| 栗よりうまい十三里半 採集場所:ラジオ 分類:キャッチコピー 採集者:紅茶猫 2003年、秋。 明け方は豪雨だったが、十時には強い陽射しが降ってきた。 この時点では知るよしもありませんが、この日は、ピーカンの晴れから嵐のような雷雨までと、幅の広いお天気模様。一日のうちでクルクルと天気が変わった、10月13日の秋の空。 「今日はさつま芋の日です」と、ラジオからの声が告げた。 「10月はさつま芋の収穫期で、13日なのは、栗よりうまい十三里半の十三にちなんでなんですよ」 ギラギラと季節はずれの暑さなどそ知らぬふりで、女性アナウンサーはさわやかに語る。 文脈からするに、「十三里半」がさつま芋らしいが、何故に十三里半なのだろう。 しばし考え、はたと気付く。 栗(九里)より(四里)うまい十三里半! 調べてみれば、この言葉は焼き芋屋の看板に由来した。 さつま芋の名産地である川越(諸国名物番付の中でも「さつまいもは川越」となっている)と江戸との距離が十三里半だからという説もありますが、実際の距離とは違っているため、この異説ととりあえず横においといて。 江戸時代、京都のとある焼き芋屋さんが、「八里半」という看板を出した。ここのさつま芋は、栗の風味に似ているという判じ物。それでも、栗に近しいが栗ほどでもないと、奥ゆかしくも九里の手前で八里半。 この看板が評判になり、華のお江戸でも使われるようになりました。 ただし、江戸っ子は粋で勝気。てやんでぇ、俺んところは八里半よりも上等だ、栗よりもっとうまいんだぞと、小石川の焼き芋屋が八里半ではなく、「十三里芋」という看板を。 それが大評判となったために、以降の焼き芋売りの口上は「栗よりうまい十三里半」となったようです。 十三里から、さらに半里増えているのは、「くりより」だけだと、上か下かわからないから、確実に上をいっていることを現すためだとか。江戸っ子はどこまでいっても負けず嫌いのようですね。 粋な十三里半、奥ゆかしき八里半。 どちらも美味しいお芋さんですが、「十里の芋」にはご用心。 十里もさつま芋のことですが、小噺を集めた、『七宝はなし』(天宝3年刊)に、こんな話がありました。 「十五、六年このかたの、はやりもの、やきいもを、八里半とは、栗の味に、およばぬとの事、ところを一ばん、江戸はだで栗のうへをいって、十三里うまいとは、九り四りうまいといふこころさ」。 また、そばの人、 「この間、わたしが、近所の八百屋で、十里といふ焼きいもがあるゆへ、八里半より一里半多ひから、これはよかろうと思ひ、食つてみれば、くさつて、なま焼け、いくたび食つても、同じ事ゆへ、向ふの亭主に聞いたれば、くさつて、なま焼けゆへ十里でござります」 「ハテ」 「食ふたび、五り五りいたします」 |
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