ジュリア集合とマンデルブロート集合

  ここではフラクタル図形の宝庫ともいえるジュリア集合マンデルブロート集合とは何かを解説します。

 1 ジュリア集合

   関数として複素数係数の多項式、有理式(分数式)を考えます。
   関数によって、平面の点の動きが決まります。 点Z が 点 f(Z)に移ると考えます。
   平面上の点(x、y)と複素数x+yiを同じものと考えます。
   移動先のまた移動先、移動先の移動先の移動先、・・・をその点の軌道といいます。
   関数による移動を無限に繰り返したときに点がどう動くのかで平面を色分けしたのが
   ジュリア集合の画像です。
   平面上で特殊な動きをする点がいくつかあります。
   (1)ぜんぜん動かない点、これを不動点と言います。
      たとえば関数Zに対して1は1=1なので不動点です。
   (2)何回かで元に戻ってくる点、これを周期点と言います。
      戻ってくるまでの回数を周期といいます。
      点AがBに行って、次にCに行きAに戻る場合Aは周期3の周期点ですがB,Cも周期3の
      周期点になっています。
      これらは1セットで考えます。
      たとえばcos(π/3)+i*sin(π/3)は
      (cos(π/3)+i*sin(π/3))=cos(2π/3)+i*sin(2π/3)
      (cos(2π/3)+i*sin(2π/3))=cos(π/3)+i*sin(π/3)
      となるので関数Zの周期2の周期点です。
      またcos(π/7)+i*sin(π/7)は
      (cos(π/7)+i*sin(π/7))=cos(2π/7)+i*sin(2π/7)
      (cos(2π/7)+i*sin(2π/7))=cos(4π/7)+i*sin(4π/7)
      (cos(4π/7)+i*sin(4π/7))=cos(π/7)+i*sin(π/7)
      となるので関数Zの周期3の周期点です。
      不動点は1回目で戻ってくるとも考えられるので、周期1の周期点とも考えられます。
   (3)ある曲線上をまわって、その曲線を埋めていく点。
      このような動きをする点の集まりを考えると、2つのケースがあります。
      (a)円盤状(実際はいびつな形になることが多い)になっていて、全体が回転する。
      (b)ドーナツ状になっていて、全体が回転する。
      (a)をジーゲルディスク、 (b)をエルマンリングといいます。
      これらも周期点と同じように周期を持ちます。
      周期の数だけのよく似た形のジーゲルディスクエルマンリングが現れます。
      周期が3なら内部の点は3回に1回みればジーゲルディスクエルマンリング
      1つの中をぐるぐる回ります。
          ジーゲルディスク            エルマンリング

          特殊なフラクタル図形ジーゲルディスク    特殊なフラクタル図形エルマンリング
       ジーゲルディスク の内部の境界線に近い点は境界線に沿うように動き、
       より内側の境界線から離れた点は比較的滑らかな動きをします。
       中心には不動点があります。
       エルマンリングの内部の点も境界線に近い点は境界線に沿った動きをします。
       境界線から離れた内部の点は比較的滑らかな動きをします。


   関数によってどれがいくつあるか異なります。
   平面上の一般の点の動きを上の(1)〜(3)を元に分けることができます。
   (1’)不動点に近づいていく。
       無限に遠ざかっていく点は無限遠点に近づいていくと考えます。
       ある不動点に近づいていく点の全体をその不動点のコンポネントと呼びます。
       不動点がすべてコンポネントを持つわけではありません。
       どんな点も近づいてこない不動点があります。
       周りの点が近づいてくる不動点/周期点をアトラクティングであるといいます。
       特に微分係数が0の場合スーパーアトラクティングといいます。
   (2’)周期点に近づいていく。
       この場合周期点は複数ありますから、たとえば周期3なら3回に1回見ると
       周期点のどれかに近づいていくという動きになります。
       ある周期点(周期点の1セット)に近づいていく点全体をその周期点のコンポネント
       と呼びます。
       周期点がすべてコンポネントを持つわけではありません。
       どんな点も近づいてこない周期点があります。
        周期3の周期点に近づいていく点の軌道の例
         周期点に近づく点の軌道
   (3’)何回かでジーゲルディスクエルマンリングに飛び込む。
       ジーゲルディスクかエルマンリングにいったん入ればあとはぐるぐると回ります。
       何回かでジーゲルディスクエルマンリングに入る点全体をそのジーゲルディスク
       エルマンリングのコンポネントといいます。
   (4’)上のどれでもない場合。これをジュリア集合といいます。
       (1’)〜(3’)をファトゥー集合と呼びます。
   これらの点の動きを知る上でキーになるクリティカルポイントと呼ばれる点があります。
   数学的には、関数の微分係数が0、または2次以上の極がクリティカルポイントです。

 2 マンデルブロート集合

  通常マンデルブロート集合と呼ばれているものは、関数Zの場合にあたります。
  また関数Zの場合のものはマルチブロート集合と呼ばれています。
  ここではこれらを含めて拡張した意味でマンデルブロート集合と呼びます。

  マンデルブロート集合は、その1点毎に関数が対応します。関数にはジュリア集合が対応します。
  したがってマンデルブロート集合ジュリア集合の集まりだと考えることができます。

  マンデルブロート集合ジュリア集合の関係の具体例は以下を見てください。
   マンデルブロート集合とジュリア集合の関係 Zの場合    の場合    の場合


  関数 f を固定し 点Cに対して関数 f+Cを考えます。
  f+C のクリティカルポイントの軌道をしらべ、それらが何回目で無限遠に近づいたかを調べます。
  無限遠に近づいたというのは、原点からの距離が1/収束半径をこえたかということです。
  この回数を各クリティカルポイントについて計算し、その合計をその点 C の番号とします。
  番号0の部分が本来の意味のマンデルブロート集合です。
  fの分母の次数が分子の次数と同じかまたは大きいときはf+Cそのままではうまくいきません。
  この場合はf+Cの不動点の1つを無限遠に移すメビウス変換をμとして
    μ−1(f+C)μ で置き換えて考えます。

  マンデルブロート集合の画面をコントロール+マウスクリックするとその点をCとして
  f+Cまたはμ−1(f+C)μのジュリア集合の画面を開きます。
  (注意)マンデルブロート集合の画面を最初に親画面から開いたとき中心、倍率は固定で
     中心がX,Yとも0 倍率が0.25になっています。
     画面が一色になってしまっている場合等は、まず倍率を小さくして意味のある図形を
     探してください。
     ただしある程度倍率を小さくしても画面が一色のままという場合もあります。
     理由としてはループ 回数が足りない場合もありますが限界までループ 回数を増やしても
     全部番号0になる式もあります。
 詳しいことを知りたい方は下記の本を参照してください。
 「フラクタルの世界」 宇敷重広 著  日本評論社
 「複素力学系序説」 上田哲生・谷口雅彦・諸澤俊介 共著  倍風館

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  マンデルブロート集合(続き)
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  ジュリア集合(続き)
  ジーゲルディスク
  エルマンリング
  動画1 マンデルブロート集合
  動画2 ジュリア集合

ジュリア集合と
マンデルブロート集合


マンデルブロート集合の拡大
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