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1998年 10月号

 


健康診断、年に1度は受けろとはいうものの何のために、また結果を渡されても専門用語が多く訳が分からない!と言う方に、そして『健診なんてめんどくさい』と言う方、ちょっと読んでみませんか。

 


健診結果のとらえ方

健診で何がわかるか?

健診の目的は、成人病をはじめとしたからだの異常の有無を発見するほか、受信者が自分の健康状態を知ることにあります。ただし、健診で行われる検査はスクリーニング検査といって、からだの中に病気の兆候があるかないか、あればそれが軽いものか重いものかを大づかみに判断するふるいわけ検査です。したがって、健診の結果だけでははっきりとした病名を診断することができません。そのため異常が見られた場合は精密検査が必要となります。

正常値は柔軟性をもって考えましょう

正常値というのは、一般に健康であると考えられている人々の年齢や性別に相応した平均的な数値です。人それぞれ個性があるように、検査値にも個人差があります。さらに朝と晩、季節、その日のコンディション、心の状態などによっても違うことがあります。また、検査を実施する医療機関や測定法などでも、正常値は異なります。

検診結果に使われる用語

 

異常なし

検査の結果、検査をした時点では、とくに病的な所見が認められないという意味。ただし、半永久的に健康が保証されたわけではありません。

要 再 検

再検査を必要とする。
検査結果が正常範囲をはずれているか、検査所見に異常の疑いがある場合に、もう一度検査を行って確認する。

要 精 検

通常の検査では異常の状況が明確にならない場合、さらに詳しい検査を受けながら経過をみる。(要監視・要注意ともいう)

要 観 察

服薬などの治療は不要だが、日常生活に注意し、定期的に検査を受けながら経過をみる。(要監視・要注意ともいう)

要 定 検

ある期間内に繰り返し検査して、その経過を追跡観察する必要がある場合。

要 治 療

検査所見に異常があり、明らかに病気と考えられるので、薬を飲むなどの治療が必要。原則として外来通院でよい。

要 休 養

検査所見に異常があり、家庭での休養または入院などの必要がある。

 

1 問 診

問診の目的 ●問診で何が分かるか?

問診は、受診者の「今日までの健康の歴史」を明らかにして、そこから現在どのような健康状態にあるかを判断するために大切なことです。ですから、自覚症状から生活習慣、家族の病歴に至るまで、細かく尋ねられたり、問診票に記入します。なかにはプライバシーに関わることもありますが、正直に答えないと判断が大きく狂うこともあるので、正確に答えることが必要です。個人のプライバシーは厳重に守られています。

 

2 身体計測

肥満度の判定方法

・標準体重を出す

  (身長×身長)*22=標準体重(?)

    100

・肥満度を出す

 あなたの体重ー標準体重

・判定

 肥満度20%以上=肥満

 肥満度10〜20%=体重過剰

 肥満度±10%以内=正常

 肥満度ー20%以下=やせすぎ

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

身長と体重を測って肥満度を出し、やせすぎ、太りすぎをみます。肥満は生活習慣病の温床であり、現在特に症状がなかったり、他の検査データに異常が見られない場合でも、なるべく標準体重に近づけるよう努力する必要があります。

一方痩せすぎている場合、とくに短期間のうちに体重が減ったときは、がんや糖尿病などの病気が隠れていることがあります。

異常値  疑われる病気や異常

●肥満の場合

高血圧、動脈硬化、脂肪肝、胆石症、痛風

●やせずぎの場合、甲状腺機能亢進症、糖尿病、がん

 

3 血圧測定

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

心臓は体中に血液を送り出すポンプです。この血液を送り出すときに血液の中に加わる圧力を血圧といいます。そして、心臓がギュッと縮んで血液を押し出す時の圧力を最高血圧、心臓が元へ戻った時の圧力を最低血圧といいます。また、最高血圧と最低血圧の差を脈圧といい、この差が小さくなったり大きくなったりすることも問題なので注意して下さい。

異常値  疑われる病気や異常

●血圧が高い場合

高血圧:肥満、腎臓や内分泌の病気、高脂血症、多血症、動脈硬化

その他高血圧を症状とする病気は多数あり!

●血圧が低い場合

病気としては、心不全、大出血、いちじるしい貧血などが考えられます。しかし、ほとんどの場合病気ではありません。

ひとくちメモ

血圧は1日のうちでは朝より夕方が高く、1年のうちでは冬が高く夏は低いという傾向があります。また、緊張や感情の高ぶりでも高くなります。医師や看護婦、保健婦に測ってもらうときは心を落ち着けて!!

 

4 尿検査

尿糖・尿タンパク・尿沈査・ウロビリノーゲン

尿糖

検査の目的

糖尿病発見の手がかりになります。糖尿病で血糖値が高く(160〜180以上)なると、尿にたくさんの糖が出るようになります。健康な人の尿にも糖は含まれていますが、ごく微量なのでこの検査では見つかりません。ただし、食後や激しい運動、ストレス、胃の手術をした場合に尿糖が出ることがありますが一時的なものです。また、腎臓の働きが落ちた場合にも尿糖が出ますが、血糖値は正常です。

異常値  疑われる病気や異常

●陽性(+)〜の場合

糖尿病、膵炎、肝臓の病気、甲状腺の病気、妊娠、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)を長期に服用しているとき

尿蛋白

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

この検査は腎臓の病気を見つける手がかりになります。検査方法は2種類あって。1つは尿中に蛋白が出ているかどうかを調べる定性検査(−、+で表す)。もう1つは蛋白が出ているか、その量を調べる定量検査で、これは定性検査で陽性(+)に出た時に行われます。健康な人の場合、定性検査では陰性(−)ですが、定量検査では5〜10?/?くらいみられます。また、激しい運動、ストレス、蛋白質の多い食事をした後、熱い風呂、女性では月経の前にも出ることがあります。ですから、この検査だけでは腎臓病と決めつけられないので、尿沈査や腎臓病に関係のある血液検査の結果とあわせて判断されます。

異常値  疑われる病気や異常

●陽性(+)〜の場合

急性・慢性腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、尿管・膀胱・尿道の炎症や結石・腫瘍、妊娠中毒症(妊娠中に尿蛋白が多量に出てむくみがひどく血圧が高い)

尿沈査

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

尿蛋白や尿糖などの尿検査で、腎臓や尿管の病気が疑われる時、さらに詳しく調べるために行われます。とくに尿蛋白が陽性の場合には必ず行われます。

新鮮な尿を遠心分離器にかけて、尿の固形物(沈査)と液体にふるいわけます。すると尿に含まれていた赤血球や白血球、細菌、上皮細胞、円柱(透明でゼリー状、健康人の尿にも少量あり)などの固形物が沈殿します。これを顕微鏡で調べるのです。

腎臓や尿管、膀胱の病気だけでなく、白血病、紫斑病のような全身の病気の診断にも大きな手がかりになります。

異常値  疑われる病気や異常

●赤血球が増えた場合

腎臓や尿路の炎症:腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、急性腎炎、腎臓や尿路の結石・腫瘍、全身疾患の出血傾向:白血病、紫斑病、血友病

●白血球が増えた場合

腎臓や尿路の炎症、白血病

ウロビリノーゲン

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

主に肝臓の働きを調べる検査です。ウロビリノーゲンというのは、肝臓でつくられる胆汁のなかのビリルビンという色素が、腸内の細菌によって分解されてできる物質です。大部分は便とともに排泄され、残りは腸の壁から吸収されて再び肝臓に行き、そこから血管、腎臓を通って尿と一緒に排泄されます。

ですから、肝臓が処理できないほどのビリルビンが作られたり、肝臓自体に障害があって腸から再吸収されたウロビリノーゲンを処理できなくなると、尿の中にウロビリノーゲンが多く出てくるのです。

異常値  疑われる病気や異常

●増えた場合

肝臓の障害、赤血球が壊れる病気:溶血性黄疸など、心臓の病気、がんこな便秘、薬剤:サルファ剤、パラアミノサリチル酸、アドナなど

●減った場合

胆石、総胆管閉塞、抗生物質の長期服用

 

ひとくちメモ

尿中のウロビリノーゲンが一番多いのは、午後2時から4時、季節では夏。食事では菜食の人は少ない。

 

5 血液検査

 

GOT/GPT

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

GOTとGPTは肝臓検査の代表選手です。また、GOTは心臓の病気、とくに心筋梗塞の発見に大きな威力を発揮します。

これらは、からだの蛋白質を構成するアミノ酸造成を促進する酵素です。ですから、からだのあらゆるところにあるわけですが、GOTは心臓に一番多く、次いで肝臓、骨格筋の3カ所に集中しています。GPTが一番多く含まれているのは肝臓です。

したがって、肝臓や心臓に障害が起きて細胞が壊れると、これらの酵素が血液の中に流れ出すのです。

異常値  疑われる病気や異常

●GOTが増えた場合

心筋梗塞、進行性筋ジストロフィー

●GOTとGPTが増えた場合

急性肝炎(G OT,GPTとも非常に増える)、慢性肝炎・脂肪肝(GPTがGOTより多いのが特徴、肝硬変・肝臓がん(GOTがGPTより多いのが特徴)

 

ひとくちメモ

筋肉を酷使するような過激な運動をしたり、筋肉に炎症などがある場合もGOTが増えます。GOTが高い、ワッ心筋梗塞だ!などとあわてないように。

 

ΥーGTP

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

Υ-GTPは、主に肝臓や腎臓、膵臓などに含まれている酵素です。肝臓や胆道に障害があると血液中の値が上昇してくるので、GOT/GPTと同様に肝臓病発見の手がかりとなります。

また、Υ-GTPはアルコール常飲者では高値を示すという特徴があるため、アルコール性の肝臓障害を見つける指標となります。お酒を大量に飲む機会の多い人は、くれぐれもこの値に気を付けて下さい。また、向精神薬を常用していると増加することがあります。

異常値  疑われる病気や異常

●増えた場合

急性肝炎、アルコール性肝障害、肝臓がん、閉塞性黄疸

 

総コレステロール

検査の目的 ●この検査で何が分かるか?

成人病の元凶である動脈硬化の進み具合を調べるために欠かせない検査です。まT肝臓病とも密接な関わりがあります。

コレステロールが多くなりすぎると血管の内側にくっついて動脈硬化を引き起こし、高血圧や心筋梗塞の原因となります。しかし、コレステロールは細胞をつくる成分として、またホルモンやビタミンDなどの原料として大切な役割を果たしている脂肪の一種です。

ですから逆に少なすぎると肝臓や脳、血管などに栄養がいかなくなり、脳卒中が起こりやすくなります。多すぎず、少なすぎず、ほどほどに保のが健康の秘訣です。

異常値  疑われる病気や異常

●値が高い場合

家族性高コレステロール血症、糖尿病、動脈硬化症、甲状腺機能低下症

●値が低い場合

甲状腺機能亢進症、肝硬変、貧血、がん、栄養障害

 

ひとくちメモ

コレステロールには、動脈の血管壁にたまって動脈硬化を促進する悪玉(LDLコレステロール)と、その悪玉を血管壁から肝臓に運び去る善玉(HDLコレステロール)があります。また、個人差が大きく、年齢や性別、食生活の内容にも影響されるので、総コレステロールの値だけで一喜一憂することはありません。

 

赤血球数

血液の中に含まれている赤血球の数を調べる検査で、ヘマトクリット、血色素(ヘモグロビン)とともに貧血を見つける手がかりとなります。

赤血球はからだ中の細胞に酸素を運び、炭酸ガスを持ち去る「ガス交換作用」という大切な働きをしています。ですから、赤血球が少なくなると酸素を運ぶ能力が落ち、細胞が酸欠状態になります。貧血が進むとボーッとしたり、けがなどで大量に出血すると息苦しくなるのはこのせいです。

異常値  疑われる病気や異常

●減りすぎている場合

貧血

●増えすぎている場合

多血症:血が流れにくくなって、血管がつまりやすくなる

 

血色素

赤血球数、ヘマトクリットとともに、貧血の検査です。

ヘモグロビンは赤血球の中に含まれている蛋白の一種で、血色素ともいわれるように血の赤さのもとです。貧血になると顔色が悪くなるのはヘモグロビンが減るためです。また、血色素の大本になるのは鉄です。無理なダイエットやかたよった食生活からくる「鉄不足」が貧血を招くのはこのせいです。

からだ中に酸素を運ぶのは赤血球の役割ですが、正確には赤血球の内容物であるヘモグロビンがこの働きをしています。つまり、赤血球は容器でヘモグロビンは中身ということです。どちらが減っても貧血になります。

異常値

●減りすぎている場合

貧血

鉄欠乏性貧血:鉄分の不足による。若い女性に多い。

病気やケガによる出血が原因の貧血:痔、胃潰瘍、子宮筋腫など。気づかないほどの少量の出血でも、長期に続くと貧血になる。

悪性貧血:ビタミンB12の不足

再生不良性貧血:骨髄の造血能力が落ちる

溶血性貧血:赤血球の寿命が短くなって、骨髄での製造が間に合わない。

 

ヘマトクリット

ヘマトクリットも貧血の検査です。血液を採って試験管の中に入れてしばらく置いておくと、赤黒いかたまりの部分と薄黄色の液体に分かれます。ヘマトクリットとは一定量の血液中に含まれるこのかたまり、つまり血球の容積の割合をいいます。血球のほとんどは赤血球で占められているので、ヘマトクリット値が減れば貧血が疑われます。

異常値

●減りすぎている場合

貧血

●増えすぎている場合

脱水症状:全身の衰弱がひどい、飲食物を口から摂れない、日射病、熱射病など。

多血症:赤血球が徐々に増え、白血球や血小板も増えてくる。原因不明。

 

血糖

糖尿病発見の手がかりとなる検査です。一般に血液中のブドウ糖のことを血糖といい、からだをつくっているいろいろな組織細胞のエネルギー源となる大切な物質です。とくに脳のエネルギー源として重要で、極度に減りすぎると冷や汗、動悸が起こり、さらにひどくなると昏睡に陥ることにもなりかねません。

もちろん増えすぎる場合は危険信号で、糖尿病をはじめ、肝臓や膵臓の病気が疑われます。

異常値

●血糖値が高い場合

糖尿病、急性膵炎・膵臓がん、肝硬変・慢性肝炎、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症

●血糖値が低い場合

高インスリン血症、肝硬変・肝臓がん、悪性腫瘍

 

ひとくちメモ

血糖の検査にはいろいろな種類がありますが、空腹時の血糖検査の時は禁飲食をしっかり守りましょう。食事はしなかったけどガムをかんだ、ジュースを飲んだ、前夜遅くまで飲んでいたーこれでは正しい血糖値は得られません。くれぐれも注意を!!

 

白血球数

白血球はからだの中に細菌やウイルスが侵入してくるとどんどん増え、それらの外敵をやっつける働きをしています。つまり白血球が増えているということは、からだのどこかに炎症が起こったり、細菌やウイルスが入って病気が起きているということを示しています。白血病の場合も異常に増えますが、これは「病気の白血球」が増えるので、白血球の種類を調べる必要があります。

異常値

●増えすぎている場合

炎症:虫垂炎、肺炎、胆嚢炎、膵炎、腎盂炎など、心筋梗塞
白血病:30,000〜50,000ときには100,000以上

●減りすぎている場合

膠原病、悪性貧血、再生不良性貧血、放射能や抗がん剤の副作用

 

ひとくちメモ

白血球が次の6つに分類されます。好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球、形質球。中でも好中球と単球はからだの中に入ってきた殺菌などをやっつける働きをし、リンパ球は免疫反応に関係しています。

 

尿酸

尿酸というのは細胞の燃えカスで、プリン体という物質からできており、通常は老廃物として尿と一緒に排泄されます。しかし、尿酸が腎臓からうまく排泄されなかったり、魚介類や肉類などプリン体を含む食品を摂りすぎたりして尿酸が増えすぎると、尿酸塩をいう細かいガラスの破片のようになり、足の親指や膝の関節にひっかかって炎症を起こします。これが痛風です。また、腎臓にひっかかった場合は、炎症を起こしたり腎臓結石の原因にもなります。美食家やアルコールが大好きな人、特に30〜60歳代の男性はくれぐれもご用心!

 

異常値

●値が高い場合

痛風、白血病・多発性骨髄腫・溶血性貧血、高血圧・心不全、腎炎・腎結石、妊娠中毒症

 

心電図

心臓の筋肉の異常、不整脈(リズムの乱れ)、心臓肥大、冠状動脈(心臓をとりまいて栄養を与えている血管)硬化の有無などが分かります。心臓は縮んだり、元に戻る時に極弱い電気を起こし、この電気信号を合図に筋肉が動くのです。この電流の変化を波形のグラフで記録したものが心電図です。

異常値

不整脈、心筋梗塞、心臓肥大、狭心症、心不全、先天性心疾患

 

ひとくちメモ

狭心症のように、発作がおさまると正常に戻ってしまうような時は、24時間心電図というトランジスタラジオのような器械を体につけて、1日中の心電図をとります。また負荷心電図といって、一定の運動を加える方法もあります。

 

眼底検査

高血圧や動脈硬化の進行度、眼球の病気、脳腫瘍、糖尿病などの発見の手がかりになります。眼底の血管の状態は、脳の血管と非常によく似た変化を示し、からだの中で唯一、直接血管が見えるところです。

高血圧の場合、動脈は細く硬くなり、さらに悪化すると出血や斑点ができたりします。このような変化で、全身の血管の状態を推測できます。

異常値

高血圧、動脈硬化、糖尿病、網膜剥離、視神経炎、脳腫瘍

 


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