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文__マーゴ / コラージュ__ロック

 ドクターは、品定めする目でわたしの頭から爪先までをゆっくりと眺めていった。
「きれいに痩せてるじゃない」
「……………」
 いよいよ犯されるんだと勘念した。
「怖い? でも、しかたないわよね」
 体が小刻みに震えているのが、自分でもよくわかった。
「本来ならば、秘密警察の本部に連行するところよ」
「……………」
「でも、おまえのような女をぜひにという人がいてね」
 わたしは、信じられない思いで、まじまじとドクターの顔を見返した。
「この痩せて、なんの役にも立たない厄介者のカタワな体をね、くっくくく……」
 そうか。金も権力も手にあまるほどあり、普通の健康な女とはゲップがでるほどやりまくり、この際普通でない体を求めて自分のような者を標的にしたい男の目に留まったのか。
(おぞましい!)
 犯されるにしても、できれば乱暴に犯されるのだけはいやだった。どんな奴がこのわたしをと、あれこれ想像しているとき、
「あなたを所望したいというのは、実は女性なのよ」
「え!?」
 予想外の答えに、それ以上の思考が利かなくなった。
「名前はいえないけど、地位も名誉もある四十代のご夫人」
「女の人が……」
 呆然とした面持ちでいると、くっくくく、と、例の不気味な笑いが返った。
「おまえのような者には、ふさわしい相手かも知れない」
「女の人が……」
 男にレイプされるのと、同性の、それも母親ほど年の違う女にもてあそばれるのと、どちらがつらいだろうか。
「わたしも立ち会うわ」
 見返したドクターの目の中に、小動物をいたぶるような陰湿な光がたたえられており、ぞっとした。
 ドクターは部屋の時計を見上げた。間もなく7時になろうとしている。
 若い女の監護助手がなにか耳打ちしたが、「それは中でやるからいいって……」と小声で返すのだけは聞き取れた。
 そろそろ時間のようだ。
「では、お連れするわ。いいわね」
 うむをいわせぬ調子で言った。わたしはうなずくしかなかった。
 暗い廊下を、悦子が先に立って歩き、わたしの車いすは若い監護助手に押されて後につづいた。
 「マッサージ室」と呼んでいる専用の密室は、廊下の突き当たりにあった。
 扉を開けて入ると、窓のない薄暗い部屋の中央に、奇妙な感じの木製拘束用テーブル。一見した印象はまな板で、正にまな板の鯉ならぬ身障女ということになるか。
「ここで……?」
 わたしは悦子をまじまじと見つめて訊いた。緊張はいっぱいに高まり、心臓の鼓動が早鐘を打っていた。
「ご夫人をお連れして」
 ドクターに命じられ、監護助手がいったんその場を辞した。
「少しのしんぼうなどと思わないことね」
「いったいなにを……」
 だんだん絶望にうちひしがれていく。
 廊下に足音がして、間もなく黒のドレスをシックに着こなした四十年配の夫人が姿をあらわした。
 美食の限りを尽くしたといった感じの肥満体型で、二重顎の顔に陰険、冷酷な笑みを浮かべていた。目がぎろりとわたしを睨みおろした。
「……………!」
 わたしは恐怖ですくみあがった。
 助手が車いすを反転させて、夫人と向き合わせた。
 夫人は「ふん」と鼻を鳴らしたが、見下したからということではないようだった。
「さっそく脱いで。全裸になるのよ」
「!」
 わたしは自分から車いすを操作して台に付けると、両手を台と車いすの双方について体を浮かし、乗り移った。
 助手が空になった車いすを押して、またいったんいなくなった。
 わたしは震える手でブラウスのボタンをはずし、服を脱いでいった。痩せた肩をあらわにし、ブラジャーを付けた胸以外の上半身裸になった。
 ほっそりと伸びた足先から靴下を脱ぐと、よく伸びた足指があらわになった。
 スカートのベルトをゆるめ、腰からはずした。くびれのあまりない腰にパンティが残り、そこから伸びる腿さえマヒのため細いが、それを恥ずかしいと思うことはなかった。
 半裸になった身障の女体を、好き者、美奈代夫人は舌なめずりせんばかりに凝視している。
 手を後ろにまわし、ブラジャーの止め金をはずす。間もなく布のカップが胸から離れ、幼女のような貧乳が薄暗い中に白く映えた。
「あとは私が……。そのままでいいから、ベッドに横になって」
 夫人はぞくぞくしながらうながした。
 うながされるまま、わたしはベッドに横になった。スリムを通り越してか細く、ごく華奢な全身がパンティひとつ残してベッドにまっすぐ伸ばされた。
「どうします?」
 悦子が美奈代の耳元でささやいた。
「さっそく電気で責めてみたいわ」
 わたしは天井を見たまま、まだその場の情況を十分判断できずにいた。
 その手を助手が取り、腰の下に降ろさせた。台からリングが出て、そこに手首を通されるとリングが締め付いた。
「あ……」
 たちどころに恐怖に貫かれた。
 おろおろする間にも悦子が足を受け持ち、これは左右に開き加減に、台に出ているリングに足首を通して締め付けられた。
 夫人がパンティひとつの全身を眺め下ろした。
「ある時点で成長が停止し、歩行機能を失う難病なんだって?」
「はい」
「成長が止まった時点が十八歳で良かったよ」
「……………」
「脊髄ではないから感覚は正常よね」
 すでに答える余裕もないほど落ち着きを失っていた。
 はあ、はあ、と、苦しそうに喘ぐたび、扁平な乳房の下も大きく息づき、あばら骨が呼吸に合わせてくっきりと浮き立つ様は美奈代夫人の興奮を高めた。
 左右に開かれた脚の一方に手をかけ、膝下から膝にかけて痩せぐあいを確かめた。その手がスリムな腿に伸び、さらに腰に伸びていき、パンティのゴムにかかった。
「!」
 わたしの緊張が高まる。
 夫人のもう片方の手もパンティの片側にかかると、ゆっくりと腰の薄物が膝に向かって引き下ろされた。
 一方に片寄り、皺になって縮んだパンティが膝のすぐ上まで下ろされ、わたしの陰部がさらしものにされた。濃い目の陰毛が広がった中から、やや黒みがかったピンクの淫肉が複雑な亀裂と盛り上がりを見せて縦に伸びていた。
「処女じゃないわよねぇ」
「は、はい」
 夫人は女と思えぬ力でパンティを引きちぎり、陰部をさらした状態でいったんベッドを離れた。
「SMってのは聞いたことある?」
「はい、知ってます、だいたいは……」
「私もSMは嫌いではないが、それでは物足りないものをこれまで感じていた」
「……………」
「あの大金はもっと違うことをするためにお前に払ったんだ」
「……………!」











すすり泣く声……







ぎゃああああーっ!!!

(2001年7月に書いたものへ、コラ画像に合わせて補筆)







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