天文写真館
(2004/02/01〜2004/02/20)
___ カメラなる代物  ̄ ̄ ̄
一口にカメラといっても現在では様々な種類があります。
原義は「暗い部屋」というものでピンホールカメラを知らなければピンと来ません。
湿板式が乾板式、フィルムと変化し小型化され現在のフィルム式カメラに至りました。
ことがややこしくなるのはここからで、フィルムによってムービーが発明されます。
ムービー用は「キャメラ」と記載されたりしますがやはりカメラ扱いです。
ムービーは8ミリカメラとなって家庭にまで進出するようになります。
一方、画像の電気・電子化も進み、CCDの信号を磁気テープに記録できるようになりました。
これもまたビデオカメラといわれ、小型の8mmビデオカメラが登場してあっという間に家庭に入り込んできました。
どうかすると8mmムービーと8mmビデオカメラを持っていた人もいるはずです。
ここまでの流れはアナログなのですがPCが一般家庭に入り込むと事情が変わり始めました。
カメラまでデジタルが求められるようになったのです。
今は「デジカメ」と呼んでいますが、カメラそのものがデジカメを差すようになってきています。
ビデオカメラもデジタルに移行しDV規格になってしまいました。
これも前例に倣えばデジタルビデオカメラなのですが、さすが「カメラ」があふれ返るのでDVカムやビデオと呼んでいます。
これも従来は単にビデオと呼んでいたビデオデッキとの混乱が待っています。
天文をやっているとこれに更にCCDの類も「カメラ」に入ってきます。
WAT-100Nだって「超高感度カメラ」です。
冷却CCDも現場では「カメラ」と呼ばれます。
天体写真をやっていると「カメラは何使ってます?」と会話の中に出てきます。
昔なら「F-1です」とか「OM-1です」なんて答えていたもので、「6×7版です」などという人がいると感心されたものです。(今でも感心されます。)
今は同じ質問でも返ってくる答えが違います。
大きく分けて銀塩、デジカメ、DVカム、ウェブカム、CCDでしょうか。
これにそれぞれメーカー、型番、名称が付くので自分が調べた分野でなければ相手が何を使っているのか分からない始末です。
「カメラ」として括ってしまうと世の中には千を超える種類のカメラがあるに違いありません。
私の手元にあるカメラで天体を撮ったことがあるのはペンタックスMX、Optio330、カシオQV-2400UX、QV-2900UX、QV-3500EX、QV-5000、ニコンE-4500、ソニーTRV8K、ロジクールQCam4000、フィリップスToUCam、ワテックTGv-M、WAT-100Nといった具合です。
さて、私が扱ってきたのは概ねデジタルばかりなのですが、これはフィルムよりはるかに作業レスポンスが良いのが理由です。
撮ってダメ出しが1週間後ではサラリーマンには少々辛いです。
ウェブ用にはデジタルで良いと思うのですが、プリントするとデジタル共通の泣き所にぶつかります。
普通のデジタルイメージングデバイスは8bitつまり256階調しかないのです。
普通の写真の場合には十分なのでしょうが光のシミのような天体を強調する場合にはこの程度の階調は食いつぶしてしまいます。
光害があると対象と背景との階調差が狭くなりこの現象は顕著になります。
光害がない場所で飛び切り明るい光学系で撮影すれば良さそうですが、デジタルにはノイズが付きまといます。
最大の難敵は熱ノイズで、デジカメ天体写真に夏の作例があまりないのはここにも理由があります。
対処法は「冷やす」というシンプルなもので、実は銀塩フィルム時代から行われてきた方法です。
フィルムに比較してCCDははるかに小さいのでペルチェ素子を使って電子的に冷却します。
この冷却CCDは実に高いのです。
VGA程度のもので数十万円はします。
ちょっと良いものを探すと普通車一台分程度になり、付属品も大変高価で更には電力を大喰らいします。
冷却CCDがチャンピオンなのには違いがないのですがいまどきカラーでも白黒でも価格に大差がないという特徴があります。
「なら、カラーでしょ。」というのは世間的な反応ですが、天文の世界ではそれでも白黒が珍重される傾向があります。
白黒は10倍程度感度が高いためです。
もう一つの問題はノイズでカラーの場合は各素子にRGBのフィルターをかける必要があるのですが、これが均質にならないのです。
均質でなければムラになりノイズとして現れます。
より暗い天体を狙うときには画像処理で暴かれますから白黒にRGBフィルターをかけて3色合成したほうがフラットになります。
と、分かってはいるのですが一発勝負ならカラーCCDのほうがはるかにお手軽です。
また、ビデオではRGB合成なんてぬるいことを言っていると対象がいなくなってしまうこともあります。
いずれにしろ、お手軽観測とはいいがたいので見なかったことにしてきました。
・・・で、無視してきたのですが10万円といわれると話は別です。
新規参入メーカーは全く違うアプローチができるという典型で、無線カメラを手がけるRFシステムがそれです。
提案されたVG-200というカメラはTV用と解像度は低いのですが電波で画像を飛ばすことができ、カメラ本体は冷却CCDになっています。
C/CSマウントのお手軽カメラですが実力のほどは!?・・・情報が全くありません。
一次情報自体が天文各誌の広告で、HPも画像データですから検索にもかかりません。
更に発売前に問合せが殺到し、提言を元に再設計になるようです。
まぁ、初物はそんなものでしょうが、WAT-100Nを凌ぐ感度があったら流星観測のカラー化もできますし、TGv-Mクラスの感度があれば星雲・銀河の観測も変わりそうです。
ケーブルの取り回しを考えなくてもモニターを屋内に置くことができますから観測スタイルに自由度が増えます。
UFOCaptureに繋げば壁の向こうでも流星観測ができます。
プロジェクターで投影するのも一興です。
リモートデスクトップを駆使し無線LANで繋げば望遠鏡の制御もワイヤレス化できますから本格的な炬燵観測が実現できます。
現物がまだ世の中にないのがもっとも困る点ですね。
また、冷却ではありませんが最近発表されたC004-3Mは128倍の感度設定があり、メーカーであるビクセンは「蓄積型ではない」といっています。
0.0008Lxの最低照度はWAT-100Nの0.001Lxといい勝負です。
反面128倍に設定するとレスポンスが鈍いとのレポートがあります。
蓄積型で128倍を得ようと思えば4.3秒インターバルの出力になりレスポンスが鈍いどころの話ではありません。
想像すると、C004-3Mはフレーム加算をしているのは間違いないと思います。
しかしその方法は新しい画像を足したら古い画像を次々と捨てているのだと思われます。
リアルタイムの加算コンポジットというべきでしょうか。
この結果、単に明るいだけでなく比較的滑らかな画像を得ることができる「はず」です。
ネット上のサンプルとしてはM42の画像がありますがお世辞にもすっきりした画像とはいえません。
これは素子のムラまで加算してしまうためではないかと思われます。
それでもM42の羽根部分まで一応見えていますから複数枚でのコンポジットには期待が持てます。
私にとって理想は省電力・高感度・低ノイズ・お手軽であることでその意味では一眼デジが近いのですが、露出が長いとLX90-20がタコなのがばれてしまいます。
0.00001Lxクラスの1/2型カラーCCDが出てきてくれたら個人的には大変嬉しいのですが・・・できれば5万円、いや、10万円出してもいいです。
(しかもローンで?)
___ 今、何時?  ̄ ̄ ̄
常時接続になって便利なことは様々あるのですが、そのひとつは時計合わせです。
特別なリクエストがなければ桜時計で用が足りてしまうと思います。
UFOCaptureでは対象が儚い流星ですのでタイムレコードはできるだけ正確な方がいいのです。
それが今月に入って桜時計のログを久しぶりに見て
私はこのところ欲しい時計があります。
実際に世の中にあるのかどうかも分からないのですがUSB電波時計です。
文字盤はないか、せいぜい小さな液晶で良いです。
大きさはUSBメモリー程度で電源はUSBバスパワーをコンデンサで保持すれば良いと思います。
後はドライバー/ユーティリティがUSB電波時計が差し込まれて条件が整えばPCの内部時計を修正するというものです。
1個あれば職場中の時計の修正ができますし、定期的にチェックすれば今回のような内蔵電池の消耗も推定できます。
でも、なんですな、携帯電話というのは「繋がる」のが本領のはずなのに時計の自己修正機能はないんですか?
まぁ、普通の人はそんな高精度はいらないんでしょうけどね。
___ 寒月好日  ̄ ̄ ̄
冬とはいえたまには晴れます。
晴れたとはいえ月齢17で平日ですから惑星だけ・・・って会社を出たのは21:30も回ってからです。
できることなら大赤斑と衛星の配置からいってたったこの瞬間を撮りたいんですがそうもいきません。
不貞寝したいところですが、根が好きなのでそれでも狙いますね。
結果はシンチレーション不良ですが時期的にはこんなものですか?
04/02/09PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/09PM 木星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
光学系の調整不足のせいか少々納得がいきません。
バローレンズも思い切り安いの使ってますから青色はそのせいでしょうか。
11日は頭痛がするほど透明度が悪かったですが先日の事情からシリウスで光軸調整を行いました。
バローとToUCamをつけてノートPCのモニター上で追い込んでいきます。
結果は下の通り。
04/02/11PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
輪の幅が左右対称になっているのが端的に分かります。
この状態でシーイングが良いときに狙いたいですね。
金星、火星も狙ったのですがうじゃうじゃで使えませんでした。
___ はた迷惑かサービスか  ̄ ̄ ̄
ブロードバンドになってもディスクスペースは狭いのであまり無茶はできません。
niftyでもこのあたりは少々分かっているようでディクス容量を10MBほど上げてきました。
で、記念に私が過去に撮った最大の火球をどうぞ。
2003年11月22日午前5時12分のものです。
静止画は11月末の日誌にありますが動画は迫力があります。
___ 毎度のことですが  ̄ ̄ ̄
惑星の季節です。
まめに望遠鏡を出すのですが毎年同じ悩みがピントです。
13日の土星も自信を持って外しました(^_^;
木星がここまででて土星がこれではあんまりです。
やはり廉価版バローはその程度の実力しかないのかもしれません。
04/02/12PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/12PM 木星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/13PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/13PM 木星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
13日は快晴だったのですがこの惑星だけで遠征はなしです。
風邪気味で、月齢23日で、観測明けの朝食の吉野家の牛丼はなくなるし、春一番の予報で皇座山は大荒れが予想されるし・・・と、まあ、要はサボりですか。
出かけてもノートPCのHDDの容量が底をついてきているので、ろくに記録ができません。
データを整理しなくちゃいけません。
___ 日本は明るすぎる  ̄ ̄ ̄
14日は晴れてはいるものの春一番で望遠鏡どころではありません。
天気だけはどうしようもありません。
光害もどうしようもないもののひとつですが、フットワーク次第で低減はできます。
凄い星空とはどんなものかというと「口では説明しかねる」と多くの人は言います。
かつて私が見た八丈島、九州の山奥、福島の山奥、客船上で見た最上級の星空にはいくつかの共通項があります。
そのひとつが「北極星が分からない」というものです。(明るくても見えないですけどね。)
ともかく微光星までも浮き上がってくるので星座が分かりにくくなり、北極星が判別しにくくなるのです。
また、天の川ははっきり見えるようになります。
雲と間違えることもあります。
では本当の雲はどう見えるかというと黒いのです。
部分的に星が妙に少ないと雲を疑います。
ここまで暗いと足元が危なくなります。
撮影が絡むと滅多に明かりをつけるものではないのですが、こんなときにはポケットライトを使います。
草むらでの落し物は絶望的なことになりますから注意が必要です。
設営した本人がこの始末ですから、人様の機材の周囲に近づくときはケーブルなどに十分気を配ります。
ま、ここまで暗いところが日本では急速に減ったのも事実です。
今度発見されたM78近くの新星雲も空が暗ければ日本人が発見してたのではないかと思います。
何しろウルトラの星ですからね。
矢印が新星雲です。
![]() 03/12/28 M78 20cmF10シュミット+x0.33RD TGv-M直焦点 256フレーム 12コンポジット |
![]() 04/02/15 M78 20cmF10シュミット+x0.33RD TGv-M直焦点 256フレーム 12コンポジット |
15日は自宅からの撮影ですから背景があまり締まりません。
多少無理をして今時期宵に見頃になるM1をLRGBしてみましょう。
04/02/15 M1
20cmF10シュミット+x0.33RD
TGv-M直焦点
NBN-PV、G、B
256フレーム
12コンポジット
04/02/15 M1
20cmF10シュミット+x0.33RD
TGv-M直焦点
R,G,B
256フレーム
12コンポジット
赤にNBN-PVを使うかRフィルターを使うかの違いです。
普通は右のように黄色っぽく写るのですが、NBN-PVをRに置き換えるとちょっと雰囲気が変わって面白いです。
もっともYukioさんのように空さえ良ければNBN-PVなんて使わなくてもフィラメントを写すことができます。
(腕の違いは?)
日曜日ですので遅くまで粘るわけにはいきません。
それでも上のようなお遊びをしているのは単に木星待ちです。
単に4惑星の同日撮影がしたかっただけです、ハイ。
04/02/15PM 金星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/15PM 火星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/15PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/15PM 木星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
300コンポジット
スケールもあわせてありますが木星のコンポジット枚数が少ないのはシーイングに食われたせいでしょう。
火星がすっかり小さくなったのにも感慨があります。
思ったより良く出ましたが月惑星研究会関西支部にある報告を見ると脱力します。
___ 力任せ  ̄ ̄ ̄
暦では春です。
その証拠にスギ花粉が飛び始め、空も霞みがちです。
では観測もお休みかというと、透明度が低いとなぜかシンチレーションが良かったりするので油断ができません。
今日は拡大方法の比較で、3倍バローが大タコなのではないかという仮定でのテストです。
PL22mmでリレーレンズを行うとバローよりほんの少し小さめになります。
PL15mmでは結構大きくなります。
大きさをそろえると下の通り。
04/02/18PM 土星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/18PM 土星
20cmF10シュミット
PL22mmリレーレンズ
ToUCam
600コンポジット
04/02/18PM 土星
20cmF10シュミット
PL15mmリレーレンズ
ToUCam
600コンポジット
04/02/18PM 木星
20cmF10シュミット
x3バロー直焦点
ToUCam
600コンポジット
04/02/18PM 木星
20cmF10シュミット
PL22mmリレーレンズ
ToUCam
400コンポジット
04/02/18PM 木星
20cmF10シュミット
PL15mmリレーレンズ
ToUCam
200コンポジット
土星の作例では微妙にPL22mmリレーの勝利でしょうか。
PL15mmまでいくと光量不足で怪しいです。
木星はもっと顕著でリレーレンズの情報量が多いことが分かります。
これもPL15mmまで使うと暗くてレンズのゴミばかり目立ちます。(掃除しろってば!)
色再現はうまくいっていません。
K-Kozakさんのうまさには改めて舌を巻きます。
表示上でカッシーニが全周見えるのは年に何日もないのでその点も良かったようです。
これからは暖かくなるにつれて黄砂で目も当てられぬことになりそうです。
___ ToUCamの帯域  ̄ ̄ ̄
18日の結果に気を良くして20日の夜も惑星見物したのですが、シーイングに恵まれないとやはり駄目です。
04/02/20PM 土星
20cmF10シュミット
PL22mmリレーレンズ
ToUCam
600コンポジット
04/02/20PM 木星
20cmF10シュミット
PL22mmリレーレンズ
ToUCam
600コンポジット
土星は10fpsで撮ったらノイズが出てしまいました。
上の木星は下の木星よりもゲインが低めになっています。
RegiStaxは多少暗くてもゲイン調整してくれるのですが暗いと情報が減りモノトーンになってしまいます。
ToUCamのゲインを上げると色は出やすくなりますが帯域が飽和すると情報が全くなります。
このあたりの手加減が結構難しいです。
更にホワイトバランスの設定がおかしいとレタッチのときに色調整で色情報を減らさざるを得ません。
かなり面倒ですね。
安物バローよりもリレーレンズの方が結果が良好なのでこのまま続ける予定です。
対象導入が少々面倒ですが画像が良いのには代えられません。