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PC通訳の「PC」とは、パソコンやワープロのこと、「通訳」とは、この場合、聴覚に障害のある方々のために音声情報を文字情報にして伝えることです。通訳者が聞き取った情報をキーボードから入力すると、瞬時にスクリーンやディスプレイに表示できます。
すでにパソコンやワープロは非常に身近な存在です。近年のノートパソコンの普及で手軽に持ち歩くこともできるようになりました。Windowsの誕生によって、自由に文字を拡大したり、見やすい色を選択したりすることが可能になりました。この二つの技術の進化をうけて、PC通訳が発展してきたわけです。
これまで、文字による通訳は手書きが中心で、「要約筆記」、「筆記通訳」などと呼ばれてます。OHPロールにサングラスをかけて油性マジックで書くのがおなじみでした。手書きですと、1分間に書ける文字数は40〜50文字くらいですが、キーボードなら120文字を叩き出せます。同時通訳の局面では、それだけ多くの情報を伝えることができるわけです。また、難しい語句は、手書きですと省略記号を使っていましたが、PC通訳ではあらかじめ辞書に単語登録しておくことにより、2、3文字の入力で目的の語句を出すことができます(たとえば、「まるよ」と入力すると「要約筆記」と出るようにしておくなど)。約束事を知らなくても、分かる言葉で表示されます。さらに、PC通訳では、現場の状況に応じてどのように表示するかも自由に設定できます。
このような利点を活かして、これから文字通訳分野でPC通訳が普及していくものと思います。
通訳は信頼関係によって成り立つものです。情報を正しく伝えることも大切ですが、通訳することにより知り得た情報を外部に漏らさないということが最も大切です。PC通訳の結果としてマシン内に記録された情報は依頼者のものであることも忘れてはなりません。また、PC通訳の場合、ハイテク機器を使用していることで、知らず知らずのうちに相手に威圧感を与えてしまう傾向があります。これは、相手の立場を理解して、情報保障とコミュニケーションに努めることで和らぎます。その心構えがあれば、急にパソコンが停止したとしても、ただちに筆記通訳に切り替える機転が生まれるはずです。「信頼」と「理解」と「伝える心」が良き通訳者であるためのキーワードです。
通訳を受ける人がひとりの場合もっとも簡単なのは、入力者が入力しているPCの画面を直接覗き込んでもらう方法です。もし、もう1台PCを用意できるならば、そちらに字幕を表示して見ていただく方が見やすいでしょう。ひとりで入力し続けるのは1時間くらいが限界ですので、時間が長い場合は、交代入力者を用意する必要があります。
テレビを利用して字幕を表示するPCの出力信号をスキャンコンバーターという装置でビデオ信号に変換し、テレビに字幕を表示することができます。字幕を必要とする人が数人ならば、座席配置を考慮することにより、1台のテレビで間に合います。
出席者が円形に着席する会議では、どの位置に座っている人からも字幕を見やすいように、AV分配器を使用して数台のテレビに同時に字幕表示することもあります。
大きな字幕の表示通訳を受ける人が多い場合や、会場が広い場合は、プロジェクタを使用して大きな字幕を表示します。O−CAPは、主にこのような状況で活動しています。通常は会場が明るいので、性能のよい明るいプロジェクタが必要です。不測の事態で字幕が中断したりしないように、メインの系統とは別の入力系統を用意するなど、接続も複雑になります。
連携入力O−CAPでは、2人の入力者が連携して入力することにより、より精度の高い字幕を提供しています。入力の合成にはユーラックスという装置やLANを使用します。合成した入力を別のPCで見やすい字幕表示に加工して、プロジェクタやテレビに表示します。