国境でつかまったその理由


朝10時ごろ起きる。

今日はタイとカンボジアの国境を越えねばならないから、のんびりもしてられないのだ。

ガイドブックによると

カンボジア側の国境の町ポイペットから、
アンコールワットの町シェムリアプ間の
乗り合い車両は、午後便は出さないって話だ。

なんとも怠慢な話だが、そういうことなんだ。


なので、さっさと荷物まとめて出発。



さてここでワンポイント。

国境を越えるにはパスポートだけでなくビザってものが必要なわけだが・・・

タイでは往復航空券があれば30日までビザ不要で入国ができる。
ベトナムとラオスは、観光目的なら15日までビザが不要。

そんなもんで比較的たやすく国境越えができるってんで
初心者向けな地域なのだと思う。

カンボジアだけは国のゴタゴタがわざわいしてかビザが必要なのだがね。


んで入国前にカンボジアビザはゲットしたんだが・・・。
ネットで手配する「E−ビザ」なるもので、プリントアウトした査証を窓口に提出するしくみを選んだ。




プリントアウトした紙切れだけで、国境越える証になるのか・・・?といささか不安。



アランヤプラテートから国境まで6km近くあるので、宿の外で暇そうにしてた
トゥクおばちゃんを捕まえてボーダーへGO!



行けおばちゃん!










国境に着くと、意外に人でごった返している。
当然、旅行者が圧倒的に多いのだが、現地の商売人達も結構な数うろついてる。









さてどうしたもんかな?
イミグレーションオフォス(出入国管理所)とやらを見つけなきゃな〜・・・と考えるまもなく。

「日本人か?ならこっちにきなさい」
「ビザあるか?ビザすぐできるよ」
「私がイミグレの場所までつれていこう」



・・・と3、4人のやさしい現地の方々が、不安気な僕に群がってくる。

















無視する。










そんな親切な人たちを尻目にズンズン進む。
手続きぐらい自分でできるもん。多分。











すると今度は20後半ぐらいの若者につかまってしまう。


彼は胸のプレートを見せつけて何事か言っている。


多分「公認」のなんらかの業者なのだろうが・・・。
ガイドブックではそういうヤツこそ注意が必要。とかかれているが・・・

とはいえそれが事実なのか、そう装ってるのか判断つきかねたので。

ひとまず無視をしようとしたが・・・









「日本人の方ですか?」と日本語で語りかけてくるのである。

素性がわからないかぎりうさんくささはぬぐえないので
彼のトークを聞きながら奥へ奥へと進む。






「あっちの建物がイミグレーションです」

と言われるままに入る。

「ビザとパスポートを私に貸してください」
「いいよ。自分でやるから」
「そうですか。あの窓口に提出してください」
「あそこね」
「あ、このカードの必要事項を書いて一緒に出してください」

悪い人ではなさそうだ。







・・・でも


チップはやらねぇぞ。
















「E−ビザ」で問題なく入国審査通る。
なんかホッとする。

後で知るんだが、E-ビザだとパスポートに
スタンプが押されないから思い出にならない
語る子がいたが・・・なるほどスタンプらしきものは押されていない。

小学生じゃあるまいし、たかがスタンプごときで・・・











・・・・今更ながらとても残念でならない。













確か、市バスだか乗り合いトラックだかで町に向かうはずなのだから
それらしき場所を探さねば


「こっちです」

彼はそのまま国境を越えて、いずこかへオレを導いていく。
チップを要求する気配は無い。


「これに乗ってください」

と小型のバスへ案内される。
中はガラーンとしていてオレと彼以外誰もいない・・・


妙な不自然を感じたが・・・
オレの
違和感をよそに突然バスが発進!




『おい客オレ一人だけかよ!
・・・おかしいじゃねぇか!
コラ運転手!バスを止めろと思ってんのが聞こえんのか!』




・・・と思いながらも、やばげな状態に
少しワクワクして
そのままバスに乗っていくことにした。



















やばくなかった。










バスはさる小さな店舗の前で彼とオレを降ろす。

どこだここ?

看板の字が現地の文字なので理解不能。
まぁいいや。中に入ってみよう。

さっき
イミグレで見かけた外人さんも3人ほどいるし
ちょうどお金を払ってる最中だ。

「ここからシェムリアップまでの車を出します」
「ふーん。おいくらで?」
「15$(1500円)です」


ガイドブックによると冷房乗用車は相場では10$とのこと。高いな。
金を払った外人女性の二人組みに念のため聞いてみた。

「いくら払ったんですか?」
「15$よ。高いわ」

とかぼやいてたので

ちょっと強気の口調で

「10$にまけてくれ」

とシレッと言ってみた。















周りのスタッフがざわつく。














外人女性も
「そうよそうよ!」的な態度をとるんだが・・・





なんだかヤクザの事務所で、場違いに文句たれてるような
世間を知らない坊やの言葉に殺気立つ組員。







・・・的な雰囲気に・・・(気のせいだが)












「今はガソリン代が高いのです」

ともっともな理由を言ってくれた。

まぁそれが
事実かどうかはわからないけど。

同乗の人たちも不満たらたらとはいえ
ちゃんと15$払ってるわけで・・・

空気読んで
俺も定額払うことにした。





まーチップもなく、彼のおかげで楽に入国審査通ったし。

シェムリアップまでの
120km前後なので、冷房付の車に乗れるのなら良しだろう。

小汚いけど
日本車のカムリだったし。エンコするこたぁまず無かろう。

オレと外人女性二人が後ろに、助手席に頭の薄いの中年外人、運転手はチビのワカゾー。






そして西の
シェムリアップに向けて出発。






道は二車線の、未舗装の道が延々続く。

もう飛び飛びで工事中な上、でかいトラックや大型ツアーバスなどの行来が激しい。
これでも主要な国道なのだそうな。
カンボジアは開発が遅れてると聞いてはいたが・・・噂以上だ。

風景は延々、荒地と林が続く。
砂埃で見えにくいとはいえ、なんとなく文明圏から離れていくのだな・・・という感慨とともに

惑星ゾラあたりこんな感じじゃね?


・・・とか思ってる俺。



外人同士は時たま話しに華が咲いてる。
オレも聞いてるフリしてるが、いかんせん全然聞き取れねぇので発言できない。
おそらく、どこを回ってるのかどこに滞在してたか?的な内容だったと思う。
まー定番の会話だね。
おっさんはロシア。二人組はフィンランドの人のようだ。


3時間かけて目的地に到着。
・・したようだ。


・・・したようだ。というのも郊外の、微妙に栄えた町らしきことしかわからないので
ここが目的地なのかどうか確認にしようがない。

周りには数台のトゥクやバイクタクシーがたむろしてるので、
一応、ターミナルみたいなところらしい。








さて・・・宿を探すかね。









二人組とおっさんは、ナニやら交渉して、その近辺に待機してるトゥクに乗って
おのおの出発してしまった。

どうも適当な宿まで、無料で送迎してくれるらしい。







オレもそれにならって、片言の日本語を話すバイクタクシーの兄ちゃんに乗せられて
安宿街に向かうことに



乗りながら尋ねられる

「いくらの宿に泊まりたいですか?」
「できるだけ安いとこ!」
「OK!まかせるネ!」







・・・と少しばかり走ると、繁華街みたいな大通りに入る。
道も舗装されている上、大小さまざまな宿やらレストランやらが林立してる。
小汚くなった軽井沢ってイメージ。

やや繁華街から離れるが、ほどなく宿に到着したようだ。








「ガーデンビレッジゲストハウス」


これ。



ドミトリーがちょうど一つ空いてるってんで値段聞くと。










一泊1$(100円)。













屋根裏を改造した、薄暗い部屋に8人分の寝床。
ピンク色のあやしいカーテンがあるが、あとで気がついたが
蚊帳だコレ。
2.3人昼寝してるが、みな外人。女性も二人ばかしねっころがってる。

男女別室でないところがドミトリーの
スバラシイところなのだ。


・・・と一応伏線を張っておく。






なんとなく雰囲気が南国チックだったのと、
日本人の気配が微塵も感じなかったので
アホみたいな安さのココに決める。これは長居できそうだ。



だって一泊100円なんだぜ。








ここに決めた。とバイクの兄ちゃんに言うと。

「明日は何か予定あるか?」

と聞いてくるので・・・
「んーまだ決めてないが・・・アンコールワット行くかもな〜」
「それなら・・・私より日本語得意な者を紹介するので、明日朝、彼と交渉してみますか?」
「君じゃ駄目なの?」
「いえ、わたしそんなにしゃべれないので」
「そう。わかった。その人、明日来るのね。話し聞いてみるわ」




ひとまずアンコールワット探検のための宿は確保できた。

まだ17時程度なので、早々に町をぶらつく事にした。

カンボジアの通過はリエル。 

1ドル(100円)=4000リエル

1リットルのペットボトルが、2000リエル(50円)なので。非常に助かる。

しかしドルでも清算できるので、
事前に日本で用意していた200$を使うことにした。
細かい物を買うとリエルで返してくれるので、両替屋に行く必要はまるでないのだ。
・・・とはいっても金勘定で隙を隙をみせないようにしなきゃいかんぜ。


市街地は旅行者で賑わっているようだ。
しかし、バンコクほど喧騒は無いので比較的静かな雰囲気。
やはり日本人は見かけない。





テキトーなレストラン見つけて飯を食う。大丈夫だ。美味い。口に合う。そして安い。

賑わってる市場をうろついたり、繁華街を練り歩いたり、時間をつぶす。







しかしだ。



あいかわらずそこかしこでバイタクやトゥクの連中が、暇そうにしている。
そして通りがかると

「どこに行くのか?」
「乗らないか?」
「アジノモト」

かならず声をかけてくる。
それが毎度の事ながらウザッタイが、ほどなく慣れてしまい。
上手くかわせるようになる。

アジノモトって・・・
新手の嫌がらせか?


それ以前に




客を待つだけでなく熱心に営業努力をして駆けずり回れ。

・・・と小一時間と問いただしたい気持ちでいっぱいだ。











チラシを渡された。




マッサージのチラシらしい。

足つぼマッサージとやらが一時間6$(600円)と日本比べて大変リ〜ズナブル。

バンコクの嫌な空気から、心機一転カンボジアに入ったわけだし
ココは一つリラックスさせていただこうかと思い、舞い戻って頼んでみることに。


中は、ちゃんとしたお店になっていて、立派なソファーがずらっと並んでる。
時間が早すぎたか・・・オレ以外一人しか客がいない。

ちょっと無愛想なお姉ちゃんが担当になって、足つぼ刺激開始。


せめて笑おうよ。



ソファーがフカフカなので、色々と気持ちがいい。
たまに足先にお姉ちゃんの胸があたるので、それもまた気持ちがいい。



客の入りが少なくて暇だったのか
受付の着飾ったお姉ちゃんが、オレの足元に座って色々話しかけてくる。
田舎くささを感じさせない、他の従業員に比べて垢抜けた印象のある娘だった。
名前は失念したが、20歳の美人店員さん。
どうも日本人はめずらしいようで興味があったのだそうな。

年齢。結婚してるか?。恋人はいるか?仕事はなにか?これからどこに行くのか?
と端正な英語で根掘り葉掘り聞いてくる。


何かため息混じりにうらやましがられる。

「これはこっちで買ったの?」
「いや日本で買った」
「いくらするの?」
「んー時計は80$ 帽子は30$ぐらいだったかな?」
「ワオ」

とマッサージ師と目を合わせて驚く。

「その帽子が素敵ね。ねぇ、見せてくれない?」
「汗臭いけど」


と渡すと、ブカブカながら喜んで被ってるのがかわいいのである。

そんな間にも、マッサージ師の胸があたる足先に
全神経を集中するザブングルは男の子。

「ねぇ日本って飛行機で行くといくらするの?」
「んーどうだろう。オレは往復で800$弱ぐらいだったかな?」
「とても高いわ」
「オレもそう思う。行ってみたいの日本?」
「当然よ。でもそれじゃあ行けそうにないわ」
「頑張って稼がないとね」
「あなたがまた明日来てくれたらね」



・・・と指先で帽子をくるっと回転させてオレに返してくれた。キュートなしぐさでメロメロだ(本当です)




この娘の英語はとても聞き取りやすいので会話がスムーズに進む。
店を任されてるところを見ると、エリートの部類に入るのではないか?
それでも日本には簡単に行けないのはやはり物価の低さなのだろう。


そんな事を考えながらも足先に全神経(以下略)












宿に戻る。

1階のロビーは、屋根だけなので開放感がある。

ソファーに思い思いにくつろいでおしゃべりしてる外人さん。
すみっこにはパソコンが4台。ここは
ただで使い放題のようだ。すばらしい。

メールを打ち込んでいたり、とったばかりの写真をブログにアップしたりしているようだ。

2階に上がると、バーとラウンジで空いたスペースに使い込んだビリヤード台が一つ設置されている。
ここにもパソコンが3台ほどあり、誰かがI−podをつなげて海外のポップスを流してるようだ。


しかし音量でかすぎ




だが誰も気にしてるふうでもない。


こいつらみんな耳おかしいんじゃねえのかってーの









飯を食ってる人がいるので、食事も注文できるらしい。
外人さんでいっぱい。


というか外人しかいない。




全然聞き取れない会話がそこかしこで交わされる。
従業員の少年とビリヤードで勝負してる白人男性。とても楽しそうだ。








さらに奥に行くと。20インチの、思ったより小さいTVで映画を流してる。3.4人がソファーに座りながら静かに
なにがしかの映画を観ている。

そこの脇から屋根裏ドミトリーには入れる。つまりオレの寝床。








壁が無いオープンなフロアなので周りの見晴らしが大変よろしい。
となりに別棟があるが、そこは3階建てのコンクリマンションみたいなつくりで
そこに個室があるのだろう。

確かシングルで一泊6$程度なのだから。やはり安い。


翌日はアンコールワットに行くつもりになっていたので
ガイドブックで軽く予習をしつつ、この宿の雰囲気を楽しむことにした。





そこで気がついたが

外人達は目をあわせると必ず「ハイ」と挨拶してくれる。

基本的に無視はしないので、さすがオープンマインド!と一人納得。




寂しくもあるが、露骨に話しかけてくれるわけでも無いので
とても気楽だ。






多少騒がしいが、それが外国人の旅行の楽しみだろうと納得しつつ寝る。


ここで




扇風機さえあれば涼しく眠れる。
じめじめしない南国の夜は、日本の夏よりも過ごしやすいのであった。




そしてここでオレは




人生で初めて女性の夜這いを受けたのだった




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