千葉地方裁判所松戸支部の一審判決を不服とし、
高等裁判所に控訴申立て
 当物件は千葉地方裁判所松戸支部の一審判決において、本訴被告は敗訴部分については、大変不服
 であるとして、当事務所に鑑定書作成を依頼した。当方で判決を検討の結果、判決の大部分にミスが存するとして、
 高等裁判所に控訴を提起することとなったものである。

 鑑定
1 欠陥の指摘と判断の根拠
欠陥の指摘と判断の根拠は、建築関係法令、日本建築学会の諸規準、日本建築センターの諸規準であるが、仕上げ、雨漏り等、法令、諸規準以前の欠陥は、共通仕様書、建築界での正しい施工常識と鑑定人の永年にわたる経験による判断も加味する。
2 
欠陥との指摘事項及び判断理由
A 構造上の問題点
T 全体的な問題点
    本体棟、広告塔ともに殆ど全ての構造部材が建築基準法上最低限必要としている耐力に達しておらず、上部の
    鉄骨部材は補強出来るとしても、下部の基礎の追加や布基礎内の基礎梁下端の鉄筋不足を追加補強すること
    は不可能である。
  (1)○○設計と反訴被告の両者の構造計算書には1期と2期の約半年間の工期のずれがある2棟の構造物を一体
    として構造計算を行うという建築基準法第1条の違反行為が存する。一体の建物をあたかも羊羹を包丁で半分
    に切るように分け、左半分の本体棟を先に建築したのだが、この時点では構造計算上考慮に入れていた右半分
    の柱や梁などの水平力に抵抗する部材は存在していなかったわけである。
      第1条: 「この法律は・・・国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資すること
      を目的とする」
    1期部分と2期部分を1体として構造計算しているので全体で1棟扱いとなる。しかし1期部分が完成した時、考
    慮していた2期部分の柱・大梁等の水平耐力は存在していなかったことになる全くデタラメな設計である。
  (2)○○設計及び反訴被告の構造計算書では本体棟と広告塔を一体として計算しているが、X方向は2棟の取り合
    いの屋根面(Y2からY3間)にはブレースが無いため、一体計算は不可能で、建築基準法施行令第81条2項に違  
     反している重大な欠陥となっている。





    一体とならない2棟の建物を1棟として計算しているわけだから、計算結果は現実と大きく異なり、デタラメ設計と
    なっている。
      施行令81条2項: 「2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造のみで
      接している建築物の当該建築物の部分は、前項(構造計算)の規定の適用については、それぞれ別の建築物
      とみなす」
  (3)裁判所鑑定人○○氏の鑑定書の構造計算は国民を欺く、ごまかしの計算である
     ○○氏の鑑定書の中の構造計算は、全て国民を欺く、ごまかしの計算ばかりであり、○○氏に鑑定書の作成
     を依頼した松戸地方裁判所の責任も大きい。
     したがって、この鑑定書に準拠した判決も全てミスとなる。
  (4) 広告塔(2期工事分)の8本の柱の柱脚にはアンカーボルトの代わりに、建築基準法上、新建築物での使用が
     禁じられているケミカルアンカーが使用されている。
     ケミカルアンカーの使用は建築基準法施行令第66条の「・・・柱の柱脚は、基礎にアンカーボルトで緊結しなけ
     ればならない」 という条文に違反している。
     全ての行政窓口の建築指導課構造係りに確認すると、新築時のケミカルアンカーの使用は拒否されます。
     したがって広告塔は重大な違反建築物となっている。
     この違反建築物と本体棟を一体として構造計算を行うことは、建築基準法上重大な違反行為となり、新たに又
     一つ違反建築物を増やすことになる。建築基準法第1条に違反。したがって一体として計算することはできな
     い。
U 本体棟の問題点
  (1) 契約上、柱脚は固定であるが現状はピン支持でこれはごまかしの違反行為である
   建築本体棟の 柱脚はXY両方向共、契約図書では基礎梁下端まで埋設した、柱脚固定の工法であったものをピン
   支持に変更し、かつ大梁もXY両方向共、剛接合であったものをX方向はピン接合に変更して鉄骨数量を減らし、
   鉄骨数量を搾取する詐欺行為を行っており、これは許し難い詐欺的違反行為である
  (2) 2階事務室床が木造床への変更のごまかしの違反行為。
   木造床は建築基準法違反である。
   契約上は2階事務室床はQLデッキ仕様(波形鉄板の上に50mmのコンクリートを打設した床)であるのに現場は
   木造床に変更されており、これは悪質な詐欺的違反行為である。 (契約図面 甲八号証 図ー9の小梁リストの
   最下段に川鉄QLデッキ:2階梁上図QL99ー50ー12と明記されている。甲八号証 図ー10の2階梁上図の5〜6
   間の事務室床範図にQLデッキのデッキ方向が明記されている)
   又、2階事務室床が木造床となっており、これは建築基準法の自動車整備工場の簡易耐火建築物指定を満足し
   ておらず、建築基準法第27条違反となっている。
     建築基準法第27条: 「自動車整備工場等の特殊建築物は耐火建築物又は簡易耐火建築物としなければな
     らない」
 (3) 鉄骨数量の搾取
  契約図面に対し、現状の大梁の鉄骨断面を小さく減じた部材が大量に存在し、これは詐欺的違反行為である。
  本体棟及び広告塔において、5369kgの鉄骨重量が設計図書指定鋼材より少なくなっている(鉄骨が搾取されている)。
  鋼材1t単位の鋼材費、工場加工費、建方費を21万円とするなら、使用鋼材を減じた重量 5.37t ×210,000円
  =1,127,000円を工事請負業者は工事費を浮かしたことになり、これは詐欺的違反行為である。  
 (4) 契約上の基礎梁の鉄筋量を大幅に減じているのは重大なごまかしの違反行為である
  建物本体棟の契約図書上での基礎梁の鉄筋量が現状の基礎梁では下記のように大幅に減じられているのは詐欺的
  違反行為である。工法がピン支持に変更されたとしてもA、B通りは布基礎であるため、鉄筋量は地盤反力で決まり、
  X1通りからX6通りの基礎梁は梁自重や壁重量などの鉛直荷重で決まっており、鉄筋が減少する理由が見当たらず、
  これは鉄筋数量を搾取する許し難い詐欺的違反行為である。
 (5) 柱2階の鉄骨支柱が抜き取られており、これはごまかしの違反行為である
 (6) 中2階下部の基礎梁、柱型が抜き取られており、これはごまかしの違反行為である
 (7) 柱脚ベースプレートに欠陥が存在する
  本体棟の柱脚のベースプレート下にはモルタルが充分に充填されておらず、一部にはベースプレート下が奥の方へ約
  40cmも隙間がある違反工事となっている。
V 広告塔(キャノピー)の問題点
 (1) 柱6本全ての柱脚がアンカーボルトではなく、新築建物では違反とされるケミカルアンカーが使用されている。
  広告塔(キャノピー)の柱6本全ての柱脚がアンカーボルトではなく、新築建物では違反とされるケミカルアンカーが
  使用されている。
  分かりやすく申し上げればアンカーボルトの存在しない、柱脚部の取付けが無い建物でケミカルアンカーは建築基準
  施行令第66条の「・・・柱の脚部は、基礎にアンカーボルトで緊結しなければならない」という条文に違反している
  この点については千葉市役所及び船橋市役所のそれぞれの建築部建築指導課の構造係へ 「新築時にアンカーボ
  ルトの代わりにケミカルアンカーを認めるか」をお聞きになればご確認出来ます。
  違反建築物は日本では法律上建てることも、販売することも厳しく禁じられている。
 (2) B’ (Y3)通りには有るべき基礎、基礎梁、柱型が無い欠陥工作物
  工作物である広告塔はアンカーボルトではなくケミカルアンカーを使用した違反構造物となっており、ベースプレートは
  ガスで切断され、柱とベースプレートの溶接部の一部分が切り取られ、さらにB’通りの3、4、5、6通りの柱の下には
  有るべき基礎が無く、かつB’通りの3〜6通りの交点の柱直下の基礎梁に、排水土管用に径25cmの穴を貫通させ、
  スターラップ筋、腹筋などの鉄筋を切断し、この位置ではケミカルアンカーが基礎梁の上端主筋を切っていれば、基礎
  梁の耐力は殆ど0となり,柱を支えられなくなり、将来大きな地震がくれば建物が倒壊する危険性は非常に大であると
  言える。
  本体棟、広告塔(キャノピー)両棟とも基礎梁の上に直に土間コン床や自動車が乗ることを考えると、基礎梁には膨大
  な荷重が乗っていることになる。
  それらを考慮しないで広告塔のB’通り(Y3通り)に基礎が無いとして、構造計算してみてもX3通り〜X6通りのY2〜Y4
  間の基礎全てが耐力オーバーとなっている。
  しかもそれらの4本の基礎梁幅を30cmーーー>70cm、主筋上下共2ーD16ーーー>2ーD16+2ーD25に仮に
  変更しても基礎梁全てが耐力オーバーとなっている。
 1) 柱直下の基礎梁にコア抜き機械で配管用mp穴をあけるという重大な違反工事
 2) 柱脚ベースプレートがガスで切断され、溶接部が一部切り取られている
 3) Y方向の基礎梁4本全てが耐力オーバーとなっており、基礎梁巾を40cm増し、鉄筋を増しても補強不可能である
 (3) 柱脚ベースプレートに欠陥が存在する
    広告塔 (キャノピー) の柱脚のベースプレート下にはモルタルが充分に充填されておらず、一部にはベースプレー
    ト下が奥の方へ約40cmも隙間がある違反工事となっている。



 (4) 反訴被告の図面ではC通りの柱は全てロ型鋼管であるが、反訴被告の構造計画計算書はすべてH型鋼で、現状
    ではロ型とH型の混在したデタラメ設計である
 (5) 反訴被告の構造設計計算書及び図面ではC通りの5〜6間にブレースが入っているが、現状では全てブレース
    が無い
B 意匠上の問題点
V 千葉地方裁判所松戸支部(裁判官 ○○○○)の判決文のミスについて
 平成11年(ワ)第○○○号請負代金本訴請求事件
 平成11年(ワ)第○○○○号損害賠償等反訴請求事件
  以上の判決文のミスについて以下に述べる
 @ 上記判決文の (第3) 争点に対する判断の14ページ(7)において、「原告は、はじめて、敷地の農地転用許可が
    3回に分けて取得されることになることを知った。」と記載されているが、これは原告の全くの偽装と考えられるので
    ある。
    なぜなら敷地の農地転用許可を事前に確認しておくことは請負業者の常識であり、義務とされているからである。
    請負契約を締結した施工業者が契約図面を見ないで現場の工事を始めるようなもので、非常識と言わざるを得な
    い。
    もし、事前に知り得なかったとしたら請負業者の重過失となり、これが原因で全ての問題が発生しているのである。
    平成11年(ワ)第○○○号請負代金本訴請求事件と平成11年(ワ)第○○○○号損害賠償等反訴請求事件に
    おいて取り上げられている賠償の責任は全てここから発生しているのである。
    例えば、
    1)敷地の農地転用許可申請が遅れたために、本体棟と広告塔を1期と2期に分けて違法な工事をすすめざるを
      得なかった
    2)そのために違法なケミカルアンカーを使わざるを得なかった
    3)それが原因でB’通りに基礎を設置できなかった
    4)それが原因ですべての追加工事が発生し、その費用を原告が賠償請求をおこしているが、上記理由で全く
      原告の過失が原因であるから、被告はそれらの支払義務は存在し得ないのである
      [19ページの(2)と20ページの(3)のウ、21ページのイ、23ページの4の(1)と(2)、29ページの(14)も同様
      被告に責任は無い]
 A 判決文の (第3) 争点に対する判断の17ページ(13)において、
    「被告は、既設の基礎を利用してほしいと言って、原告の話を聞きいれなかった。C通りの既設の基礎を利用する
    には、すでに埋め込まれていたボルトで柱を接合することが必要であった。また、既設の基礎のないB’通りの部
    分は、地中梁にケミカルアンカーを埋め込んで接合せざるを得なかった。」と被告の責任のように記載されている
    が、被告は建築関係には素人であり、原告はこれを専門職としているのであるから、当然このまま工事が進めば
    違法なケミカルアンカーを使わざるを得ないことは、事前に充分知り得たはずである。
    もし、事前に充分知り得なかったとしたら、これを専門職とするプロではなかったことになる。
    また、もし、事前に充分知り得たのなら違反建築がどれほど法的に重い罪であるかを、被告に説明する義務が
    あり、それでも聞き入れられないなら原告は請負工事をその段階で、辞退し、解約手続きをとらなければならな
    かったのである。
    これらの手続きをとらなかったために全ての賠償問題が発生しているのである。
    したがってこれらを原因とする追加工事費の請求に対する支払義務は原告には全く無いものである。
 B 判決文の35ページ カにおいて、 「偏心率や剛性率は問題ないが」と記載されているが、そもそも本体棟(事務所
    と工場)は2階事務室の床が一般屋根より約1.61mほど下がっており、また事務室の屋根は一般屋根より3.05
    m上がっているため、鉄骨の構造体骨組は異形ラーメン形状となり、偏心率や剛性率が求められない建物である。
    裁判所の選定した○○鑑定人の鑑定書の中でも、同様のことが述べられているが、両者ともこれは間違いである。
    この建物は○○鑑定人の採用しているルート2は採用不可能であり、ルート3の保有耐力計算を採用しなければ
    ならない。
    (1) 剛性率について
    (a) 規定の目的等
     ピロティ形式の建築物高さ方向に剛性が急に変わるような建築物では、地震時に剛性の (骨組みのかたさ) の
     小さな階に変形や損傷が集中することが近年の震害例の分析や動向解析により明らかにされている。このため
     建築物の耐震性能を向上させるには階ごとの剛性の変化をなるべく少なくすることが肝要となる。
      しかし、建築計画上の必要性から剛性が大きく変化する階を設けざるを得ない場合も考えられる。その場合に
     は剛性の小さな階に変形が集中しても落階等の大被害にはならないようにするため、その階のじん性を高めるこ
     とにより地震エネルギーを十分吸収できるようにする必要がある。本項目はこのような趣旨から定められたもの
     である。
   (b) 剛性率の定義
    剛性率は、計算しようとする方向につき、各階ごとに1つずつ定義される。令第82の2 (層間変形角) の規定よ
    り得られる各階の層間変形角の逆数rsを求め、当該階のrsを地上部分の全階のrsの相加平均rsで除したものが
    当該階の剛性率である。式で表現すれば以下のように表せる。
    rs=h/∂
    r’s=Σrs/n
    Rs=rs/ r’s  (剛性率)
     ここで、h : 当該階の階高
         ∂ : 一次設計用耐震力により当該階に生ずる階間変位
         n  : 地上部分の階数
      前述のように剛性率は、各階の水平部分への変形のしにくさが、建築物全体のそれとくらべてどの程度大きい
     か小さいかを示すパラメータである。この値が1.0より大きくなるほど、建築物全体から見て変形しにくい階であ
     ることを表し、1.0より小さな値になるほど変形しやすい階(相対的に柔らかい階)であることを表す。剛性率の
     数値の特に小さい階を含む建築物の地震時の振動性状は、その階の部分の水平変形が過大に生ずる不連続
     なものとなり、地震のエネルギーが集中してしまうことになる(下図参照)。本規定では、相対的な変形のしやすさ
     の限界として、剛性率0.6を採っている。
      なお、連続する階で剛性率Rsmp値が急変することは、振動性状上好ましいことではないので、十分配慮する
     ことが望ましい。 
 C 判決文の36ページ 8 の(1)において、「・・・下記の補強改修を行えば構造計算上NGの評価だった点はすべて
    解消され、技術的規準に適合している場合と同等の耐力を保持できていることが認められる。・・・」と記載されてい
    るが、これは誤りである。
    当職で、必要とされるルート3で計算すると、殆どの基礎梁が長期応力で、耐力オーバーのため、計算実行が
    不可能となる。
    従って、○○氏の鑑定書も、原告の計算書がルート3なのに、ルート2に変更して、補強後の構造計算を実行して
    いる点を考えると、偽証と思われても仕方あるまい。
 D 判決文の37ページの(2)の続きにおいて、「・・・しかしながら、本件はすでに建物が完成しているのであるから、
    これから建築を計画したり、工事中である場合とは状況が異なるものであり、現況建物の状況分析によって、構造
    計算の方法を決定し、その問題点を解消するための補修方法を提案する鑑定人の手法は不相当であるとはいえ
    ない。」と記載されているが、欠陥住宅や欠陥建物は完成した建物について、みんなが裁判を起こしているわけで
    この表現は不当である。
    また、○○氏の鑑定書の補強後の計算には採用ルートを間違えるという大きなミスをしているため、判決文のこれ
    にかかる判決は無効となる。これは欠陥住宅鑑定の第一人者である○○○○先生が以下のように述べている。
    「最近の判例をみると、欠陥があることによって減じている建物の交換価値を、欠陥が無い新築建物の交換価値
    に回復させる傾向にある」と述べている。つまり、「自己所有の建物が老朽化した場合には、予算の多寡によ
    ってつぎはぎだらけの補修や最低限の補修をしてもよいのであるが、ここで論じている欠陥建物の場合、
    大多数は新築建物のそれを指しているのであるから、その大多数の場合の相当補修方法は、設計図どお
    り、または法律が要求する最低限の性能を具備した建物にし直して、契約どおりの正常な交換価値を回復
    
する補修方法を指すものである。」と述べている。したがって、本鑑定書においてはすべてこの補修方法に準
    拠するものである。また、○○鑑定人の鑑定書においても、建築基準法が要求する最低限の性能を具備した建物
    に回復出来ない以上は、基礎、基礎梁を撤去し、契約図面どおりの柱脚を基礎梁下まで埋設し、コンクリートを打
    ち直し、建物を作り直すべきであると考えられる。
    以上の点も考慮して、当職の鑑定書は、基礎、基礎梁は作り直しと考えている。
   
    原告(建設業者)と被告の間にどんな関係があったにしろ、このような建物を建てた業者は社会的には決して
    許されるものではないし、一審判決が原告有利な結果になったことも決して納得できるものではない。
                                                     
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