東海村へのこだわり

臨界事故の後で…
 皆様ご存じのとおり、当園のあります東海村には、原子力発電所があります。
 そしてまた1999年9月30日、株式会社JCOによる臨界事故が起きたのも、記憶に新しいことと思います。本来ならば、このインターネットという即時性をもったメディアを通して、当園のぶどうに関しての情報を掲載するべきでしたが、安易に不特定多数の方々に「安全だ」という情報を流すことはかえって失礼に当たると判断して、昨年はぶどうをご購入いただいたお客様にのみ、お礼とともに安全を確認した旨の書面を同封いたしました。
 当園は市場に頼らず、主にお客様のご紹介により成り立ってきました。しかしながら、事件後の相次ぐキャンセルにより、今まで培ってきたお客様との信頼関係が一瞬にして失墜してしまった現実…。
 昨年はまずぶどうと土壌の安全の確認に奔走しました。
ぶどうのシーズンが終わって…
 丹精こめて作ったぶどうの半分ほどが収穫されないまま、秋が終わろうとしていました。25年間ぶどう園を営んできて、はじめての経験でした。東海村で農業を営んでいる限り、避けては通れないリスクではありましたが、いざそれが現実になったとき、相次ぐ報道によるイメージダウンは思ったより深刻でした。こちらが安全を確認しても、なかなかお客様には分かっていただけない…。これがいわゆる風評被害なんだと実感したものです。正直なところ、別の地に移って新たにぶどう園を再開することも考えました。また、農業をやめてしまおうかとも考えました。
東海村にこだわる気持ち
 東海村での再開にあたり、長崎や広島の方々には勇気づけられました。同じように放射能という被害に直面しながら、時間は要してもしっかり復興をとげている…。
 東海村の発展に原子力発電所が寄与していたのは明らかですし、今後もおそらく原発に頼る部分もあるでしょう。そのリスクは如何ともしがたいものの、私には25年間にわたって育ててきた土があります。そして自然があります。ここはひとつ原点に戻って、この土を、自然を守ることからはじめていこうと決意しました。東海村で営んでいくことが、全国の方々への、そして東海村で将来農業をやろうと考えている若者たちへのメッセージになれば…とも考えています。メディアにも、積極的に訴えていくつもりです。
 ぶどうや土壌の安全も確認できました。今後は信頼回復へ向けて、皆様に安心してご賞味いただける有機栽培のぶどうを今まで以上に丹精こめて栽培していく所存です。昨年来ご心配をおかけしたことをお詫びするとともに、今後ともお引き立ての程をよろしくお願いいたします。
2000年9月
六国アクツぶどう園

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