10月20日金曜日。私は朝からSMUのビエンナーレインフォメーションセンターで、ウォーキングツアーの開始を待っていました。
9月4日の一般公開初日と違うのは、
インフォメーションセンターに、段ボールを利用して作られた応接セット(笑)が完備されており、更に各会場で行なわれる解説ツアー及びウォーキングツアーの時間割の書かれた一覧表が看板形式で表示してあったことです。
10:30すぎ、ビクトリアさんというツアーガイドボランティアさんに引き連れられて、歩き出しました。まずはアートミュージアムの建物について簡単な説明。戦争中は病院として使われており、シンガポールの市街戦では、大時計が被弾して壊れたのだそうです。ところが、この病院での犠牲は、結局この大時計だけだったということで、現在、その時計は「奇蹟の時計」として保管されているのだとか。
| 続いて、聖ピーター&ポール教会へ。教会の周りの塀の上に天使像がいくつも置かれているのですが、これはもともとあったものではなくて、ビエンナーレの作品の一部なのだそうです。このツアーで来ていなかったら、絶対に気づかなかっただろうと思いました。 教会の中には燃えて行く蝋燭を撮影したリソグラフがあり、外の建物の中に、ニューヨークで自分の主張を叫び続けたアーチストを撮影したビデオがありました。さらに、この天使をナフタリン(?)に閉じ込めた作品がありました。会期中にナフタリンが溶けて中から天使が顔を出す……かどうか? という作品なんだそうです。言われなければ中に天使が入っているようには見えなかったので、たぶん、会期中には無理じゃないでしょうか……。 |
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| 次に訪れたのは、聖ジョセフ教会。ビデオ作品が2点ありましたが、聖堂の真ん中にプロジェクターを置かせてもらうという状態にびっくりして撮影してきてしまいました。さすがに、礼拝の行なわれる日曜日の午前中は非公開とのことです。そりゃそうですよね。 中央のプロジェクターに写っているのは、透明なビー玉をいくつかのせた掌を握ったり開いたりし続けているという映像です。同じ作品がサルタンモスク(イスラム教寺院)と、シナゴーグ(ユダヤ教寺院)にもあり、それぞれに「あの掌の中に何を掴もうとしているのか」について考えると違う印象になる、という作品とのこと。ユダヤ教寺院に行かれなかったのが残念でした。 |
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右側のプロジェクター(というよりもテレビかな)では、柔らかな紙に鉄筆で描いたような絵で作られたアニメーションが流れていました。一本の線で描かれて行くのはなんとも不思議な画像で、ガイドのビクトリアさんはとても好きな作品のひとつなんだそうです。
ちなみに左端に写っているのは、ビエンナーレの作品解説用看板。オープニング初日には無かったと思われるものです(なぜなら、この後で行ったサルタンモスクにもちゃんとあって、それを9月には見ていないから)。
次に行ったのは、スカルプチャースクエア。元は教会だった建物が中華料理店として使われるようになり、今ではアートスペースとして生まれ変わっているという来歴のある場所だとか。ここにあったのは、スペースシャトルのクラッシュを題材にした力強い作品でした。白い陶器(磁器かもしれないけど)で作られた立体の破片が、スペースシャトルの形に積んであるのです。ひとつひとつの立体は、何故かウルトラマンだったり、コンピューターのキーボードの形をしていたりして、なんとも不思議な物でした。
さらに、建物内には一部屋しかないのですが、その奥の壁を使って、スペースシャトルの映像が映し出されていました。映像と動かないシャトルの対比がなんともいえず、印象的でした。
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スカルプチャースクエアから、大通り(ミドルロード)を渡ると、派手な外観のスリクリシュナム寺院が見えてきました。ここは表ではなく、裏に回って、左の写真のある場所から靴を脱いで入らなくてはなりません。しかもエレベーターで上がるのです。この写真にあるような看板がちゃんと出ていなかったら、たどり着けないことでしょう。寺院の前にも、ちゃんと方向を示す看板がありましたし。 |
スリクリシュナム寺院の中には、クサマヤヨイさんの「天国へのはしご」と題された作品があります。DNAの螺旋を思わせるような梯子が天井から床に届くまで作ってあって、天井と床には、鏡が置いてありました。だから、室内にしかない梯子なのに、どこまでも上にのぼって行くようにも、下ってゆけるようにも見えるのです。
ツアー参加者の中に「これは天国への梯子でもあるけど、下へも向かってるから、地獄にも行くんじゃないの?」と感想を言っている人が居ました。なるほど、確かにそうなんですよね。私はカンダタと蜘蛛の糸の話を思い出しました。
また、部屋の窓から外を見ると、寺院の屋上に寝そべる人々を描いた大きな作品も見ることが出来ました。ビエンナーレで一番大きな作品のひとつではないかとは、ガイドのビクトリアさんのご意見。あの作品と、SMUのインフォメーションセンターとでは、どちらの方が大きいのでしょうか。私にはわかりかねました。
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スリクリシュナム寺院のすぐ近くには、蓮を売る露天に囲まれたクワンイン寺院(観音堂)があります。正面から向かって左手に、ビエンナーレ会場入り口を示す看板が出ていました。 ここには、蓮の葉や花にお経を描いた作品や、寺院の柱に絵を描いてしまった作品、さらに、沢山の仏像を写したビデオ作品、そして、人々がおみくじを引きながら祈る場所に敷かれた絨毯といった、様々な作品がありました。 |
入り口の蓮のお経は、枯れてしまったり果実になった部分が、お供えとしてご本尊の前に置かれていました。ガイドのビクトリアさんも知らなかったそうですが、たまたまそこにいたボランティアスタッフさんがお供えを管理しているおばちゃんに頼んで見せてくれたのです。
確かに、この寺院に蓮を供える為に買っていけというお店がずらりと並んでいるような場所ですし、書かれていたのはお経ですから、お供えにふさわしいものだと思いました。けれど、作者であるアーチストさん自身はこうなったことをご存知なのでしょうかね??
また、このビエンナーレのテーマである「信念」を意味する言葉を織り込んだ絨毯の上で人々が祈っているという状態には、なんだか身震いするような気分になりました。私にとって仏教は身近な宗教なので、尚更、宗教と芸術の融合について感じる物があったのかもしれません。あの絨毯は、会期後どうなるのでしょうねえ。あのまま納められるのかな?
本来なら、この後のサルタンモスク見学まで含めて2時間という予定のツアーなのですが、それぞれの作品をじっくりゆっくり見せてくれたおかげで、ここまでで2時間が過ぎていました。用事のある人などとここで別れて、少し離れたところにあるサルタンモスクを目指しました。
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サルタンモスクへの道すじでは、来るイスラム教のお正月を祝しての準備が行なわれていました。道に★印などの飾りつけをされたロープが渡されています。たしか夜にはこれらが全て光っていたと思います。綺麗でした。 |
2度目の来訪となったサルタンモスクでは、お正月の為に沢山のテントが出され、テントの下のテーブルでは、男の人達が沢山集まって、何やら談笑していました。「やあやあ、久しぶり」といった顔で握手している人も多かったので、年の瀬に帰省するような、そんな感じに近いのでしょうか。
サルタンモスクでは、半地下(?)のビデオ作品を鑑賞。暗くないと見えづらいだろうと、ボランティアのお兄さんがわざわざ照明などを調整してくれました。部屋を出る時に「良く見えるようになった?」と笑顔で聞かれたので「ありがとう!」って答えたけど、本当は前に来た時の方が良く見えたんですよね、人も居なかったから静かだったし(笑)。作品はキリスト教の教会で見たものと同じなのに、コーランの響く中で見ると、全然印象が違いました。うーん、不思議。
更に階段を上って数学的な作品やら、屋上の美しい絵を見ました。感想は前に見た時と同じなので割愛。ただ、前には気づかなかった、階段のそばの空間を活かした作品をじっくり見て来ました。床の上に河原にあるような丸い石を敷き詰め、その中に、月と星のマークを映し出した映像があるという物です。周囲にとけ込んでいたせいか、前に来た時には全然気づかなかったのですよね……。その後、ウオーキングツアーは無事解散に。
大通りまでガイドのビクトリアさんとおしゃべりしながら戻ったところ、彼女は15年ほど前に、数年間東京に住んでいたのだそうです。高田馬場の近くと言っていたかな。もう日本語は忘れちゃったわー、でも良い場所だった、なんてことを話してくれました。この間(どのくらい前と言っていたかは忘れました)久しぶりに東京に行ったら、町の人が皆携帯電話を持ち歩くようになっていて驚いたんだそうです。確かに……。
そういえば、シンガポールでも携帯を使っている人は沢山いましたが(電車やバスの中で話している人も多かったけれど、特にマナー違反でも無いらしかったです)、メールを打っているらしき人は見かけませんでした。日本の電車内だと、メールを打っている人が本当に多いのにね。
大通りに出たら、そのまままっすぐ歩けば国立図書館だったので寄ってゆくことにしました。半年前に新しく建ったようで、とても綺麗&とても大きな建物です。どこに作品を展示しているのかわからず、インフォメーションのお姉さんに聞いたら、地下だと言われました。教えてもらった御礼を言いそびれてしまったのを、ちょっぴり後悔しています。
さて、地下へエスカレーターで向かったところ、いきなり目の前にあったのが「サッカーの試合でボールの代わりに本が使われている」というビデオ作品。どうしてボールの代わりに本が使われているというだけで、こんなに面白いんでしょう。おかしくてたまらなかったのですが、何しろ図書館なので、笑いをひっこめつつ、内部へ。
入り口にあったビエンナーレの看板に沿って左手に進んだところ、白い本が出迎えてくれる一画に到着しました。ボランティアの人が所在なげに立っていたので「この本見てもいいの?」等と話しかけたら、ちょっと嬉しそうでした(^^;) 。図書館の中の作品担当では静かにしていなくてはならないし、暇なんでしょうね。そして見せてもらった本にはさまざまな大きさがあったのですが、中身も全部真っ白でした。これらの本は、これから何かが描かれるのか、それとも、すでに何かが描かれたのに私には理解出来ず、真っ白な本と変わりないということなのか、考えると深い意味のありそうな作品でした。
次に、入り口から右手に進んで、本棚の本が燃えている、という作品を見ました。普通に貸出に使われている本棚の一部に作品用の本が入れられていて、その本が燃えているように見えるよう、炎が映写されていたのです。普通の本棚なのに、なんだかとても不思議な空間が醸し出されていました。
図書館の展示を堪能した後は、今日オープンだというVivo-Cityを目指して地下鉄に乗りました。
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