はじめに

 2002年1〜3月期のソフトセールスのNo.1は、4年連続年間トップの任天堂を退け、セガがトップに立ちました。

 主力ソフトが集中したからというのもありますが、やはりDC事業からの撤退と、ピーク期に突入する最高のタイミングでPS2へとメインプラットフォームを移したから出来た事であると言えるでしょう。

 

 しかし、先に書いておかなければならないのですが、単純にセールスが増えたからといってセガのマルチプラットフォーム戦略が成功したとは言えません。

 1本のソフトに対して、その取り分は大まかに言って、

子売店 25%
ロイヤリティ 15〜20%
原価 5〜10%
流通 5〜10%
メーカー 35〜50%

 このぐらいだと推測されています。自社ハードで出す限りロイヤリティの支払いが無い上に、他のメーカーのロイヤリティ収入が見込めるので、ソフト面のみの利益で言えば、倍近く売れて初めて成功したと言って良いのではないでしょうか。

 むろん、セガのDC事業の負債は主にハードによるものなので、この仮定は本質的には無意味なのですが、単純に正否を判定するのならハードを撤退した時点で正になってしまうので、ここでの成功の判定は倍のセールスと定義します。


 カテゴリを続編、新作、移植に分けて、前作の数値や初動率(%)から分析を行います。


続編

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
バーチャファイター3tb DC 1998/11/27 9.8 22.1 44
バーチャファイター4 PS2 2002/1/31 35.7 50.1 72

 3は同時発売で、ハードそのものが初期需要に対して満足に供給できなかったことや、アーケードで旬の内に移植できなかったという同情すべき点はあるものの、4はきっちりと倍以上売れているわけで、間違いなくハード選択の成功です。
 また、本来この手のソフトは2作目をピークに出せば出すほどにユーザーが限定され、売り上げが落ちていくものなので、ここまで大幅に増加したことを見ると大成功であったと言えるでしょう。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
バーチャストライカー2 Ver.2000.1 DC 1999/12/2 13.3 18.0 74
バーチャストライカー3 ver.2002 GC 2002/2/14 1.1 1.1 100

 ワールドカップイヤーであるにも関わらず、実に1/10以下に落ち込んでいます。確かに、このジャンルの勝者となったウイニングイレブンへの集中が起こった結果、一時期に比べて他のサッカーゲームも奮っていませんが、このレベルになるとそれどころの話ではないでしょう。
 これはハード選択大失敗の例。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
スペースチャンネル5 DC 1999/12/16 4.1 4.1 100
スペースチャンネル5 パート2 DC 2002/2/14 1.0 1.0 100
スペースチャンネル5 パート2 PS2 2002/2/14 4.3 6.0 72

 ほぼ全作並。しかし、インパクト勝負の1発屋的ソフトとしての側面を持つ事を考えるとどちらかと言えば成功した方か?

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
ジェットセットラジオ DC 200/6/29 3.2 4.8 67
JSRF ジェットセットラジオフューチャー xbox 2002/2/22 1.5 2.1 71

 xboxについては、そもそもハードが20万台で打ち止めという現状がわかっていれば選択肢に入らなかったでしょう。
 もちろん北米市場があるので、現実にはそれほど単純な話ではないのですが。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
Jリーグプロサッカーリーグを作ろう DC 1999/9/30 16.0 24.7 65
サカつく特大号 J.LEAGUE プロサッカーリーグをつくろう! DC 2000/12/21 8.6 13.5 64
サカつく特大号2 J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! DC 2001/12/13 3.1 3.1 100
サカつく2002 J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! PS2 2002/3/7 21.6 42.1 ?

 文句なしの大成功。ダビスタに見られるように育成系シミュレーションの潜在需要は確実にあるものの、これらのユーザーはコア層とはかぶらないため、単純に現役で普及台数の最も多いハードで出すのが正解。初動率の低さもそれを物語っています。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
サクラ大戦GB 激・花組入隊! GB 2000/7/28 8.1 12.0 68
サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜 DC 2001/3/22 21.6 30.4 71
サクラ大戦GB2 サンダーボルト作戦 GB 2001/12/6 1.1 1.1 100
サクラ大戦4〜恋せよ乙女〜 DC 2002/3/21 20.7 23.9 ?

 本編の売りの一つが「派手さ」である事を考えると、そもそも携帯機で出すことが間違っているのではないかと思うのですが、開発費の関係などから考えると本編並の初動率で12万のGB1は御の字であったと思われます。そしてGB2が1/10になったのは、これは間違いなく機種選択の失敗です。前述の「売り」を考えれば、ユーザーからすれば「なぜGBAじゃなくてGBなのか?」というのが本音でしょう。



移植

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
チューチューロケット! DC 1999/11/11 3.3 4.1 80
チューチューロケット! GBA 2001/3/21 - - -

 GBA版はランクインしませんでしたが、一説によると最終的にはDC版並の出荷数は記録したようですので、これが本当なら大成功でしょうし、誤りだとしても所詮移植です。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
クレイジータクシー DC 2000/1/27 4.6 7.1 65
クレイジータクシー2 DC 2001/5/31 4.0 5.5 73
クレイジータクシー PS2 2001/11/22 1.3 1.3 100

 移植であることを考えれば妥当なところでしょうか。

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
ソニックアドベンチャー DC 1998/12/23 17.7 34.2 52
ソニックアドベンチャー2 DC 2001/6/23 8.5 10.8 79
ソニックアドベンチャー2 バトル GC 2002/12/20 3.0 13.7 22

 移植がオリジナルの数字を超えることがそもそも滅多にあることではない上に、圧倒的に初動率が低いことから推測するにDC版とGC版のユーザーは全く重なっていないことがわかります。文句なしの大成功。さらに、ここまで初動率が低いと、ランク外での数字の累計もバカになりません。
 足しても1に届かないから失敗じゃないのか?という意見もあるかと思いますが、それはDC版2の発売時にGC版の話が周知されていればの話であって、この場合は1をプレイしたユーザーの多くが2を買わなかった、というプラットフォーム選択以前の問題でしょう。

 また、この成功というのは実はセガのみ問題ではなく業界全体にとって大きな意味をもちます。マルチプラットフォームと言えば聞こえはいいですが、実際のところは単純に目先の売り上げのみを考えればPS(PS2)かGB(GBA)か?という選択肢しかなかったのです。これまでの結果を見たら誰が見ても「全部PS2で出せばいいじゃん」となります。しかし、ソフトによっては違う選択肢もあるんだ、という明確な結果が示されたわけです。

 もちろん、PS2ならもっと売れたという可能性もありますが、同週に発売されたクラッシュやジャックの結果を見ると、初動は超えたとしても累計では超えられなかったと見ます。(これも数字を積み上げて説明できるのですが、長くなりすぎるので省略します)



新作

タイトル 機種 発売日 初週 累計 初動率(%)
スーパーモンキーボール GC 2001/9/21 1.7 3.1 55
みんなでぷよぷよ! GBA 2001/10/18 0.8 1.8 44
Rez DC 2001/11/22 0.6 0.6 100
Rez PS2 2001/11/22 2.3 2.9 79
ソニックアドバンス GBA 2001/12/20 3.8 14.4 26
ガンヴァルキリー xbox 2002/3/21 1.2 1.2 100



 確か、あとコラムスがあったと思いますが、発売日を確認できなかったため省きます。

 新作と言っても前作の数字が拾えなかったたりで、純粋な新作は少ないのですが、ソニックを除くとあまり売れていません。まだセガハード以外での「セガ」のブランドは0に近く、「ソフト」個別のブランドしか通用しないと結論づける事も出来ないことはないですが、サンプル数が少ないためにまだ判断保留でしょうか。


結論

 個別に見れば失敗もありますが、数十万売れるソフトが倍以上売れたという結果が2つも出た、という時点でハードを捨てて正解であった、と言っていいでしょう。次の目標はブランドを構築して力を注いだ新作が売れるようにすること、コナミに年間ランキングで勝つことでしょうか。