発基第91号
昭和47年9月18日
労働事務次官
記
| 第一 趣旨 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 近年のわが国の産業経済の発展は、世界にも類のない目ざましいものがあり、それに伴い、技術革新、生産設備の高度化等が急激に進展したが、この著しい経済興隆のかげに、今なお多くの労働者が労働災害を被つているという状況にある。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 最近における労働災害については、 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 建設業等屋外産業的業種における高い災害率 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 中小零細企業および構内下請企業における多発傾向 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (三) | 重大災害の増加傾向 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (四) | 新技術、新工法、有害な化学物質の多用等による新しい災害要因の増加および職業性疾病の増大 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (五) | 被災可能性の高い中高年齢労働者や未熟練労働者の増大 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (6) | 公害や公衆災害に関係のある労働災害の増大 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 等の問題点があり、また、在来型の災害もなお、あとを断たない状況にある。 この法律は、これらの問題点を踏まえ、最低基準の遵守確保の施策に加えて、事業場内における安全衛生責任体制の明確化、安全衛生に関する企業の自主的活動の促進の措置を講ずる等労働災害の防止に関する総合的、計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的として制定されたものである。 この法律は、従来の労働基準法第5章(安全及び衛生)を中核として、労働災害防止団体等に関する法律(以下「災防法」という。)の第2章(労働災害防止計画)および第4章(特別規制)を統合したものを母体とし、そのうえに新規の規制事項、国の援助措置に関する規定等を加えたもので、わが国の労働災害の現状分析と見通しのうえに立ち、従来の労働災害防止のための施策についての実績を踏まえて、労働安全衛生に係る法制の充実強化を図つたものである。 この法律がよくその機能を発揮するためには、労使をはじめ関係者の正しい理解と実践が必要である。こうした点にかんがみ、この法律の運用にあたつては、その趣旨を十分に関係者に説明し、その理解と協力を得るように努めなければならない。 1970年代に入り、従来の経済成長のあり方に反省が加えられ、国の施策の重点は国民福祉の向上へ向けられつつある。このような情勢のもとに、今後における労働災害防止対策は、人命尊重の基本的理念に立ち、この法律を軸として、より強力、より的確に推進されなければならない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 第二 この法律の基本的事項 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 一 | この法律と労働基準法との関係 この法律は、形式的には労働基準法から分離独立したものとなつているが、安全衛生に関する事項は労働者の労働条件の重要な一端を占めるものというべく、第1条(目的)、第3条第1項(事業者の責務)、附則第4条による改正後の労働基準法第42条等の規定により、この法律と労働条件についての一般法である労働基準法とは、一体としての関係に立つものであることが明らかにされている。 したがつて、労働基準法の労働憲章的部分(具体的には第1条から第3条まで)は、この法律の施行にあたつても当然その基本とされなければならない。 また、賃金、労働時間、休日などの一般的労働条件の状態は、労働災害の発生に密接な関連を有することにかんがみ、かつ、この法律の第1条の目的の中で「労働基準法と相まつて、……労働者の安全と健康を確保する……ことを目的とする。」と謳つている趣旨に則り、この法律と労働基準法とは、一体的な運用が図られなければならないものである。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 二 | この法律の適用範囲 この法律は、同居の親族のみを使用する事業または事務所を除き、原則として労働者を使用する全事業について適用されるが、つぎの(一)から(三)に掲げる者については適用されない。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 家事使用人 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 船員法の適用を受ける船員 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (三) | 国家公務員(五現業の職員を除く。) | |||||||||||||||||||||||||||||
| なお、鉱山保安法第2条第2項および第4項の規定による鉱山の保安(衛生に関する通気および災害時の救護を含む。)については、第2章の規定(労働災害防止計画)を除き、この法律の規定は適用されない。 また、機械等または有害物に対する流通規制については、労働基準法の適用範囲より拡大され、政令で定める一定の機械等または有害物の製造等を行なう者は、何人も、この法律による規制を受けることとなつた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 三 | 事業場の範囲 この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。 すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。 したがつて、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。 しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。 また、場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 四 | 事業場の業種のとらえ方 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 事業場の業種の区分については、その業態によつて個別に決するものとし、経営や人事等の管理事務をもつぱら行なつている本社、支店などは、その管理する系列の事業場の業種とは無関係に決定するものとする。 たとえば、製鉄所は製造業とされるが、当該製鉄所を管理する本社は、労働安全衛生法施行令第2条第3号の「その他の業種」とすること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | この法律の中で用いている業種で、次の表の左欄に掲げるものに属する事業は、同表の右欄に掲げる労働基準法第8条各号の事業とすること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
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| また、造船業に属する事業は、災防法の施行規則第13条に置かれていた定義と同じく、船舶の製造、改造または修理の事業をさす。 なお、次の業種に属する事業(「物の加工業」に属する事業のうち、学校附設の給食の事業を除く。)は、労働基準法第8条第1号の事業とする。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 五 | 事業者の意味づけ この法律における主たる義務者である「事業者」とは、法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば事業経営主を指している。 これは、従来の労働基準法上の義務主体であつた「使用者」と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしたものである。 なお、法違反があつた場合の罰則の適用は、法第122条に基づいて、当該違反の実行行為者たる自然人に対しなされるほか、事業者たる法人または人に対しても各本条の罰金刑が課せられることとなることは、従来と異なるところはない。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 第三 概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 一 | 総則(第一章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 目的 この法律は、労働基準法と相まつて、労働災害の防止に関する総合的、計画的な対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保し、さらに進んで快適な作業環境の形成を促進することを目的とすることを定めたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 事業者等の責務 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 事業者は、単に労働災害防止のためにこの法律で定められた最低基準を守るだけでなく、さらに快適な作業環境の実現と賃金、労働時間等の労働条件の改善を通じて、労働者の安全と健康を確保すべき責務を有していることを明らかにしたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 機械等の設計者、製造者または輸入者、原材料の製造者または輸入者、建設物の建設者または設計者、建設工事の注文者等は、それぞれの立場において労働災害の発生の防止に資するよう努めるべき責務を有していることを明らかにしたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (三) | ジヨイント・ベンチヤー 最近、一の建設工事を二以上の事業者が共同連帯して施工するいわゆるジヨイント・ベンチヤー方式による施工形態が増加している。 ジヨイント・ベンチヤーは、民法上の組合の一種と考えられるが、指揮命令系統が複雑で、労働災害防止上の措置義務者が不明確であるという問題点があるので、第5条において、ジヨイント・ベンチヤー方式により建設工事を行なう事業者に関するこの法律の規定の適用関係を明らかにしたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 二 | 労働災害防止計画(第2章関係) 労働災害防止計画は、従来の災防法により5年を単位とする労働災害防止基本計画と毎年作成する労働災害防止実施計画の二つに分かれていたが、この法律では、一定期間を計画期間とする一つの計画に整備したものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 三 | 安全衛生管理体制(第3章関係) 労働災害を防止する本来的な責任は事業者であることはもちろんであり、企業の自主的活動なくしては、労働災害の絶滅を期することはできない。 その企業の自主的な安全衛生活動を制度的に担保するために、この法律では、従来の労働基準法におけるものより充実した安全衛生管理組織の設置について規定したものであること。 この法律にもとづく安全衛生管理組織には、次の二通りのものがあること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 労働災害を防止するための一般的な安全衛生管理組織としては、 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 総括安全衛生管理者 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 安全管理者 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ハ | 衛生管理者(衛生工学衛生管理者を含む。) | |||||||||||||||||||||||||||||
| ニ | 産業医 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ホ | 作業主任者 | |||||||||||||||||||||||||||||
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があり、また、安全衛生に関する調査審議機関としては、安全委員会および衛生委員会ならびに安全衛生委員会がある。 この法律では、安全衛生管理の企業の生産ラインと一体的に運営されることを期待し、一定規模以上の事業場において当該事業の実施を統括管理する者をもつて総括安全衛生管理者にあてることとしたものであること。 これに伴い、安全管理者および衛生管理者は、総括安全衛生管理者を補佐する者として位置づけられるとともに、産業医、作業主任者も法定され、事業場内における安全衛生管理体制は、一層の充実が期待されるにいたつた。 事業場内に設けられる類似と組織としては、鉱山に設けられる鉱山保安組織および一定の公害施設を有する工場に設けられる公害防止組織がある。 これらの組織と安全衛生管理組織とは、それぞれ別個の法律により別個の法目的のもとに置かれているわけであるが、一の事業場に安全衛生管理組織と重畳して置かれる場合には、それぞれの組織間において十分連絡が行なわれ、その機能が有効に発揮されるよう指導すること。 また、安全・衛生委員会は一定規模等の事業場に設置義務があり、事業者が講ずべき事業場の安全、衛生対策の推進について事業者が必要な意見を聴取し、その協力を得るために設置運営されるものであり、したがつて、安全・衛生委員会の活動は労働時間内に行なうのを原則とすること。 安全・衛生委員会は、労使が協力し合つて、当該事業場における安全衛生問題を調査審議するための場であつて、団体交渉を行なうところではないものであること。なお、安全・衛生委員会の設置の趣旨にかんがみ、同委員会において問題のある事項については、労使が納得の行くまで話し合い、労使の一致した意見に基づいて行動することが望ましいこと。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 一の場所において、請負契約関係下にある数事業者が混在して事業を行なうことから生ずる労働災害を防止するための安全衛生管理組織としては、 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 統括安全衛生責任者 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 安全衛生責任者 | |||||||||||||||||||||||||||||
| があり、また、関係請負人を含めての協議組織がある。 統括安全衛生責任者は、従来の災防法に基づく統轄管理者と異なり、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつてあてることとし、その職務としては当該場所において各事業場の労働者が混在して働くことによつて生ずる労働災害を防止するための事項を統括管理することとし、これにより特定元方事業者等の統括安全衛生責任体制を従来以上に充実することとしたこと。 また、下請事業における安全衛生責任体制を確立するため、新たに、統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人においても、安全衛生責任者を置き、統轄安全衛生責任者からの指示、連絡等を受け、これを関係者に伝達する等の措置をとらしめることとしたこと。 なお、統括安全衛生管理体制の一環として、従来から、協議組織の設置についての規制が行なわれていたが、この協議組織の運営にあたつては、関係請負人の意見はもちろん、関係請負人の労働者の意見も十分反映されるよう運営されることが望まれるものであること。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 四 | 労働者の危険または健康障害を防止するための措置(第4章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 労働災害を防止するための一般的規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 事業者に、その使用する労働者の危害を防止するための措置を講じさせることが、労働災害防止の基本であることはいうまでもないところである。 この法律では、従来の労働基準法第42条および第43条の規制事項に加え、新しい型の労働災害の防止にも対処しうるよう規制内容を拡充整備し、産業社会の実態に即応した危害防止基準を定めることとしたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | また、そのように定められた危害防止基準をさらに具体化し、職場の実態に合わせて、有効に労働災害を防止するためには、決定された危害防止基準を、積極的に、複雑多岐な職場の実態に即応させる手法が必要である。このため、国としても、より具体的、個別的な内容を持たせた技術上の指針を業種又は作業ごとに公表することとしていること。 さらに、この法律は、最低基準としての危害防止基準の確保のみならず、より快適な作業環境の形成を促進することを目的としており、そのような作業環境の形成を促進するために、労働大臣は、望ましい作業環境の標準を公表することとしたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ハ | 労働災害防止のための基準と公害防止の技術基準とは、原則としてその対象を異にするものである。 しかしながら、労働災害と公害、公衆公害で労働災害と密接に関連するものとは、その発生源がいずれも工場、事業場であり、職場内部の危害防止のために定められた基準のうちには、公害等の防止にも資するものがあり、そのようなものについては、公害等の防止基準を勘案して定められねばならないものとされたところであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | その他の規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 元方事業者の指導、指示義務 最近、あらゆる業種にわたつて構内下請の使用が一般的となつており、これら下請企業の災害率は、親企業に比べて非常に高くなつている。 これらの構内下請企業は、親企業内の設備の修理、製品の運搬、梱包等危険、有害性の高い作業を分担することが多く、さらにその作業場所が親企業の構内であることから、その自主的な努力のみでは十分な災害防止の実をあげられない面があるので、当該事業遂行の全般について権限と責任を有している元方事業者に、関係請負人およびその労働者に対するこの法律の遵守に関する指導、指示義務を負わせることとしたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 特定元方事業者等の義務 この法律においては、特定元方事業者等の義務として、新たに下請事業が行なう安全衛生教育についての指導援助が加えられるとともに、従来、労働者の総計が50人以上である場合に設けるべきものとされていた協議組織が、当該労働者の総計がそれ以下である場合にも設置すべきものとされたものであること。 なお、この法律に基づいて特定元方事業者等が講ずべき統括安全衛生管理の業務は、当該場所における労働者の総計が50人以上である場合には、総括安全衛生責任者に総括管理させなければならないことはもちろんであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ハ | 機械等貸与者および建築物貸与者の講ずべき措置 機械等あるいは建築物の一部を借りた場合、貸与を受けた者は、完全な管理機能をもたない当該機械等あるいは建築物についての維持、補修、改造等労働災害を防止するための必要な措置を十分には講じ難い立場にあるのが通常であるので、そのような管理機能を有する者に義務づけなければ有効な労働災害の防止を図れないような事項については、当該機械等あるいは建築物の管理機能を有する者に、労働災害を防止するため必要な事項を義務づけるものであること。 また、機械等貸与者(リース業者)が機械等を貸し出す態様には、機械等のみを貸し出す場合と、オペレーター付きで貸す場合とがあり、オペレーター付きで機械等の貸与を受けた事業者は、そのオペレーターの労働災害の防止に関して必要な措置を講じなければならないこととされたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ニ | 重量表示 昭和5年にわが国が批准したILO第27号条約との関係で、従来、労働安全衛生規則において、1トン以上の貨物についての重量表示に関する規制がなされていたが、ILO条約の裏付けのある規定であることにかんがみ、今回、法律の中に明記したものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 五 | 機械等および有害物に関する規制(第5章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 機械等に関する規制 機械等の使用段階における安全を確保するためには、製造、流通段階において一定の基準によらしめることが重要であることにかんがみ、この法律では、製造、流通過程における規制を一段と強化したものであること。 すなわち、機械等に関する規制については、 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | 特に危険な作業を必要とする機械等の製造の許可、検査についての規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 危険な作業を必要とする機械等の譲渡等の規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ハ | 機械の危険部分の防護に関する規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ニ | 機械等の検定 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ホ | 機械等の定期日主検査に関する規制 | |||||||||||||||||||||||||||||
| について定められた。 このうち、特に危険な作業を必要とする機械等について、従来、労働基準法第46条第2項において規定されていた設置認可および変更認可の制度は、設置届および変更届にそれぞれ改められることとなつた。 製造認可は、製造許可と文言を改めたが、その実質的性格に変更はなく、検査制度も従前のとおりであること。 機械等の検定は、従来の性能認定、検定および耐圧証明の制度を統合して一本化したものであること。 また、ILO119号条約の趣旨に則り、作動部分上の突起物その他の危険部分が防護されていない機械の譲渡、貸与および譲渡、貸与のための展示が一切禁止されることとなつたものであること。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 有害物に関する規制 この法律における有害物の規制には、製造等の禁止、有害物についての製造の許可および表示制度ならびに有害性の事前調査がある。 製造等の禁止については、従来から、黄りんマツチおよびベンゼンを含有するゴムのりがその対象とされていたが、この法律では、製造し、または取り扱う過程において労働者に重大な健康障害を発生させる物質で、しかも適当な防護の方法のない発がん物質についても新たに指定することとし、さらに、試験研究機関に限り、これらの物の試験研究の目的での製造、輸入および使用の特例を認めることとし、制度を整備したところであること。 また、有害物についての製造の許可制度および表示制度は、この法律において新たに創設された制度であり、そのうち、有害物についての表示制度は、労働者の取り扱う物質の成分、その有害性、取扱い上注意すべき点等を事前に承知していなかつたために生ずる職業性中毒を防止することを目的とするものであること。 さらに、労働者に健康障害を生ずるおそれのある化学薬品その他の化学物質を労働者に取り扱わせようとする場合には、事業者は、あらかじめこれらの物の有害性等を調査し、その結果に基づき必要な措置を講ずべきことを努力規定として規定したものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 六 | 労働者の就業に当たつての措置(第6章関係) 労働災害を防止するためには、機械の本質的安全化等災害原因の中の物的要因を除去することが基本であることはいうまでもないが、あわせて、作業につく労働者の安全衛生教育の徹底等も極めて重要な施策である点にかんがみ、この法律では、新規雇入れ時のほか、作業内容変更時においても安全衛生教育を行なうべきことを定め、また、危険・有害業務に就く者についての特別の教育や職長その他の現場監督者に対する安全衛生教育についても規定したものであること。 また、近時、労働力不足に伴い、中高年齢者等の占める比率が高くなつてきているが、これらの人々の就業に当つては、労働災害防止上特別の配慮を必要とすることにかんがみ、その就業に際し、事業者は、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうべきことが定められたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 七 | 健康管理(第7章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 作業環境の測定 作業環境の実態を絶えず正確に把握しておくことは、職場における健康管理の第一歩として欠くべからざるものであり、その意味で、従来は労働安全衛生規則その他の諸規則の中で規定されていたものを法律で定めることと、健康管理の章にとり入れることとしたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 健康診断 | |||||||||||||||||||||||||||||
| イ | この法律においては、健康管理の徹底をはかるため、一般の健康診断のほか、一定の有害業務に従事する労働者について行なうべき特別の健康診断についてもその根拠を明らかにしたこと。 また、一定の有害業務から配置転換を受けた後、当該事業者に使用されている間において行なわれるべき特別の健康診断についても法律上の制度としたものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| ロ | 臨時の健康診断実施指示制度 労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、定期の健康診断の機会を待たずに、ただちに健康診断を実施する必要が生ずる場合があるので、そのような事態に対処するため、この法律では都道府県労働基準局長の臨時の健康診断実施指示権を創設したこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (三) | 健康管理手帳 健康管理手帳制度は、離職後の労働者について、その従事した業務に起因して発生する疾病で、発病した場合重篤な結果を引き起こすものの早期発見のために創設されたものであり、そのような疾病に係る業務に従事して離職した労働者に対しては、政府が健康管理の措置を行なつてその健康管理に万全を期することとしているものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 八 | 検査、検定代行機関および指定教習機関 この法律では、特定機械等の設置数の増加等にかんがみ、法第41条第2項に基づいて行なわれる性能検査について、従来と同じく、労働大臣が指定する機関の代行を認めることとし、また、特定機械等に準ずる危険性をもつ機械や安全装置についての検定に関しても同様にその指定する機関の代行を認めることとした。そして、これらの代行機関による検査や検定が適正に行なわれるよう監督に関する規定を整備充実したものであること。 また、作業主任者の業務および就業制限対象業務につこうとする者に対して行なわれる技能講習についても、都道府県労働基準局長の指定する機関が実施する講習を認めることとし、その講習の適正な実施をはかるため、当該機関の監督等に関する規定を新設したものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 九 | 安全衛生改善計画等(第9章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 安全衛生改善計画 この法律により、都道府県労働基準局長は、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講じなければ労働災害の的確な防止ができないような事業場に対して、安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができるようになつたこと。 この安全衛生改善計画の作成の指示制度は、当該事業場の安全衛生の状態を総合的に、より改善しようとするものであるので、必ずしも法違反の状態にあるもののみを前提とするものではないこと。 安全衛生改善計画は、当該事業場が良好な安全衛生状態へ到達するための具体的改善手法を内容とするものであり、当該事業場の労働者にも大きな影響があるので、安全衛生改善計画の作成には、当該事業場の労働者の意見をきかなければならないこととしたところであること。 なお、安全衛生改善計画の制度の実効をあげるために、労働安全衛生融資制度およびコンサルタント制度の活用を積極的に進められたいこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 労働安全コンサルタントおよび労働衛生コンサルタント 事業場が行なう安全、衛生のための自主的努力を側面から援助するための制度として、この法律において労働安全コンサルタントおよび労働衛生コンサルタントの制度が創設された。 これは、今後ますます高度化される生産工程等に対処して、民間有識者の有する技術的能力を労働災害防止のうえに役立たせようとするもので、国家試験および労働大臣の登録の制度によつてその能力を公証することとしているものであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 一〇 | 監督等(第10章関係) | |||||||||||||||||||||||||||||
| (一) | 事前審査 この法律による工事等の計画の届出制度は、従来とくらべ、その対象事業場、対象機械等を安全衛生上問題のあるものに限定し、当該計画の法令違反等について、事前に十分な審査を行なうこととしたこと。 また、届出があつた計画のうち高度の技術的検討を要するものについては、労働大臣が、学識経験者の意見をきいてこれを審査し、所要の勧告または要請をすることができることとしている。その対象としては、新たに開発された特殊な工法、設備等を予定しているところであること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (二) | 産業安全専門官、労働衛生専門官および労働衛生指導医 この法律の施行に関する事務は、労働基準監督署長および労働基準監督官がつかさどることとなつているが、さらに、この法律施行のための事務のうち安全衛生に関する専門的知識を必要とするものをつかさどるため、産業安全専門官および労働衛生専門官が本省および地方局署に置かれることが法律事項として規定されたものであること。 また、労働者の衛生に関する事務に参画するために、都道府県労働基準局に労働衛生指導医が置かれることとされたこと。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| (三) | 国の援助 事業者、とくに中小企業においては、資金的または技術的な問題により労働災害の防止措置が十分に果たせないという事情があることにかんがみ、法規制の拡充整備を図るとともに、国が事業者の行なう労働災害防止の基盤と環境を整備する努力を側面から援助することも、労働災害防止という点においては極めて有効な手法である。このため、この法律の制定を契機として、労働福祉事業団法を改正して、新たに労働安全衛生融資制度を設け、事業者に対しては安全衛生改善計画の実施に要する資金、健康診断機関に対しては健康診断用機器の購入に要する資金を労働福祉事業団が長期低利で融資することとし、また、租税特別措置法の一部改正により、新たに特定の労働安全衛生設備の特別償却が認められることとなり、これらの減税措置を講ずることによつて安全衛生設備の整備の促進をはかることとしたこと。 このほか、その一環として、国は、行政措置により、安全衛生教育を行なう指導員を養成するための安全衛生教育センターの設置、健康診断機関に対する特殊健康診断用機器の整備に要する経費の補助、中小企業における特殊健康診断の実施のための巡回健康診断の実施等の援助を行なうこととしていること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 第四 地方公共団体等との連携 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 一 | 各地方公共団体は、その居住者たる労働者の生命および健康について深い関心をもつものであり、また、都道府県労働基準局あるいは労働基準監督署がこの法律の施行事務を円滑に行なうためには、地方公共団体の協力を得ることが重要であるので、この法律の施行に当たつては、関係地方公共団体と密接に連絡し、意見調整のうえ行政を進めるよう配慮すること。 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 二 | また、消防機関その他の行政機関とも密接な連絡をとつて労働災害防止行政を進めるとともに、これらの関係行政機関からこの法律の施行について必要な措置をとるべきことの要請を受けた場合には、これを適切に処理するよう努めるものとすること。 | |||||||||||||||||||||||||||||