
| 斜視の手術前検査(眼位・屈折異常の確認・息子の先生の診察・採血・採尿・胸部CT・身長/体重の測定)で病院に行った。検査が全て終った後、看護婦さんと眼科前の待合スペースで入院に向けて話をする時間があり、身体の発達・病歴・アレルギーの有無・習慣などを聞かれた。
生後6ヶ月の頃、脳外科的な判断で別の病院の小児病棟に入院していた時も、息子の元気な活発さに驚いた看護婦さんもいた。私は入院中の心配として、ベッドからの転落が本当に怖かった。だって、斜視を治すために手術や入院をして、それなのに病院のベッドから落ちて又眼や脳に問題が出たらって思うと、本当に付き添い出来ない事が怖かったし、斜視の手術をしたばかりの眼を触ってしまうんじゃないかって事も心配だった。付き添い出来ないからと言って、息子が起きてる間やふと起きた時にずっと付き添ってくれる訳じゃないから本当に心配だった。 |
| 転落で脳に血腫などが出来て、経過観察が必要という理由があるにしろ、頭部CTを定期的に撮らせて医療被曝を受け、斜視になって両眼視機能が損なわれて眼位がおかしくなり、まだ産まれて1年ちょっとしか生きてないのに全身麻酔で手術する事になり、1番つらい思いをするのは息子だって分かってるだけに本当につらかった。斜視になった原因も看護婦さんに話した。話ながらも今までの事をいろいろと思いだしてしまい、涙が出そうになったので自分を落ち着かせて話した。 あの時、落ちる前に泣き声は聞こえなかった。深夜突然大きな音がして、”え、今の何!?”って感じで私も旦那もびっくりして眼が覚めた。その音は息子が落ちた音だった。看護婦さんは私も子供がいるけどと言って驚いていた。そして話を聞いた看護婦さんは、「生後6ヶ月でベビーベッドの柵を1番上まで上げてたのだから、不慮の事故で、誰にも予想出来ない思いもよらない事故でお母さん達に責任はない。」って言った。以前友達にも同じ事を言われた事があるし、今まで人に責められた事はないけど、私は自分で自分達の事を心の中で責めてたからその言葉を聞いて涙が出そうになった。でも必死でこらえた。だってそんな場所で無くなんて格好悪いから絶対に泣きたくなかったし、周りの人に泣きそうだって気付かれたくなかった。話そうとすると声が震えて泣きそうになったし、涙がこぼれそうになったから、しばらく黙って上を向いて涙が流れない様にして気持ちを落ち着かせた。 自分の希望も伝えた。夜病室に泊まる事はしないけれども、朝は息子が起きる前から、夜は息子が寝るまで付き添いたいと伝えると、昔は絶対時間で終わりという感じだったけれども、最近は乳幼児の場合は付き添い時間も考慮されてるという話だった。そして、生後6ヶ月で柵を1番上まで上げたベッドから転落した事や、運動機能の発達が早くて活発な事は病棟の看護婦さんにきちんと申し送りしてくれると約束してくれた。 |
病棟に着くと息子の部屋は詰め所の近くで、ベッドは他の子のベッドよりも柵が高めの物だった。でも、生後6ヶ月で柵を1番上まで上げたベッドから落ちた息子。その瞬間を見てないから予想しか出来ないけど、今でも台所に腕と足でよじ登って上に置いてある物を見てる姿を見ると、きっとそんな感じでよじ登って落ちたんだと思う。病院で用意されたベッドに息子を立たせた。頭から柵の上までの残りの高さは、生後6ヶ月頃の柵と身長の関係よりも差があった。でもあれから9ヶ月経ってる。今は更に体力がついてる。だから危ないって思った。まして息子は危ないって理解して行動出来る年齢になってない。しかもいつも近くにいるママもいない。このままだと又落ちるって思った。その事を婦長さんと担当看護婦の方に伝えると、もう少し高さがあるけんいん様のベッドに交換された。そのベッドが1番高さがあるという話。又、婦長さんに夜病室に泊まる事はしないけれども朝は息子が起きる前から、夜は息子が寝るまで付き添いたいと言うと快くOKしてくれた。 ベッドの確認が済んだら、2名の麻酔科医から麻酔の説明やアレルギーなどの確認があった。今回は全身麻酔による手術。手術には麻酔科医も立ち合う、ダントロレン(全身麻酔によって悪性高熱症が起きた時に使う特効薬)もすぐ用意できる状態という話だった。A病院の脳外科で撮っていた頭部CTのフィルムは息子の先生から受け取っているという話。斜視の手術は全身麻酔で行い、麻酔方法は甘い香りのするガス麻酔剤を吸入するため、3つの香りから選べたのでイチゴを選んだ。 夕方4時30分と夜寝る前8時の計2回、看護婦さんが息子に目薬(パニマイシン)を点眼した。点眼中もちろん息子は大泣き。だから点眼した後すぐに”よくがんばった!偉いな〜!”って旦那と2人で笑顔で大げさに誉めたら、点眼中大泣きだったのに点眼が終った途端にパッと泣き止んで、泣いた後の顔で一生懸命パチパチ拍手してた。この日は食事と目薬・シャワー以外はずっとプレールームで遊ばせた。 息子にシャワーを浴びさす為、私は服を着たままで一緒にお風呂場に入ったけど、いつも息子と一緒にお風呂に入ってたので、自分は服を着たまま息子にシャワーというのに慣れなくて、シャワーヘッドが踊ってしまい全身ほぼびしょ濡れになってしまった。。この日は病院近くに泊まる形で予定を組んでいたので着替えがあって良かった。 私は、息子の手術・入院が決まってから1人であれこれ計画を立てた。ママもパパも居ない知らない場所で初めて1人になる息子を想い、入院前に音が出る新しいおもちゃをいくつか買っておき、入院してから初めて与えた。そして知らない場所だからこそ慣れた物があった方が安心するんじゃないかと思ったので、入院が近ずいた頃、タオルケットと口にくわえられる小さなパイルのぬいぐるみを息子の寝る時の必需品にさせようと思い、寝る前にはその2つを必ず息子に持たせて感触に慣れさせたり、タオルケットで体を包んだりして意識的に習慣を作った。 看護婦さんに夜泣きしたり起きたらどうしたらいいか聞かれたので、パイルのぬいぐるみを口にくわえさせてタオルケットを近くに置く様に頼んだ。翌朝手術だから最後のミルクは夜中の4時で終わりだけどどうするかと聞かれたので、起こしてでも飲ませて下さいと頼んだ。 翌朝私達が行くまで寝てて欲しかったから、1日中プレールームで思いっきり遊ばせて疲れさせて夜は遅めに寝かせた。抑制はしない方針にあると言われたが、心配だったから抑制を頼み抑制ベストを着せて手も緩めにしばった。パイルのぬいぐるみとタオルケットは息子の手の届く場所に置いて帰った。 夜は近くのファミレスに入り、息子の斜視が完治する前祝いとして旦那とビールで乾杯した。この日は病院の近くに旦那と泊まり、翌朝は7時頃に病室に行った。 |
朝。病棟について息子の部屋を覗くと、息子はすでに起きていた。お気に入りの小さなパイルのむいぐるみを口にくわえ、涙が流れた後が見える顔にぼーっとした表情で一点を集中して見ていて、前日私が抑制した状態で力無さげに横になってた。息子の名前を呼ぶと、息子は私の顔を見るなり、早く抱っこしてって感じで泣きそうになって、手を伸ばして必死で今にも体が持ち上がりそうな感じだったから、すぐに抑制をほどいて抱っこした。”ママ来たよ、会いたかったよ、ママ寂しかったよー”って言いながら。 この日も朝からずっとプレールームで遊ばせた。午前 9時、看護婦さんが来てセルシンサンという少し眠たくなる粉薬を飲んだ。飲んだ後はふらついてちどり足で歩いて転んだりして危なっかしい状態だったから抱っこしたり座って遊ばせたりした。麻酔科の人も来ていろいろと説明してくれた。全身麻酔から覚めた時はどの子も必ず皆暴れるから、暴れた状態で病室に戻すと危険だから落ち着いてから戻すと言っていた。だから暴れた子供を押さえられるだけの人数は手術室には居るから手術室で転落する事は無い、ときっぱりと言ってくれた。安心した。 そしてついに内斜視の手術。 そして内斜視の手術が終わり、手術室から息子が出てきた。 |
| 私は自分がすぐに顔に出るタイプって自覚してた。だから絶対にガーゼが外れた瞬間に、痛そう・可哀想という顔はしない様に気を付けようと固く思っていた。そして息子の両目のガーゼが外された。両目とも黒目の内側の白目が真っ赤に充血していた。淡い色で細い線が見える普通の充血じゃない。真っ赤な血で塗られた様な充血。痛々しくて涙が出そうになったけど、ヤバイって思って一瞬ですぐに気持ちを切り替えて、笑顔で「かわいー!治ったね〜!がんばって良かったねー!もう安心だねっ」って感じで、何でも無い事の様な軽い口調で明るく息子に言った。旦那もがんばってそうしてた。
ガーゼが外された時、もちろん見るのが辛くなるほど痛々しかった。涙が出そうになった。でも息子が起きてる間は明るく振舞った。親になると我が子のためならそれが出来るんだよね。子供のためにこんなに強く振舞えるなんて、こんなにがんばれるなんて親になるまで分からなかった。 |
息子が楽しく過ごせる様にと思い、手術日以外はプレールームで1日中遊ばせた。少し風邪気味っぽい感じで退院してから熱が出たけど、看護婦さんに全身麻酔をすると体調が変わって風邪もひきやすいって聞いてた。その通りただの風邪って感じだった。入院中は旦那と交代で1日中どっちかが必ず息子についてた。婦長さんや看護婦さん達が程よい距離で接してくれたお陰で、私は本当に居心地良く過ごす事が出来た。入院中は2日ほど病院の近くに泊まった。あとは高速飛ばして車で家に帰って翌朝向かったり。息子は6時ごろに起きるから息子が起きる前に病室に着く様に心がけた。でもたまに間に合わなかったりすると、息子は私達の顔を見たとたんに抑制されてるのにも関わらず体が浮くんじゃないかって思う勢いで抱っこって感じで手を伸ばしてきたからぎゅーって抱っこした。 息子は寝ながらたまに笑う事がある。息子の顔の近くで笑い声を出すと笑顔になる時があるんだけど、看護婦さんから”息子くん、寝ながら笑うね”って言われた。手術して入院してる1人ぼっちの環境なのに、寝てる時に笑ってたっていうのには驚いた。でも少しほっとした。朝起きてから寝るまでずっと楽しく一緒に遊んだり過ごした事で精神的に満たされてくれてたのかな?いい夢見てたのかな?そうだといいけど。まだ小さくて純粋な息子。胸が苦しくなった。 |
1番がんばったのはもちろん息子。偉かったね。本当に良くがんばったね。 |