クイーカ雑記帖

 
 
目次

1.ウエッブサーフィンって死語だな (2002・10・2up)

2.推定10人のみなさんに送る愛のメッセージ (2002・10・17up)(2003・9・15edit)

3.クイーカの準備から音出し (2003・11・13up)(2006/9/10edit)

4.パターンなど (2006/9/10up)

 




 
 
1.ウエッブサーフィンって死語だな

 サウーヂというサンバのグループに参加して丸8年になる。クイーカという楽器を担当しているわけだ。実は、クイーカをやりたいためにサンバを始めたようなものだった。用語集と重複するが、クイーカとは、太鼓の皮の真中に棒を括り付けた楽器で、ぬれた布などで棒をこすって音を出す。ごんた君とか呼ばれることもある。英語ではfriction drum、日本語ではスリダイコと分類されるもののひとつである。

 クイーカは他の楽器に比べてなじみが薄いせいか、なんのために作られたか興味をそそられる人が多いようだ。もともと狩猟に使われたという説を聞いたことがあるが、確かではない。かねてから気になっていたので、「とりあえずGOOGLEで検索」という安直且つ結果的に時間がかかってしまう手にはしる。
しかし、検索結果339件の中に先人がいたのであった。「ラテンの学校」というページの掲示板で、YOSHIKAZUUさんという人がクイーカの由来について質問しているのである。氏がネットで調べた所、次のような回答が得られたという。

 ◆ブラジルには「クイーカ」という有袋類の動物がいる。
 ◆アフリカには「カバ太鼓」というカバの鳴き声のような音がでる摩擦太鼓がある。これが黒人奴隷によってブラジルに伝来、クイーカになった。

しかしいまいち納得できんので詳しい人がいたら教えて頂戴というのが、質問の趣旨である。そりゃそうだ。わしも知りたい。そしてその回答は・・・いまだ無い(;_;)
南米の有袋類ってオポッサムだっけ。ブラジルではクイーカというのか?
「カバ太鼓」ってのを検索してみると「カランガ族のカバ太鼓 Ntenga Drum」というのがある。カバの声が出るというフリクションドラムだった。
 クイーカの祖先について、日本語サイトにはこれ以上の情報はなさそうである。カバの声を出すことになにか意味があるのだろうか?そして、YOSHIKAZUU氏は探求の旅を続けているのだろうか?謎は深まるばかり。


そのほかの「クイーカ」検索結果から

 ◆「クイーカさん」って誰?と思ったらDAMIAO(ダミオン)のことだった。
 ◆「クイーカの組み立てキット、税込み2,800円」てのもあった。
 ◆スペインにはサンボンバ(Zambomba)というクイーカに似た楽器があり、クリスマスにこれを鳴らして騒ぐらしい。形を見ると、棒はクイーカの逆で表についている。
 ◆オガタタケロウさんというパーカッショニストのページで、MILES DAVIS AT FILMOREでアイルト・モレイラの16ビートでのクイーカの使い方についてのコメントがあって、これはぜひとも聞いてみたいと思った。
 ◆「Lion's Roar(ライオン・ロアー)」というクイーカを大型化したような楽器があるそうだ。裏皮をはずしたTom Tom の表皮の中央に穴をあけ、ガット線や紐などを通して表皮に固定する。ぬれたタオルなどでガット線を擦ると振動が皮に伝わり「ンゴーッ」という動物のうなるような音が出るという。
 ◆「クイーカ棒」というものを作った人がいた。なんのことはない、竹ひごに吸盤をつけただけ。しかし吸盤さえ引っ付いたら、どんなタイコもクイーカに変身するというすぐれもの。
 ◆散見される「間抜けな音」とか「ボンクラ系楽器」などと言うコメントには、「ちゃんとした演奏を聞いてから言ってもらいたい。表現力のある楽器には奏法も要求されるのだ。」とお伝えしたい。


 




 
 
2.推定10人のみなさんに送る愛のメッセージ

 引き続き海外サイトを検索してクイーカ情報をあさろうかと思ったが、検索結果件数の膨大さにたじろいでしまった。それで今回は、世の中のクイーカをやってみようかと言う奇特な人たちに 少しは役に立つ事でも書いてみようかと思う。クイーカ情報あさりに付いてはそのうちレポートすることにする。
 それにしてもいまだにGOOGLEで「ROSSOの部屋」が出てこない。なんでや。(2003年当初より出てくるようになりました。)

 ま、そんなことは置いておいて、まずは「クイーカを手に入れる」と言うお題ではじめてみよう。もちろん、人それぞれクイーカをやってみようと言う動機や環境が違うのであるが、ここで想定するのは サンバのエスコーラもしくはブロコなどでバテリアの一員として演奏すると言う、日本で100人以上いるとは思えない人たちである。しかも、このページが役に立つと言うことは、 周りにクイーカをやっている人間がいないという状況が予想されるので、そのターゲットたるや10人ぐらい か。うーむ。役立つだけ良いかと気を取りなおして、いよいよ本題である。え、前置きが長すぎるって?

 右の写真がROSSOの持っているクイーカである。小さいやつはサンバをはじめる前に遊びで買った物である。大きいほうは、9と1/4インチと言うサイズで、クイーカとして標準的な(太鼓としては変則的な)サイズである。材質はスチールでヘッドは右側は皮、左側はプラを張ってある。
 胴の材質としては他にアルミ、真鍮、プラスチック、木などがある。プラスチックや木は使ったことがないが、 アルミは避けたほうが良い 。強度が弱く、テンションが十分かけられない。真鍮は重いが、良い音のするものがある。 サイズは8インチから10インチのもの から選ぶ。 リムがしっかりヘッドの上に張り出していないと使えない 。良く、RIOのヂスフィーレの画像などで、胴の横にラッパのようなものが突き出している楽器を見るが、あれは音には関係ないようで、単なる飾りである。(密かに欲しかったりする。おひねりの千円札を入れてもらうにはいいなあ。)
 ヘッドは音色、音量ともに皮が良い。しかし皮を使いこなすには、皮張りの技術(あるいはその技術を持つ友人)を要求される。その点、 プラヘッドは楽である。どんなに張っても割れない、棒が折れたらす
mycuica
ぐ取りかえられる。ヂスフィーレの最中に皮ヘッドで棒の折れたときのあのショック と言ったら、スキーの最中に骨折したのと比べられるほどのものであろう。しかし本格派を目指すなら、やはり皮ヘッド である。そして浅草の本番などには、 重い思いをして予備楽器まで持ちこんで臨むのである。まずは 皮ヘッドの物を購入し、予備にプラヘッドと棒を購入しておく と言う手かな。おいおい皮張りの技術も公開する(かも)。
 9・1/4サイズのスチール胴、皮ヘッド、これが標準器材である。お勧めのメーカーは「ArtCelsior(アルチセルシオール)」 。リオにある会社で、社名がころころ変わる(オーナーが変わる?)のだが、クイーカでは定評のあるところである。一度訪問してみたいのであるが。

 さて、そのような9・1/4のクイーカをどのようにして手に入れるか。RIOにお住まいの皆さんには、セントロはカリオカ通りにある 「CASA OLIVEIRA」と言う楽器屋さん をお勧めしよう。ここで「Tem cuica? 」といえば、このサイズが出てくるはずである。やはり音を出してみないとね。濡れタオルを借り(衛生上気になる人は持参する)チューニングキー(ボックスレンチ)で均一に締める。誤解する人もいるのだが、この均一と言うのはチューニングキーをまわす回数とかではなくて、まわす力が同じになることである。9・1/4だったら8本のタハーシャ(リムを締めるロッド)が付いているが、対角線になるように締めていく。ここで締めすぎて 皮が割れたとき、賠償問題はどうなるか 確認していないので、もし経験のある方がいればぜひご一報を。適当なテンションになったら(ってどんなテンションや)、左手でささえつつ右手の濡れタオルで棒をつかみ ヘッドに垂直になるように前後に動かす。初めはそっと握ってゆっくり動かしてみる。初めからぎゅっと握ってしまうと、とんでもない音が出てびっくりする ことになる。音が出たら少し握りを強くしてみる。その状態でしばらく弾いてみて、音の高さがひっくり返ったように変わってしまうものは避けたほうが良い。必要なら、ケースも買っておこう。ストラップは、手持ちのかばんなどについている取り外し式のストラップで十分である。これであなたもクイーカホルダー。さあ練習しよう。
 不幸にしてRIOにお住まいでないおれはどうしてくれるのという皆さんの強い味方は、「マルメラアダ」 。日本でこの手のものを扱っている所は、 今の所ここしかないと思われる。東京は東十条へ行ける人はここで購入する。また、通販も可。検品もしっかりしているので、変なものをつかまされる心配もない。ただし、ブラジルからの入荷状況が悪く、物がないことがある。そうゆう場合は、 http://www.brazilianpercussion.com/ を頼ってみると言う手がある。仲間で購入実績あり。
 ポルトガル語には自信があるという方面には、直に「CASA OLIVEIRA」にメールで交渉すると言う手あるいは、 「ArtCelsior」 に直電する手もあるかもしれない。チャレンジャーには、アドレスをお教えしよう。

 ★注意★クイーカは安易に人に貸してはいけない。棒を折られたり、皮をぬらされたり、片伸びにされたり、 素人さんにかってされるとろくなことがない 。本人がやらかしたならば泣くだけですむが、友人関係にひびが入る危険もある。








  3.準備から音出し

いよいよ音を出してみようかという前に、以下の3点は、やっておくと演奏しやすいのでおすすめする。

.高音を出しやすくするために、1500から2000番の紙やすりで、棒を軽く磨いておく。
.皮が濡れるのを防止する為、内側にラップや薄いビニールを貼る。(Fig.1)
.チューニングをしやすくする為、タハーシャにワッシャを入れる。(Fig.2) ワッシャはM6サイズのもので、秋葉原とか東急ハンズなどで手に入る。

そして立ったまま、あるいはパレードなどで使用するためには、ストラップの取りつけが必要である。

布に付いては、いろいろなものを使っている人がいるが、まずはタオルで良い。5cmぐらいの幅に切り、適当な厚さになるように折って使う。 ウエットティッシュを使っている人もいたりする。最近使っているのは自動車掃除用のプラセーム(Fig.3左)と呼ばれているものである。その他、 半田ごて先掃除用のスポンジ(Fig.3右)も人気が高い。最新の流行はリボンである。リボンと言っても何種類か有るが、グログランもしくはグロウグレインと呼ばれる素材の物である。もちろん少女漫画などではありません。なかなか使いやすい幅の広い物を扱っているところがないのが困りもの。
これらの素材を水で濡らして、棒をこすって音を出す。素材によっては布目の方向で使用感が変わるので、注意しよう。ほつれるものは端を処理しておく。

次はチューニングである。均一にテンションが掛かるように注意しよう。どのくらい張れば良いかは状況によって変わって来るわけだが、バツカーダで演奏する場合 オープンでこのぐらい の張り方である。ある程度張ることにより音の響きが変わってくる。勇気を持って張ってみよう。ただし 皮を割っても当局は一切関知しない

構えかたの基本は、ヘッドとこする腕が直角になることである。ミュートする手のひらでリムを押さえることにより、楽器を安定させる。一般的にはFig4、fig5のようなスタイルである。fig6のようなスタイルもある。胸板の厚いブラジレイロと違って、わしのような洗濯板がやるとなかなか痛いものがあるが、最近はこのスタイルで演奏している。音が遠くまで飛ぶ、ような気がする。
きき手の親指と人差し指の根元で挟むように棒を握る。
反対の手の手のひらから手首の当たりでリムを押さえ、音を変えるときは中指か人差し指の先で棒の頭付近を押さえる。いつも一定の場所を押さえられるよう、手の形を決めると良い 。ROSSOは、fig7のように、親指をアシストに使っている。

いよいよ音を出してみる。
まず、オープンで、柔らかく握ってゆっくり前後に動かしてみよう。
にぎりの強さを変えたり、動かすスピードを変えて、音の変化を知ろう。
ミュートして、音程を変えてみる。
指を当たる場所によって、音がどう変わるか確認しよう。

演奏終了後は緩めておく。温度や湿度変化で皮が割れてしまうことがある。緩々にする必要はないが、注意しよう。
濡れ止め
fig1

ワッシャ
fig2


fig3
 


form1
fig4
form2
fig5

fig6

fig7






 
 
4.パターンなど

さて、サンバで使われる基本パターン である。パルチード・アルトと言われるリズムである。バリエーションはあるが、まずはこのパターンを完全にできるようにしよう。

おたまじゃくしにしてみるとこうである。

パターン2
 


まず、歌ってみよう。たとえば前半2小節は
ウカーカッカッカッカカッカッカ
後半2小節は
ウカカカカッカッカッカカッカッカ
スルドのプリメーラのタイミングを感じながら、いつでも歌えるようにしよう。
個人練習、あるいはクイーカパートのみの練習のときは、メトロノームなりバツカーダの録音なりを使って、 スルドの音を意識しながら演奏しなければならない

実際に弾いてみよう。まずは、前半2小節を繰り返す 。はじめはゆっくりで。四分音符=70ぐらいから徐々に早くしていこう。はじめから全部の音を出さないで、前半の「ウカーカッカッカッ」だけ音を出して後半を休符にするなど、部分的に完成に近づける練習もあり。
後半の「カッカッカ」が遅れやすいので注意しよう。
前半2小節が出来てきたら、「ウカカカ」をいれてみよう。
特に高い音は、棒を押すときは出にくいと思うが、練習するうちに引くときと同じように音が出るようになる。

心がけとしては以下の5点である。
1.体でリズムを感じながら
   ひざや腰でスルドのリズムを刻みながら演奏する。立った状態のほうがリズムを刻みや
   すい。
2.遅れないように。
   普通の打楽器と違って、音が出遅れて聞こえやすいので、突っ込み気味ぐらいに演奏し
   てちょうど良いようである。特に、裏拍になる音には注意する。
3.十分なアタックを付ける。
   音の出だしからしっかりした音が出ないことには、突っ込み様もない。
4.高い音を十分伸ばす。
   高い音を響かせることが、クイーカの存在価値を知らしめる。
5.でかい音を出す。
   最初からでかい音を出そうとすると、棒を折りやすくなるのであるが、なれてきたらにぎり
   を強くして、腕の動きを速くしてみよう。
   タンボリンやスルドにかき消されて、どうせ聞こえないやとお思いのあなた、野外のヂス
   フィーレでどれだけクイーカが響くか体験して欲しい。

そして胸をはって演奏しよう。なぜか猫背になりがちになる人が多い。余り格好が良くない。

疑問点などあったら、ぜひこちら にメールして欲しい。
上達の基本は、毎日楽器に触る、である。
健闘を祈る。