三等列車で国境へ


朝5時ごろ目がさめた。
周りのベッドでは当然昨日の連中が寝静まっている。
おっさんは聞いてように始発に乗るために今朝早々にドロンした模様。
ゴチャついてたベッドもきれいに片付いてら。


さて、空も白んじてきてたので散歩にでもでようと思う。


昼間と違って、静かで人ごみのない街ってのものどかでいいかなと。
ちょっと歩けばチャオプラヤー川とかいう川も見れるので
今日もウォーミングアップにちょうど良さそうだ。





しかし外に出レネェYO。


ここの宿、歌舞町にあるような縦に細長い建物。
1階部分は店舗のように広々したつくりで、デンとぼろっちいビリヤード台が設置されている。
その間口もニ間程度しかないわけなんだが。









思いっきりシャッターが閉じてやがるの。


車庫のシャッターみたいな格子状のものなので、簡単な仕組みのはずなんだが
ロックらしきものが硬くてウゴカネェ。
ガシャガシャ力任せにやっても、もちろん開かない。


目の前をチラホラと、朝から移動しようするパッカー達が見えてるもんで
傍から見ると、
囚人のようなイメージだろうて。

朝早くおっさんが出発できたわけだから開かないわけがないはずなんだが・・・・。








照明がついていないまだ暗がりの1階。
ビリヤード台の横に毛布引いて、普段着のまま寝てる人が二人いる。

誰だ?こいつは?

顔はよく見えない。どっちも女性のようだ。無用心な!

店の人?といってもまさかこんなところでは寝るまいよ。
誰でアレ、ガッシャンガッシャンやって起こすのも忍びないので
あきらめて寝床に戻る。





本当はそこでその人叩き起こすのが正しかったんだが・・・









ガイドブック読みながら時間をつぶす。




8時ごろ、日差しが上ってきたあたりで
ムクリムクリと他の連中が起きだす。
しばらくベットでぐだぐだしながらタバコ吸ってボケーとする面々。



ああ、なんかこのダラダラ感はまずい!





なんだかその感情だけで、オレは荷物をとっととまとめ
1階に降りる。




店の親父が寝ぼけまなこでうろついてたので

「もうオレ行くから。シャッター開けてくれ」
「ん〜?開かなかった?」
「なんか硬くてさ。店長起きるまでまってた」
「いや〜簡単なんだけどね」

とか言いながら
簡単にシャッター開けてくれるのかと思ったら













これが開かない。


やっぱロックがとても硬すぎるようだ。
数分の格闘の後、ようやくシャッターが開く。








もうなんだか朝っぱらから無駄な時間過ごしまくりで気がめいる。







午前中はそれほど賑わってないカオサンロード。
昨日のクソ喧騒に比べればまるで静かだ。

通りには無数の三輪バイクが、たむろしている。
客待ちしてる割には、みなダラダラ仲間同士で世間話をしたり、うたた寝したりしてる。
やる気がまるで感じられねぇ。



なんかこいつら見るとイラッとくる。





これらの三輪バイクは「トゥクトゥク」つってこっちの国でのポピュラーな交通機関なのだそうな。
外人と見るやかならず吹っかけてくるってんで悪評高いが、
タクシーとかと違って、混雑とかあまり関係ない機動力を持つのでこの手の国ではかかせない乗り物だ。




しかしどうも相場がガイドブックのものより全体的に高い感じ。それは何もトゥクに限ったことじゃなく
宿も、水も、その他諸々微妙に高い。



所詮、本で最新の物価の最新情報をカバーできるわけがないのは理解できるので
結局は現地で自力で把握するのが重要と学ぶ






テキトーに頭ひとつ値段をまけてくれたおっさんのトゥクに乗って
電車が発着するファランポーン駅に向かう。

ファランポーン駅は、日本で言う東京駅にみたいなもので
ここからタイ全土に路線はみなここから発着する。
といっても日本のように網の目に電車が走ってるわけではなく
本数はいたってシンプル。
昔は国境を越えてカンボジアまで走る路線もあったと聞くが、むかしの戦争で
機能しなくなちゃったんだって。

その内の西のカンボジア方面に向かう路線が、オレの乗るやつ。





といっても予約とかそんなもんしてないので窓口でチケット買わにゃならぬ。

直接カンボジアのシェムリアプ(アンコールワットの町)まで行くツアーバスもあるにはあったんだけど
かなり長距離ゆえに、それまでの移動の過程が非常につまらなく感じそうだったのでやめた。値段も張るし。

電車が国境まで走ってるのなら、のんびりと
「世界の車窓から」をきどってみるのもいいだろう。
あわてなくても旅はまだはじまったばかりなのだし。とかっこよく語りつつ。




テキトーな窓口で、国境の待ちアラアランヤプラテート行きの三等列車の切符を買う。
朝と昼の二本しか出てない路線なので、ミスると一日無駄にしちゃう。


48B(約170円





安っ!

距離にして150kmの路線が、三等とはいえやったの170円!




出発は13:05。

今12:00ぐらいだから、電車が来るまでホームで待ってるかな・・・。

ボケーとガイドを読みながら待っていたところ、
なんだか所在なげにウロウロとしてる若者に声をかけられる。

おそらく大学生ぐらいの、やけにおぼっちゃんな印象の子。

「この電車アユタヤ行きですかね?」
「ああーどうだろうね?実はよくわかってないんだ俺」
「そうですか〜」

彼は、一昨日にバンコクに来たばかりで、今日は遺跡の町アユタヤとやらに行くのだそうな。
ていとーに世間話をしつつ。

「出発が10:50なのに、路線がよくわかんなくって」
「10:50って・・・今12:30だよ」

と時計見せる。


「ええーっ!」
「オレの時計、バンコク時間も表示できるから・・・君の時計間違ってない?」
「じゃ・・じゃあ。もう電車でちゃたんですかね?」
「その時間じゃもうとっくに出発してるような」
「あわわ・・・」

『フフフ・・・あわてんぼさんめ。愛いヤツだ、ここは一つ大人の力で手助けしてくれよう』

「事情説明したら払い戻しもできるんじゃ・・・・って
チョイ待ち
「ええ?な、なんですか!?」
















オレの時計、日本時間の表示だ





「あ・・そ、そうだったんですか・・・?」
「ごめん」
「い、いえいいですよ。僕も確認しなかったし・・・でもアユタヤ行きあと数分ですから探さなきゃ!」
「お詫びにオレも探すよ。駅員にでも聞いて・・・」






「あら、あなたアユタヤにいかれるの?」

と後ろの席に腰掛けていた老婦人が、彼に話しかける。もちろん外人。
旦那と二人でアユタヤ行きの列車に乗るらしい。

「それじゃ私達と同じね。さっき駅員に聞いたら。むこうのホームらしいわよ」

彼も合点がいったらしく。

「私達と一緒に行きましょうか」
「はい!」

実際には

「・・・・アユタヤ・・・?」
「・・・セイム・・・アスク・・・ザットホーム」
「レッ・・・ウィズ アス」


みたいな感じでしか聞き取れないが・・・
これで相手の雰囲気とジェスチャーで通じてしまうようだ。


セブンセンシズみたいなものなのだ。



なんとも無駄に彼をあわてさせて申し分けなかったわけだが、結果オーライということで・・・
その後彼は無事にアユタヤを満喫することができたのでしょうか?

・・・とさして心配してないのに書いておく。


ところが今度は、オレの方が
2時間近く時間をつぶす必要ができてしまった。




切符をもってりゃ改札の出入りが自由なので、一旦外に出てタバコを一服。
なんだか駅のそこかしこに警官らしき人がチラホラ。

んで、ボケーとタバコ吸いながら通りを眺めていたんだが・・・




















サングラスかけた長身で色黒で無愛想でマフィアの幹部風の警官が、オレに向かって歩いてくる。



なんだ。おれなんかやったか?
やべ、バンコクってタバコをすう場所に気をつけろとか
ガイドに書いてあったけど。駅前って吸っちゃいけなかったか?
でもさっきちょっと吸ってた人、みかけたもんな。




んで腰掛けたオレの目の前にのそりと立ったサングラスかけた長身で色黒で無愛想でマフィアの幹部風の警官は。

妙な間があった後・・・

なんかコブシ動かしてジェスチャーしてるんだが・・・

黙ってる上、サングラスしてるんで意図が見えない





「え?トレインチケッ?アイハブ アイハブ」
「ノッ!フィア」
「フィァ?」





通じてないのにいらついたのか
彼は懐からナニやら取り出した。













「ああ、ファイヤーね。ライターね」

とタバコを一本取り出した事で合点がいったので、
ライターを貸してあげた。

「センキュ」

と低く渋い声で感謝されて、またカツカツと靴を鳴らしながら元に配置に戻っていく警官。









ターミネーター的にこええよ!








近くにネットカフェ見つけたので入ってみた。
外人さんが結構いる。
おのおのメール書いたり、ニュースみたりしてる。
中にはけたたましく英語をしゃべってる女性がいたが、それはスカイプをつかってるからだ。
その後、スカイプ系はよくみかける。
ほとんどのパソにはカメラと、インカムが標準でついてるようだ。
その辺進んでるんだね。


「ジャパニーズ」
といいながらキーボード叩くジェスチャーをすると
ささっと日本語入力できるようにオネーサンがいじってくれた。
1h20B(80円)と安いので、メール確認したり、MIXIでみんなの駄文読んだり、ニュース見たりで
時間つぶす。
ニコ動見ようとしたが、回線速度が遅くじれったいので見るのを断念。

ADSLをもっぱらひいてるようだが、どうも大した速度がでないようだ。
自宅では光回線なので、色々ヤキモキしてしまう。

日本のサイトにも接続になぜか時間がかかったりと・・・
その後の旅でもかかせないネット環境ではあるが、
これらの要素から、その後思ったほど使うことはなかったよ。




13:05 定刻に出発。

情報ほど混んでないので、あっさり座れる。

出発前
母親と娘だろうか?
菊のような花を束ねたものを20束近く電車に乗せ
その荷物に囲まれるように席に座る。
別段、まわりの連中も迷惑そうにしてないので
この手の荷物は問題ないのだろう。
一汗かいた娘が正面に座って目があってしまう。

申し訳なさそうに笑顔を向けたので。
つられて笑っておいた。









エアコンとかはついてないので
窓全開。天井の扇風機がのんびりと回ってる。
うん。日差しさえさえぎればファンだけ十分。

走り出すと、ゴウゴウ風も入ってくるので、涼しいぐらいだ。
各駅停車のド鈍行なので、目的地まで6時間近くかかる予定。

目の前を、ジュースやらジャンクフォードの物売りが頻繁に行ったり来たりしてる。

どんどん都会から離れていくので、遠く離れるにつれて乗り込む客が田舎っぽくなっていくのが
わかる。着てる身なりで露骨に判断できてしまうわけ。

周りには当然、日本人はいない。陽気でうるさい外人さんもいない、乗っているの俺以外はみんな現地の方々。
なんだか楽しげにだべる学生達、おばさん。うろちょろするガキンチョ。
バスに乗ってるとこの手の雰囲気は味わえないだろうなと、得した気分に浸る。


夕方、アランヤプラテート到着
寝ることも無くずっと乗客の観察をしていた。
そのおかげであっという間についた感じ。

ここの町は、安宿的なものがないのはガイドで知っていたので
国境を越える英気を養うために350B(1260円)と高めのホテルに入る。

ダブルベットで温水シャワー付。ゼータクダ。




せっかくなので晩飯食いがてら町をうろつく。
駅前に露天がたくさん出ていたが、カオサンと違って
現地の人しかいないためえらく注目を集めてしまう。

屋台で、セミだかトンボとかタガメとかの山盛りの
虫のカラアゲを目の当たりにする


少し動いてるような気もするが・・・気のせいかもしれない。


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