98ワールドカップ、南米予選。この日チリはベネズエラとホームで対戦する。当時チリは、ペルー・エクアドル・ボリビア・ウルグアイと、激しく最終枠(4位)を争っていた(コロンビアはこの日、ペルーにホームで敗れるという誤算があったが、試合前の段階では、ベネズエラ戦を残していることもあって、確か半歩リードしていたと思う)。一般的には、南米予選(ホームアンドアウェイ)を勝ち抜くためには、
これら3つのポイントをどれだけ満たせるかどうかにかかっている。
以上のことから考えると、チリにとってホームでのベネズエラ戦は、「絶対に勝たなければならない試合」である上に、激戦の中、得失点差を考えると「収穫祭(FC東京用語・5点以上取ること)」としたい日であったといえる。当日の新聞(一般誌)「El Dia(英語のThe Day)」の第一面の見出しは、「
Todo Chile con la Roja!(チリ全土を赤に!)」と、共産主義の広報誌のよう(?)であった。ちなみにチリのユニホームはシャツが赤。パンツが青。
旅の期間中に予選を観たいと思っていたが、「観る人を観る」ということで、バスターミナルに早めに入り、試合をテレビ観戦する人を観ることとした。ワールドカップの予選(その国の試合)は、仕事(客商売)をしている人のところへ行けば必ず見られるというのは、「常識」となっている(断言)。ちなみにホテルからバスターミナルまでのタクシーは500ペソ、行きの半額だった。
時間つぶしに中をブラブラする。カナダ人女性の2人旅行者はアントファガスタへ行くそうだ。チリ人2人組の若い女性が話しかけて来て、「日本語で話して欲しい。」という。チリでは2度目のことなのだが、テープレコーダーに録音するのだ。「2人のご健康をお祈りします。」とか言ったが、何となく普通に使う日本語ではなく、ムリヤリ翻訳した日本語のようだった。横にいたアベックの女が「チーノ(中国人)、お金ない?」と言う。「No(スリにやられたので、あまり金がないというのも事実)」と言ってから、今後のことも考え、和西辞書を引く。「Mendigo(乞食。女性形は語尾が『a』)」を覚える。しばらくして、予想通り「タバコちょーだい。」と言ってくる。「この○○め!」という侮辱的ニュアンスを込めて「メンディーガ!」というが、気持ちはうまく伝わらない模様。でも、何やってんだ、俺は?
テレビが始まった。バスターミナル中にテレビが持ち込まれ(?)、ステレオ放送のようになっている。バス会社毎にチケット売り場が分かれているのだが、どの会社の人もテレビを見ているのだ。バス待ちの人はいそいそとバーへ寄っていき、私やそのアベックは遠巻きにテレビを見ている。
しばらくチリはペースをつかめない。2階にバーがあり、ビールを飲みながら見ることとする。サモラーノがまず1点。その瞬間、歓声がターミナルじゅうに響き渡った。結局、前半にサモラーノが3点入れ、後半にももう1点。CBのフエンテス(だったか?)も1点を入れ、サモラーノがPKを外した(翌日の新聞は「サモラーノ、5点入れてPK外す」というような感じの見出しだった)。さて、そろそろと思い、バスのチケット売り場を通って外へ出ようとした。そのとき、サモラーノが自らの5点めを入れて、バス会社の人々も大騒ぎ。「几帳面なチリ人にラテン系の一面を見た。」とでも言おうか? いや、これが「世界の常識」ではないのか?(結局チリが6−0で大勝し、ワールドカップ出場を引き寄せる試合となった。)
外は寒かった。バスは23時30分発の予定だったが、サンティアゴからそのころようやく到着した。隣りが恐ろしく太ったおばちゃんだった。2割ぐらいバス代返してもらいたいと思った。バスはアントファガスタに昼頃到着する予定。