天文写真館
(2003/07/17〜2003/07/31)


___   コリメートセット    ̄ ̄ ̄

 コリメートは直焦点と異なり受光部が長大になります。
 どのくらい長くなるかというと下の通り。

 直焦点なら左端のカメラ本体だけでよいのですが、コリメートしたいがためにCBCのレンズSD-1xが必要で、SD-1xの中には当然アイピースが入っています。
 自作鏡にセットするとこんな有様です。

 ヘリコイドで調整せざるをえないとはいえとてもアンバランスです。
 周辺減光が出なきゃ文句はないんですが・・・。
 減光の様子を強調して処理すると下のようになります。

  CBC6mm白黒補正なし CBC6mm白黒補正あり
PL45mm
SP40mm
PL36mm
PL30mm
XL28mm
PL26mm
LV25mm
LV20mm

 PL36mmですら駄目です。
 白黒補正レンズの効果はなんとも不明です。


___   山口県の天文事情    ̄ ̄ ̄

 先日地元高専の研究室に行くと来客と名刺交換。
 この研究室ではよくある光景なのですが、頂いた名刺が「菊川町星を観る会」・・・。
 目が点になります。
 山口県内で現在最も注目されている天文ボランティアです。
 面識はなかったのですが主要機材や観望会スケジュールがネットに公開されていますから記憶していました。
 思わず天文談義になりかけたのですがここは場所柄セーブします。

 山口県のアマチュアの元締めといえば各地区公認の天文同好会を束ねた山口県天文協会で、毎月第二火曜日に県立山口博物館で定例会があるようですがネット上ではなぜか連絡先が不明でHPもありません。
 分かっている人は県立山口博物館に電話するのでしょうけど何でなんでしょ?
 二十数年前は名物親父どもがガンガン引っ張っていたのですが、世代が伸びきってしまったのかもしれません。
 年間のスケジュールを見ると結構あちこちで設備や公園を使って観望会をやっているはずなのですが地味です。
 山口県の各地をジプシーして会えたのは周南天文同好会の面々ですが、これもネット上には連絡先がない状態が続いています。
 萩天文同好会は活動も古いのですが一部会員による福栄村星の会が活動しているのが伺えます。

 天文活動の基地としては天文台(正確には子午環がないから天体観測所)を思い浮かべますが、山口県内には国立山口徳地少年自然の家の51cm、県立山口博物館の20cm、防府市青少年科学館の6連装太陽望遠鏡(〜15cm)、宇部市勤労青少年会館の20cm、萩市郷土資料館の15cmが公共公開望遠鏡のはずですが、定例観測会は多くて月一回程度のようで研究稼動しているかどうか不明です。
 県内各教育機関が保有する望遠鏡もどれだけあるか分かりませんが少なくとも20cmアポクロマートはフルシステムで何セットかありそうです。
 もったいないお化けが出そうです。
 山口県には上関、大島の瀬戸内地域と十種ヶ峰周辺に空が暗い地帯がありますが、この地域には天体観測専用設備は柳井市に「星の見える丘工房」がある程度です。
 固定観測者を雇用するのも大変ですから無理もありませんが、星の見える丘工房は中型望遠鏡ながらCCDの使用講習会を開くなど一味違った活動をしています。

 彗星の吉本さんのようにフリーで活動しておられる方は結構いるようで皇座山では何組か行き違いました。
 ただし、地理的に広島のメンバーかもしれません。
 ともかく、過去にジプシーした範囲では皇座山でしかアマチュアと行き交ったことはないのは事実です。
 山口県で活動しているアマチュアのHPは探し方が悪いらしくほとんど拾えていません。
 アマチュアでも固定設備を設けることは当然あります。
 ニッシンドームの資料だけでも山口県だけでも何人もの名前が並びますし、古くは山口高等学校のグランドの一角にスライディングルーフを設置した生徒もいました。
 また、給食用の大鍋を利用したドームもありました。
 気象条件が厳しい羅漢山にも個人所有のドームがあります。
 山口市の郊外を走っていて個人住宅の屋上に眩い銀色のドームを見かけたこともあります。
 スライディングルーフは見かけが倉庫と変わりがないので見落としも随分あるはずです。

 他県には天文台付ペンションなどを見受けますが、隣接した島根県日原町に充実した施設があるせいか山口県にはその手の施設は見当たりません。
 ところが大谷山荘という一流温泉旅館には30cmドールカーカムが銀色のドームに収まっていたりします。
 宿泊者でなくても予約見学ができるそうです。

 天文がらみの山口県出身者はちょっとしたものです。
 有名なところでは天体写真家の藤井旭さんの実家は山口駅前通りに店を構えておられます。
 川崎天文同好会の品川征志さんも山口出身です。 
 京都コンピュータ学院の作花一志さんは軌道計算などのソフトを公表されている方で山口県に関連する名前を持つ小惑星一覧を整理しておられます。
 兵庫県立西はりま天文台公園に勤める時政典孝さんは火星が専門です。
 
近作「アインシュタインの宿題」で知られる大阪教育大学天文学研究室の福江純さんには天文・SF関係の著作が多いです。
 久万高原天体観測館の中村彰正さんは新天体の観測者として知られています。
 国立科学博物館名誉館員/元五島プラネタリウム館長の村山定男先生も母方が山口県のゆかりと聞いたことがあります。
 変わったところでガイナックスの庵野英明監督も高校当時は星を見ていたくちです。
 全員集めたら一大アストロテーマパークになりそうですが、観測者も多いので大型望遠鏡が何本も要りそうです。

 気象の面から見ると山口県はかなり複雑です。
 標高と空の暗さを併せ持った十種ヶ峰周辺は年間通じて晴天率が低いです。
 年間の主な気流は北西から南東に向けて流れ日本海側は対馬海流の温潤な空気により曇りやすい傾向になり、中国山地で雨に変わります。
 この結果瀬戸内の特に柳井地域は晴天率が高くなります。
 国道9号線沿線は内陸道路になり寒暖の差が大きく写真撮影に都合がよさそうですが、先の温潤な空気が入りやすく霧の名所になります。
 低温を稼ぎやすい場所としては周南市鹿野地区から徳佐にかけてが挙げられますが、雪が遅くまで残っている場所がありますから注意が必要です。
 また、地形の面でも高原地帯があまりなく、山も単独峰が多いので標高が高い道路も少ないので観測地探しには苦労します。

 地元の宇部市にいたっては観測好適地は小野地区と埠頭に限られるでしょう。
 埠頭は南天限定になりますし、小野地区は逆に南天が使えません。
 いずれも往来がない広い場所となると該当地がないのが実情です。
 宇部天文同好会と星を見る会「シリウス」が地元の同好会ですが今のところどちらとも接触がありません。
 これは私が宇部市内で活動していないので当たり前です。


___   梅雨明け    ̄ ̄ ̄

 随分長く続いた梅雨ですが漸く明けました。
 昔から梅雨明け十日といって安定した気候になり・・・ませんね。
 「ちょっと怪しいけど瀬戸内側は晴れるよ」という予報を真に受けて皇座山に出かけます。
 花火大会の渋滞を抜け山頂に入ると梅雨明けを待ちかねた周南天文同好会の面々もすでに陣取っています。
 22時近くまで花火が続きましたからTGv-Mの紹介をして暇つぶしです。
 M8、M20、M17、M27、M16と眼視では星雲部分の観察が辛そうなものを見て回りました。
 ただし、構成はアイピースからのコリメートです。

LRGB TGv-M QV-3500EX
IRフィルタレス

M8

2003/07/26 M8
20cmF10シュミット
x0.63RD+LV30mm
TGv-M+CBC6mmF0.8
1/2ゲイン
256フレーム
13コンポジット

2003/07/26 M8
20cmF10シュミット
x0.63RD+LV30mm
QV-3500EX(IRフィルタレス)
ISO500
ステップアップリング
3コンポジット

 CBC6mmでは外周で像が膨らんでいます。
 この夜は周辺減光を嫌って白黒補正レンズを外したのですがその分像が歪んだようです。
 補正レンズを外すと周辺減光が顕著になるので困ったことです。
 CBCとLV30mmはステップアップリング1個でコリメートでき、そこそこの性能は出ますから2インチが使える場合には遊べる組み合せでしょう。
 もっとも、単純にレデューサで対応できる画角なら無理をしてコリメートする必要は全くないと思います。
 理由は分かりませんがQVは殊更に条件が悪く外周が派手に減光しています。
 LV25mmやPL36mmなどのアイピースとの組み合せは秀逸ですのですが・・・。

 花火大会が終わってちょっとしたころから曇り始めてしまいました。
 雲に翻弄される火星をずらりと10本並ぶ望遠鏡を見比べて天気の回復を待ったのですが駄目です。
 一応記録すべく準備しても風が強くて画になりません。
 高速シャッターが期待できるのはTGv-Mですがバローレンズの玉が外れる椿事に遭い、TGv-M記録で使っているソニーのTRV18kで初めてビデオコリメートを行う羽目に。
 TRV18kはノイズを恐れて通常バッテリー駆動ですが接眼部の負荷を抑えるためにDCアダプターを使います。
 TRV用にアダプターリングを買っているあたりが確信犯に近いです。


2003/07/26 火星
20cmF10シュミット
LV10mm
TRV18K
SD-1xコリメート
28コンポジット

 5000コマから28コマしか残らない有様です。
 この後は実質的に撤収でしたのでフードも取っ払ってよかったかもしれません。
 GPDは随分頑張っていたのにLX90-20ときたら・・・。
 標高のおかげで気温も17℃程度と肌寒いほどで蚊も少なく晴れていれば楽しめる観測地なんですが、風だけには勝てません。
 模様も少ない時期なので火星としては止むを得ない画なのかもしれません。

 先例があるので中腹駐車場に移動しましたがやはり駄目。
 不貞寝するしかありませんね。


___   観望会依頼    ̄ ̄ ̄

 7月26日は菊川町星を観る会も観望会だったのですがこちらのコンディションは皇座山よりマシだったようです。
 観望会の世話や段取りは準備八割の手間仕事と聞いていますのでご苦労なことです・・・と、他人モードだったのですが不覚にも子供会の秋のキャンプの余興に呼ばれてしまいました。
 9月13日は幸い観測予定がない満月時期で、あいにく観測対象が限定される満月時期です。
 TGv-Mが手元にあるので観望方法は迷わずにすみます。
 会社からプロジェクターを借り、100V電源を用意してもらってシーツか何かに投影します。
 段取りよく進めるには導入精度が重要なので経緯台にするべきなのかもしれませんが、組み換えが面倒なのでワンスターアライメントで行います。
 「コウセイド」を使えば問題ないでしょう。

 肝心なのは観望プログラムで晴天用と曇天用を用意する必要があります。
 曇天のときはステラナビゲータでグリグリやってこのHPのアルバム写真を紹介していくことになります。
 しかし、なんと言っても花形は晴天時ですからオチがないように準備することになります。
 いざ、プログラムを組む段になると月が邪魔です。
 この日にそこそこ使えるのは20時前から21時前までの正味1時間限りです。
 おまけに市街に近いキャンプ場なので西が全滅で天頂が頼りになります。

 西の代表はM13がいいところでしょう。
 南はM8でその感触次第でM20>M17>M16と振っていきます。
 東はM31と火星がメインで青い雪だるまを見るかどうか。
 観望会の終わりには月も対象になるでしょう。
 北は架台との干渉の恐れがありますからパス。
 天頂はM27とM57でしょう。
 アルビレオの対比はデジカメからのスルー画面でないと色の対比が分かりません。
 北アメリカ星雲や網状星雲は難度が高いので悩みどころです。

 さて、上の計画には無理があります。
 天体の画角が異なりすぎるのです。
 そこで接眼構成を何種類か組みなおすことで対応するのですが下には一箇所大嘘があります。

対象 大きさ(分角) 視野限界機器構成 構成整理
網状星雲 190 300mm+20mmコリメート 300mm+28mmコリメート
M31 180 300mm+20mmコリメート 300mm+28mmコリメート
北アメリカ星雲 120 300mm+15mmコリメート 300mm+28mmコリメート
M8 90 300mm+15mmコリメート
2000mm+x0.63RD+40mmコリメート
300mm+28mmコリメート
M17 46 300mm直焦点
2000mm+x0.63RD+20mmコリメート
2000mm+30mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
M16 35 2000mm+x0.63RD+15mmコリメート
2000mm+25mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
30 2000mm+x0.33RD直焦点
2000mm+20mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
M20 30 2000mm+x0.33RD直焦点
2000mm+20mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
M13 17 2000mm+x0.63RD直焦点
2000mm+20mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
M27 15 2000mm+x0.63RD直焦点
2000mm+15mmコリメート
2000mm+x0.33RD直焦点
M57 2.5 2000mm+x2EX直焦点 2000mm+x2EX直焦点
NGC7662青い雪だるま 2.2 2000mm+x2EX直焦点 2000mm+x2EX直焦点
火星 0.4 2000mm+x2EX直焦点でも不足 2000mm+x2EX直焦点

 月は明るすぎるんですよ。
 デジカメに振り直すか、どアップにして投影しないとTGv-Mでは飛んでしまいます。
 まぁ、サブに10cmニュートンを持っていって眼視してもらえばいいでしょう。
 後は上の一覧からストーリーをひねり出せばよいのです。
 毎度の眼視観望会よりむしろプラネタリウムや雨天のサブプログラムに近い構成になるでしょう。
 (そして結局ろくに準備ができないままで当日に流れ込むんだな、多分。)
 恐れるべきは試行錯誤がいまだに続いていることで、低倍率を得る良い手が見つかれば手法もコロコロ変わるはずです。
 目途は・・・財布と相談すべきはLRGBフィルター合成も懸案に残っているし弱ったことです。
 LRGBはフィルターとホルダーが高いので諦めちゃおうかな。
 ToUCamなんて悪魔の囁きも聞こえるし・・・。
 (やけくそで全部買うとまた10万円コースでんがな。)


___   風邪の戯言    ̄ ̄ ̄

霍乱(かくらん):熱中症のこと。古くは急性胃腸カタルのこと。
鬼の霍乱(おにのかくらん):日頃丈夫な人が急病を患うこと。鬼の乱獲では意味が通らない。

 夏風邪にやられました。
 梅雨明けだというのに体調管理がなっていません。
 この二年ほど風邪らしい風邪をひいてなかったので殊更にこたえます。
 38℃も熱が出ると晴れていてもどうでも良い気になります。
 風も強いし透明度も悪いし、気温が下がるにつれて雲が増えるし・・・。

 

 ちなみに夏の夜が曇りやすい原因は上のグラフからも想像できます。
 昼夜の温度差が同じなら結露する蒸気量は気温が高い方が多くなります。
 梅雨明けに結露対策が怠れないのも同じ原因ですし、上空ではこれが雲となって現れます。
 大きな山の風下が晴れやすいのは山で水分を雨として落とすためです。
 近県では・・・都合の良い場所がないというか、風邪で頭が回らないというか。

 このあたりで閑話休題。


___   惑星を撮る    ̄ ̄ ̄

 これまで撮ってきた惑星といえば土星、木星と火星を少々です。
 いずれもコリメートで撮ってきましたが、これはコンパクトデジカメにしろDVカムにしろレンズが外れないのが主因です。
 外れれば直焦点でよいのかといえば、LX90-20ではx2バローを食わせてもFL=4000mmでTGv-Mの35mm換算は約20000mmです。
 QV-2900UXでは毎度35mm換算で64000mmの合成焦点距離でしたから像は非常に小さくなります。
 これを回避するのがリレーレンズという方法で、アイピースで拡大した対象を直接CCDに結像させるものです。
 難点は専用アダプターが必要になることとです。
 ミードのビジュアルバック(アイピース用の接眼部)にはなぜか外ネジがついていますが、これがリレーレンズのアダプターが付くところでここから先の構成はTマウント(M42p0.75mm)によることになります。
 銀塩カメラの場合にはかなり入手性が良かったのですがCCDの場合には更にCマウント(25.4mmp0.794mm)に繋ぐ必要があります。
 私の手元にはミードのプレゼント品があったのでビジュアルバックからのアダプターはあったのですが、Cマウントへのアダプターをネットで探す必要がありました。
 結局、ビクセンにTマウント-CマウントアダプタがあったのですがヤシカAF用といわれても・・・。
 東京工業大学の石川さんが光学やマウントのデータをコレクションしていらっしゃいましたので大変参考になりました。


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