科学おもちゃとして人気のスライム。その化学的な構造を電気分解を使って3つの化学平衡によって成り立っていることを確認しました。
右の写真はそれを示す証拠ですが、ホウ酸とポリビニルアルコールの混合溶液にpH指示薬として紫キャベツの煮汁(アントシアンが含まれてます)を加えて電気分解している様子です。赤い酸性の溶液中に塩基性を示す緑色のスライムができあがっていきます。それでは順を追って説明しましょう。
実験の原理
![]() | 中性の水を直流電流で電気分解すると、両極では下のような反応が起こり、陽極側は酸性、つまりH+が多い状態になり、陰極側はOH−が多くなって塩基性(アルカリ性)になります。 陽極 2H2O→O2+4H++4e- 陰極 2H2O+2e-→H2+2OH- 電気分解するのはPVAとホウ酸を混合した水溶液です。ただし、ここではpHの変化を見やすくするために紫キャベツの抽出液を加えています。 左の写真は水の電気分解です。陽極側が酸性を示す赤、陰極側は塩基性を示す緑色に変化します。電流を止めるとすぐ元に戻ります。 スライムを生成する化学平衡が塩基性条件下で有利な方向に移動することを利用して、陰極側にスライムを析出させました。 |
実験装置
写真がちょっと小さいのですが、図のようにビーカー中に以下のものを入れ電源装置につないだ炭素棒を使って電気分解しました。
- (1) PVA洗濯のり(商品名ポバール) 30mL
- (2) ホウ酸0.10gを20mLの水に溶解した水溶液
- (3) 紫キャベツ煮汁 10mL
実験内容
![]() | 電気分解する前のPVA、ホウ酸、アントシアン溶液です。色は薄紫で中性付近のpHであることを示しています。 |
![]() | 通電開始から10分後、陰極上に緑色のスライムができはじめると同時に溶液の上部の赤みが増し酸性が強くなっていることがわかります。溶液中では水素イオン濃度が高くなり、スライム中では水酸化物イオン濃度が上昇していきます。 |
![]() | 30分経過、色の変化が見られなくなりました。ほぼ平衡状態になってきました。 |
![]() | 上側から見たところです。赤い溶液中にスライムが析出している様子がわかります。あくまでも溶液の中で生成した沈殿物であることがわかります。 |
![]() | 取り出してみました。スライムは陰極上に析出します。塩基性が強いためでしょう。鮮やかな緑はpH12程度、溶液の赤はpH4程度を示しています。溶液中では水素イオンを遊離する平衡反応、スライム中では水酸化物イオンを遊離する平衡反応があることがわかります。 |
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できあがったスライムをもう一度溶液の中に戻して撹拌するとすっかりもとの状態に戻ります。意図的に移動していた平衡が元に戻るためです。 |
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