印刷したものがあります。ご希望の方はクリニック受付にお申し出下さい。

 

1997年 4月号


 早いものでもう春がやってきました。春に関する言葉はたくさんありますが、今回は

春眠暁を覚えず

ということで、春は眠い眠い季節でもあります。ますます眠りをさそってしまうかもしれませんが、『眠り』に関するテーマを取り上げていきたいと思います。

 

1. 眠りを見つめ直す 

人生の3分の1は、眠りの時間ですよね。当り前のことですが、眠らなければ私たちは死んでしまいます。では、どうして眠るのでしょうか?人間が眠る理由は、体力の回復、代謝や成長のため、そして消耗した脳の配線を一時的に活動を停止する必要があるためと考えられています。とにかくストレスの溜まりやすいこのご時世、睡眠の役割は大切です。そんな現代を生きていくためにも眠りをもっと大切に考えて、自分なりの安眠法を探していきましょう。

この新聞がみなさんの眠りを見つめ直すきっかけになっていただければと思います。

2. 眠りは量より質

眠りには『脳の眠り』とされるノンレム(Non-Rapid Eye Movement) 睡眠と『身体の眠り』とされるレム(Rapid EyeMovement) 睡眠の2種類のパターンがあります。夢を見るのは脳は比較的起きていますが、体は眠っているというレム睡眠の時に見ているそうです。このノンレム睡眠とレム睡眠が1セット90分、一晩に4から5回繰り返されるのが正常な眠りです。正常な眠りの場合、寝入りばなの30分から2時間で、最も眠りが深くなります。毎日多忙で睡眠不足を感じるからといって週末に、寝溜めをする方も多いでしょうが、これは単に浅い眠りを無駄に続けているだけです。私たちの体のなかには『体内時計』とよばれるリズムがあり、起床時間が乱れるとこれが狂ってきて疲れをとるための寝溜めが逆に寝疲れになってしまいます。寝溜めをするなら早く寝て、起床時間は守るほうがよいでしょう。やはり 早起きは三文の得ですね。また、居眠りや午後の昼寝など、こまぎれに睡眠をとることも疲労回復には効果的です。ただし、眠りの1セット90分を超えると逆効果です。

 

気持ちのよい朝を迎えるために〜不眠症について〜

気持ちのよい目覚めの朝は生活にもハリがでてきます。しかしストレスだらけの現代社会では気持ちよく眠るどころか眠りにすらつけない〜不眠症や、睡眠リズムの異常、過眠症などのさまざまな睡眠障害に悩む方も多いようです。ここでは特に不眠症についてとりあげようと思います。

 

西洋医学での

一口に『不眠症』といっても、原因や症状によっていろいろなタイプがあります。原因からみると、身体的・精神的な病気や異常の結果としておこる不眠、神経質な人におこりやすい不眠、睡眠リズムの異常による不眠、高齢になるとともにおこる不眠、などがあります。なかでも多いのは、これといった原因がないのに本人が不眠を自覚する神経性質不眠です。また、不眠の症状からみると、一般には次の三つに分かれます。

・入眠障害

床についてもなかなか寝付けないタイプの不眠です。眠るまでの時間を本人が実際よりも長く感じていることが多く、これが、不眠の訴えにつながります。もっとも多いタイプの不眠です。

・中途覚醒(睡眠持続障害)

文字どおり途中で目が覚めて、睡眠不足を意識するタイプです。

・早朝覚醒

深夜や早朝に目が覚め、眠れなくなってしまうタイプです。高齢者に多い不眠ですが高齢者の場合には早めに床についたり昼間の居眠りが多いので、どうしても目覚めが早くなるようです。また、うつ病や躁病でもこのタイプの不眠がみられます。

実際の不眠の症状は人によって様々です。軽い入眠障害だけの人もあれば、三つのタイプの不眠がすべてみられる重い不眠症もあります。

 

東洋医学での

『陰陽五行』(いんようごぎょう)という言葉を聞いたことがありますか?

中国哲学の基本となる言葉の一つで、世の中のすべてのものを陰と陽の二つの性質に分類し、さらにそれぞれの中のものを五つの網目に分けて、各々の働きを関連つけている中医学(東洋医学の中でも中国で発展した医学のこと)の考え方の基本です。

陰と陽ですべてのものを分類した場合に、私たちの体が活動するための力(エネルギー)を陽、夜など、リラックスしているときに働くエネルギーを陰としています。

陽は昼間の太陽が出ているときによく働き、陰は夜間働きます。体のどこかに病気があったり疲れやすかったりして、エネルギーが体のすみずみまで行き渡らないような滞った状態があると、夜になっても陽が陰と交代できず、リラックスできないことになります。

陰が登場できず、陽が働き続け、脳の活動も休むことができない状態が、眠れないという状態です。

そのために、眠れるようにするには、他の部分の病気を治すのも必要でしょうし、疲れをほぐしたり、ストレスを何らかの方法で解消するなど、体内の陰陽のバランスをとる必要があります。

陰陽のバランスをとるためにはり・きゅう・マッサージが有効となります。

 

食べて治そう!!不眠症

アルコールが安眠を呼ぶにんにく酒

にんにくは全身の血行をよくし、体を暖めて眠りを誘う作用があるほか、不眠の原因となる強い疲労感をとりさる働きもあります。また、適量の酒も眠りを促すのに役立ちます。酒のアルコール分には、毛細血管を広げ、血液の循環をよくして神経の緊張や興奮をときほぐす働きがあるためです。ですから不眠に悩む人は、にんにく酒がおすすめです。ただし、刺激が強いので、胃腸の弱い人は飲みすぎないように注意しましょう。

作り方
にんにく3個をすりおろし、広口びんにいれ、酒180mlを注ぐ。10日間漬けておく。1回スプーン1杯を1日数回飲む。

ぬめりと香りが効くたまねぎ

たまねぎには、神経を安定させ、眠りを誘う働きがあります。寝付きの悪い人は夕食にたまねぎを食べると効果的です。ただし、水にさらすとぬめりと香りが逃げてしまいます。不眠症のために食べるときのは水にはさらさないようにします。

また、きざんだたまねぎを枕元に置く、という不眠解消法もあります。

精神が安定、よく眠れるしそ酒

しそには、神経を鎮め、精神不安を除く作用があり、単に食用だけでなく生薬にもなっています。神経が高ぶりやすく、眠れないという人は、このしその効用を利用しましょう。しそ酒を作って、寝る前に飲むと効果的です。しその神経を鎮める効果と、適量のアルコールの相乗効果で、よく眠ることができます。

材料

しそ(赤じそでもよい)90g(約100枚)

焼酎   1.8 リットル(カップ9)

氷砂糖  200グラム(カップ1)

 

1、さっと水洗いしたしそを、半日くらい日陰で半乾きにする。

2、しその残りの水けをふきとり、保存容器にいれる。

3、2に焼酎と氷砂糖をいれる。

4、3カ月ほど冷暗所に置き、しそをとりだして、就寝前に飲む。 

 

その他のおすすめ
     食品・山野草

不眠症には小魚、黒砂糖、みつば、かぼちゃが効きます。ノイローゼやヒステリーぎみで眠れない人は、ゆり根が効きます。生のゆり根60〜90グラムにハチミツ2さじを加え、やわらかくなるまで蒸したものを、寝る前に少し食べましょう。セロリ湯も効果があります。セロリ半分をおろし器ですりおろし、好みの量のハチミツを入れ、熱湯を注いで飲みます。どうきがして眠れない人や、高血圧で不眠症の人にはハスの実の煎じ汁が効きます。ハスの実の芯の部分4〜5グラムを煎じて、お茶がわりに飲むと効果的です。 

主婦と生活社 食べて治す医学大辞典 参照

 

ただしい寝姿勢の定義は

背中が正しく布団について呼吸をするにも一番らくなスタイルです。この状態をとると自然と表情も和んできます。顔面の仰角をおよそ5度ぐらいに保つ枕との関係です。

1.なぜ、枕をするの?

枕の歴史は人類発生と同じく15万年前のネアンデルタール人の頃にはすでに使われていた化石がありますし、更にさかのぼって400万年前とも言われる類人猿アウストラロピテクスの頃にも生活上の枕であったのか、祭器的な意味をもった枕なのか、発掘された頭骨の下に枕とみられる砕石が発見されています。いずれにせよ枕の歴史は人間の歴史といっても過言ではないでしょう。では、なぜそうなったのかというとまさに『猿が人間になった労働の果たす役割』手の仕事=二足歩行によるものです。

発達すればしただけ重たくなる脳、この脳を支え、動きのバランスをうまくとるためにできあがったのがS字状に湾曲し、ちょっと頭が前倒れしているのが人間の体です。

この人間にとって最も楽な姿勢は何かというと、あぐらをかいて座っている状態でもなければ、ごろりと寝転んでいる状態でもありません。ごく自然に立っている状態、その姿こそが生理学的にみてもどこにも負担がかからない、最も楽な姿勢です。私たちがなにげなく寝転ぶとき、無意識に頭の後ろで手を組んで、そこに頭を乗せるポーズをとります。これは誰に習ったことでもなく、誰でもそうするのがごく当り前のようにごく自然にしているしぐさです。

それはなぜでしょう?

一つは、そうすることによって本能的に頭を保護するためであり、もう一つはもっと楽な姿勢、もっと自然な姿勢になれるからです。自然な姿勢をとったとき、人間は体も心も最高に機能するのです。ですから、枕をモノとして意識する前から、経験則としてすでに頭は少し高くしたほうが楽だということを知っていた私たちの先祖は自然にある石でも草でも木でも、あるいは、腕枕・膝枕という言葉があるように、体の一部でも何でも使って、頭の位置を確保していたということが言えるのではないでしょうか。 

あなたに合った枕選びの枕詞です

 

2.枕チェック!!

枕がもたらすあなたの諸症状

高枕タイプ

高すぎる枕かどうかを調べるには、枕と首の付け根のところのすき間。ここに手が入るようではかなり枕が高いということです。脊椎の上部を湾曲させている猫背の人に多いです。高枕で猫背になったのか、猫背だから高枕なのか、因果関係はわかりませんが、猫背が脊椎の湾曲を完全に固定化させてしまったものでない限り、運動などで体をほぐした上で、枕を低くすることによって、かなりの程度猫背を改善することができます。このタイプでは夜中に何度も枕を直して気道を整えるせいか、眠りが浅い、いびき、首の痛み、腰痛を訴える人が多くみられます。

あご上がりタイプ

最近流行の磁気枕、健康枕はこの形状のものが多いです。首の部分が高すぎるため頭が下がって口を開けて寝る場合も多く、今までいびきをかかなかった人が、この枕でいびきをかくようになったケースも少なくありません。頚椎部が固定されているため寝相の悪い人は少ないのですが、眠りが悪い、首が痛いと訴える人が多くみられます。枕は磁気や遠赤外線といった付加価値よりもまず高さが大切です。

チョイがけタイプ

パイプ枕、そば枕、パンヤ枕に多いタイプ。枕の中身のへたりと方よりによってできる寝姿です。枕の高い所と低い所の格差が大きく頚椎をを強制するための首の痛み、背中の痛み、肩こりなどの症状をひきおこします。このタイプは寝付きが悪く、眠りが浅いのですがじっと我慢しているケースが多いようです。この状態を長く続けている間に枕をはずして、しまいには、無枕状態で寝てしまう人もいます。 

平枕タイプ

長年使った羽根枕やパンヤ枕、そして合った枕がないからと座布団を枕代わりにしている場合もあります。最近低い枕柔らかい枕を求める人が増えているようです。ただ低いだけがいいのではなく、枕をする一つの目的の一つとしての頭が落ち着いて収まる条件を満たすことが必要です。このタイプでは寝相が悪く、寝違えを起こす原因を誘発します。また胸椎から掛けることもあり、胸を圧迫させてしまいます。 

無枕状態

枕の悪態の最たるもの。後頭部の落ち込みにより頚椎前湾が強くなり肩こり等の症状を多くひきだします。

 

COLUMN

眠りの話、あれこれ

その1:どうしてごはんを食べると眠くなるの?

昼食をすませた後の仕事ではよく、眠気を感じませんか?それはどうしてなのか、中医学の見地から説明します。

さきほどの不眠症についての説明で前述したように、体の活動時のエネルギーは陽です。陽は体の表面のエネルギーなので、昼間はさまざまな活動時に働くのと同時に体を暖める働きもあります。さらに食事の後は『消化をする』という活動もしなくてはなりません。普段から冷たいものを飲んだり食べたりするのが多かったり水分の摂取が自分の受け入れられる量よりも多い様な人は、碑や胃(ひ臓や胃だけでなく、中医学では消化器系統全体をさす)が弱くなってきますし、冷たいものの飲食により碑胃を冷やしてしまっているのでよけいにエネルギーが必要になり、体を動かす活動がにぶってきます。陽は暖かいものですから、例えばお風呂でも分かるように、あたたかいものは上に昇ります。しかし、消化に陽が働かされているときには、体の他の部分は陽は弱まって、上に昇り切れません。つまり、陽が脳に到達しにくいので、頭の活動がにぶくなってしまう。それゆえに眠くなる、というわけです。このような場合には、碑胃を強くするためのはりや、水分代謝をよりよく働かせたり、体を暖めるためのお灸(温灸)やマッサージが陰陽のバランスを整えるのに有効になってくるのです。 

その2:枕がポイント(?)の話

絶対の権力をもち、生活のすべてにおいて贅沢の限りをつくした中国清王朝の西太后は、さまざまな枕を持っていました。漢方薬やお茶の葉を入れた枕、美容と長寿に効果のあるといわれる玉の枕など。そのなかに一つ奇妙な形の枕がありました。それは枕の中央に直径8cmほどの穴があいた枕でした。横になって枕に頭をのせるとちょうど耳が穴に入った形になるのです。この枕は、中国の唐の時代から使われている、『穴枕』という保健用の枕で、現在でも中国では子供の耳の発育のために発売されています。西太后は、美容健康のためか、それとも周囲の物音に聞き耳をたてるために使っていたのか、いったいどちらでしょうね。

 

その3:〜よくねむるために〜

  1. 寝室の壁、カーテンの色などはできるだけ刺激の少ない中間色に。
  2. ぬるめのお風呂に入ってからねる。
  3. 外からの光はカーテンで遮光する。
  4. 寝る30分〜1時間前に、あたたかくした酒を軽く1杯のむ。
  5. 軽い運動で体の血行をよくする。
  6. 茶がらいりの安眠枕で寝る。使用済みの茶がらの水をよくきり、十分乾燥させ、枕につめればできあがり。

 

医 食 同 源

今月の食べ物は2つ!!

いちご と バナナ

 

ビタミンCが多く愛煙家におすすめ
       子供や病人の回復食に最適

いちごの栄養・効用

何といってもビタミンCが多いのが特徴で、4個食べれば、1日の必要量がとれるほどです。たばこ1本を吸うとビタミンはおよそ25mg破壊されますから、愛煙家には特にたっぷりととってもらいたいものです。かぜの予防はもちろん、肌にメラニン色素が沈着するのを防ぐ作用があるため、しみそばかすを予防し、美容効果もあります。歯茎から血が出る人は常食すると歯茎をじょうぶにし、歯槽膿漏の予防にもつながります。外用としては、葉を塩でもんで1日数回患部に塗ると、ウオノメとりに役立ちます。いちごのしぼり汁を牛乳で溶くと、乳液にもなり、肌の汚れや脂を落とし、肌をさっぱりとさせます。

バナナの栄養・効用

糖質が豊富で、エネルギーの多さはくだもののなかでもトップです。

とても消化がよく、主食がわりにも利用できます。栄養面からみてもエネルギー、蛋白質はじゃがいも並み。カリウム、カロチン、食物繊維なども含まれています。食物繊維の一種ペクチンが多いのも利点です。糖質は完熟すると消化吸収しやすい果糖や、ブドウ糖に変わるため、病人や子供、激しい運動をする人のエネルギー源として最適です。腸のはたらきを活発にして便秘に有効なペクチンと、肌のトラブルに役立つビタミンAの相乗効果が、強い薬効を示します。便秘ぎみで肌あれや吹き出物が気になる人には常食がおすすめです。バナナは体を冷やす効果があり、かぜの熱覚ましにも利用できますが、胃腸が弱く、下痢をしやすい人、冷え症の人は多食は控えましょう。

 

 

おもしろ栄養学

『朝のくだものが金』なのは?

ビタミンCと食物繊維が豊富なくだもの類は、忙しい朝の強い味方です。

生のままで食べられるので、手軽な上、ビタミンCも損なわれません。

一般に、体を動かして体熱を出すと、ビタミンCの消耗が激しくなります。

ビタミンは体内にはあまりストックがないので、朝食でとるのが理想なのです。また、食物繊維は腸の運動を活発にし、消化を高めるので、この点でも朝十分に補給したいものです。

夜になってくだものをとると、体を冷やすので、好ましくありません。

せっかくの効用を生かすのには、朝、食べるのが一番です。


ご意見、ご感想などありましたら下記のアドレスによろしくお願いします。 
tokai-clinic@nifty.com