美奈子は、マルガリテから提示された写真を見て足がすくんだ。1人の男が血だまりの路上に横たわっている写真だ。男はよく見知っている顔で、頭には銃で撃たれた痕跡が歴然と残っていた。 「マヌエル・ロドリゲス。セント・ドミンゴ教会の牧師にして、われわれが“パタゴニアの心同盟”のリーダーと目してきた人物」 「もしや!」 美奈子の胸騒ぎは頂点に達した。 「もちろん、アマンダはその場でうちの所員が取り押さえたわ。彼をマークしていた秘密警察と、アマンダを尾行していた所員とが偶然鉢合わせしたかっこうになったのね」 「なんてこと!」 やはり焦った結果が裏目にでた。アマンダにも取り返しのつかないことをしたと、深く後悔した。 「くっ、あの裏切り者、爪のあいだに錐を押し込んだとたん、訊きもしないことまでぺらぺらしゃべったわ。意気地もないバカ女が」 美奈子はがっくりと首をうなだれた。しかし、メリッサのことまでは、自分がしゃべらないかぎり知られることはない。それだけがいま、唯一の救いだった。 「この者を例の部屋へっ!」 新任のマルガリテ付き看守に後ろ手につかまれ、美奈子は引き立てられた。 囚人にとって地獄の代名詞のように恐れられているその部屋は、管理棟廊下のいちばん突き当たりにあった。 窓もカーテンもない、固いコンクリートの壁と床と天井の、真ん中に内診台が置いてあるだけの密室だった。ただ、床にも壁にもどす黒い染みが点々と、あるいは刷毛ではいたような跡となって残っている。 (果たして頑張れるか……) 言い知れぬ恐怖が心を締めつけた。 すこし遅れてマルガリテが、手下の看守をしたがえ、手に虫カゴのようなものをたずさえ、姿を見せたが、その日は見たこともない外人女がいっしょだった。それがグロリア・ロドリゲスだった。 「どうです? 日本の女は……」 「日本人の女といえば、夫の前の任地で18歳の日本人女を料理したことがあったわ。なかなか活きのいい小娘だったけど」 グロリアはなつかしそうに振り返っているふうだった。 「さて」と一声つぶやき、美奈子の顔をまじまじと見つめるマルガリテにしても、じっくり見るのはそれが初めてだった。 清楚で端麗な面立ち、つぶらな黒い瞳にはぎらっと野生味も漂わせ、いかにも責め甲斐のある女だと直感した。さらに実験動物でも見る目つきで美奈子のスリムな肢体を見わたした。 スカートから伸びるひざから下の脚線がやけに細い。 内診台の横には、器具をならべた小机も用意されてあった。 「服を脱ぐのよ」 冷然と命令した。静かだが、けっして反抗を許さない強固とした響きがあった。 美奈子は唇を噛んで、服を脱ぎはじめた。 看守が脱衣カゴを、そばに置く。 ヒールを脱いだとき、マルガリテが生つばを飲む音を耳にした。 ブラウスを脱ぎ、スカートを脱ぎ、簡単にそろえてカゴのなかに入れていった。色白な肌が少しずつあらわにされていく。手も足もほっそりとしなやかに伸びていた。 マルガリテもグロリアも、満足げな表情で何度もうなずいた。あのアマンダが間接照明のなかで見た姿態が、いまは明るいなかでくっきりとさらされている。 ブラジャーを取ると、ちいさいながら形の良い乳房が現われた。 「いいわよ。わたしは貧乳は好きよ」 グロリアが感心して見惚れた。 パンティを脱ぐときだけ、美奈子は敵意をこめたまなざしで、2人をきつく睨み返した。 そうして全裸になった。スリムな全身をあますところなく晒し、毅然としてマルガリテ、そしてグロリアにも向かい合って立った。 「よい覚悟ね」 マルガリテが、ゆっくりと美奈子に近づいた。 そばまで来たとき、美奈子はマルガリテらに見下ろされる格好になった。 「しぶとそうな面構えだこと」 「責め甲斐がありますよ。というより、わたしはいつかこの女を好きに料理したいと念願してました」 「…………」 無言で向き合う美奈子の頬が、ぴくぴくっと痙撃した。ななめにすかした前髪のあいだにのぞく眉根に、苦悩が刻まれていた。 「後ろ手に縛って床に寝かせなさい」 看守はいわれた通り美奈子の両手を後ろ手に縛り、床にあおむけに転がすと、各々が片方ずつを持って両足を広げさせた。細かな陰毛に縁取られた性器が丸見えになった。 「アマンダにいわせると、おまえは名器だそうね。愛撫する指をきつく締め返したと、ずいぶんのこと褒めていたわよ」 「……………」 恥ずかしい部分をまぶしいほどの明かりの下にさらされ、美奈子は羞恥と憤怒にぶるぶる震えていた。 「その名器とやらにふさわしい、いいものを食わえさせてやろう」 そういって最前持ってきた虫かごを取り上げると、蓋を開けて革手袋をした手を慎重になかにさし入れた。 「いい子だ、いい子だ、さあ、出ておいで。ほーら、ほらほら……」 「おおっ!」 マルガリテがつかんで出したものを見て、グロリアの口から思わず感嘆の声が洩れたが、美奈子はそれこそ悲鳴をあげて卒倒するほどおどろいた。 目のまえでうごめいているのは太さ2、3センチ、体長30センチほどのヘビだった。 「“入れ物”に見合ったのを見つけるのに苦労したわよ」 そういって片手では首根っこをつかみ、もう片方の手で、くねくねとのたうつ生き物の背中を、いとしそうになでたりもする。 「だいじょうぶよ、噛んだりしないから。そのために、この子にはかわいそうだけど、口は一時開けないよう縫ってあるから……」 「ヘビ責めを見るのははじめてよ」 グロリアが興味津々といった顔になった。 びんびんと跳ねる勢いのいいのたくりようは、元気というよりは口を塞がれた苦しさのせいだろうか。 マルガリテが開かれた足のあいだに位置してかがみこんだ。 「ううっ、ううっ!」 美奈子が目を見開いて首を振った。 ヘビの背をなでていた手が秘所の割れ目を、これ以上ないほどおおきく開けさせた。 そして、「さあ、暴れるんなら、このなかでよ」といって、ヘビの頭をちかづける。 「うーうっ、うーっ!」 美奈子が必死に暴れた。が、看守が膝と腿で彼女の腰にのしかかり、おおきく開いた脚は両手でしっかりつかんで離さない。 ヘビの頭が膣に挿入された。つづけて、どんどん胴体が押し込まれるのを、グロリアは腰をかがめて食い入るようにながめた。 「ひいーっ!!」 秘所を侵し、勢いよくのたうちまわって蹂躙するおぞましい感触に、自由の利く美奈子の上半身が滅茶苦茶にのけぞりまくった。 「ああっ、ううーっ!」 乳房が揺れるたび、あばらがくっきりはっきり浮き出、踏んばる下半身にも硬直の筋がぴくぴくと浮き立った。 「どんなだい? ヘビに犯される気分は」 30センチほどのヘビの、ほぼ真半分がたちまち美奈子の体内に収まって、はみ出た部分がなお元気良く跳ねまわっている。 「ぬああーっ、ぐふうっ!」 あまりの気持ち悪さにことばを忘れたようになり、半分白目を剥いて狂ったように首を振ったり、のけぞったりしている。 「この分なら中で反転して出てくることはなさそうだ。ちょっと手を離してみて」 所長の指図で、2人の看守は押さえを解いた。 その瞬間から、縛られた後ろ手以外自由の身の美奈子が見せた反応は、ぴったりと脚を閉じ、逆エビに胸を反らせたまま、ごろごろと床を転がりはじめたことだ。 「うがあっ、むぐうーっ!」と叫んで転がりながら、逆エビの半身が右に、左にと角度を変えてのけぞりまくる。その間にも、 「ひっ、ひいーっ! むっ、うむーんっ!」 と、悲鳴が断続的にとぎれたり、叫んだりするのも、身体の中でのヘビの暴れようを反映した変化のようだった。 転がって転がって転がりまくり、向こうの壁にぶつかったと思うと反転してまた転がりながら返ってくる。そして、内診台の脚にぶつかり、そこでいったん止まった。そして、いまのいままでぴったり閉じていた脚を、逆におおきく広げたりもする。 「ヘビが気絶しないかしら」 グロリアが美奈子よりそっちを心配したが、“相棒”のことはよく知ってるとみえて、 「だいじょうぶ、あの子はタフだから」 マルガリテはこともなげに言ってのけた。 その一方で、 「あーあ、あーあ……」 美奈子はバカになったように薄目を開けて、弱々しくいやいやをくり返す。 卑猥、倒錯――。黒々と広がる陰毛のあいだにぴちぴち跳ねまわるヘビを食わえ込み、たらたらと淫水をしたたらせる秘孔をこれ以上ないほどご開帳し、なお脚を広げて股間を突き出す。 「踊れ踊れ、もっと踊れー」 マルガリテのはやしたてに、立って眼下に見物する身となった看守たちも、げらげら笑い転げた。 「ドライヤーがあったわね」 看守がすぐにすっ飛んで行った。 「そのままで内診台に移しなさい」 マルガリテのつぎの指図で、美奈子は2人がかりで軽々と抱えられ、ヘビを股間に食わえたまま、開脚寝台に寝かされた。 その間に、もどった看守も手伝って、内診台に横たえた美奈子の腰から下を開脚台にベルトでしっかり固定する。 「ヘビには可哀想だけど……」 「うふっ。同情はヘビだけ?」 グロリアが吹き出した。 ドライヤーのスイッチが入れられ、先端の口から熱風が吹き出されると、その先を性器からはみ出たヘビのしっぽに近づけた。 「ぐふっ、ひいっ!!」 外に出たヘビの身体が猛烈な勢いでのたうち回るのと、目を剥いた美奈子の奇妙な叫び声とがほぼ同時に起こった。そしてヘビの身体が、まず2、3センチほど中に動いた。 「うーっ!」 美奈子の口から獣に似た低い唸り声が発せられたのは、子宮孔をヘビの頭が通過した瞬間だった。 汗に光る顔いっぱいに、苦悶のシワが刻まれた。 「いや、いやぁー……」 手を握りしめ、爪先をぶるぶる震わせ、身体の奥底にヘビの這いまわりを感じていた。 「ううっ、むうーっ!」 ぶるぶる震える顔が、やがてばさばさと髪を揺すってはげしくいやいやをくり返した。 あばらをおおきく浮き立たせた上半身が弱々しくくねる。右に、左にのけぞりながら苦悶にくねった。 「むううーっ!!」 三たび白目を剥いてはげしく呻いたとき、汗で光る腹にヘビの頭の形が浮き出て、ひくひくと出たり消えたりをくり返した。 マルガリテの口から「くくくく……」と、不気味な笑いが洩れた。 ふと気づくと、ヘビの身体がすっかり見えなくなっていた。子宮と膣の長さを足してもそんなになるはずはない。苦しさのあまり、中で身体を丸めたものと見える。 「うっ、あっ、あふぅー……」 美奈子のようすに変化が起こった。あんなに厭がっていたヘビの侵入を気持ち悪がるふうはなく、むしろ恍惚とした表情に変わっている。「ああ、あ、あーあ……」 のぼせたように紅潮した顔が、呆然と宙に向いたまま静止したようになった。 ぼこっ、ぴくっと、美奈子の声のあいだにも、ヘビの浮き型は腹のうえに出たり消えたりをくり返していた。 「そろそろ飽きたわね」 マルガリテはヘビ責めの中止を宣言した。 手術用の大型内視鏡がゆっくり時間をかけて膣に挿入されたが、その間美奈子の口から苦痛の悲鳴が起こった。 そのあと、 「それのつづきは手のちいさい私に」 グロリアがあとをひきつぎ、薄いゴム手袋を手にはめると、勢いを込めてずっぽりと美奈子の中に突っ込んだが、ヘビをつかみ出すのがまた大変だった。 「うぐぐうっ、ぐぎゃああっ!」 ヘビのウロコが子宮壁にささくれだち、慎重に抜き出すのに難渋した。 が、そうまでして引っ張り出したヘビの頭から半分ほどまでは、ヨーグルトで塗り固めたようにぬるぬると白っぽくてかっていた。 「どうでした?」 「けっこう感じてたみたいよ。でも、そうじゃなきゃ、子宮ごと引きずり出さなきゃならないところだったわ」 出されたヘビはぐったりと死んだようになっていたが、指先で何度か弾いたら、蘇生してまた元気にくねりまくった。 それをカゴにもどして看守に手渡した。 「糸を抜いてやって。この元気さなら何度でも使えそうだわ」 また誰か、かわいい囚人で試そうということのようだ。 ●最終章・美奈子絶叫 マルガリテもグロリアも、ヘビに犯されたあとの美奈子の股間を凝視した。 さっきから腰から下はM字に固定され、陰毛に覆われた股間をあますところなくさらされている。 乳首にクリップがはさみつけられた。クリップからはコードが伸びている。淡く密生するデルタの中に息づく部分にも、クリップが付けられた。 「なにをたくらんでアマンダを首都に向かわせたの? 言いなさい」 「なんのことかわからないわ。勝手に考えちがいしてればいいわよ」 「ふん、減らず口たたいて。じき、後悔するよ」 「だったら試してみたら」 マルガリテの手が、電気ショック装置のスイッチにかかった。 美奈子は歯を食いしばって、わずかに身をよじっただけだ。 「わたしが料理した子にそっくりよ。すっかり気に入ったわよ」 グロリアがまた感心した。 こまかな陰毛にふちどられたラビアの両端に挟みつけられた電極のクリップは、容易にははずれそうにない。 「拷問はつらいわよ。でも、なにも喋ることはないわ。しぶとければしぶといほど、責めがいがあるというものだから」 マルガリテの手が変圧器のダイヤルにかかった。 「うっ!」 美奈子の性器が、乳首が電気を感じる。 マルガリテの手が、ゆっくりと電圧を高めさせた。 電極をはさみつけられた性器と乳首に感じたちいさな刺激が、だんだんと衝撃をともなった痛みとなり、美奈子は「うーっ!」とうめきながら上体をそらせた。 さらに電圧が上昇する。美奈子の股間を襲う衝撃が激痛へと変わった。 「あああーっ!」 メーターの針がしだいに高い数値を指して行く。 「あああーっ!」 25ボルトのところでマルガリテの手の動きが止まった。 「ああっ、あああっ!」 手にも足にも、ふくらはぎや太腿、脇腹、身体のありとあらゆるところに硬直の筋がくっきりと浮き立った。 「なにが目的でこの収容所に潜入したの? 言いなさいっ!」 「こんな無法がいつまで通ると思ってるの」 「けっ。そうか、それが目的か。貴様、近ごろうるさい人権機関のメンバーか。どこだ、どこか言うんだっ!」 電圧が一気に上げられた。 「ぎゃあ! うぎゃああううーっ!」 性器や乳首をたたく衝撃に、焼けるような熱さがくわわった。 「うーっ! ウアアアアーッ!」 「さあ、言えっ」 「ギャアアアッ!」 マルガリテは苦痛にゆがみきった顔、のたうちまわるしなやかな肢体、そしてしだいに汗ばみ、つややかさを増していく美奈子の全身の変化に興奮した。 いったんスイッチが切られた。 「ほんとうにしぶといわね。いいわね、興奮するわ」 グロリアが身を乗りださんばかりになった。 乳首をはさんでいたクリップがはずされた。マルガリテの空いたほうの手が、すでにクリップを結んだラビアをひねりあげ、クリトリスを剥き出すとそこに3つ目のクリップをはさんだ。そして、4つ目のクリップは腰を浮かせておいてアヌスにねじ込んだ。 「いや、いやああーっ」 美奈子が目茶目茶に首を振った。 変圧ダイヤルが操作され、メーターの針がまた跳ね上がった。 「いやあーっ!!」 美奈子が目をおおきく見開いた。 マルガリテがスイッチをひねった。 白目を剥いた美奈子の口から「くううーっ!」と、一瞬押し殺したような呻きが洩れたが、間もなく血を吐くような断末魔の叫びが発せられた。 「ウギャ、ギャアアアーッ!! ギャアアアーッ!!」 獣じみた叫びを上げた美奈子の全身が、ガクガクガクっと、はげしい痙攣をくり返した。のけぞり、のたうち回り、内診寝台がぎしぎしと軋み音を立てて揺れた。 また、スイッチが切られた。 がっくりと首を垂れた美奈子が、はあはあ、ぜいぜい、死にかけの重病人のようにはげしく喘いだ。 「こ、こんなことが、いつまで……」 「まだほざくか」 「せ、世界が、見て、いるのよ……」 喘ぎ喘ぎいいながら、ゆっくりと顔をあげてマルガリテをにらみつけた。 「世界がこれまでアメリカを裁いたことがあって? わたしたちは、そのアメリカの巨大な後ろ盾に支えられていまの体制を維持しているの」 「悪の帝国の、悪の体制……」 「なんとでもいうがいい、負け犬が。しょせん〈うぬら〉はアメリカの裏庭に咲く毒の花。そんな花は蹴散らされる運命にあるのよ」 マルガリテの手が、装置の別の部分を操作した。Aと表示されたダイヤル盤の数値が一挙に跳ね上がった。 「結婚して子どもでもつくろうものなら、どうせ産まれる子も赤の反逆者に決まってる。そんな芽はもとから絶たねばね」 ラビアに結んだ一方のクリップがはずされ、それをつまんだ手を、マルガリテは美奈子のヴァギナに押し込んだ。 「電気で責められ、すっかり収縮してるのよ。あなたのこぶしじゃ壊れるわよ」 グロリアが心配したが、マルガリテはいっさい歯牙にもかけず続行した。 「ううっ、ああっ、いやああっ!」 ぐいぐいとねじ込み、やがてこぶしの先はゆっくりと膣の中にもぐり込み、それから一気に手首が吸い込まれるように美奈子の体内に収まった。 ぐいぐいとひねりが利かされ、その間、子宮にクリップの先を押し込まれる異物感に、美奈子はのけぞり、身悶えた。 体液でぬめった右手が引き出された。 「さっきのはアンペア数を上げたのよ。おまえの子宮を焼きつぶしてやる。バーベキューにしてやるのよ」 マルガリテはそう言って、けたけたと笑った。 電気ショック装置のスイッチがひねられた。 「ぐううっ!」 ぎりぎりと歯を食いしばった美奈子の顔が、ぶるぶると震えた。こんどは悲鳴をあげなかった。声さえ必死の形相でこらえた。 「うくくっ!! ひいーっ!」 笛のような甲高い悲鳴が挙がって、股間から薄煙が立ちのぼった。 肉を焼く異臭に、そばに立つ看守たちも顔をそむけ、目をそむけた。そのなか、マルガリテはぶるぶると震えながら、美奈子を責めるコントローラーから手を離せずにいた。 「むむうーっ!! あつううーっ!!」 開脚寝台に縛りつけられた美奈子の身体から汗が噴き出した。全身が鳥肌立ち、コードが蔓草のように伸びる性器の、性器を覆った陰毛が電気に反応して、わーっと逆立った。 その瞬間、美奈子の首がガックリと支えを失ってうなだれた。 「!」 マルガリテは血相を変えた。あわてて変圧ダイヤルをいじったり、スイッチを操作したりしていたが、その手を止めさせたのは、そこにいる看守のうろたえた声だった。 「停電ですっ!」 「えっ!?」 直後、廊下の向こうが異様にざわめいた。 はげしい銃声も連続して響いた。 「暴動だっ。所長、逃げてくださいっ!」 遠くで聞こえたその部下の声は、あらたな銃声でかき消された。 「バカな!?」 騒ぎはだんだんおおきくなり、最初に2人の看守が廊下に飛び出していなくなり、マルガリテも色をうしなってその場から消えた。 美奈子はうすれゆく意識の中で、うわごとのようにつぶやいていた。 「メリッサ、だいじょうぶよ。けっして負けたりしないから……もうすぐよ、もうすぐあなたも、自由になれるわ」 制止する声を蹴散らし、なぎ倒し、無数の足音が、すぐそばまで迫っていた。 |
