ジーゲルディスク
・エルマンリング
の境界線はクリティカルポイントの軌道から得られます。
しかしクリティカルポイントの軌道は、単純な曲線になるとは限りません。
FractScopeで描けるのはクリティカルポイントの軌道が比較的単純な曲線になる場合だけです。
そうならない場合に、はたしてジーゲルディスク
またはエルマンリング
があるかどうかはわかりません。
また、周期の非常に大きな周期点で各周期点が近い間隔で並んでいればそれが周期点なのか
ジーゲルディスク
またはエルマンリング
かは判別できません。
下に、クリティカルポイントの軌道の例を示します。
左はクリティカルポイントが1 個でその軌道がジーゲルディスク
の境界になっている場合。
右はクリティカルポイントが3 個で、第 1のものがエルマンリング
の外側の境界になり、
第 2のものが内側の境界になっています。
第 3のクリティカルポイントがエルマンリング
の内部を回っています。

次に判定できない場合を示します。
下の図のように、クリティカルポイントの軌道が広がっている場合は判定ができません。
また誤判定する場合があります。

まぎらわしいケース
下の図は、一見エルマンリング
のように見えますが、そうではない例です。
内側の滑らかな曲線の内部の点の軌道を調べてみると、実は内側の曲線で囲まれた範囲で
滑らかな円に近い軌道を描きます。
エルマンリング
の場合内側の境界で囲まれたところはエルマンリング
の外部なので
何回目かにエルマンリング
に入るか、どこかの周期点/無限遠に収束する可能性が
大きいのです。
いくつかの点について軌道を調べて全部滑らかな円に近い軌道を描くような場合は
エルマンリング
ではない可能性が高いです。

(注意)
ジーゲルディスク
とエルマンリング
を描画する場合かなり時間がかかります。
周期点だけの場合は周期点に近づいたかどうかの判定で描画できますが、
ジーゲルディスク
とエルマンリング
の
場合は曲線(実際には頂点数百〜数千の多角形)の中に
点が入ったかどうかを判定するため、ループ 回数 1000 縦横600ピクセルの場合、
数分から場合によっては数時間かかることがあります。
(1)設定のジーゲルディスク
とエルマンリング
のチェックをONにしておきます。
(2)式を入力します。またはサンプルから選びます。
(3)親画面の実行 ボタンを押します。
閉曲線を検出すると親画面の下部に「閉曲線を検出、解析中です。しばらくお待ちください。」と
メッセージが表示されます。
この段階で閉曲線を解析してジーゲルディスク
/エルマンリング
の境界線を抽出します。
(4)子画面が開きます。
FractScopeがジーゲルディスク
/エルマンリング
を認識できたか、表示−コンポネントで
確かめます。
子画面を閉じて設定の「連続とみなす最大間隔」「In/Out 判定」を調整します。
(5)軌道の確認
認識できた場合もできなかった場合も軌道を確認しておくことをお勧めします。
以下のことを確認します。
(A)クリティカルポイントの軌道(白で表示)が閉曲線になっているか。
点の間隔が開きすぎていて「連続とみなす最大間隔」より大きければ閉曲線と
認識されません。
(B)ジーゲルディスク
/エルマンリングの内部の点の軌道
内部をコントロール+マウスクリックして内部の点の軌道を確認します。(赤で表示)
内部の点はジーゲルディスク
/エルマンリングのなかで閉曲線を描きます。
閉曲線にならずにばらけてしまう場合は正しく描画することができません。
ループ 回数を多くするとばらけて来る場合は式の係数の精度が足りないことが考えられます
(C)エルマンリング<
の内側の境界線の内側
ここはエルマンリング
の外部です。
ここの点の軌道を描かせてみて必ず閉曲線になるようなら、エルマンリング
ではなくて
ジーゲルディスク
である可能性が高いです。
軌道からはジーゲルディスク
/エルマンリングのはずなのに、認識できない場合は設定の
「連続とみなす最大間隔」「In/Out 判定」を調整します。
以上がOKなら描画 スタートボタンで描画を開始します。
ジーゲルディスク
の場合を一番簡単な2次関数Z2を例に説明します。
(1)式を入力してマンデルブロート集合
を描く。
この場合は分子の2 次の実部と分母の0 次の実部だけが1で他は全部 0です。
下の図の線の部分からジーゲルディスク
が生成されます。
大きな心臓形とそれに接するたくさんの円、またその円に接する小さな円 ・・・
となっていますが心臓形の境界とそれぞれの円の境界です。図 1
他の関数でも同じように大きな円周のような曲線に小さな円形のようなものがたくさん
くっついている部分から、同じように描けます。
小さな円周は小さなものほど周期が大きくなります。
周期の大きすぎるものは認識できません。
大きな心臓形が周期 1で、左側の大きな円が周期 2、心臓形の上下にある大きな円が
周期 3です。
適当な円または心臓形を選んでその境界線を拡大していきます。
図 2と図 3が拡大図で少し右に傾いたほとんどまっすぐな線が目的の境界線です。
図に見るように小さな円周が無数にくっついているのでそちらに入り込まないようにします

図 1

図 2 図 3
(2)マウス 位置表示で境界の部分を拡大していきます。
下の図は同じマンデルブロート集合
の同じ部分をそれぞれループ 回数 500と5000で
描画したものです。

ループ 回数 500 ループ 回数 5000
左の図で境界線だと思って枝のように見える部分の先を拡大しても実はかなりずれて
いることがわかります。
ループ 回数が少ないと求めたい境界線を見失って小さな円の中に入っていく可能性が
高くなります。
効率よく拡大していくためにはループ 回数を大きくして、次に拡大の中心にする点の見当が
ついたら、描画を中止するのがよいでしょう。
途中の不要になった子画面は閉じてかまいません。
(3)十分拡大したところで、境界と思われるところをコントロール+マウス 左 クリックします。
閉曲線を検出すると親画面の下部に「閉曲線を検出、解析中です。しばらくお待ちください。」
とメッセージが表示されます。
ここから後は式/サンプルで描くのと同じです。
他の関数でもマンデルブロート集合
の同じような場所からジーゲルディスク
を描くことができます。
エルマンリング
は下の図のように、マンデルブロート集合
の境界線が2本重なったような
ところから描くことができるようです。
どんな関数のマンデルブロート集合
にこのような場所があるかは、わかりません。
ただし、多項式関数(分母が1)にはエルマンリング
はないことが理論的に知られています。

(注)このページのマンデルブロート集合
の図は見やすいように番号 0の
領域を黒で表示しています。