MatzPaper第53号
発行日2008年7月30日

目次
 働くってなんだべ?B『身体の痛みと働くことと』(松村勇気)
 特集 「小さいころやっていた遊び・ゲーム
 『民研に入ってみて』(麻人)
 『いよいよ梅雨明けし』(S.S.)

働くってなんだべ?B
「身体の痛みと働くことと」(松村勇気)
  
  「感情労働」について書こうと思っていたのですが、予定変更で・・・
  7月初旬、腰に痛みが走りました。朝起きて、いつも通りに起き上がろうと思っ 
 たところ、「あれっ?」と。起き上がるのだけでも苦しいし、そのあとも、前か  
 がみになる、身体をひねる、歩く、そのたびに腰に痛みを感じる。とうぜん、早  
 朝ランニングもできません(ためしに走ってみたら、腰がカクッっとなりました)。
 動くたびに痛みを感じるので、家事すら億劫に  なってしまう。「いつも」の  
 動きが「いつも」通りにできない。自分の身体が自分のものではなくなったよう  
 な気分。他の何かに邪魔されているような気分。
 
  腰痛が、痛く・苦しく・大変であることは話を聞いてわかっているつもりでい  
 ました。母や親しい知人も腰痛もちで、痛そうな顔や苦しそうな顔を見ていたこ  
 ともあったので。話も聞いていたはずなのに、聞くことができていなかったのか  
 もしれません。自分のわかる範囲で解釈して、わからない部分は無意識に聞き流  
 して、それで自分は理解したつもりで、「無理はしないでくださいねぇ」なんて  
 言葉をかけたりしていたのでしょう。自分の身にふりかかってきたときに、どう  
 苦しくて、どう大変なのかを実感する。自分がわかったふりをしていただけだっ  
 たということも実感する。とはいえ、痛みの度合いも、そのときに感じることや  
 考えることも人それぞれ違う。同じ部位が痛くなったことで経験者とわかりあえ  
 る部分は増えたとしても、やっぱりわかりあえない部分は残り続ける。他人の痛  
 みも苦しみも完全に理解することなんてできないんだと思う。腰にかぎらず、身  
 体のどこかが痛い、ダルい、苦しい、、、それをいくら言葉にしても、十分に理解  
 しあうことはできないんだと思う。
 
  腰が痛くなるまえに大きなストレスを感じる出来事があり、それが原因かなと  
 思ったりもしました。精神と肉体はつながっていると思うし、大きな緊張があっ  
 たり、恐怖や悲しみを覚えれば身体に症状が出るのは仕方がないのかもしれない。 
 とはいえ、少し動くだけで痛みを感じるほど腰にきたことはないので、不安になっ 
 たんだと思います。なので、会う人会う人に、「腰が痛いんですよね〜」って話  
 題に出してしまった。そこで驚かされるのは、皆さまそれぞれの腰痛体験を持っ  
 ているということ。そして、その経験をもとにした助言をくださるわけで。「病  
 院に行った?レントゲンを撮ってもらったほうがいいよ」「ヘルニアになると大  
 変だよ」「すべり症っていうのもあるんだよ」「内臓からきているのかも」「痛  
 みが激しくなると動けなくなるよ」などなど。心配して言ってくれているのはあ  
 りがたいと思いつつ、不安をこえて、怖くなってきてしまう。「立てなくなる?」 
 「動けなくなる?」、、、それはさすがに困る。動けなくなってはお仕事ができなく 
 なるし、収入はなくなる、生きていけない。腰痛が人生を狂わせていくのか・・・。 
 腰痛が恐怖の大魔王のように頭のなかを占領していく。「腰が痛くてしんどいわぁ」
 ぐらいの思いが、「動けなくなるのかもしれない」「今までと同じように生きて  
 いられないのかもしれない」と怖くなってきて、怖くなれば不安は大きくなって、 
 不安が大きくなれば要らぬ心配までしてしまって、それでまた怖くなる。自分の  
 脳内での負の連鎖。
 
  まずは病院に行ってみればいいじゃん、それもわかる。ただ、どうも病院は好  
 きじゃない。というか、医学に頼ることに抵抗がある。病院に行けば、何かしら  
 の原因がわかって安心できることがあるのは事実だと思う。「わからない」まま  
 は、やっぱり怖い。「わからない」ことが「わかる」と、とりあえず救われた気  
 分になる。病名をつけられれば、わかった気分にもなれる。重たい病気だとわか  
 ればちゃんと絶望できる。・・・と、わかっていても、やっぱり病院はあまり好き  
 じゃない。医者は魔法使いじゃないし、神じゃない。痛みをパッと消してくれる  
 わけじゃないし、病気をひゅるる〜となかったことにしてくれるわけじゃない。  
 病院に行ってしまうと、自分の身体を放棄してしまいそうなのがイヤなのかもし  
 れない。自分の身体のことなのに、お医者さま頼みになって、「何とかしてくだ  
 さい」と言い続けてしまうこと、依存してしまうことがイヤなのかもしれない。
  病院に行くことを拒んでしまうもう一つの理由は、医療費の問題。医者に診て  
 もらうには金がかかる。初診料もかかるし、レントゲンだ、なんだかんだで金が  
 かかる。診てもらうまえに、「今日は○○円コースで」って言えるわけもなく、  
 診療後にやっと金額がわかる。金額がわかってから、「こりゃ払えませんな」と  
 言えるわけもない。継続して通院することになれば、また金はかかる。もちろん、 
 痛みや症状がひどくなってからのほうが、なおさら医療費はかさむのかもしれない。
 どちらにせよ、医療費は生活費を直撃し、こんどは生活不安が増す。「医療格差」 
 なんて言葉もあるみたいだけど、身を持って実感する。もちろん、そんな生活を  
 選択したのは自分自身。それは否定できない。それでも、「病院に行く金がない  
 人間は死んでしまえ〜」っていうのもおかしな話だと思うし、病院に行く金を稼  
 ぐためだけに生きるのも何かおかしいと思う。『ルポ貧困大国アメリカ』(堤未  
 果、岩波新書)という本のなかで、医療費のために借金・破産していく人たちの  
 話もあって、何か他人事ではないように思えてしまう。中学3年の公民の授業で、 
 日本国憲法第25条[生存権]「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営  
 む権利を有する」を暗記させる理由がこんなところにあるんじゃないかと考えて  
 もしまう。

  腰痛に話を戻します。先にも言ったように多くの人が腰痛体験談をもっている  
 し、痛みを抱えながらも自分をごまかしつつ仕事をしている人たちも多いんだと  
 思う。「皆がそうだから」「休むわけにはいかないから」など理由をつけて、自  
 分の身体を酷使しながら生きている。もちろん腰にかぎらず、人それぞれ痛みや  
 病気を抱えつつ、身をすり減らしながら生きているのだと思う。そもそも人間の  
 身体の形が不完全(二足歩行とか、頭の大きさとか)ということもあるんだろう  
 けど、働くことは自分の身をすり減らすことという「労働」のあり方とも大きく  
 関係しているんだと思う(ちょっと無理やり「働くってなんだべ?」につなげて  
 みました)。
  
  生きるっていうのは命と身体の消耗戦なのかもしれない。歳を重ねるにつれて、 
 自分の身体も精神も不完全であると感じさせられる機会が増えてきているような  
 気もする。人は生まれたからには、「死」から逃れられない。
  腰の痛みを感じ、身体のこと含め、いろいろ考えていたそんなとき、友人から  
 「赤ちゃん、生まれました!!」とメールがきました。ある場所である命は終わ  
 りを遂げ、ある場所である命はやせ細り、ある場所である命は燃えさかり、そし  
 て、ある場所で新しい命が生まれる、それでいいんだと思う。
  病院に行かないまま症状が悪化するのか、日常生活を送れるようになるのかわ  
 かりません。症状が悪化しようものなら、「病院に行くように」と助言してくれ  
 た人は「だから、言ったじゃないか!!」のごとく非難するのだと思います。別  
 にそれでかまわない、自己責任という言葉で片付けてくれ。目が悪くてメガネを  
 かけている、高校3年のときに腕切りたい衝動が発症した、自分の歯は男性とし  
 ては珍しいくらいに弱く虫歯になりやすいらしい、これにめでたく腰痛が仲間入  
 り。腰痛さん、今度ともよろしくお願いいたします。



特集 
「小さいころやっていた遊び・ゲーム」
  「小さいころ」シリーズです。今回は「小さいころやっていた遊び・ゲーム」について語
ってもらいました。
   ⇒ 「小さいころやっていた遊び・ゲーム」


「民研に入ってみて」(麻人)
 
  僕は大学で民俗学研究会というサークルに所属しています。民俗学のゼミに   
 入ったことは前にも書きましたが、ゼミなどでは三年生にならないとフィール   
 ドワークができないため、思い切ってサークルに入ることにしました。
  民研に入って調査をしていく中で気づいたことは、民俗学には意外に体力が   
 必要だということです。調査では半日かけて町内を歩きながら聞き書きするの   
 で、夏場は地獄です。また親切な話者の場合、一時間以上話をしてくれる方も   
 いるので、それをすべてメモするには集中力も必要になってきます。僕も一度   
 話を聞きながら眠りそうになった時がありました。
  民研ではこれまでにもさまざまな調査をやってきたそうなのですが、今年の   
 メインは仙台市から依頼を受けている仙台七夕の調査です。うちの大学の民研   
 が担当する調査地は、仙台の中心部から離れた場所が多いみたいです。七夕の   
 調査では民研のメンバーを四人ずつに班編成して、それぞれの班で担当の町を   
 決めて調査しています。僕の班の班長はOさんという院生の先輩なのですが、   
 この人はなかなか面白い先輩です。まず毎回集合場所をぎりぎりまで教えてく   
 れません。集合時間三十分ぐらい前になって初めて、やっと集合場所を教えて   
 くれます。しかしその集合場所も、ナントカ通りとナントカ通りのぶつかる場   
 所にいるとか、ナントカ町の西端にいるとか、地名を知らないとたどり着けな   
 いものが多いです。だから調査地に入ったらまず始めに、Oさん探しをしなけ   
 ればなりません。地名や地図をネットで検索したりするのはOさん的に反則ら   
 しいので、何人かの調査地の人に聞きながら集合場所に近づいていきます。僕   
 はこの集合場所クイズのおかげで、調査地の地名にだいぶ詳しくなってしまい   
 ました。そうなるとOさんの狙い通りなのかもしれませんが、地名を知らない   
 と話者の人に迷惑をかけてしまうので、結構先輩には感謝しています。
  僕達がサークルに入った時、民俗学者は優秀な営業マンになれると言ってい   
 た先輩がいました。最近聞き書きをしながら町内を歩いていると、なぜかよく   
 その言葉が浮かんできます。僕はまだ民俗学を学び始めたばかりですが、その   
 言葉の理由が少しわかるような気もします。いろんな人と関わったり話したり   
 することは大変なことも多いけど、その分やりがいがあるし楽しいことだと思   
 います。
  最後に、僕達が調査している町は八幡町という町なのですが、何回か調査に   
 行くうちに愛着がわいてきてしまいました。無事三年生に上がれれば来年引っ   
 越しなのですが、八幡町に住みたいなとも思ってしまいました。でもキャンパ   
 スから結構遠いし、住んでいる理由を周りに説明するのがめんどくさいので、   
 あきらめようと思います。



「いよいよ梅雨明けし」(S.S.) 
  
  いよいよ梅雨明けし、夏到来。
  東京は連日30℃越えの暑さが続いています。
  大学生はちょうどテスト期間で、レポートが山のように出ており尚且つテスト  
 が大量にあります。ヒーヒーいいながら、本を何冊も読んでいます。暑さよりも  
 厚さにやられます。
  ということで、今回は大学生のレポートの中身を紹介します。
  今回は、「ゲーム戦略」という講義で実際に出された問題に対してのレポート  
 です。

 1.兄と弟の間で5,000 円をわけるとき,次のそれぞれの状態がパレート効率的  
   かどうか調べなさい.
  (a)それぞれに効用があるためパレート効率的ではない.
  (b)弟の効用を犠牲にし兄の効用が高まるためパレート効率的といえる.
  (c)(a)と同様にパレート効率的ではない.
  (d)(a)(c)と同様にパレート効率的ではない.
 2.学生1と学生2の間の次のようなゲームを考える.それぞれの学生は自分の  
   期末評価に5点加算するか,相手の期末評価に10点加算するかのどちらか  
   を選択する.どちらの学生も自分の期末評価に加算される得点だけに関心を  
   持っているものとする.
  (a)戦略形
   ・もし学生1が自分の期末評価に5点加算するならば、学生2も自分の期末  
    評価に5点加算するか相手に10点加算するか選ぶ.
   ・もし学生1が学生2の期末評価に10点加算するならば、学生2は自分に  
    5点加算するか学生1に10点加算するか選ぶ.
  (b)学生2は学生1のどの戦略に対しても「自分に5点加算する」ことが最適  
   反応となっているため、学生2に支配戦略が存在する.
  (c)お互いに相手に10点加算する.
  (d)パレート効率的ではない.
 3. 自分は戦略Uを選択し、相手の戦略L,Rに対して、Uが最適反応となる  
   ため、自分に支配戦略が存在する.合理的な推論によって導かれる均衡は、  
   自分がDを選択し、相手がRを選択した組み合わせである.

  と、こんな感じにあとA4で3枚続くわけです。意外やるときゃやってます   
 大学生。そして数学をやっていると経済学系はすんなり理解しやすいです。
  バイトに遊びに勉強は?とよく聞かれますが、小中高と計12年間で勉強の   
 要領くらい把握できてきます。あと少しで夏休みです。大学生の傾向としては   
 8月に死ぬほどバイトして、9月の人が居ない時期に死ぬほど遊びます。
 今から、私もバイトに遊びに勉強に死ぬほど明け暮れたいと思います。





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