丑三つ時に何事か
昨晩のこと。
サングラスを落っことしてからの一連のアクシデントに、症状がL3まで進行していたオレは
夜10時ぐらいにはドミトリーで就寝した。
外人宿は夜が遅く、毎晩毎晩遅くまで連中は酒を飲んだり雑談したりと思い思いの事をやって楽しむ。
ゴキゲンなサウンドが夜半までドンドコドンドコ響き渡ってるのはいただけないものの、
ドミトリーに入れば少々耳障りなだけで気にせず眠ることはできた。
8人部屋の中で、2,3人の兄ちゃんが先に寝入ってる。
みんながみな夜遅くまで楽しんでるわけではないのだ。
蚊帳がついてる割には、蚊の気配が無かったので
そのまま蚊帳を展開せずに床についた。
なんだか豪遊しすぎたような気がする。
明日はトンレサップ湖ってとこいって・・
明後日は、更に遠くの遺跡バン・メリアへ・・・
それだけ回ればもうここは十分だろう
そろそろベトナムへ行こう・・・
・・・と夢の中へ。
そして完全に眠りについた頃
体に妙な重さがかかる。
!?
目を覚ますと、ナニかが
オレの直上に覆いかぶさっている。
ムニムニ気持ちの悪い生暖かいモノ。
なまぐさいアルコールの匂い。
動いている。
名状しがたき状態にオレは思わず叫んだ。
「わーっっっっっっ!☆▽ж」
寝ぼけてるのと、予想以上の重みにオレは起き上がれないでいた。
目の前にはドス黒い大きく奇妙なナニモノかがいた。
なんだかよくわからない状態にオレはパニック。
とりあえず・・・
COOLになれ前原圭一!
よく見ると、俺に覆いかぶさっていたのは
白人女性だった。
ほのかな明かりで、顔は黒いのではなく真っ赤。少し熱を帯びた体温は、ひどく酔っ払ってるのがわかる。
表情はくらすぎてわかりにくいが宿では見かけたことの無い顔。
美人かどうかを判断してるほど余裕は無く。
「ヘ・・HEY!ヘイ!・・・ヘイっ!」
と乗っかってる女性を起こしにかかる。
ぼやーと目覚めた彼女は・・・・
俺の顔を見て怪訝な表情をしたかと思いきや
でかい声で
「Ohhhhhhhhhh〜 SORRY!OH!SORRY〜!!!」
と叫びながら、あわててオレの寝床を出て行った。
右隣の兄ちゃん?の寝床に入り込んで・・・・
寝入ってると思われる兄ちゃんの隣に勢いよくネッコロガリ
なんだか何事もなかったように静かになった。
オレはとっても幸運な不幸にまみれていたようだ。
正直・・・今思ってもあれは
恐怖以外のナニモノでもないわ。
そんな珍事にまみれながらも睡眠はきちんととれ
朝起きたら、隣で二人は仲良く寝息を立てていました。
美人かどうかはついぞわかりませんでしたが。
逆行でキラキラ光ってたのでブロンドの女性だとわかった。
見た顔ではなかったので昨晩から宿に泊まった新入りのカップルだったのかもしれねぇ。
さて今日は、トンレサップ湖に行きます。
バイクで南へ1時間ほどのところにある湖だそうで、粋なクルージングができるとのこと。
相変わらず陽射しがきつく、とてもまぶしい。
・・・と言うことで二代目サングラスを街中の店で買う。
2$だ。安い。
でもそんなことで
オレの歪んだ運命を修正できるすべはもはやなかった。
バイクに乗ってると場所によっては砂埃がひどく、コンタクトをしている俺にとってはとてもやっかいな事だったが
サングラス程度で防塵できちゃうので。
サングラスはとても重宝。
緑で彩られたライ麦畑をながめながらひた走る。

スナーいわくこれはガバメントのもんらしい。個人所有の土地では無いところがカンボジアのお国柄を表してるね。
さて
小汚い川の船着場に到着。ここからボートに乗って湖までクルージングです。

高校生ぐらいの無口な兄と、小学生ぐらいの大人びた貫禄のある弟のコンビが操るボートに乗りまする。
道中で購入したチケットを渡す。20$。ここって本当、観光系チケットが割高で腹立たしい。
5人乗りのボートにたった一人で乗り込み。
貸切状態のまま、出港!

さて、のんびり小粋なクルージングを満喫するか。
と思ったところに、弟が頼みもしないのにオレの隣の席について
なんやかやと流暢な英語で話しかけてくる。
なるほど運転手は兄貴で、解説担当は君か。
すべてを聞き取ることはできないわけだが
このボートに乗るためのチケット代はすべてガバメントに入るらしく、
そのマネーでスクールやホスピタルをビルドするんだそうな。
彼らの懐にはまるで入ってこないのだ。
そんな事を、戻るまでの間。都合5回聞かされた。
考えてることはすでにわかってるよ坊や。
「ワットイズザット?」
「ザッツ スクール!」
「が・・・がっこ?」

浮いてる
「・・・・!?」

「ザット?」
「グラウンド!」
「グラ・・・って、えええ!?」
・・・となぜか学校やバスケットコートが、ご丁寧にフローティンしてるのであった。
にごった泥川のカワッペリでは、ちらほらと投網で魚を取ってる兄ちゃん達がいる。
「とてもたくさんの魚がとれるんだ!」
「ほう」
と弟が力説してくれるのはありがたいんだが
投げた投網の中に魚がかかってることは無かったよ。
どうやら湖にでたようだぞ。
ここも泥水でにごりまくりダス。
む!水平線の彼方に島が見えるぞ!

?

家かYO!

畑も、生簀も、植木も、犬小屋も、人生も
フローティン。フローティン。
超涼しげ。
弟の話によると
彼らは季節に応じて(多分、乾季と雨季によって?)海上と陸地で住まいをチェンジするんだって。

アンテナとかついちゃってさ。
生活感ありすぎて困る。
見ようによってはヤマト第三艦橋並みにかっこいいが
危険度も第三艦橋なみかもしれない。
でも一泊ぐらいしてみたいような・・・
写真には収める事がどうしても出来なかったが
たらい舟に乗ったお坊ちゃんお娘ちゃん達がたくさん物乞い部隊。
ひーっ!
そしてルナツーへ。

こわもてのワッケイン大佐と連邦の士官達。
バッグの材料になるのだろう。


ジオン軍のゲリラが押し寄せる。
相手がザクなら人間じゃないんだ!やってやる!(なにを?)
彼らがくだんの水上生活者。こうやって船着場にむらがり観光客のダラーをゲットだぜ!
基本的な生業はやっぱ漁業なんだとか・・・
ナマズやらライギョとかそういう沼系の魚がよくとれるんだと。
サイクロップス隊の生き残りバーナード・ワイズマンとアル。


ぐらい年の離れた兄弟なのだろう。
弟が「運転してみる?」
ってんで舵をとらせてもらう。
良いサービスだ。
舵とアクセルだけの単純操作なので簡単簡単。
障害物も無いのでぶつかる心配も無い。

目標もなく。もと来た川に向かって突き進むのだが
目標がなさすぎてほどなく飽きた。むだに広すぎ。
運転を兄貴に代わり
また弟は色々話してくる。営業で言えばクロージングのタイミングなのだ。
僕達はとてもプアなので、ア・リトルリッチになりたい
そのためにはフォースタディ、マストゴースクール。
チケット代はガバメント。ノーマネー。
うんチップ欲しいんだよね。
まぁ色々と大変なんだろうけど、露骨過ぎて鼻につくぞコゾー。
そして100バーツ(360円)をくれときた。
なぜかタイ通貨、多分旅行者がタイ旅行中に余らせた小銭を吸い出そうとしてるのだろう。
当然オレも小銭バーツを換金できずカンボジアまで持ってきてた。
こっちはココの観光で20$払ってるし、おまえらに一銭もはいらなってのが一概に信じられねぇ。
なのでワタサネェ姿勢をつらぬきつつ、のらりくらりと坊やのトークをかわしていたのだった。
甘いよ。大甘だよ。日本人なめるなよ。
でも3$あげちゃった。
オレが大甘だよ。
駄目だ駄目だ!こんなじゃいかん!キリがねぇ。
もう絶対、年端も行かない少年少女にチップを渡すなんてしないからな!
・・・と改めて自分に誓った。
さして盛り上がりも見せないまま湖の旅は終わり宿に帰る。
今夜もスナーに誘われて、飲みに連れてって貰う事にした。
二日後にはシャムリアプを離れるし、ゆったりと静かに寝たかったので
幸い空いていた6$のシングルにチェンジした。
昨晩、襲ってきた女と、彼氏はどうやら今日のうちに宿をたったようだ。
隣の寝床がきれいに片付いていたからだ。
顔を確認できなかったことが非常に残念であるが、繰り返し言うが
あの時はホント
恐怖以外のナニモノでもなかった。
さて飲み会へ。
この前と違って、
それなりに飾り付けのある屋根付の広場で
かなり大勢の連中がパーティーを楽しんでいる。
少しハイソなイメージだが、やってることはこの前と一つもかわらん。

オレ以外の外人はおっさんが二人
海原雄山とサマリン教授みたいな白髪まじりのシルバー世代。
雄山は何かとタバコを恵んでくる気さくな男。
サマリン教授は隣にカンボジア美人をはべらせたりとじじぃのくせにお盛んで結構。
ウェイトレスが可愛い娘ぞろいでスバラシイ。
いつものスナーのメンバーと盛り上がってみる。
「ヘイジョー。ヘイジョー」とみなうるさい。
今回は女子が多く、アホなスナーの友達どもに引っ張られて女の子のテーブルに
付き合わされる。
・・・が、彼らのテンションとは正反対に静かにドリンクだけ飲む女性達。
「いやねぇ男って。サイテー」みたいな目を向けている。
軽くアホ男どもをあしらってるので、しっかりしてるわ。
グラスに酒を注ぐな。飲ますな。なじるな。争そうな!普通でいろ!

これがアホ軍団。もちつけもまいら。
右から二人目がスナー。
中央の白髪がサマリン教授。

みな楽しく踊り始める。

これが今日の主役の新郎新婦。
幸せそうで何よりじゃ。
そしてオレはまたスナーとカラオケに行く羽目に。
すべてはオレのシナリオどおりなのだよ冬月。