降るまで
氷礫が打つ日はパーティをしよう。歌ってつねってくすぐって。泡立つ水に粉果汁、
百年ものの缶詰も開ける。姉が私を見上げると弟はスカートに纏わりつく。
やんちゃ盛りの童顔に彼の面差しを見つけ、私も黙ってしまいそうになる。
轟音がやんだら水を採りに出よう。手袋はめて桶持って、苔むして朽ちない倒木の森へ。
拾いあつめた氷礫から抜けた炭酸ガスが足許に満ちる。凍てついて水を払われた空は青黒く深く、
小さい太陽は激しく輝く。山の向こう、世界の中心は熱湯が渦巻き、
滅ぼしあう人々が絶えた今も戦争機械は氷礫を撃ってくるのだという。止めてくるよ、と彼は言った。
その日まで生きているのが君の仕事さ。
本当なら雪というものが降るらしい。さらさらと舞い、ふっくらと柔らかく、しんと音を吸いすべてを包む雪。
掌の上で淡々と融けて澄んだ美味しい水になる。白くて冷たくて、魅入られて埋もれて死ぬ人もいるんだよ。
無知な私を彼は笑ったけれど、想像すると心が身体を離れそうになった。
私を受け止めた彼の胸板はたしか、厚くしなやかで温かかったと思う。
明日かもしれない。明日ならいい。いつまでも暮れない夕闇を眺め、二人の手を引いて私は待っている。