標準時報局 ATA(インド)

おぎのかずとし

1.はじめに
 会報290号で、インドのATA局とメールによるコンタクトがとれたので、少しは情報が集まりそうだと期待を表明したが、その後の進展ははかばかしくなく、ATA局自体が停波しているとの情報を得た。ウェブページのリニューアルの時期とATA局の停波の時期がなんとなくしっくりいかず、結果的には疑問を多く残したままの掲載となっている。

2.NPLのウェブページから
 インドの標準時報局であるATAは国立物理研究所(National Physical Laboratory;以下NPLと略)の管轄下にある。NPLはインドの国立研究所の中で最も早く建設された研究所で、1947年1月に、Shri Jawaharlal Nehruによって礎石が築かれた。初代所長はDr.K.S.Krishnanで、研究所の建物の正式オープンは1950年1月のことだった。

wpe6.jpg (24439 バイト)ATAの建物

 ATAは、短波帯5、10、15MHzで標準電波を送信しており、出力は10kWである。標準信号はINSATという衛星システムによって2599.675MHzの周波数を使って結ばれている。標準電波は、インド標準時(IST)と1MHzの標準周波数を提供している。ISTの精度は±10μS、周波数の精度は±10-10 である。標準電波のもとになる基準時間は4つのセシウム原子時計であり、精度は5×10-12 である。

wpe4.jpg (6721 バイト)ATAの送信設備

 標準時報局の放送スケジュールの記述はウェブには見あたらず、私の手元には1981年版のDX年鑑しかないが、ここには平日12:30〜23:30JST、日祝日13:30〜17:30というスケジュールが挙げられている。しかし1983年版にはATAの記述がなくなっている。送信周波数については、NPLの歴史のページでは5、10、15MHzとなっているが、時間と周波数の標準というページでは、10MHzでの運用という記述になっている。また、JJYのページでも10MHzのみとなっている(JJYのページでは放送時間は24Hとなっている)。

wpe5.jpg (6484 バイト)ルビジウム周波数標準

3.NPLからのメール
 久々に出したメールにCenter For Calibration and Testingという部署の責任者であるV.T.Chitnis 氏から返事が届く。氏は名古屋大学に留学の経験があり、懇切丁寧に関連部署の所員を紹介してくれた。さて、次のメールはV.T.Chitnis氏の同僚からのものである。内容は衝撃的なものだ。

Dear Mr. Ogino,
 I am replying for the mail you sent to Dr. Chitnis. We had been
 operating the ATA time broadcast station till 1996. We have since
 started better and more accurate time services like one via satellite.
 We thus discontinued ATA transmission.

 これを読むと、1996年までATA局は送信していたが、その後、衛星によるサービスに取ってかわられ、現在では停波していることのようだ。8年前に止まっていた!ではなぜウェブページに今でも送信しているように記述があるのか?なぜ送信設備の写真を掲載しているのか?わけがわからない。

 ATAはかつてはJJY、現在はBPMと送信周波数が同じため、確認をすることが日本では困難であり、この情報が正しいかどうかを確認するすべがない。

(注)写真はNPLのウェブページからのもの。http://www.nplindia.org/npl/index.htm


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