ソンクラーンに死ス
荷物をまとめてゲストハウスを出た。

乱痴気騒ぎの中、この水かけ祭りにもそれなりのマナー的な不文律は存在する様子。
ストリートのど真ん中を歩かない限り集中放水を受けることは無い。
つまり店舗沿いに歩けば、比較的安全。
それでも隙を見せれば、予想だにしない方向から水を浴びることになる事になるわけだが・・・
しかし
「水をかけないでくれ」と両手を軽く上げてホールドアップすれば、
相当のお調子者でもない限り大抵の連中は見逃してくれる。
その隙に、道を抜けるのだ。
コツさえつかめば、10%ぐらいのダメージで済みそうだ。
・・・ということであればわざわざカオサンロードを離れる必要も無い。
カオサンロードから離れた別のストリートに宿を取るだけでどうにでもなりそうだと判断した。
すこしハズレのストリートに隣接した宿に入る。
満室のようだったが、チェックアウト前後のタイミングだったので
しばらく持っているとシングルの部屋が空くとの事だった。
最後の晩ぐらい一人でゆっくり過ごしたいもんだ。
その部屋に決めた。
ここでは宿代とは別にデポジットとして500Bを人質にとられた。
あいかわらずそこかしこで派手な水の掛け合いが行われている。
宿の一階部分がオープンレストランになっており
豪華なソファーに座ってマッタリできる。
大勢の外人さんが気ままにおしゃべりしている。
レストラン内をずぶ濡れの人が行ったりきたり。
うーん楽しそうだ。
階段の隅っこに掃除用具が置かれていた。
そこにウォーターガンが転がっている。
近くのいた掃除のオバちゃんに尋ねたら・・・
宿泊客の忘れ物だった。
・・・つってもこんなもの後生大事に持ち歩いてチェックアウトしないだろうけど。
「よかったらあんたも撃ってきな」
・・・・と笑顔でその銃を託された。
オレはウォーターガンを手に入れた。

トイレで水をたっぷりいれてイザ出陣!
狙い撃つぜ。
バンバン赤の他人と撃ち合う。
どれだけ濡らしても決して悪い顔をされることは無い。
みな笑う。
撃たれれば撃ち返し
撃ち返しては撃たれ
ソンクラーン超楽しい。
水はどこで給水できるのかわからなかったが。
基本的に10B(36円)の500mlのボトルを購入して補給する。
最終的に盛り上がってくると投売り状態になり最低価格3Bまで下がった。
ストリートではところどこビールやジュースを売っているので
空気しだいではお願いして、それらを冷やしていた氷水をゲットできる。
これは冷たくてかなり強力!
コレを食らうとリアクションが派手になるので超楽しい。
カオサンロード中心部がやはり一番盛り上がっており。
常に空から水が降り注ぐ
ビール売りが水をばらまいているのだ。
本日は陽射しもきつく気温も高いので
水を浴びるのはとても気持ちがよろしい。

おい犬。邪魔だ。入れねーよ。
セブンイレブンの入り口で、もれだすエアコンで涼む賢い犬。

ホテルの住人達も、バルコニーから遠慮なく放水してくる。
セレブなオフェンスだ。迎撃は不可能。

道の真ん中で、上半身裸になった兄ちゃんが
周りの連中から集中砲水を浴びて目立っている。
こういうヤツは狙いやすいのでみんなに大人気だ。

そして燃え尽きた。
体中ベタベタ真っ白。
十二分に楽しめました。
・・・たった一人だけでな。
夜中も、ガン片手に雰囲気を楽しむために外に出た。
撃たれない限りもう撃たない。疲れるし。
これだけ盛り上がってるのに不思議とケンカとかないものだなーと関心していた。
ところが
コミケの男性創作ブース並みに混雑している場所で
俺の目の前を進む兄ちゃんが突然、向かいから来るおっさんをぶん殴った。
彼は何事か雄たけびをあげながらおっさんに襲いかかる。
なんだなんだ!?
兄ちゃんもう遠慮無しにおっさんの顔面をたこ殴り。
慌てて止めに入った。
彼の数名の友人達も慌てて暴れる彼を羽交い絞めにする。
倒れたおっさんを中心に輪ができる。
おっさんボーゼン。
話しかけても反応がないので、相当びっくりしていたようだ。
多分あれだ。
兄ちゃんと一緒に歩いていた彼女に、
冗談半分でちょっとした粗相をしたのだろう。
多分、うっかりタッチしちゃったんじゃないかな?
兄ちゃんの怒りの剣幕があまりにも凄かったのでそんなところだろう。
ソンクラーンで見かけた唯一のケンカ(つーか一方的なものだけどな)だったが、
インパクトは絶大だった。
しかしな。
水に濡れた若い娘はとても色っぽい。
ある意味それが一番の見ものでもある。
劣情をもようさざるを得ない気持ちもわからくもない。
だって人間だからw
このソンクラーンの参加したおかげで
不思議と今回の旅の締めくくりができたように思えた。
一人での行動ではあったが
オレにとって忘れられない一日となった。
そして明日はいよいよ最終話
希望を胸に すべてを終わらせる時…!