さて、このページは全くの私ごと、私についての紹介になります。ビエンナーレとは関係のない事柄のようですが、私の目からみたビエンナーレを書いているうちに「こんな私だからこう思うのだ」というバックグラウンド的なことも書きおいた方が良さそうに思えてきまして。最初に読んでいただくべき物なのかどうかはわかりませんが、とりあえず、最初においておくことにしました。
 
 そもそも、私は、美術を専攻したこともありませんし、現代アートびいきとも言い難い人間です(カンディンスキーやバウハウスといった辺りは好きですけれど)。
 絵を眺めるのは好きですが、日曜日ごとに銀座の画廊を巡る趣味があるわけでもありません。テレビ番組の「美の巨人たち」を楽しく見たり、「迷宮美術館」のクイズに適当に答えて喜んでいるような、そんなタイプです。美術館に行くのは好きですが、作者の名前をちゃんと覚えていないので、系統だった美術史などが頭に入っているわけでもありません。更に、私の芸術鑑賞の基準は「自分が見て好きか嫌いか」の一点しか無いに等しいです。芸術史から考えてこの作品の位置づけは、なんて感覚は、持ち合わせていません。
 さらに、絵を描くとなると、小学生の頃に描いた風景画を先生に「面白い」と評価されたような美的センスの持ち主です(私は長らく「誉め言葉だった」と信じていたのですが、「コメントのしようが無いので誤摩化された」言葉だったのではないかと今では思っています。絵だけでなく、図でさえも、友人から笑われるくらい下手なのです……)。平面でこれですから、立体作品なんてもってのほかだと、ご想像ください(笑)。洋服を縫ったり、何かを編んだりして物を作ることは好きなんですが、歪みは常に私のお友達です。

 実は、今回シンガポールビエンナーレに行ったのは「ビエンナーレが見たいから」という気持ちよりも、「シンガポールでどんな風に芸術イベントを開くのだろう?」という興味の方が強かったのです。だから、同時開催の上海ビエンナーレ等には行く気がありませんでしたし、これからも行かないような気がします。
 私は、12歳から14歳くらいまでを、シンガポールで暮らしていたのですね。日本人学校に通っていましたし、あちらに当時の友人が住んでいる、なんてなことは全くないのですが、でもやっぱり、私の中では故郷のような場所です。
  故郷で大きなイベントがあるというのは、なんとなく、わくわくしませんか? チャンスがあったら行ってみたいと感じるような。
 たまたま、今年の夏休みはシンガポールに行ってみようかな(半分帰省気分)と思っていて、調べたらビエンナーレをやるというから、では、それに日程を合わせてみようか、1日だけでも行ってみたら面白そうかな? と。そんな具合の旅だったのです。

 といっても、私がシンガポールへ行くのは、かなり久しぶりのことでした。
 8年ほど前になるでしょうか。一度だけ、グループで行った旅行中にシンガポールに立ち寄ったことがありました。シンガポールからマレー鉄道に乗ってマレー半島に行こう、というツアーでした。メインはマレー鉄道なので、シンガポールには1日程度しか居なかったと思います。
  その時には、私の帰国後に出来た地下鉄がシンガポール市民の足として大活躍している様子に、驚いたりしました。当時の同級生のお父さんに、地下鉄を作るための技術者として働いておられる方がいて「なんてかっこいいお父さんなんだ!」と思っていたことを、懐かしく思い出したりもしました。あのお父さんが今の状況をご覧になったら、誇らしく思われるのではないかしら? とも。

 今回の旅行では、昔住んでいた東海岸をうろうろすることが出来ました。個人旅行万歳! であります(田舎なので、一般的なツアーなどで回るようなめぼしい物のない地域なのです)。
  また、ビエンナーレのおかげで、住んでいた頃にはバスの車窓から眺めたことしかなかったシティホールの中に入ることも出来て嬉しかったです。更に、宗教的に大切な意味のあるお祭りであろうハリラヤプアサやディパバリの時期に、ビエンナーレ会場として場所を提供することを了解した宗教施設に感激もいたしました。
 シンガポールという国は、小さい島に4つの公用語があることで示されている通り、多民族国家であります。それはつまり、多宗教国家でもあるわけで、人種だけでなく、宗教による多様性をも認め合おうとしている国だとも感じていました。だから、各宗教のお祭りなどは、それぞれ大切なものとして扱われている印象があるのですね。住んでみて初めにびっくりしたのが、お正月が4回もある!ということでしたから(一般的な1月1日の他に、イスラム教、ヒンズー教、さらに、旧正月(これは中華系のお正月)のお正月が、それぞれ祝日としてお休みになるのです)。
 世界的に宗教的対立が根深くなっているように感じられる今、様々な宗教施設が同じイベントに参加しているこの国は、良い状態にあるのだろうと、しみじみ思ったりしたのでした。あるいはまた、こうした時期だからこそ、協力しようと考えた宗教施設もあったのかもしれません。

★ハリラヤプアサ:イスラム教の断食開けを祝うお祭り期間 。今年は9月中旬から10月中旬までの時期らしいです。
★ディパバリ:ヒンズー教の最も大切なお祭り期間。今年は9月中旬から10月中旬までの時期らしいです。
詳しくは、シンガポールのお祭りについてのサイト(英語)へどうぞ。
  このサイトによれば「中秋の名月」の時期は、中華系の住民にとっても大切なお祭りのシーズンであると書かれていますね。そういえば、月餅が町中で良く売られる季節でもありました。いつでも食べられるおやつなのですが、この時期の月餅は、やはり格別なものだった記憶があります。でも宗教的なイベントだという印象はありませんでした。中華街や中華系の寺院のそばに住んでいたら、また違ったのかもしれませんけれど。
  ただ、イスラム寺院もヒンズー寺院も近所には無くて、それでも、お祭りとして大きな物だと子供心に思っていたのだから、やはりこのふたつは別格なのだろうと、今の私はそんな風に想像しているのです。

ビエンナーレ展示を見に行く途中、サルタンモスクのそばで見かけた、ハリラヤプアサの準備らしきもの。
写真中の赤い矢印で示した「青いタコの足のような物」に、ハリラヤプアサ期間中は灯りが灯るのだと思います。

 

 

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