隣のとなり

 鼻を赤で丸く塗る。
 もちろん、ボールみたいな付け鼻なんかしない。
 これで出来上がり。上手く描けたと思う。
 鏡の中の顔はあごが大きめでパーツは小ぶり、でもバランスは悪くないし鼻のラインもわりと気に入っている。さあ急ごう。先輩たちから受け継いだ衣装に着替え、もしゃもしゃのウィッグの縁を両手で押さえて行列に走り込む。
 ぶっつけ本番のパレードはあたふたと出発。愛嬌をふりまくわたしの隣のとなり、幼なじみのシンちゃんがトランペットを吹いている。その横目の端にカラフルなわたしがちらりちらり、だけど澄ました顔してバンドの音に夢中みたい、本当にちゃんと映っているのかどうか、どうも自信ない。
 綺麗に飾られた校門をくぐって前夜祭会場のグラウンドに帰りつく。夕日が頬をオレンジに染め、体のでこぼこを浮き彫りにしている。クーラーボックスからお茶を取り出して紙コップに注ぎ分け、お盆に載せて配りながら同級生をかき分け、あと二個になったところでたどり着く。おつかれさま!
 へぇーピエロじゃんって、そのまんまだよシンちゃん。真正面に立つの久しぶりで照れるけど、フェイスペイントに隠れてる今のわたしを見つけ出してほしいんだ。


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