中日ドラゴンズ
優勝パレード

現地レポート

 

復刻にあたって。
このページからはいろんな選手の写真にリンクがはられていました。
あんまりじょうずじゃないけど。

あまりにデータが重いので、スキャンし直すことにしました。
でも筆者はスキャナを持っていないので、当分リンクは外れたままです。
すんません。(2001/5/5)

 

 1999年11月2日、プロ野球セ・リーグを11年ぶりに制した中日ドラゴンズの優勝パレードが午前11時から、名古屋市内の中心部で行なわれた。
 オープンカーやトラック18台に星野仙一監督やコーチ、選手ら40人が分乗。沿道を埋めた約16万4千人(愛知県警調べ)のファンから盛んな声援や拍手が送られた。
 優勝パレードは1982年以来、17年ぶり。11年前はビールかけだけでなくパレードも自粛したらしい。ことしは皇族の皆様が健康で、ほんとうによかったですね。

●概要

 パレードは、中日新聞社からスタートし、愛知県庁から桜通を通ってJR名古屋駅、広小路通を経て中区の栄交差点へ。終点の中日ビルまで1時間半をかけ、約10キロを行進した。

 観客には幼児と母親らしき女性、そして老人の姿が目立った。平日の午前中なのだから当然である。なかに混じっていた学生服の若者や中年男女は、それぞれの学業や業務を怠業しての決死の参加と思われる(筆者もだが)。

●官庁街

 中日新聞社前で大島宏彦オーナーと星野監督が挨拶したあと、一同赤いレイ(造花の花輪ね)を胸に、パレードがスタートした。

 このあたりは官庁街である。前日に下見したのだが、もともと車道も歩道も通行量が少ないため、規制もゆるい。沿道の観客はやすやすと車道に飛び出し、至近距離からオープンカーを眺めることができた。

 どのくらい近いかというと、筆者に同行した偽南渕氏は前田投手および井上外野手の手に、苦もなくタッチすることができた。そのほか、本文の落合川上立浪のエピソードを参章してほしい。

 監督、コーチの車のあと、主力選手はふたりひと組で分乗、それぞれ着物の美女やチアドラゴンズ(球団所属のチアガール)をはべらせている。これはやっぱり選手の士気を上げるためでしょうね。

 選手の先頭はやはり選手会長の立浪(注・このときの写真は失敗)である。レフトで入った試合の途中からセカンドに戻ったときに見られるような、機嫌のよさそうな笑顔で、カメラを向ける私たちに目線をくれる。嬉しいが、いちいちそんなことしてたらキリがないぞ…。

 (2001年5月追記:この車には中村武志も同乗)

 山本昌ヤマサキが同乗。の車が続く。関川野口の表彰選手コンビ。さらに愛甲久慈の攻めよ/守れデュオ、川上武田の明治OB組、顔で目立つ落合井上後半に目立った前田、満足げなコースケと照れる岩瀬中継ぎの中山正津と主力選手が続く。

 川上に「川上ーっ、来年は20勝!」と声がかかる。即座に首を振りながら「無理です」と答えるケンシン。観客がどっとわく。そんなやりとりが聞こえてしまうほどの距離である。

 赤い花のレイはハデハデ南洋系の落合にぴったり。筆者が「落合さん、レイが似合いすぎ!」とつい言ってしまったら、振り返ってにっこりした。キミたち。いちいちそんなのに答えてたらキリがないってば…。

 井上前田あたりに至っては、観客の伸ばす手にタッチしてウケている。前田は制服の女の子たちに大人気で、「前田っち、前田っち!」と大騒ぎされていた。モテモテな自分に少し戸惑っている前田

 井上も負けずに自分のレイをはずして女の子たちに投げ、大喜びされていた。この井上の行動は、のちに起きる事件の伏線となるのである。

 大西ウォッチャーとして知られる筆者は、「大西、これじゃ前田に負けるぞ! 井上や前田がこんなにがんばっていることを、ぜひ大西くんに知らせたい!」と、もどかしいほどに思った。

 いざやってきた大西は、最後のトラックに神野種田と同乗しており、珍しく大人しく静かに笑みながら手を振っていた。あとで気づいたのだが、大西の左にはふたり、右にはひとり、チアドラゴンズの美女がはべっており、そんな状況でいつものように三枚目なことをする気にはなれなかったのではないだろうか。

 大西のトラックのひとつ前は渡辺、鈴木郁洋、吉原、筒井など。ここもみんな大人しい。筒井くん、ナゴヤドームでの日本シリーズ第3戦で、君が代斉唱のとき、笑いこらえてたでしょ。あれ、隣の福留が変なこと言ったんだろうか。それとも斉唱の錦織健の美声が大仰で可笑しかったのだろうか。

 これじゃ予定に遅れてしまう、とばかりに、先頭が大津通りにさしかかったあたりから車がスピードを上げる。警備が観客を歩道に誘導しはじめた。しかし車について歩いている限りは追いやられないので、大西の乗った最後の車を追い抜いてその前を歩けばまだ写真がとれる。「大西を追いぬこう!」と連れに声をかけ、なんかそれって9月1日の東京ドームの福留だなあ、と思う。

●三越前

 名古屋駅方面に向かったパレードに先回りすべく、大津通りを直進した筆者たち「沿道の見物客」は、三越の前、中日ビルの向かい側に到着した。

 頭上をCBCや東海テレビ、中京テレビ、テレビ愛知といった放送局のヘリが飛んでいる。

 官庁街とは比べ物にならない人だかり。車道に出て行くなど、さきほどの何倍もの警備員がいて不可能だし、だいいち危険だ。旗や手を振る人にぶつかるので写真も撮れそうにない。見るのに専念することにする。

 パレード一行の到着。みんな疲れも見せずに手をふっている。なかでも前田投手は、疲れるどころかポーズの取り方がさっきより練れてきており、だれよりも燦然と目立っていた。

 きょう前田が身につけた自信はいかほどのものだっただろうか。もともと愛嬌のある明るいキャラクタで、神宮球場で9月に見たときも実に爽快そうに投げていた。中日にはほんっっっとにスターが少ないので、ぜひいろいろな意味でがんばってほしい。

 みんな、歓声のやり過ごし方もこなれてきたようだ。いいぞ。そう思うと同時に、さきほど官庁街で至近距離でこの連中を見られた自分の幸運に驚く。

●中日ビル前

 パレードの終点となる中日ビル前の通りはもう人で埋まっており、筆者は大通りのなかほどにある中洲のような公園に陣取る。それでも最後の挨拶の会場となっている中日ビルの2階通路はきれいによく見渡せるのだから文句はない。

 「みなさんの声援が大きく、到着が15分ほど遅れています」のアナウンス。

 かえって嬉しいではないか。「予定より30分ほど早く進行しておりますので、少々時間調整をさせていただきます」とかだったら淋しいぞ。「思ったより人出が少なく」なんてつい言ってしまったりして。

 そうこうするうち、中日ビル2階通路に張られた紅白の幕の前に一同が到着。星野監督がスピーチを行ない、大きな喝采が寄せられた。

 そして「これにてパレードを終了します」のアナウンス。一同、退場しはじめる。ちょっと間がもたんぞ、これは、と思っていたら、だれか(落合だったかなぁ)が赤いレイをビルの前の観衆に投げおとした。

 これに続いて、全員が次々に自分のレイを投げはじめた。最後に立浪がおもむろに自分のレイを外し、なんとなくタメをきかせて投げたところ、それまであがっていた野太い歓声とはまったく異なる黄色い悲鳴があがる。さすがだ、立浪! タメをきかせるあたり、やっぱり天才である。

 その直後、井上が自分のぼーしをとって投げる。これにも歓声。井上、続けて隣にいた久慈の頭上に襲いかかる。必死に抗戦する久慈からやすやすと帽子を取り上げると、井上はためらいもなくこれを投げ落とした。

 みんながこれを真似て、どんどん投げ始めた。岩瀬コースケの帽子を取って投げる。これは10月1日深夜の赤坂プリンスでの祝勝会で、コースケ岩瀬をプールに落としたことに対するリベンジと思われる。

 井上は官庁街で早々とレイをファンにあげてしまったので、みんながレイを投げて喜ばれているのを見て、きっと悔しくてたまらなかったのだ。しかも立浪があんなにウケて…。

 その悔しさを、帽子投下にぶつけたのだ。しかも瞬時の判断で。いいぞ、井上。その明るさと負けん気。大物になってね。

 最後に笑かしてくれた選手たちに大きな拍手がよせられ、パレードは終了した。観客はそれぞれ近くのデパートに入って経済効果を高めたり、中日ビルのドラゴンズグッズショップや写真展(コラム参照)を見たり、1階のサイン色紙展示を見たりしていた。中日ビルから監督や選手が出てくるのを待つ、「出待ち」をするファンもいたようだが、このあとドラゴンズ一行はものすごい速さで退出し、次の仕事や練習に向かったそうである。


コラムトホホ写真プレゼント

 本文に頻出する中日ビルとは、昔から名古屋は栄の中心地にある大きなビルで、たくさんの店舗や企業がテナントになっており、宝塚歌劇や、新宿コマ劇場的な大物芸能人の公演が行なわれる中日劇場もこのなかにある。そして、樺日ドラゴンズもそのテナントのひとつなのである。

 この2階で、筆者は中日ドラゴンズの写真パネル展をやっているのを発見した。

 見つけたのは、店がもうとっくに閉まった夜10時ごろ。テナント企業のなかには残業している人もいるため、ビルじたいはまだ閉鎖されていない。だからといって、パネル展示場まであけていていいのだろうか。いいのだろう。とにかくあいていたので見てみた。

 16枚の写真が飾られており、最初の4枚は優勝の日のものだった。

 だが残りは日本シリーズの写真である。

 それも、

・握手する星野監督と王監督
・敢闘賞をもらった川上のピッチング
・試合を決めた立浪の先制打
・ラッキーボーイだった益田の打撃
・初安打、塁上で雄叫びをあげる関川
・中村、意地のホームラン
・ゴメス、気迫のホームラン

あたりはまだいい。

・秋山、2試合連続本塁打!
・奪13三振でシリーズの記録を塗り替えたエース工藤!
・沈みこむベンチでひとり激を飛ばす星野監督、うつろな目の関川、イラつく井上、しらけた表情で打席に向かう立浪
・表彰されるホークスをベンチで見守るドラナインとコーチ、つられてひとりだけ拍手している前田幸長

といった写真をなぜ公平に展示しているのだろう。

 しかもこの展示は、「写真パネルプレゼント当選発表」を兼ねていた。
 写真の番号ごとに、当選者の氏名が掲示されている。それを見ると、「打つ秋山」や「沈むベンチ」にも、ちゃんと希望者がおり、当選しているのだ…。

 秋山や工藤のパネルは、ダイエーのファンが応募したのだろう。だが、「沈むベンチ」はだれが希望したのだろうか。
 同行した偽南渕さんは「立浪のファンが応募したんだよ!」と嬉しそうに断言していた。そう言う偽南渕さんじしんがちょっと欲しかったのではないか。ファン歴1年弱の身にはまだ解くべき謎がたくさん残っている。

(文責:東山にしこ)