「メイクアップ・ハリウッド」 カオリ・ナラ・ターナー著
「まるでイタズラっ子のようにいつも大騒ぎしていた男の子……
でも、恋人を見つめる演技は完璧でした。」
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「チャーリー」のロバート・ダウニー・ジュニアはとてもいい感じ。 |
20年以上、ハリウッドでメイクアップ・アーティストして働くカオリ・ナラ・ターナーさんが、映画スターたちの素顔、そしてハリウッドで働くことについて語った「メイクアップ・ハリウッド」(2001年角川書店)。その著書の中に、若き日のロバートにふれている記述がありますのでご紹介します。
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ロバート・ダウニー・ジュニア
メイク・トレーラーにやってきては、まるでイタズラっ子のように、メイク用のパフを持って走り回ったり、私たちメイク係をからかいまくったり、いつも大騒ぎしている男の子がいました。もう10年ほど前、シビル・シェパード主演の『ワン・モア・タイム』の撮影のときのこと。
「この子、本当に演技ができるのかしら」
みんなあきれ返ってました。ところがところがラッシュ・フィルムを観てびっくり。大きな目に憂いをたたえて、恋人をじーっと見つめる演技はもう完璧でした。これは大物になるゾ、そう思いました。
それから何年かして、私はチャップリンの伝記映画『チャーリー』('92)のメイクを担当しましたが、その主役に選ばれていたのが、あのイタズラっ子、ロバート・ダウニー・ジュニアでした。役づくりのためでしょう10ポンドも痩せて、メイクをしなくてもチャツプリンそのものになりきっていました。メイク・トレーラーの中でもおとなしく、すっかりいい子に変身。ちょっとからかいたくなります。
「どうしたの。あなた、どこか悪いんじゃないの」
「だって、監督をはじめスタッフはみんなイギリス人じゃない。ぼくもちょっとジェントルマンを気取っているだけだよ」
「じゃ。私もそうさせていただきますわ」
いい加減なイギリス訛りでやり返すと、彼はキャッキャッと笑いころげて、以前の愛すべきイタズラっ子に戻っていました。
この『チャーリー』で、彼は見事アカデミー主演男優賞にノミネート。これは何年も前に、ロバート・ダウニー・ジュニアの演技力を見抜いた、私のちょっとした自慢です。
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