延長また延長
少年ヨ 泣クナ。
腹部に衝撃波。弾き飛ばされる。開かない眼で天を仰ぐ。カウントダウンが聞こえ、
コインが喉頸を通る音を聞く。サーキットに電流が走り、再び闘技場に立つ。
少年ヨ 刮目セヨ。
掌が波動を発する。ローキックがヒット。男を跳ね上げ、私は天に吠える。届け。
届け。魂へ。少年の眼を開き、空洞の心に響き渡るように。
少年ヨ 堪エヨ。
ガードしてもダメージ。旋風脚は空転。掴みあげられ投げ落とされる。冷たい床に
頭が冷える。もたげる力はない。少年の華奢な手が台を殴る。ノイズが私を歪ませる
だけ。そうじゃない。そうじゃないんだ、少年。
超人ではない。天才ではない。空を飛べない。世界を操れない。限られた君自身の
内には、それでもなお、無限の可能性が存在するのだ。よく視ろ。パターンを読め。
素早く的確に技を繰り出せ。俺は動く。闘う。俺の拳は巌よりも堅い。
さあ、共に行こう。かいくぐり、突き破り、勝利を掴むのだ。誇りを胸に。共に叫
ぼう。所与をあらん限り生きる、それが俺達の自由だ。
コインが喉を鳴らす。表情のない少年の瞳に二次元の私が映る。トモ二ユコウ。疲
れることも傷つくこともありえぬ私が闘技場に立つ。